「地盤サポートマップ」から学ぶ土地選定法│契約率UPの秘策!顧客の不安を安心に変える土地提案

投稿日 : 2025年06月09日
「契約寸前で顧客の顔が曇った」「この土地で本当に大丈夫なのか、と何度も聞かれた」──そんな経験はありませんか? 住宅は人生で最大の買い物だからこそ、顧客は安心を強く求めます。しかし、建物の耐震性だけでは、もう十分な「安心」を提供できる時代ではありません。見落とされがちな「地盤」への漠然とした不安こそが、顧客の心を揺るがす最後の壁になっているのです。
この記事では、その不安を「安心」に変え、ひいては契約率向上へと導く強力なツール「地盤サポートマップ」の活用法を徹底解説します。顧客の心理に深く寄り添い、データに基づいた透明性の高い情報提供で、あなたの営業スタイルを次のレベルへと引き上げましょう。

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なぜ顧客は地盤に不安を感じるのか?見落とされがちな「本当の安心」

耐震性だけでは不十分?見落とされがちな地盤の重要性

住宅の安全性を語る上で、耐震基準の重要性は周知の事実です。しかし、どれほど堅牢な建物であっても、それを支える地盤が不安定であれば、その性能を十分に発揮することはできません。特に、日本では地震による揺れやすさ、液状化、土砂災害、地盤沈下といった多様な地盤リスクが存在します。
2011年の東日本大震災では、千葉県浦安市をはじめとする広範な地域で液状化現象が発生し、建物が傾いたりマンホールが浮き上がったりするなど、甚大な被害が確認されました。この被害状況は、国土地理院や国土交通省による詳細な調査によっても裏付けられており、液状化の発生傾向や被害の分布が明らかにされています。また、国土交通省の「宅地耐震化推進事業」では、過去に宅地造成等規制法により規制されていた区域内の宅地のうち、災害危険性が高いとされる大規模盛土造成地等を対象に、安全性調査や対策工事が進められています。
このような背景から、住宅購入者は「自分の住む場所の地盤は本当に大丈夫か」という、耐震性だけではカバーしきれない根源的な不安を抱いています。住宅販売事業者としては、この地盤の重要性を顧客に正確に伝え、具体的な根拠をもって「安心」を提供することが不可欠です。

「災害に強い家」の根拠となる地盤情報の必要性

「災害に強い家」という言葉は、顧客にとって非常に魅力的な響きを持ちます。しかし、その強さの根拠を具体的に示すことができなければ、単なるセールストークに終わってしまいます。そこで必要となるのが、科学的データに基づいた地盤情報です。

地盤に関する情報は多岐にわたりますが、特に注目すべきは以下の点です。

  • 液状化の可能性
    • 地震時の液状化リスクの有無と程度。
  • 揺れやすさ
    • 地震発生時の地盤の揺れやすさ。
  • 地盤沈下リスク
    • 軟弱地盤における不同沈下のリスク。
  • 土砂災害警戒区域
    • 急傾斜地の崩壊や土石流の危険性。

これらの情報を、顧客が理解しやすい形で提示することで、「災害に強い家」が単なる謳い文句ではなく、具体的な根拠に基づいたものであることを示すことができます。これにより、顧客は漠然とした不安から解放され、より具体的に将来の住まいを想像できるようになります。

他社との差別化を図るための「安心」の可視化

多くの住宅販売事業者が、「安心・安全」を謳っています。しかし、その内容は往々にして、建物の性能や保証に終始しがちです。そこで、他社との差別化を図る強力な武器となるのが、「地盤リスクの可視化」です。
顧客は、自分たちが購入しようとしている土地が、どのような地盤特性を持ち、どのようなリスクを抱えているのかを明確に知りたいと考えています。地盤サポートマップのようなツールを活用し、視覚的に地盤情報を提示することで、言葉だけでは伝わりにくい「安心」を具体的な形で見せることができます。
例えば、商談時にタブレットやPCで地盤サポートマップを表示し、「こちらの土地は、液状化の危険性が非常に低い地域に位置しており、地震時の揺れも比較的穏やかであることがデータで示されています」と説明することで、顧客は「この会社は、私たちの安全を真剣に考えてくれている」と感じ、深い信頼感を抱くでしょう。これは、競合他社にはない強力な差別化要素となり、顧客の心をつかむ決め手となります。
地盤サポートマップを見るサラリーマンのイラスト

