注文住宅を建てる流れとは?お客様に選ばれる業者になるためのコツもご紹介
注文住宅を手掛ける立場にある住宅事業者のなかには、いかにしてお客様と信頼関係を築けばよいかを知りたいと感じている方もいるでしょう。
注文住宅が完成するまでの流れをご説明し、お客様から選ばれる業者になるためのポイントをご紹介します。
Table of Contents
注文住宅とは
注文住宅は、施主の希望する間取りや設備を反映して建てる住宅のことで、分譲住宅(建売住宅)とは対照的な住宅に該当します。注文住宅の場合、設計をハウスメーカーや不動産会社、施工を施工会社に依頼して建てるのが一般的です。
土地探しをするところから施主が行うため、家づくりのための準備に時間や手間が掛かりますが、その分満足度の高い理想の家に仕上げられるのは、注文住宅ならではのメリットです。
なお、注文住宅は、施主が一から設計に関与するフルオーダー住宅、ある程度間取りや設備が規格化されているセミオーダー住宅に分類されます。
当初はフルオーダー住宅を希望していた人にも、実際に家を建てる段階になって費用面等からセミオーダー住宅を選択する人が多い傾向がみられます。
注文住宅にお客様が求めるもの
注文住宅を提供する立場にある住宅事業者は、注文住宅に対してどんなことをお客様が求めるのかを把握しておくことが大切です。建売住宅ではなく注文住宅を選択するお客様は、家づくりに対する熱い思いを持っている方が中心です。
長年描いていたマイホームの夢をやっと叶えることができるという希望に満ちた状態で注文住宅を建てようとする方がほとんどのため、住宅事業者側にはお客様の熱意にしっかり応えるべく真摯に対応する姿勢が求められます。
長く安心して暮らせる家にしたいという願いは、注文住宅を建てるお客様が共通して持っている思いです。
従来暮らしていた家で不便に感じていた点を解消し、快適に暮らせる環境を手に入れたいと考えているお客様もいます。建売住宅では、料理をするためのキッチンが狭いという不満を抱いている人が少なくありません。
注文住宅に対して、ゆとりのあるキッチン設計を求めるお客様が多いという点は、しっかり認識しておくようにしましょう。
住宅を提供する企業側は、個々の住宅に応じて、アイランドキッチンやペニンシュラキッチンといった人気のキッチンのスタイルを柔軟に提案できる力が必要となります。
注文住宅が出来上がるまでの流れ・期間
次に、注文住宅が出来上がるまでの流れや期間についてご紹介しましょう。注文住宅を建てるまでの目安の期間に関しては、8〜15ヶ月が必要とされています。注文住宅を建てる流れについても段階を追って解説しますので、どのようにして完成するかに対する理解を深めてください。各段階において、住宅事業者側が配慮したいポイントにも言及します。
情報収集と予算の決定
注文住宅を建てる最初の段階で行うのが、情報収集と予算の決定です。
初期段階の期間の目安は、およそ1~3カ月となっています。どのような家で暮らしたいのかという希望を具体化し、ある程度イメージが固まった上で、情報収集を行うのが一般的です。
家づくりに関する情報収集をするなかでハウスメーカーが発信する情報に触れるお客様も少なくないため、注文住宅に対する情報を分かりやすく伝えるサイトがあると、お客様の目に留まりやすくなります。
初期段階においては、どのような資金計画であれば無理なく返済できるかを考えて、予算を決めることも大事なポイントです。最近は、ハウスメーカーが提供する住宅ローンのシミュレーションのサイトを利用して予算を考えるお客様もいるため、シミュレーションができるサービスを提供するのもおすすめです。
ハウスメーカーや工務店選びと土地探し
初期段階で情報収集や予算決めができたら、家づくりに向けた次の段階に入ります。
次の段階では、ハウスメーカーや工務店を選び、土地探しを行って、さらに具体的に家づくりを進めます。この段階の目安の期間は、3~12カ月です。
既に土地を所有するお客様の場合、土地探しの必要がないため、比較的期間が短くて済む傾向がみられます。一から業者選びや土地探しをするお客様には、予算やニーズに合わせて選ぶのに難航してしまい、1年近い期間を要することもあります。
ハウスメーカーや工務店を選ぶ際には、インターネットで収集した情報をもとに資料請求をして、資料や住宅カタログを比較検討して候補を絞る方法を取るお客様が多いです。
また、各ハウスメーカーが実際にどのような住宅を建てているかを体感するために、住宅展示場やモデルハウスに足を運ぶお客様も少なくありません。現地でのスタッフの対応によっても、ハウスメーカーの印象が大きく変わってきます。
最終的にお客様に選んでもらえるハウスメーカーになるためには、信頼関係が築ける企業であることをこの段階でお客様にきちんと感じ取ってもらうことが重要です。
また、土地探しにおいても、ハウスメーカーの果たす役割は大きいものです。地元の不動産会社と連携を取って土地に関する情報を入手しておくと、お客様に対して注文住宅に適した土地を提案できます。自力で土地を探すのは大変だと感じているお客様もいるため、土地に対する提案もできる力をつけることが必要です。
ハウスメーカーの決定とプランニング、住宅ローン仮審査の申し込み
ハウスメーカーの候補が絞れたら、相見積もりを取り、実際に依頼するハウスメーカーを決定して、住宅のプランニングを行います。
