【紹介営業の基本】不動産営業に重要な「紹介案件」を勝ち取る手段とポイント
ブランド力があり反響を獲得しやすい大企業とは異なり、中小企業で契約を取り続けるには地道な見込み客作りが欠かせません。
そんな不動産営業で見込み客を作る手段の一つに「紹介営業」があります。
紹介営業が上手くいけば、他者のネットワークを活用した見込み客の形成が可能です。
「興味はあるけど難しそう」「やり方がわからない」とお悩みの人に向けて、紹介営業の基本を解説します。
紹介営業とは
紹介営業とは、これまでにご契約いただいたお客さまや友人、知人などへ声をかけて、見込み客を紹介してもらう営業方法です。
自分を第三者へ紹介してもらうためには、紹介者との間で信頼関係を構築する必要があります。特に、不動産の売買や賃貸借は、契約当事者の生活に大きく関わります。取引の担当者として紹介を受けるには、相当の信頼が必要でしょう。
不動産営業にとって、「紹介」が重要なワケ
不動産営業にとって「紹介」が重要な理由は、成約率の高い見込み客を効率良く獲得できるためです。
見込み客を作る方法には、「テレアポ」「ポータルサイトへの広告掲載」「セミナーの開催」など複数の選択肢があります。どの手法で獲得した見込み客も、将来的にご契約いただける可能性を秘めているでしょう。紹介営業もそういった見込み客を作る方法の一つに過ぎません。
ただし、紹介営業には他の手法と異なる点があります。それは「相手から信頼された状態からスタートできる」点です。
例えば、あなたが信頼している知人に「マイホームを購入したい」と相談したとします。相談相手におすすめの営業担当者を紹介されたら、「〇〇さんのおすすめなら信頼できそう」と感じるのではないでしょうか。
紹介営業で出会ったお客さまは、ご成約につながりやすいといわれています。忙しい不動産営業にとって、効率良く契約を獲得するために重要な営業方法です。
あわせて読みたい:不動産営業における紹介のメリットと成約率を上げるコツを解説!
紹介案件にはどのようなものがある?
「紹介案件を獲得するには誰に声をかければよいのか」とお悩みの人もいるでしょう。
ここでは、紹介案件のケース別にメリット・デメリットを解説します。紹介営業を実践する際の参考にしてください。
家族などの身内からの紹介
配偶者や親、祖父母といった身内は、自分を無条件で応援してくれる存在です。休日やお盆・年末年始の親族の集まりなどで相談してみてはいかがでしょうか。
メリット
- 協力してくれる可能性が高い
- 幅広い世代へアプローチできる
大切な家族の頼みであれば、「力になりたい」と協力してくれる可能性が高いでしょう。また、親族の集まりで話題に出せば、祖父母、親、子育て世代など幅広い世代へ紹介営業をかけられます。
一般の人が不動産取引に関わるタイミングは人生の中で多くありません。しかし、幅広い世代へ声をかければ、結婚や子どもの成長・独立による住み替え、転勤、相続による売却など取引が生じる機会に出会いやすくなります。
デメリット
身内への営業は、自分と親族との関係性によっては難しいケースもあるでしょう。「身内には仕事の話をしたくない」という人は、後述する既存のお客さまや同業者への紹介営業を検討してみてください。
友人からの紹介
学生時代の同級生や部活動の先輩・後輩、元職場の同僚など友人からの紹介も選択肢の一つです。
メリット
- 共通の話題でコミュニケーションを取りやすい
- SNSなどで拡散しやすい
同世代の友人が別の友人を紹介してくれる場合、地元や紹介者など共通の話題があるため相手との距離を縮めやすいでしょう。
友人とSNSでつながっていれば、効率良く依頼できる点もメリットです。プライベートのアカウントで仕事の話をすることに抵抗がある人もいるかもしれません。その場合、自分の近況報告を織り交ぜてお願いしてみてはいかがでしょうか。
デメリット
友人への紹介営業のデメリットは、警戒されるリスクがある点です。不動産業界の知識がない人からすると、営業をかけられたことに対して「何か裏があるのでは?」と不安になる人もいるでしょう。
昨今は、友人による投資話やセミナーの勧誘でトラブルに発展するケースが多いため、過剰に反応してしまう人もいるかもしれません。相手に不信感を抱かせないように注意が必要です。
特に、数年ぶりに連絡を取る友人へ依頼する場合、唐突に仕事の話をすることは避けた方が無難です。
顧客からの紹介
これまでにご契約いただいたお客さまから、紹介してもらえる場合もあります。既存のお客さまであればすでに信頼関係ができているため、依頼しやすいでしょう。
メリット
- 紹介者と長く接点を持てる可能性が高い
- 共通の話題がある
既存のお客さまが紹介営業に協力してくださるということは、あなたが心から信頼されている証拠でしょう。良好な関係を保ち続ければ、将来の住み替えや売却時もご相談いただける可能性があります。
また、友人と同様に「紹介者」が共通の知人になります。他人同士であるものの、初対面でもコミュニケーションを取りやすいでしょう。
デメリット
既存のお客さまといっても、家族や友人とは異なり他人です。紹介に協力してくれるかどうかは相手との関係次第といえます。
不動産会社の中には「紹介キャンペーン」を実施している企業もあるため、キャンペーンを利用するのも手です。例えば、紹介で契約が成立した場合、紹介者・紹介された人へ商品券を配布するケースがあります。