(参照:「東京の液状化予測図 令和5年度改訂版」

地盤サポートマップが営業にもたらす具体的な効果

地盤サポートマップは、単なる情報ツールではありません。住宅販売の現場において、顧客との信頼関係を築き、契約へと導くための強力な営業支援ツールとなり得ます。

データに基づいた説得力のある説明で信頼を構築

営業担当者の言葉だけでは、顧客は時に不安を感じるかもしれません。しかし、客観的なデータに基づいた説明は、顧客の信頼を飛躍的に高めます。地盤サポートマップは、詳細な地盤調査データや公的機関が公開するハザードマップ情報(例:国土交通省の液状化ハザードマップ、内閣府の防災情報のページを集約・分析し、視覚的に分かりやすく提示するツールです。
例えば、顧客が特定の土地に興味を示した場合、地盤サポートマップでその土地の液状化リスクや揺れやすさ、過去の地盤調査結果などを瞬時に確認し、その場で提示することができます。
■地盤情報サービスの信頼性はどこから来る?3つの根拠
ウェブ上で提供される地盤情報サービスが信頼できるのは、その情報源と解析手法に確かな裏付けがあるからです。主な根拠は以下の3点です。
1.広範な公的・民間データの網羅性
多くの地盤情報サービスは、全国を網羅する膨大な地盤データを活用しています。これは、主に以下の情報源から集約されています。

  • 公的機関のデータ
    • 国土交通省の「国土地盤情報検索サイト KuniJiban」などで公開されている約約202,900本(2022年7月21日現在)ものボーリングデータなどが基盤となります。(参考:国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」
    • 各地方自治体も地域ごとの地盤情報を公開しており、これらも活用されます。
  • 民間企業の蓄積データ

これらの多様なデータソースを統合することで、特定の地点だけでなく、広範囲にわたる地盤特性を正確に把握することが可能になります。

2. 高度な解析技術とAIの活用
地盤情報の分析には、専門的な知見と最先端の技術が用いられています。

  • 多角的データ解析
    • 既存のボーリングデータや地形情報、過去の災害履歴といった基本的なデータだけでなく、AI(人工知能)による高度な分析を組み合わせることで、地盤の特性をより詳細かつ正確に解析しています。
  • AIの精度
    • AI解析では、地盤の特性をより正確に判別するために高い的中率を誇る技術も存在します。例えば、特定のAIによる土質判別では97%もの的中率が報告されています(参考:ジャパンホームシールド株式会社。このような技術が、精度の高い地盤予測を可能にしています。
3. 専門家による監修と継続的な更新
信頼性の高い地盤情報サービスは、情報公開後の品質管理も徹底されています。

  • 専門家の知見
    • 地盤工学の専門家や研究機関の知見に基づいて監修されており、科学的な妥当性が確保されています。
  • 情報の鮮度維持
    • 地盤情報は、大規模な造成や自然災害などによって変化する可能性があります。そのため、最新の公的データや新たな調査結果を反映し、定期的に情報が更新される体制が整っています。国土交通省も地盤情報の品質確認を推奨しており、多くのサービスがこの基準に準じています。(参考:総務省:地盤情報の二次利用ガイド

これらの要素が複合的に組み合わさることで、地盤情報サービスは私たちに信頼できる地盤リスク情報を提供しているのです。

「こちらのデータをご覧ください。この地域は過去の地盤調査データと地形情報から、〇〇のリスクが低いと評価されています。だからこそ、安心して暮らしていただける土地と言えます」といった具体的な説明は、顧客に「この会社は、私たちの安全を真剣に考えてくれる、信頼できるパートナーだ」という確信を与えます。
地盤サポートマップを活用して説明をするイラスト