この段階の目安期間は、2~3カ月程度です。住宅のプランニングにおいては、フルオーダー住宅とセミオーダー住宅の選択をした上で、プランづくりを進めてゆきます。
完全自由設計のフルオーダー住宅の場合、セミオーダー住宅よりも選択するべきことが多いため、プランニングに時間が掛かる傾向が強いです。
住宅プランニングをするのと同じぐらいのタイミングで、住宅ローンの仮審査の申し込みを済ませることも重要なポイントです。注文住宅では、住宅の完成前に土地購入や着工金の支払いに対応できる「つなぎ融資」を利用するのが一般的です。
つなぎ融資の利用には、住宅ローンの仮審査の承認が必要となります。ハウスメーカーの提示した額をもとにしてお客様が金融機関に申請を行うため、お客様が快適に申請をできるように、余裕を持って早めに仮見積もりを提示するようにしましょう。
ハウスメーカーとの本契約、住宅ローン本審査の申し込み
住宅ローンの仮審査とつなぎ融資の審査に承認が下りれば、いよいよハウスメーカーとの本契約をする流れになります。
この段階に必要な期間の目安は、およそ1カ月です。工事請負契約書を締結する時点では、お客様から費用の一部として契約金を受け取ります。
注文住宅の支払いは、4段階に分けて支払いを行うのが一般的です。契約締結時の契約金として10%、施工開始時の着工金として30%、上棟時の中間金として30%、最終的な住宅の引渡時に30%を支払うケースが多いです。
また、本契約をしたタイミングで、住宅ローン本審査の申し込みを行います。基本的には仮審査の審査に通っている場合、本審査も問題なく通過できるケースがほとんどです。
建築工事・引き渡し
本契約が締結されたら、注文住宅の建築工事を施工する最終段階に入ります。
着工の際には、地鎮祭や棟上げ式を行うこともあります。地域によって慣習が異なるため、エリアごとの特性を理解しておくことが望ましいでしょう。工事期間の目安は、およそ3〜6ヶ月です。
木造や鉄骨造の場合2カ月程度で完成することもありますが、RC造であれば最短でも4カ月以上が必要です。なお、この期間はあくまでも目安であり、敷地が広い住宅や複雑な工法を用いた住宅の場合、さらに工期が長くなるケースもみられます。
竣工後は、丁寧に竣工検査を行った上で、問題がなければお客様に住宅を引き渡します。竣工から引き渡しまでの目安期間は、10~14日程度が目安です。
注文住宅にかかる費用
注文住宅にかかる費用の平均的な価格は、全国的には約3,532万円です。
平均的な床面積にあたる100㎡~120㎡程度の注文住宅の建築費用としては、2,000万円台から3,000万円台が一般的です。
設計の自由度が魅力の注文住宅は、相場よりも安い住宅もあれば、相場よりも高い住宅もあるのが特徴です。1,000万円台の低予算で建てられる注文住宅は、ローコスト住宅とも呼ばれます。
なお、首都圏や近畿圏、東海圏では、全国平均よりも相場が高くなる傾向がみられます。2020年度の平均建築費(土地代を除く)を下記で紹介しますので、参考にしてください。
- 全国:約3,532万円
- 首都圏:約3,808万円
- 近畿圏:約3,740万円
- 東海圏:約3,604万円
- そのほかの地域:約3,354万円
選ばれるハウスメーカーになるためのチェックポイント
つづいて、注文住宅の特性を踏まえた上で選ばれるハウスメーカーになるためのチェックポイントをお伝えしましょう。数あるハウスメーカーの中からお客様に喜んで自社を選んでもらう上で必要なことを知り、ハウスメーカーとしての実績を積み上げてください。
お客様に最初にアプローチしてもらえるハウスメーカーを目指す
注文住宅を建てるお客様が実際に利用するハウスメーカーを決める際には、最初にアプローチをしたハウスメーカーを選択するというお客様が多いものです。
複数のハウスメーカーを比較検討するなかで、最初に相談をしてみたいと感じてもらえるような魅力と親しみやすさを備えていることが重要と言えるでしょう
。数社見積もりを取っても、結局は最初に相談した会社が良かったと感じるお客様が大多数であるという事実をしっかり受け止めておいてください。
魅力的な住宅展示場づくりを心掛ける
お客様に選ばれるハウスメーカーになるには、住宅展示場の在り方を見直すことも大切です。
住宅展示場やモデルハウスをご覧になるお客様は、実際に自分が暮らしている様子を想像しやすい家に興味を示すものです。
家をより魅力的に魅せるためのインテリアを考えて、住み心地の良さを体感してもらえる住宅展示場づくりをしましょう。
SNSを効果的に利用する
SNSを効果的に利用することも、ハウスメーカーとして支持される上で大切なポイントとなります。
スマートフォンがますます身近なものとなる時代にあって、InstagramやX(旧Twitter)といったSNSを情報収集の手段としても活用するお客様が増えています。
SNSを通して情報発信をすることで、お客様に企業を認識してもらい、家づくりのサービスに対する関心を持ってもらえる工夫をするようにしてください。
まとめ
注文住宅とは、分譲住宅とは異なり、施主の希望を反映させて建てることができる住宅を指します。
注文住宅を建てるお客様は、家づくりに対して熱い情熱を注いでいる方が多いため、ハウスメーカー側にはお客様のニーズをしっかり汲み取って、住宅プランとして提案する力が求められます。
注文住宅を建てる流れや各段階におけるお客様へのアプローチポイントを知り、ハウスメーカーとしての信頼を勝ち取れるようにしましょう。