不動産エージェントとは|不動産会社との違いや必須資格、メリット・デメリットを解説
日本では不動産仲介を不動産会社に依頼するのが一般的ですが、個人で活動する「不動産エージェント」にも注目が集まっています。
不動産業界で就職を目指している方は、不動産会社と並行して不動産エージェントについて知識を持ってみてはいかがでしょうか。
本記事では不動産エージェントの概要と不動産会社との違い、働くメリット・デメリットなどを紹介します。
不動産エージェントとは
不動産業界では「空き家の増加」「ニーズの多様化」といった変化がみられ、売り手・買い手の両方に対するサポートが課題になりつつあります。
そのような環境で専門家として活躍できるのが「不動産エージェント」です。
不動産取引を行う代理人のこと
不動産エージェントは、不動産取引を行う方の「代理人」のことです。
不動産エージェントは直接不動産取引を行うのではなく、売主・買主に代わって専門知識を駆使して取引を成功に導くのが仕事になります。
不動産会社と不動産エージェントの違い
日本では、不動産取引の仲介は一般的に「不動産会社」が行っています。
不動産会社の「担当者」と「エージェント」の違いは個人か・企業かという点です。
- 不動産エージェント:個人で活動するプロ
- 不動産会社の担当者:企業に属して働くプロ
また、単に雇用形態の違いだけでなく、利益の獲得方法に違いがみられる場合もあります。
不動産会社には複数の営業担当者が在籍していて、売り手・買い手の仲介を同じ会社がサポートするケースもあります(両手仲介)。
一方、不動産エージェントでは売り手・買い手の片方と取引を成立させる「片手仲介」が基本になります。
不動産エージェントは顧客にリピートや紹介を受けることが事業継続のためには必須です。
片手仲介に徹して依頼人の利益に集中することで依頼人の信頼を得やすくなり、紹介やリピートにつながるでしょう。
不動産エージェントを選ぶことで顧客にもメリットがある
不動産エージェントを利用することで、顧客にもメリットが生まれます。
会社の利益を考慮する必要がないことから「顧客の利益を最優先に活動できる」という点です。
顧客の側から見れば契約を急かされることも、しつこい営業をされることもありません。また物件のメリットだけでなくデメリットもしっかり伝えてくれるため、顧客に合った物件を見つけやすくなります。
不動産エージェントになるための必須資格はない!
不動産エージェントになるのに必須の資格は存在しません。
不動産エージェントは顧客の利益を実現するために代理人になるのが仕事であり、資格よりも「顧客の希望を可視化して物件契約という形で実現する能力」が求められます。
ただし、顧客は「不動産に精通したプロに仕事を任せたい」と思っていることも事実です。
無資格より、通用度の高い国家資格などを所有する方が客観的に知識を有していることを証明できるでしょう。
無資格で不動産に関する業務としては、他にも「不動産ブローカー」があります。以下の記事で詳細に解説しているので、こちらも併せてチェックしてみましょう。
あわせて読みたい:不動産ブローカーとは|収入事情や就職することのメリット・デメリットを解説
不動産エージェントとして働くメリット・デメリット
不動産会社に所属せず、個人でエージェントとして活躍することのメリット・デメリットを紹介します。
メリット
不動産エージェントは会社からノルマを与えられることがなく、会社の意向で両手仲介を行う必要もありません。
顧客満足度を最優先で仕事がしやすくなり、「ノルマのために契約を急かす」「自分の価値観に合わない物件を紹介する」といったことをせずに納得する仕事だけを行うことができます。
働き方や案件を自分で選択することは、やりがいやモチベーションにつながるでしょう。
デメリット
不動産エージェントとして働くためには「集客ができるか否か」が問題になります。
不動産エージェントという形態は顧客にとって一般的ではなく、不動産会社が仲介業務を独占しているというのが現状です。
法人ではなく個人で活動するため、見込み客を増やし、信用してもらう必要があります。
実績を上げることで紹介やリピートをもらうことができますが、仕事が軌道に乗るまでは集客の仕組み作りが重要になります。
不動産エージェントが取得しておきたい資格3選
不動産エージェントには必須資格は存在しませんが、資格を持っていることで必要な知識を保有していることを示すことができます。
不動産エージェントとしての活動に役立つ資格を3つ紹介します。
- 宅地建物取引士
- 不動産キャリアパーソン
- 住宅ローンアドバイザー
1.宅地建物取引士
「宅地建物取引士」は、いわゆる「宅建士」のことで、不動産取引の専門家であることを証明できる資格です。
宅建士は、以下の3つの業務独占資格を持っています。
- 重要事項説明書の説明
- 重要事項説明書への記入
- 契約書面への記入
有資格者でないと行うことができない業務独占資格があります。
もし不動産エージェントが宅建士の資格を持っていない場合、重要事項を説明して契約書面に記入する段階になって有資格者にバトンタッチすることになります。
不動産エージェントとしての信頼にも関係するため、自身で最後まで契約を進めたいなら宅建の資格は必須といえるでしょう。
2.不動産キャリアパーソン
「不動産キャリアパーソン」は、不動産取引で実際に必要になる実務知識の習得のための通信教育資格講座です。
基礎的な知識を習得できる意味で、不動産営業をしたことがない段階で受講しておきたい講座です。
3.住宅ローンアドバイザー
「住宅ローンアドバイザー」は、公正な立場で情報提供を行う住宅ローンの専門家です。
住宅ローンは顧客にとっても気になる部分である一方、インターネットの情報は一般的な説明のみで具体性に欠けることも少なくありません。
住宅ローンの正しい知識を持ち、顧客に説明できることは信頼を得るうえで大きな武器になるでしょう。
最新の住宅ローン事情を説明することができれば、顧客から信頼を獲得しやすくなります。
併せて読みたい:住宅ローンアドバイザーとは?難易度や試験内容、活かせる業界を解説
まとめ
不動産エージェントは不動産取引をサポートする専門家であり、売り手・買い手との片手仲介による利益を目指す仕事です。
個人で活動するため集客に課題がありますが、ノルマがないことで顧客の利益を最優先にした働き方ができるのがメリットです。
不動産取引が多様化するなかで、今後は不動産エージェントという働き方はもっと一般的になっていくでしょう。