専門知識のハードルを下げる直感的なインターフェースの活用法

地盤に関する専門用語(液状化、不同沈下、N値など)は、一般の顧客にとって理解が難しいものです。しかし、地盤サポートマップは、これらの専門知識を直感的な色分けやアイコン、簡潔な解説文で表現しているため、専門知識がなくても地盤リスクを視覚的に把握することができます。
営業担当者は、専門用語を羅列するのではなく、マップを指し示しながら「ここは色が薄いので、リスクが低いエリアだと一目でわかりますね」といったように、顧客が直感的に理解できる言葉で説明を進めることができます。これにより、顧客は「難しいことを言われている」というストレスを感じることなく、スムーズに地盤情報を理解し、安心して検討を進めることができます。
液状化(えきじょうか)
地震の揺れにより、水分を多く含んだ砂質の地盤が液体のように振る舞い、建物が沈んだり傾いたりする現象。
不同沈下(ふどうちんか)
建物の一部だけが沈下し、建物全体が不均一に傾く現象。構造にひび割れなどが生じる原因となる。
N値(エヌち)
地盤調査の一種である標準貫入試験(ひょうじゅんかんにゅうしけん)で得られる値。地盤の固さや締まり具合を示す。値が大きいほど地盤が固いとされる。

顧客からの信頼獲得と契約までのスピードアップに貢献

地盤サポートマップの活用は、顧客からの信頼獲得に直結し、結果として契約までのスピードアップに貢献します。
  1. 不安の早期解消
    • 顧客が抱える地盤への不安を、商談の早い段階で具体的なデータとともに解消できるため、その後の検討がスムーズに進みます。
  2. 透明性の確保
    • 地盤情報を隠すことなく開示することで、顧客は「この会社は正直で信頼できる」と感じます。これは、高額な買い物である住宅購入において、非常に重要な要素です。
  3. 効率的な土地提案
    • 顧客の希望条件に加え、地盤の良し悪しを考慮した土地提案が可能になります。これにより、後から地盤の問題が発覚して計画が頓挫するといったリスクを減らし、無駄な時間と労力を削減できます。
  4. 競合優位性
    • 地盤情報を積極的に活用している企業は、そうでない企業に比べ、顧客にとって魅力的に映ります。これにより、顧客が他社と比較検討する際にも、自社が選ばれる可能性が高まります。
特に、契約前に地盤に関する懸念がクリアになることで、顧客は安心して決断を下せるようになり、契約までのリードタイム短縮が期待できます。

地盤調査・改良までを見据えたトータルサポート

地盤サポートマップは、土地選定の初期段階だけでなく、その後の地盤調査や必要に応じた地盤改良、そして住宅の完成まで、一貫した安心を顧客に提供するための起点となります。
マップから地盤調査の必要性を判断する目安
地盤サポートマップは、あくまで「傾向」を示すものであり、詳細な地盤調査(ボーリング調査やSWS試験など)を代替するものではありません。しかし、マップを活用することで、以下のような判断の目安を得ることができます。
SWS試験(エスダブリューエスしけん)
地盤の軟らかさや締まり具合を簡易的に調べる調査方法。住宅建築で一般的に用いられる。
  • 詳細調査の必要性
    • マップ上で特定の地盤リスクが高いと示されたエリアでは、詳細な地盤調査の実施を強く推奨することができます。これにより、潜在的なリスクを早期に特定し、適切な対策を講じる準備ができます。
  • 土地選定の優先順位
    • 複数の候補地がある場合、マップの情報を基に、より地盤リスクの低い土地を優先的に提案するといった戦略的な判断が可能です。例えば、地形区分で「谷底低地」や「旧河道」に分類されるような場所は、軟弱地盤である可能性が高く、詳細調査の必要性が高いとされています。(参考:不動産流通推進センター:軟弱地盤リスク
  • 顧客への説明材料
    • 「地盤サポートマップで〇〇のリスクが見られるため、より詳細な地盤調査で安全性を確認しましょう」と具体的に説明することで、顧客も調査の必要性を納得しやすくなります。

