登壇者
尾崎 琢哉 氏 株式会社不二興産 取締役/戦略企画室室長
加藤 真裕美 氏 株式会社みらいアセット 鑑定部部長
高 将司 氏 株式会社LEVECHY 代表取締役
【クラファン特集】ビジネスマッチング部会
が、2024年12月12日に一般社団法人 不動産テック協会主催にて開催されました。
インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集め、不動産事業に投資する仕組みの不動産クラウドファンディング。比較的新しい投資形態で、2017年に「不動産特定共同事業法」が改正されたことにより、2018年頃から徐々に一般投資家にも認知され、投資環境が整備されてきています。
不動産クラウドファンディングは今、急速に成長しており投資家にとって魅力的な選択肢のひとつとなっています。
今回はマーケット拡大に貢献する3社が登壇し、不動産クラウドファンディングの魅力をお話しされました。
不動産テック協会とは
不動産とテクノロジーの融合を促進し、不動産業界の健全な発展と公共福祉の増進に貢献することを目的として、不動産テック業務に関する調査・研究や情報発信、ルールの確立、ビジネス機会を創出するイベントの開催など、さまざまな事業を行っている協会です。
2018年の発足以降、不動産テックカオスマップの公開や様々な情報発信を精力的に行っています。
不動産クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集め、不動産事業に投資する仕組みのことです。一般的に一口1万円から投資ができるため、初心者でも始めやすいことが大きな特徴です。
専門家が不動産を選定・運用をし、投資家は出資額に応じて、賃料収入や売却益などの収益を分配されます。不動産特定共同事業法(以下、不特法)に基づく規制があり、投資家保護の仕組みも整っているので株や債券とは異なるリスク特性を持つ不動産クラウドファンディングは分散投資の選択肢としても注目されています。
不動産投資をたくさんの人に経験してもらいたい
株式会社 不二興産
登壇者
尾崎 琢哉 氏 株式会社不二興産 取締役/戦略企画室室長
名古屋に本拠地を構える不二興産は、収益不動産再生事業、不動産コンサルティング事業、不動産管理事業、不動産クラウドファンディングなどの事業を行っています。
なかでも不動産クラウドファンディング事業では「すべての人に不動産投資機会を」をミッションに掲げ、2022年から「不動産小口化商品・SOLS/ソルス」の販売を開始。登録から投資まですべてネットで完結する投資サービスですべての人に不動産投資機会を提供しています。
3つのハードル
不動産投資は多大な資金と手間が必要で、不動産投資を行っている人は人口のわずか数%しかいないとされています。
■不動産投資3つのハードル
- 資金面のハードル
- 不動産投資は物件購入に多額の資金が必要となります。
- 専門性のハードル
- 不動産投資には専門的な知識が必要で、仕組みやリスク、対策などを理解する複雑な知識が必要です。
- 専時間と労力のハードル
- 物件探しや融資手続き、管理など多くの手間がかかります。
2017年の不動産特定共同事業法が改定において小規模不動産特定共同事業が創設され、参入ハードルが低くなりました。
不動産特定共同事業とは
複数の投資家から資金を集め、不動産の売買や賃貸を行い、その収益を投資家に分配する事業のこと。
事業の適正な運営と投資家保護を目的とした不動産特定共同事業法(不特法)により、事業者は大臣許可については国土交通大臣及び金融庁長官、知事許可については都道府県知事より許可が必要となります。
※許可制度の詳細は国土交通省サイトをご確認ください。
事業者の分類 |
第1号事業者 |
不動産特定共同事業契約に基づく利益分配 |
資本金1億円以上 |
第2号事業者 |
契約締結の代理・媒介 |
資本金1,000万円以上 |
第3号事業者 |
特例事業者からの委託業務 |
資本金5,000万円以上 |
第4号事業者 |
特例事業者の契約締結代理・媒介 |
資本金1,000万円以上 |
