【2026年確定申告に備える】住宅ローン控除とふるさと納税で「損する顧客」を救う!- アフターサービスで顧客継続を実現 –
投稿日 : 2025年10月20日

住宅の引き渡しを終えたお客様にとって、最初の年末は不安と疑問が最も高まる時期です。特に「住宅ローン控除」と「ふるさと納税」の併用は複雑で、「損をするのでは?」という漠然とした不安を抱えています。この漠然とした不安を解消し、お客様の信頼を決定づけるのが、10月から12月にかけての積極的なアフターサービスです。
本記事では、まず令和7年度の住宅ローン控除の最新情報を新築・中古の区分、優遇策を含めて徹底解説します。その上で、多くのお客様が陥る「控除ロス」がなぜ発生するのか、そのメカニズムと回避策を詳細に解説します。
10月以降、残高証明書が届き始めるタイミングを逃さず、適切な情報を提供することで、お客様との関係性を強化し、顧客継続や新たな紹介獲得の基盤を築きましょう。
Table of Contents
令和7年度 住宅ローン控除をおさらい

住宅ローン控除とは
住宅ローンを利用して住宅の新築・取得または増改築をした場合、最大13年間、各年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税額等から控除する制度です。
所得税から控除しきれない場合、翌年の住民税(上限9.75万円)から控除されます。
所得税から控除しきれない場合、翌年の住民税(上限9.75万円)から控除されます。
新築住宅・買取再販住宅の借入限度額
住宅の性能 | 借入限度額 | |
---|---|---|
子育て世帯・若者夫婦世帯 | その他の世帯 | |
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 |
その他の住宅 | 0円(対象外) |
2024年以降に新築の建築確認を受けた「その他の住宅」は対象外!
※2023年末までに建築確認を受けた住宅に2024〜2025年に入居する場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年間
※2023年末までに建築確認を受けた住宅に2024〜2025年に入居する場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年間
借入限度額
住宅ローン減税の対象となるローンの年末残高の上限のこと
子育て世帯・若者夫婦世帯
①19歳未満の扶養親族を有する者
②40歳未満で配偶者を有する者、または40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者
(入居した年の12月31日時点で判定)
②40歳未満で配偶者を有する者、または40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者
(入居した年の12月31日時点で判定)
既存住宅(中古住宅)の借入限度額
住宅の性能 | 借入限度額 |
---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 |
その他の住宅 | 2,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅
日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する住宅
省エネ基準適合住宅
日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅
基本条件(すべて必須)
①本人が住む家であること
投資用や別荘はNG。自分が主に暮らす家が対象
投資用や別荘はNG。自分が主に暮らす家が対象
②床面積が50㎡以上
登記簿面積で測ります(壁の内側の面積)
特例:2025年末までに建築確認を受けた新築で40㎡以上50㎡未満の場合は、所得1,000万円以下なら対象
登記簿面積で測ります(壁の内側の面積)
特例:2025年末までに建築確認を受けた新築で40㎡以上50㎡未満の場合は、所得1,000万円以下なら対象
➂年間所得が2,000万円以下
合計所得金額が基準。給与所得だけなら年収約2,220万円程度まで
床面積40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額1,000万円以下
合計所得金額が基準。給与所得だけなら年収約2,220万円程度まで
床面積40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額1,000万円以下
④引き渡しから6ヶ月以内に入居
家の完成・引き渡しを受けてから半年以内に住み始めること
家の完成・引き渡しを受けてから半年以内に住み始めること
⑤店舗併用の場合は居住部分が半分以上
1階が店舗、2階が住居などの場合に該当
1階が店舗、2階が住居などの場合に該当
⑥ローン返済期間が10年以上
金融機関からの借入期間が10年未満は対象外
金融機関からの借入期間が10年未満は対象外
中古住宅(既存住宅)の追加条件
以下のいずれか1つを満たせばOK
条件1:築年数
1982年1月1日以降に建築された住宅
1982年1月1日以降に建築された住宅
条件2:耐震基準を満たしている証明
取得前2年以内に調査・評価された以下のいずれか
取得前2年以内に調査・評価された以下のいずれか
- 耐震基準適合証明書
- ※家屋の取得日前2年以内に調査が終了したもの