適切な地盤改良の提案とコストの説明による透明性

地盤調査の結果、地盤改良が必要と判断されるケースは少なくありません。地盤改良は追加費用が発生するため、顧客にとっては不安の種となりがちです。しかし、地盤サポートマップを事前に活用することで、以下の点で透明性を確保し、顧客の納得感を高めることができます。
  • 事前のリスク予測
    • マップの情報を基に、地盤改良が必要となる可能性や、その目安となる費用感を早い段階で顧客に伝えることができます。これにより、資金計画に組み込む余裕が生まれ、後からの予期せぬ出費によるトラブルを防ぐことができます。
  • 改良工法の選択肢
    • 地盤サポートマップや詳細調査の結果から、適切な地盤改良工法(例:柱状改良、鋼管杭工法、表層改良など)を提案し、それぞれのメリット・デメリットや費用、工期などを具体的に説明します。
  • 費用の透明性
    • 地盤改良費用は、地盤の状況や工法によって大きく変動します。事前に見込み費用を伝え、必要に応じて複数の見積もりを提示するなど、透明性の高い説明を心がけることで、顧客は「全てをオープンにしてくれている」と信頼感を持ちます。
地盤サポートマップ活用のプロセス

安心と納得感を与える購入プロセス全体への貢献

地盤サポートマップの活用は、住宅購入プロセス全体を通じて、顧客に「安心」と「納得感」を提供します。
  1. 初期段階での信頼構築
    • 土地選定の初期から地盤情報を積極的に開示することで、顧客は「この住宅販売事業者は、私たちの安全を最優先に考えている」と認識し、強い信頼感を抱きます。
  2. 意思決定のサポート
    • 地盤リスクに関する客観的なデータを提供することで、顧客は感情的ではなく、論理的な根拠に基づいて土地や住宅の選択を行うことができます。
  3. 潜在的なトラブルの回避
    • 事前の地盤リスク把握により、地盤に起因する予期せぬ追加費用や工事遅延、ひいては建物トラブルといった潜在的な問題を未然に防ぎます。これは、顧客満足度を大きく向上させる要因となります。
  4. 長期的な安心感
    • 住宅引き渡し後も、地盤データに基づいた安心感は継続します。顧客は、自分たちが購入した家が「地盤からもしっかりと支えられている」という確信を持ち、長期にわたって安心して暮らすことができます。
顧客が住宅購入という大きな決断をする際、最も重視するのは「安心」です。地盤サポートマップは、この「安心」を具体的なデータとビジュアルで提供し、住宅販売事業者の信頼性を飛躍的に高める強力な武器となります。

まとめ

住宅購入者の防災意識が高まる中、「地盤」は住宅販売における新たな差別化要因として、その重要性を増しています。漠然とした地盤への不安は、時に顧客の購買意欲を阻害し、契約を遠ざける要因となり得ます。

ここで「地盤サポートマップ」が真価を発揮します。このツールは、専門的な地盤情報を誰もが理解できる形に「可視化」し、顧客が抱える不安を具体的なデータに基づいた「安心」へと転換させます。私たちは、地盤サポートマップを単なる情報提供ツールとしてではなく、以下の点で営業活動の中核に据えるべきです。

  • 信頼構築の第一歩
    • 科学的データに基づいた説明で、顧客からの信頼を迅速に獲得。
  • 営業効率の向上
    • 直感的なインターフェースで専門知識のハードルを下げ、スムーズな商談を促進。
  • 契約率の向上
    • 不安解消と透明性の確保により、顧客の意思決定を後押しし、契約までのスピードアップに貢献。
  • 長期的な顧客満足度向上
    • 土地選定から地盤改良、そしてアフターフォローまで、購入プロセス全体で安心感を提供。

地盤サポートマップの活用は、顧客の「安心」を追求する当社の姿勢を示すだけでなく、住宅販売事業者としてのブランド価値を高め、競合他社との差別化を実現します。これは、顧客の満足度向上だけでなく、成約率の向上、さらには口コミによる新規顧客獲得にも繋がる、持続可能なビジネス成長の鍵となります。「地盤サポートマップ」を最大限に活用し、顧客に「安心」という最高の付加価値を提供する住宅販売の新時代を、共に切り拓いていきましょう。

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