尾崎氏:
「すべての人に不動産の投資機会を」というコンセプトでSOLSという商品を展開しています。
不動産の買取再販事業をしていると不動産投資となると「ハードルが高くてなかなか出来ないよ」という声をよく聞きます。
不動産特定共同事業法を用いることによって、
- 資金面のハードルを下げる
- 専門性のハードルを下げる
- 時間と労力のハードルを下げる
不動産投資を検討するきっかけを育てて、新しい資産形成の選択肢としてもらえたらと思っています。なかなか不動産投資の機会がない方々に、SOLSを通じてその機会を提供していきたいです。
3つのSOLS
SOLSに関しては大きく3つの商品を提供しています。特徴の違う3つの商品を提供することで、他種多様な投資嗜好に合うようサービスを設計しています。様々な手法の資金調達を叶えていただけます。
■ SOLS (匿名組合形式)
購入に多額の資金が必要な優良不動産を小口化した、少額・短期間・ローリスクではじめられる初心者に優しい不動産投資商品です。
買取再販事業で購入する収益不動産や弊社保有のグループホームを活用し、地域を盛り上げながら会員様に投資機会を提供しています。
- 短期運用
- 想定利回り5%前後
- 現在9ファンド(総額5億2,260万円調達完了)
■ SOLS α (任意組合形式)
通常多額な資金が必要な不動産を小口化し、小口化された不動産の共有持分を購入。通常の不動産投資と同様に賃料収入等の利益が得られる投資商品です。
現物不動産投資と同じ税制が適応される任意組合形式で、より現物不動産投資に近いかたちのクラウドファンディングを会員さまに体験いただいております。
- 長期運用
- 現物不動産投資に近い
- 現在1ファンド(総額3,000万円調達完了)
■ SOLS WALLET (出入れ自由形式)
好きな時に資金の出し入れができる新しいかたちの不動産クラウドファンディングです。
不動産特定共同事業 匿名組合型の「対象不動産組み換え型」の許認可を取得し、運用期間に縛られない自由な不動産クラウドファンディングを実現しました。
現時点で、弊社ともう1社のみが実現できているスキームです。
- 運用期間自由
- 想定利回り2.5%
- 累計投資総額 ¥380,850,000 (2024/12/17 時点)
尾崎氏:
今後の展開としては、だいたい10億くらいの規模のものを1号として、2・3号と数を増やしていきたいと思っています。まだ、対象になる組み入れする物件の仕込みが十分にできていないので、今後、仕入れた物件に関してはSOLS WALLET で運用を開始していきたいと考えております。
鑑定評価の取得など要件が入ってくるので手間やコストがかかるファンドですが、もし今後、対象物件組み換え型のファンドを考えている事業者さまがいらっしゃれば、ぜひお声かけください。
地域を元気にし資産を大切につないでいく
株式会社みらいアセット
登壇者
加藤 真裕美 氏 株式会社みらいアセット 鑑定部部長
もともとは経営コンサルタントの会社が母体となっており、経営コンサルタント事業のなかで不動産を取り扱う機会が増えてきたことを機に不動産購入・売却、不動産賃貸、賃貸経営・賃貸管理、不動産小口化商品といった不動産サービスを中心とした事業を展開しています。
グループの経営理念として「人の心を大事にし、未来に良いことを作る・繋ぐ」、事業ミッションとして「人と企業の未来を幸せにする」を掲げ、みんなでつくる参加型不動産クラウドファンディング「みらファン」を運営しています。
「みらファン」2つのコンセプト
■コンセプト1 「中小企業の活動を不動産通して応援する」
その地域に関わる人にとっても都市で生活する人や企業にとっても、地方の企業活動は重要な役割を果たしています。そんな地方の活動を元気にすることは日本全体の経済活動にとってとても重要なことだといえます。
【地方×不動産×クラウドファンディングは相性が◎】
- 不動産を通じて資金を集めることができる
- 事業性のある不動産を収益化していく
- 賃料が伸びない地方の不動産を、事業を通してフォーカスさせる!