既存のお客さまへ依頼するタイミングは、成約直後がおすすめです。契約後は新生活への期待でお客さまの気持ちが高揚しています。そのタイミングで「不動産取引でお困りの方をご存じでしたら、ご紹介いただけませんか」などと声をかけてみるとよいでしょう。
セミナー参加者や、同業者からの紹介
ビジネスで培った人脈を活用することも大切です。スキルアップのために参加したセミナーや同じ会社の他部署の人、不動産業界のイベントで出会った人など業界問わず探してみるとよいでしょう。
メリット
ビジネス関係の人脈を利用するメリットは、家族や友人と比べてチャンスが多い点です。家族や友人は人数が限られますが、ビジネス関係者であれば自分で積極的に動くほどチャンスが広がります。
また、家族や友人よりも仕事の話を持ち出しやすいでしょう。
デメリット
- ライバルが多い
- 自分と紹介者の関係が悪化するリスクがある
ビジネス関係者から紹介を受けられるケースは、「あなたを紹介する理由がある」場合に限られます。ビジネスでつながっている間柄であれば、相手方にメリットがないと難しいでしょう。
また、紹介されたお客さまからの評価が低いなど、紹介案件へ上手く対応できなかった場合、自分と紹介者のその後の関係が崩れてしまうリスクがあります。
資産を持っている人からの紹介(地主や経営者、税理士など)
資産家からの紹介では、他の資産家と出会える可能性があります。地主や経営者からの大口取引を期待できるかもしれません。また、税理士は資産家を顧客に抱えている可能性があるため、税理士へ声をかけてみるのも手段の一つです。
デメリットは、紹介のハードルが高い点です。資産家の場合、すでに他の担当が付いていることがあります。その担当者との関係性によっては、自分の入る隙がないケースもあるでしょう。
取引関係者からの紹介(金融機関の担当者、司法書士、FPなど)
不動産取引の関係者から紹介を受けることも選択肢の一つです。
メリット
- チャンスが多い
- 三方良しの関係を構築できる
マイホームを購入・売却したい人の中には、同時に金融機関(住宅ローン)、FP(資金計画)、司法書士(登記手続き)といった専門家へ相談する人が少なくありません。つまり、これらの専門家は不動産取引を必要とする人と類似の相談先であるため、多くの紹介チャンスを有しています。
また、取引関係者からの紹介案件は、以下の通り「不動産営業」「お客さま」「専門家」にとって利がある三方良しの構図です。
- 不動産営業:専門家からお客さまを紹介される
- お客さま:不動産取引のサポートを受けられる
- 専門家:別の機会に、不動産営業からお客さまを紹介される
デメリット
紹介営業に協力してくれたお返しとして、特定の専門家をお客さまへ紹介する場合、お客さまにネガティブな印象を抱かれるリスクがあります。
2018年頃に発覚した「不正融資問題」は、世間に大きな衝撃を与えました。不動産営業に悪気がなくても「何か裏があるのでは?」と警戒してしまうお客さまもいるでしょう。
ケースバイケースですが、特定の事業者をお客さまへおすすめする場合、無理におすすめせずに「ご希望があればご紹介します」といったニュアンスに留めておいた方がよいかもしれません。
紹介してもらいやすい関係づくりのためのポイントは?
紹介営業を成功させるポイントは、焦らず誠実に仕事をすることです。紹介してもらいやすい関係づくりのポイントを3つご紹介します。
普段から、自然なコミュニケーションを欠かさない
第三者へ営業担当者として紹介してもらうことは、簡単なことではありません。紹介者との信頼関係は、何気ない会話から生まれます。信頼してもらえるように、焦らずコミュニケーションを取り続けましょう。
また、既存のお客さまへの紹介営業の場合、成約直後の声かけだけでは効果を得られない可能性があります。成約直後は、引っ越しや転居の手続きで忙しい人が多いためです。
定期的に連絡を取ると、あなたのことを思い出してもらえる可能性が高まります。年賀状やお中元、お歳暮など季節の挨拶を活用し、依頼してみてはいかがでしょうか。
中立的な立場でアドバイスする
物件の良し悪しの見極めが難しい不動産取引においては、営業担当者の誠実さが頼みの綱です。
契約を取るためにメリットのみを伝えるなど、不誠実な営業を続けていると相手方が紹介をためらう原因となるでしょう。普段から中立的な立場でのアドバイスを心掛けると、紹介につながりやすくなります。
自分の大切な人にも同じことがいえるか?を基準にする
「目の前のお客さまから契約をいただきたい」と考えるあまり、お客さまのためになっているかどうかを見失いがちです。自社の利益に貢献することも重要ですが、「家族や友人など大切な人にも同じことをいえるか」を考えて提案しましょう。
無理に契約を取って目の前の利益を得るよりも、信頼を積み重ねていく方が将来の大きな利益につながります。
まとめ
不動産の営業担当者が効率良く見込み客を獲得するには、「紹介営業」が重要です。紹介営業にはさまざまなアプローチ方法がありますので、自分に合った選択肢を検討してみてください。
紹介営業のコツやポイントなど、より実践的な内容については以下の記事も参考にしてくださいね!
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