- 建設住宅性能評価書の写し
- ※取得日前2年以内に評価され、耐震等級が等級1、等級2、等級3のいずれか
- 既存住宅売買瑕疵保険付保証明書
- ※取得日前2年以内に契約締結されたもの
買取再販住宅の条件
買取再販住宅
不動産会社がリフォームして販売する中古住宅のこと。
買取再販住宅の条件
すべての条件を満たす必要があります。
- 購入元:宅地建物取引業者(不動産会社)から購入
- 保有期間:業者の取得から再販まで2年以内
- 築年数:取得時点で新築から10年超経過
- リフォーム費用:建物価格の20%以上
- ※リフォーム総額が300万円超なら300万円以上でOK
買取再販住宅のリフォーム工事要件
以下のいずれかのパターンを満たすこと。
パターン1:工事①~⑥のいずれかを実施し、合計100万円超
パターン2:工事④~⑥のいずれかを実施し、50万円超
パターン3:工事⑦を実施し、50万円超
(※工事①~⑦は「対象となる工事の詳細」をご確認ください。)
増改築等(リフォーム)の条件
■工事費用の要件
- 増改築等の工事に要した費用の額が100万円超であること
■証明書の必要性
- 増改築等工事証明書により証明されたものであること
※ただし、工事①(増築・改築・大規模修繕等)の場合は、確認済証の写しまたは検査済証の写しでも可
一定の増改築等工事を実施した場合の住宅ローン減税の適用は、借入限度額2,000万円・控除期間10年間・控除率0.7%になります。
対象となる工事の詳細 | ||
---|---|---|
番号 | 工事の種類 | 主な内容・例 |
① | 増築・改築・大規模修繕・大規模模様替 | 建物全体の構造や間取りを変えるような大規模リフォーム |
② | (マンション)主要構造部分の修繕・模様替 | 床・階段・間仕切壁・主要構造部の過半を直す工事 |
➂ | 居室などの床や壁の全面修繕 | 居室・キッチン・浴室・トイレ・洗面所・納戸・玄関・廊下などの床または壁を全面的に改修 |
④ | 耐震改修工事 | 建物を一定の耐震基準に適合させるための補強工事 |
⑤ | バリアフリー改修工事 | 高齢者や障害のある方が安全・快適に暮らせるようにする改修(例:手すり設置、段差解消、出入口拡幅など) |
⑥ | 省エネ改修工事 | 断熱性能や遮熱性能を高めるリフォーム(例:窓交換、断熱材追加など) |
⑦ | 配管・防水などの修繕(瑕疵保険付き) | 給水管・排水管・雨漏り防止部分などを修繕する工事 |
┃バリアフリー改修の具体例
- 車いすで移動するための通路・出入口の拡幅
- 階段の勾配を緩やかにする
- 一定の浴室の改良
- 一定の便所の改良
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 一定の出入口の戸の改良
- 滑りにくい床材料への取り替え
┃省エネ改修の具体例
改修部位の省エネ性能が平成28年基準以上となる工事で、以下の1)または1)と併せて行う2)〜4)の工事。
改修部位の省エネ性能が平成28年基準以上となる工事で、以下の1)または1)と併せて行う2)〜4)の工事。
1)窓の改修(必須)
- 全ての居室の全ての窓の断熱性を高める工事または日射遮蔽性を高める工事
- 改修後の住宅全体の省エネ性能が確保される場合に限り、居室の窓の断熱性を高める工事または日射遮蔽性を高める工事
2)~4)併せて行う工事(任意)
- 2)天井及び屋根の断熱改修
- 3)壁の断熱改修
- 4)床の断熱改修
※地域区分毎に要件が異なります。
住宅ローン控除とふるさと納税の「落とし穴」

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とふるさと納税は、どちらも家計に大きなメリットがあります。しかし、併用の手続き方法によっては控除額が減ってしまう「落とし穴」があります。
最大限の恩恵を受けるにはどうしたらよいか、それぞれの仕組みと損が生まれるメカニズムを理解しておきましょう。
ふるさと納税の仕組み
- 自己負担額2,000円で、出身地や応援したい自治体に寄附できる制度
- 寄附額(2,000円を除く)が翌年の所得税と住民税から控除・還付される
控除手続きと税金への影響
ふるさと納税の控除を受ける方法は主に2つです。
住宅ローン控除との併用時に注意すべきポイントは、控除がどこから引かれるかです。
住宅ローン控除との併用時に注意すべきポイントは、控除がどこから引かれるかです。
(1)ワンストップ特例制度
- 給与所得者で、寄附先が5団体以内の場合に利用可能
- 控除は全額住民税から行われる
- 所得税に影響しないため、住宅ローン控除の「損」が発生するリスクは低い
(2)確定申告を行う場合
- 寄附先が6団体以上、または住宅ローン控除初年度、医療費控除などの理由で確定申告が必要な場合
- 控除は所得税からの還付+住民税からの控除に分かれる
- ここで「控除ロス」が発生する可能性がある
「損」が生まれるメカニズム
控除の順番(確定申告の場合)
- 所得税からふるさと納税の控除を差し引く
- 所得税から住宅ローン控除を差し引く
- 所得税で控除しきれなかった住宅ローン控除の残りを住民税から控除
- 住民税には上限あり(課税所得の5%、上限9.75万円)
- 住民税からふるさと納税の控除を差し引く
損が発生する流れ
- 所得税がふるさと納税分で減る
- 住宅ローン控除が所得税から引ききれなくなる
- 住宅ローン控除の残額を住民税から控除しようとするが、上限に達し一部控除されない
- 結果、控除額が減ってしまう(ロス)