■コンセプト2 「個人投資家が成長できるファンドを目指す」
日本人は投資嫌いでお金の教育が遅れていると言われています。資産形成の手段が銀行預金や保険に集中し、実質的に資産を増やす手段が労働対価を得ることという方がほとんどです。
また、みらファンの投資家の8割が男性で、そのうち8割が関東圏という構成比率。都市と地方、男女においてもまだまだ投資の情報や機会に格差があるのではと、我々は考えています。
【不特法クラウドファンディングが初心者に向いている理由】
- 投資対象が明確でシンプル
- 少額から投資ができる
- 投資開始までの手続きがインターネットで簡単にできる
不動産特定共同事業法(不特法)に基づく不動産クラウドファンディングは、不動産投資の感覚をつかむための入門として適しています。
投資の楽しさや本質、リスクがどういうものか等を不動産クラウドファンディングを通して投資家の皆さまにも勉強し、知っていただきたいと思い、商品を作っています。
加藤氏:
不動産を使う人、企業に合ったスキームで柔軟性のある面白いファイナンスとして「みらファン」を提供していきたいと思っています。高配当追求型投資ファンド、株式等の金融商品とは違ったファイナンス機能としての商品提供によりファンド自体の安全性も確保できると思っています。
また、いろいろなスキームを駆使して、不動産の利用者と投資家の双方に寄り添った設計ができるところが不動産クラファンの面白いところだと思っています。不動産クラファンのよい所を活かして、不動産の利用者に寄り添い、投資家の皆様が分りやすく分りやすく投資を楽しめるような商品を設計していければと思っています。
「みらファン」のみらい
地方で活動する企業や人の活動を応援する、人を繋ぐ機能となりたい。
「みらファン」では不動産クラファンをそして投資を面白いと思ってもらえるように、
- YouTubeなどを活用した情報発信
- 面白いファンド作り
を行っていいます。
【「みらファン」の面白いファンド事例】
■地方創生「みらファン」第9号
地方の企業がもっていた不動産を預りテコ入れをして収益性を上げられるようにし、リリースしました。
■コンテナホテルとコラボレーション「みらファン」第11・12号
“コンテナホテルで地方に人を呼ぶ”という地方の需要創出やBCP対策を行うコンテナホテル事業を運営している企業さまとコラボレーションしました。
加藤氏:
「みらファン」はまだ小さいファンドですが、不特法クラウドファンディングの業界はどんどん大きくなり日本経済・世界経済に影響を与えるものになっていくと思っています。
上述のような商品をどんどん発売し、我々もいち事業者としてこの業界が大きくなっていくことに寄与していきたいと思っています。
レベル違いが、世界を変える
株式会社LEVECHY(レベチー)
登壇者
高 将司 氏 株式会社LEVECHY 代表取締役
「金融をみんなに解放し、不動産をみんなに解放する。」
をミッションに、クラウドファンディング事業「LEVECHY」の開発・運営、次世代型オフィス&レジデンスのクリエイト事業「JP-BASE」の開発・運営、オフィス・リーシング、プロパティ・マネジメント、アセット・マネジメント、インベストメント各事業を行うLEVECHY。
2012年にオフィス賃貸仲介会社として創業して以降、”レベル違いなパフォーマンス”でイノベーションを起こし、2024年11月には福岡支社を立ち上げるなど破竹の勢いで金融の民主化を加速させています。
国民全員が投資家になって欲しい!
高氏:
不動産投資を小口化し国民全員が投資家になっていただきたいと思っています。今まで不動産業者やプロ投資家しか投資できなかった領域の民主化を目指す不動産クラウドファンディングのプラットフォーム、それがLEVECHYです。
- オフィス開発によりスタートアップを支援
- 不動産投資を小口化し国民全員投資家へ
- ファンドを通じて地域活性化を加速
新しいビジネスの可能性 をどんどん拡張していきたいと思っています。
2024年の決算で創業からの売上が約100億円に到達するLEVECHY。その成長の裏側には、投資家が安心して投資を検討できるよう、工夫を凝らした商品設計を行っています。
- 厳選された投資案件
- 私たちが目指すのは、単に多くのファンド案件を並べることではありません。
- 質の高い物件を提供するため、それぞれの物件が持つ潜在的価値や市場の動向、そして将来性を綿密に評価しています。
- 総合的な視野での分析
- 市場のトレンドやリスク、エリアの将来性など、多くの要因を考慮し、それぞれの物件が持つポテンシャルを正確に把握するための時間をかけて検討をしています。
- 皆様の信頼を第一に
- LEVECHYで提供されるすべての案件は、投資家の皆様の信頼に応えることに重点をおいています。
(参照元:LEVECHYコラム)
個人で不動産を買おうとすると、多くの方が新築・中古のワンルームマンションを購入したり、J-REITを利用したりすることがほとんどかと思います。新築・中古のワンルームマンションだとおおよそ2-3000万円くらい。J-REITであれば30万円前後くらいで利回りが約3%前後が相場となっています。
