不動産ブローカーとは|収入事情や就職することのメリット・デメリットを解説

投稿日 : 2023年05月22日/更新日 : 2023年06月04日

不動産業界への就職・転職を希望している方の中には「不動産ブローカー」という単語を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?

何となく「怪しい」と感じる方もいるかもしれませんが、全てのブローカーが違法ではなく、不動産業者との商談を成功させて高年収を得ている方もいます。

本記事では「不動産ブローカー」の概要やアメリカの不動産ブローカーとの違い、実際の収入事情などについて解説します。

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不動産ブローカーとは

不動産ブローカーとは

不動産ブローカーとは、「宅地宅建業法の免許を持たずに不動産仲介を行って収入を得る人」のことです。

売買や仲介など不動産事業を行うためには宅建業の免許が必要で、免許を持たずに不動産の売買・仲介業務を行うことは、宅地建物取引業法違反にあたります。

契約実務に関しては宅建業の免許を所有している不動産仲介会社に依頼し、ブローカー自身は紹介に徹することになります。

つまり、不動産ブローカーの収入源は「情報」です。

不動産仲介会社や知り合いと親しくなり、そこから自分だけに優良な不動産情報や土地情報を教えてもらうといった具合に、人脈や情報を駆使して仲介相手を探すことになります。

「不動産ブローカー」と聞くと違法のように聞こえるかもしれませんが、宅建業免許のある不動産会社が実際の売買契約などを行うのであれば違法にはありません。

不動産ブローカーになるための資格

不動産ブローカーになるのに、特定の資格は必要ありません。

不動産ブローカーは、土地・建物の販売代理を行うために必要な「宅地建物取引業」や不動産取引で必要になる「宅地建物取引士」の資格を持っていないケースも少なくありません。

極端な話、名乗りさえすればその瞬間から不動産ブローカーとして活動することもできます。

実務では法律で禁止されていない「紹介」のみを行い、契約業務は不動産業務に依頼することになります。

日本と海外の不動産ブローカーの違い

日本の不動産ブローカーと比較して、アメリカの不動産ブローカーは医師や弁護士と肩を並べるほどの資格です。

アメリカの不動産ブローカーは大学・専門学校で規定科目を履修したうえで、初めて試験資格を得ることができます。

資格を取得するまでのハードルが高いことは社会的な地位の高さにつながり、ブローカー1人ひとりが日本の士業のような専門知識とスキルを持っています。

地方の物件ではブローカーが絡むことも多い

日本に話を戻すと、地方の物件の売買等についてブローカーが絡むことも少なくありません。

地元の「農家」「建設業者」などがブローカーとして商談を持ち掛けてくるケースもあるようです。

実際の契約等は有資格者である不動産業者が行うのであれば、ブローカーが活躍することに問題はありません。

ただし、資格や免許を持たないままで不動産取引を行うと、宅地建物取引業法違反に問われます。

不動産ブローカーの収入事情

収入

宅地建物取引業法の資格を持たない不動産ブローカー。実際の収入はどのように得ているのでしょうか。

不動産ブローカーの収入事情について紹介します。

不動産ブローカーが収入を得る方法

無資格の不動産ブローカーは不動産の売買契約はできません。

その場合、情報を紹介した不動産業者が顧客から受け取る仲介手数料をもらうという形で収入を得ることになるでしょう。

報酬として受け取る金額は決まっていませんが、不動産会社が得る仲介手数料の「10~50%程度」が相場とされています。

宅地建物取引業法では不動産業者が得られる仲介手数料が厳格に決められており、具体的には以下のとおりです。

取引物件価格(税抜) 仲介手数料の上限
400万円超 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税
200万円~400万円以下 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税
200万円以下 取引物件価格(税抜)×5%+消費税

4,000万円の物件を売買した場合、不動産業者が顧客から受け取る仲介手数料は「4,000万円×3%+6万円=126万円+税」です。

そのうち10%を不動産ブローカーが得ると仮定すると、収入は約12万6,000円ということになります。

不動産ブローカーの年収は実力次第で大きく変わる

ブローカーは会社に所属して固定給を得ているわけではありません。

「優良な物件情報を仕入れられる人脈・営業力」がものをいう世界であり、基本的に完全な歩合制です。

具体的な年収はブローカーの能力次第であり、まったく物件を紹介できなければ年収は0円のまま変わりません。

よって、不動産ブローカーの収入は「紹介できた件数」「受け取れる手数料の割合」で大きく変わります。

安定的に成約件数を伸ばすことができれば、年収で数千万円以上を獲得することも可能でしょう。

会社員としての安定がないハイリスクな業種である一方、営業力次第ではハイリターンを期待することもできます。

不動産ブローカーとして働くメリット・デメリット

メリット・デメリット

不動産仲介業者ではなく、不動産ブローカーとして働くことにはメリットもデメリットもあることを知っておきましょう。

メリット

不動産ブローカーになる第一のメリットは「元手がなく始められること」です。

不動産会社として独立開業するためには宅建協会への入会金を始め、数百万円単位でお金が必要になります。

不動産ブローカーは個人が独自で情報を仕入れて仕事にするため、資金がなくても始めることができます。

また、能力次第では報酬が高額になり、年収が青天井というのもメリットでしょう。

デメリット

不動産ブローカーのデメリットは「収入の安定性が全くないこと」です。

まず、収入源が「不動産の情報」であり、ほかのブローカーを出し抜くには独自の情報網や人脈を駆使する必要があります。

良質な情報を獲得できないと紹介相手が見つからず、収入を獲得することはできません。

会社に所属しているわけでもないため固定給は発生せず、収入は完全な出来高制です。

取引に失敗すれば収入がゼロであり、生活もままならないでしょう。

知識とスキルがあるブローカーが時間と労力をかけたとしても案件が契約に至るかは不透明であり、生業にするにはリスクが大きな仕事です。

不動産ブローカーによる被害事件もある

後悔

不動産に関する免許がなくても始められてしまう不動産ブローカー。

知識も経験もないブローカーや悪徳なブローカーがいるとしても不思議ではありません。

正規の不動産業者になりすまし、売却の仲介を申し出た後、勝手に移転登記をして逃げてしまう「地面師」による被害は実際に起きています。

参考:朝日新聞|地面師グループか、4人を再逮捕 都内の地主になりすまし土地売却

顧客から見れば、不動産ブローカーとトラブルになった際の保証がされない点に問題があります。

正規の不動産業者は保証協会に加入しており、業者が倒産するなどしても顧客の手付金などは保証協会が一定額を弁済してくれます。

一方、不動産ブローカーは保証協会に加入していないため、万が一の事態が起きると弁済されることがありません。

このような背景もあり、顧客にブローカーである自分を信頼してもらうには知識と経験を磨き、信頼を獲得することが不可欠です。

まとめ

本記事では不動産ブローカーの実態について紹介しました。

不動産ブローカーは宅地建物取引業法や宅建士の免許を持たずに不動産仲介を行う業者のことで、仲介手数料の一部を受け取る形で収入を獲得します。

ただし、会社と違って完全な歩合制であり、高年収も可能な一方で商談が成功しないと全くの無収入です。

人脈と信用が第一の仕事であり、生業にするにはリスクが高いことを覚えておきましょう。

この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。