「落とし穴」を避ける対策
- 住宅ローン控除2年目以降はワンストップ特例制度を利用
- 控除は住民税からのみ
- 所得税に影響せず、住宅ローン控除のロスを防げる
- 初年度(確定申告必須の年)は寄附額を控えめに
- ワンストップ特例制度が使えないため、控除ロスの可能性が高い
- 寄附額はシミュレーターで確認してから行うのが安全
※「損」は通常数千円程度ですが、制度の恩恵を最大限受けるためには手続きの選択が重要です。
アフターサービスで「顧客継続」を実現する
住宅を販売したお客様の多くは、初めての確定申告や年末調整を迎える際に不安を感じています。特に住宅ローン控除とふるさと納税を併用している場合は、「損していないか」を気にされる方も少なくありません。
一般的に住宅ローンの残高証明書は10月頃から発送が開始されます。「残高証明書が届くこの時期に、来年の確定申告に備えましょう」とアナウンスすることで、お客様の不安を取り除き、お客様との関係性を強化する絶好の機会となります。
10月〜12月:お客様に伝えるべき「3つのステップ」
お客様へ送付するメールや資料には、下記の3つのステップを含めることで、この時期にすべきことが明確になり、お客様の行動を促すことができます。
タイミング | お客様へのメッセージと行動 |
---|---|
10月 | 【年末調整・確定申告の準備】 税務署から「住宅借入金等特別控除証明書(控除証明書)」が送付されます。失くさずに保管するようお伝えください。この証明書と金融機関の残高証明書が、年末調整や確定申告に必須です。 |
11月上旬 | 【年末調整】 会社から年末調整の書類が配られ始めたら、「控除証明書」を提出するようにお伝えください。(初年度を除く) |
11月下旬〜12月 | 【ふるさと納税の駆け込み】 初めての確定申告(住宅ローン控除1年目)は、「控除ロス」の落とし穴に最もハマりやすい年です。寄附額を再確認し、安全策をとるよう強くお伝えください。 |
「一歩踏み込んだ」住宅ローン控除に関するアドバイス
確定申告や年末調整の時期が近づくとよくあるお客様からの質問とその回答例をまとめておきましょう。
「住宅控除証明書を失くしてしまいました…」
➡お客様の管轄の税務署へ再交付申請が必要です。再発行には時間がかかるため、早めの行動を促しましょう。
➡お客様の管轄の税務署へ再交付申請が必要です。再発行には時間がかかるため、早めの行動を促しましょう。
「控除期間が終わった後も年末調整は必要ですか?」
➡控除期間が終われば、年末調整で控除の申告は不要です。ただし、金融機関から届く残高証明書は、住宅ローンを借りている限り毎年届くため、誤って申告しないようお伝えください。
➡控除期間が終われば、年末調整で控除の申告は不要です。ただし、金融機関から届く残高証明書は、住宅ローンを借りている限り毎年届くため、誤って申告しないようお伝えください。
「住宅の取得に関するローン減税とリフォームに関するローン減税を同時に適用することは?」
➡同時に適用することは出来ます。各年の控除の上限額は、取得、リフォームそれぞれのローン減税の控除できる上限額のどちらか多い方となることをお伝えください。
➡同時に適用することは出来ます。各年の控除の上限額は、取得、リフォームそれぞれのローン減税の控除できる上限額のどちらか多い方となることをお伝えください。
「一歩踏み込んだ」住宅ローン控除1年目のふるさと納税に関するアドバイス
初年度のお客様は、必ず確定申告が必要です。そのため、ふるさと納税の控除が「所得税からの還付」に回り、住宅ローン控除のメリットを最大限受けられなくなる「控除ロス」が発生する可能性があります。
最大限の恩恵を受けるために、以下の点を必ずお客様にお伝えください。
ふるさと納税の注意点
1.寄附は「控えめ」を推奨
- 初年度(確定申告必須の年)は、控除ロスの可能性が高いため、寄附額はシミュレーターで算出された上限額よりも控えめに行う安全策をおすすめしてください。
- お客様の所得額や住宅ローン残高によってロス額は異なりますが、「シミュレーション結果の8割程度を目安に寄附を抑える」など、具体的なアドバイスも有効です。
2.ワンストップ特例制度は「利用しない」
- 住宅ローン控除の初年度は、ワンストップ特例制度を利用できません。仮に利用しても、後で行う確定申告でワンストップの申請は無効になります。
- 「確定申告をするなら、ふるさと納税の寄附金もすべて確定申告書に含めて手続きが必要」であることを明確にお伝えください。この手続きを忘れると、寄附金の控除が受けられなくなってしまいます。
どうなる?2026年の住宅ローン控除
2025年8月26日に国土交通省から「令和8年度税制改正要望事項」が公表されました。要望書には住宅ローン減税や固定資産税の軽減措置、認定長期優良住宅の減税など、住宅取得者の金銭的負担を直接軽減する施策についての方針がまとめられています。
詳しくは下記の記事で解説しています。
まとめ
メールマガジンやお客様専用LINEでの定期配信、場合によってはチャットボットによる質問受付を組み合わせれば、手間を削減しながら継続的な顧客サポートを実現できます。
きめ細かい住宅ローン免除・ふるさと納税サポートは、お客様の満足感を高める最高の顧客体験です。良い経験をしたお客様はリピートやご紹介につながるため、10ヶ月からの対応が今後の顧客継続や新たな紹介獲得の基盤になることを期待しています。
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