LEVECHYは基本的に1億円以上の物件に対して再生事業などを行ったうえで、リターンが6~10%くらいとなるファンドを組成し提供しています。
J-REIT(ジェイリート)とは
投資家から集めた資金で、オフィスビル、商業施設、賃貸マンションなどの不動産に投資し、その賃料収入から得た利益を分配する不動産投資信託のことです。
3号・4号許可事業のスキームだからできる4つの取り組み
LEVECHYは不動産特定共同事業3号・4号事業としての許可を受けています。一般的な不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業1号・2号許可事業で運営しており、まだまだ3号・4号事業の許可を得ている事業者は少ないのが現状です。
3号・4号事業は特例事業として位置づけられ、特定目的会社(SPC)を介したスキームを利用する特例事業スキームが大きな特徴です。
SPCとは
Special Purpose Company(スペシャル・パーパス・カンパニー)の略称で、特定の目的(資産流動化など)のために設立される「特別目的会社」のことをいいます。
不動産クラウドファンディングにおけるSPCでは「特定の不動産を所有・運用するために設立される法人」となります。
LEVECHYにおいてもSPCを活用したスキームを採用し、ファンドごとに運営会社(株式会社LEVECHY)とは別の会社を設立しています。
■LEVECHY4つの取り組み
- 投資家の資産を守る【倒産隔離】
- 運営会社が倒産した場合においても投資家の皆様の資産を保護
- 投資家の未投資資金を守る【信託保全】
- 出資金、分配金及び償還金(未投資資金)を、信託銀行の口座にて信託管理
- レバレッジ効果
- ローンを活用することで、同じ物件の購入‧運用でも分配率が アップ!
- 投資家の元本毀損リスクを低減【優先劣後構造】
- 投資家の皆様の元本毀損リスクを低減するため、優先劣後出資方式を採用
LEVECHYでは、一般の個人投資家の方々と一緒になって不動産ファンドを組成し、魅力的な物件の追求に挑戦しています。
高氏:
実績としては累計応募金額が1年半で160億円の応募がありました。運用資産残高は98億円あり、投資家の数は2万名弱となっています。(※2024年12月上旬時点)
ファンド1号ですと、募集総額6,200万円に対して2787%となる17億2,810万円の応募総額を達成、配当利回りは10%と、当時初号ファンドでは日本一だったのではないかなと思っています。
直近では観光地として注目を集める宮古島に15号ファンドを決めました。リゾート開発の進展に伴い、開発事業者やホテル従業員の賃貸需要がうまれています。
12か月の運用期間を想定し、インカムゲイン(賃料等の収入)に加え、将来の売却によるキャピタルゲイン(売却益)を合わせた運用で、8%の利回り(年利・税引き前)を目指しています。
一般の方々にも魅力的な不動産投資の機会を提供していますので、ぜひ、安定した不動産運用を実現し資産形成や将来の安定を目指していただきたいです。
パネルディスカッション
「SOLS」では、出し入れ自由形式の場合、年1回の配当の直前に申込む人は出てきませんか?
尾崎氏:保有期間の日割りで配当しています。10日間しか保有していないと10日/365日の配当となります。直前に入れたとしても2.5%の配当が確約されるものではありません。
司会:出し入れ自由で解約した時に、元本が戻ってくるとのことですが、この元本はどこから捻出しているのでしょうか?
尾崎氏:投資家さんから集めたお金で物件を買うということを当社はあまりしていないです。既に持っている不動産を対象にそこから出る配当を分配しているので、預かった元本は余剰として用意がある状態となっています。
「SOLS」において、想定利回り2.5%で物件組み換え型となると上場REITと競合しませんか?
尾崎氏:上場REITは投資口の売買に応じて値動きすると思いますが、我々のほうでも2.5%とある程度の余裕を持たせて運用し、配当率は基本的に2.5%を上限としていています。上がることもないのでキャピタルが取れるといった話でもないです。
競合するかといえば、利回りでは競合するかもしれませんが、ボラティリティーのところでは属性がちがうかなと考えています。
「みらファン」の対象物件は主に地方物件になると思いますが、地方物件だとEXITが難しいケースがあるのではないでしょうか?
加藤氏:仕入れの時に、企業さまが保有しているプロがメンテナンスをしていない物件に着目しています。一度EXITしたいといった企業さまからお預かりし、NI(Net Operating Income)を改善させ、利回りをある程度高くしてEXITに持っていくのがひとつのケース。もうひとつは、どんどん拡大していきたい企業さまで自社だけで保有するには重たくなってきたものを「みらファン」で取得させていただき、最終的にはお戻しするというスキームのケース。
地方物件は売れにくいので、EXITを意識して商品組成を行うようにしています。
司会:期間はどれくらいでやっているのですか?
加藤氏:地方物件の場合、3-5年くらいでやりたいのが本音です。再組成を意識して1年くらいでやっているものもあります。
「LEVECHY」の運用資産残高98億円というのは不動産クラファンの中で何位くらいですか?
高氏:何位かっていうのは分からないのですが、3号4号でやっているプレーヤーが少ないのでその中ですと僕らが1位なのかなと思っています。
金利の上昇局面だとクラウドファンディングは相対的に魅力が下がるため、お金が集まりにくくなりますか?
高氏:今くらいであれば問題ないですが、仮に預金で5%つくとなった場合には確かにあるかなと思います。
加藤氏:金利上昇局面が今と捉えるなら、不動産クラファンの利回りは全体的に高いと思っています。一般的な金利構成の考え方からすると上乗せ部分は、集客のためのマーケティング的な要素でもあるのではと思っています。金利上昇についていける商品だとすれば、不動産の利回りもよくなっていくのが通例なので、教科書通りに言えば、それとともに収益性もよくなるはずであるというのが設計している者としての考えのベースになっています。
尾崎氏: SOLS WALLETについては「銀行に預けておくより良いのでは?」という営業の仕方なので、当然、銀行の金利が上がってきた場合には「ここに投資する意味がないのでは?」と思われても仕方ないと思っています。ただ今回組成しているSOLS WALLETという商品は、途中で利回りを3.5%にします!5%できます!という設計ではないので、苦しいかなとは感じています。
新NISAの影響で2024年以降の調達環境に変わりはないですか?
高氏:変わらずですね!
加藤氏:「みらファン」はもともとベースを5.5%位で出したいと思っていたのですが、新NISAだと5%台では株式で負けるかなと考えて、6%ベースに変えました。
尾崎氏:SOLS WALLETの2.5%は変えられないので。通常版SOLS匿名組合型のものは、ここ1年くらい4.5%-4%の利回り感だったのですが、最近利回り高い商品が他社から出て来たので、上げざるを得なくなりました。6%くらいや、ものによっては7%も計画していかないといけないと思っています。集まり具合においても、募集開始数時間で満タンとはいかないので常に苦戦しています!
一般的な個人の方は不動産クラファンと何を比較して不動産クラファンを選ぶのでしょうか?
高氏:不動産クラファンって、まだ認知度がそんなにないじゃないですか。なので、すでに不動産クラファンをやっている人が多いですね。不動産クラファンをすでに投資している人たちが他のサービスをみて投資をしている傾向があるのではと思っています。
加藤氏:まったく同じイメージです!
尾崎氏:投資と比較するとなると、すでにクラファンやられている方が多くて。相性が良いのはポイ活されている方とかはいいですね。1万円から始められるところが多いので、少額から始められるのでハードルは低いと思います。
分配金を自動で再投資するスキームは出来ないのでしょうか?
高氏:物件入替型だったら出来ると思うのですが、物件が決まってコストも決まったうえで集めているので、配当を再運用というのは難しいと思います。
司会:SOLS WALLETはいかがですか?
尾崎氏:検討はしてみました。通常版の匿名組合型で半年とかの期間で終わったものを、新しいファンドが出て来たら投資したいので、一度SOLS WALLETに流しておいて、新しいファンドが出来たら解約するないし再投資する。そういったものが出来ないか?ユーザーにとって良いのでは?と思ったのですが、システムの問題や1回1回ファンドが終わった時の金融関係の縛りについて手に負えるのか?と考えると難しいので今は見送っている状態です。
司会:これが出来るとブレイクスルーになりますね!まだ誰も開発できていないものになります。
各社いろいろなスキームを考えていらっしゃいますが、法的にやりにくい部分や変えたいところはありますか?
高氏:一般の投資家から集めるモデルで不特法の3・4号事業だとリノベーションが不動産価格の10%までしかできません。当社でリノベをするかたちになるので、本当は全額を集めてやりたいという思いがあります。もうひとつは開発です。特定投資家といわれる、ある一定の条件を満たした方々だけのファンドだったら開発から10%を超えるリノベができるんですけど、今はそれができない状態です。なので、1号2号事業者と同じように出来ないか、今、交渉をしているところです。
加藤氏:優先投資家の中でウォーターホールが組めないので。別の投資家に入るのは基本的に事業者だけというのが個人投資家のニーズに添えていない現状があります。
司会:投資家のリスクを総リテイクして別を持ちたいということですか?
加藤氏:そういう方とそうじゃない方がいます。本当は利回りの違いをつけて集められればもう少し集め方がやりやすいなと思うんですけども、差がつけられないのがちょっと。
司会:約款をどうにかすれば出来ないですか?
加藤氏:別のファンドを作るなら設計ができそうかなと思いますが、同じファンドだと難しく。ダメだと言われています。
尾崎氏:法的にといいますか、鑑定評価のところが国交省の考え方と鑑定評価の考え方が違うので、困ったなという問題に陥っております。
司会:管轄は国交省なんですか?
尾崎氏:国交省の管轄は不特法です。不特法自体は「証券化対応の鑑定評価を取得する」とはなっていなかったので、我々としては不動産鑑定評価をとっていこうと準備を進めていたのですが。この半年くらいのタイミングから、証券化対応の鑑定評価じゃないと受けられないと言われて。今更言われても…となっています。
募集金額はすぐに集まるのでしょうか?時間がかかってしまった事例などはあるのでしょうか?
高氏:今回、1つ前のもので24ヶ月6%というものをやったのですが、普段よりも注目度は下がっていました。最後の最後まで時間がかかってしまったというのはあります。僕の肌感覚でいくと12ヶ月から18ヶ月の方が良いんじゃないかなと思っています。
加藤氏:最初の頃は本当によく集まっていたのですが、2024年になってから集まりにくくなっている印象があります。いろいろ試しながら設計していますが、12ヶ月以上だと集まりにくい傾向にあると思います。
尾崎氏:通常の匿名組合型では、相変わらずそんなにすぐには集まらないという状況です。EXIT型の場合、本当は2年とか1年半でやりたいのですが、それだと集まりが悪いので。期間を短くしたり利回りを上げたり、そういった対応をしている状況です。
司会:利回りと期間って大きなファクターだと思うのですが、皆さん利回りより期間って感じですか?
尾崎氏:我々のケースでいうと、期間は1年超えると長いねといわれちゃいますね。
一同:(うなずき)
セカンダリーマーケットについては検討されていますか?
高氏:検討しています。ただ、PTSに触れるかどうか、ずっと言われていますので。ここは今、どうやったら触れないかたちでできるのかというのを模索しています。
加藤氏:「みらファン」はまだ1号だけなので、あまりそこはまだ考えていないです。どちらかというとプラットフォームが出来る方がよいかなと、そこに注目しています。
尾崎氏:セカンダリーマーケットについては面白いと思っていたのですが、見渡してみると結構複雑だったり障壁があったりするので。今じゃないかなと様子をみているような状態です。
司会:PTSの話になると1社でやるのは大変かな?という話になりますよね。協会(不動産クラウドファンディング協会)でやりたいなということも考えています。
募集完了後にクーリングオフ等でキャンセルになった時はどうしているのでしょうか?
尾崎氏:あまりこのケースはないんですけど、その場合は追加募集をかけれる期間があれば追加募集をしたりします。が、それがなければそのままいっちゃうって感じですかね。
加藤氏:「みらファン」も同じですね。
高氏:キャンセルになっても対応できるよう、バッファーを持って募集しています。
まとめ
インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集め、不動産事業に投資する不動産クラウドファンディング。一口1万円からできる少額投資で、初心者向けの投資といえます。
好きな時に資金の出し入れができる新しいかたちの不動産クラファン「SOLS WALLET」。
不動産クラファンを通して地方創生に貢献している「みらファン」。
いちはやく3号・4号事業の許可を取得し、金融の民主化を図る「LEVECHY」。
初心者に分りやすく、学びやすいサービスの提供で投資家を育てながら投資家のニーズに応える多様な商品を提供しています。現時点ではまだ先駆的な投資家だけが利用している不動産クラウドファンディングですが、ご登壇の3社が、これから確実に拡大する市場を牽引していくことでしょう。
関連情報
┃一般社団法人 不動産テック協会
https://retechjapan.org/
┃一般社団法人 不動産クラウドファンディング協会
https://prop-crowdfunding.org/
┃株式会社不二興産
https://fuji-kosan.jp/
┃株式会社みらいアセット
https://miraiasset.jp/
┃株式会社LEVECHY
https://levechy.com/