【賃貸オーナー必見】大規模修繕に備える賃貸住宅修繕共済のメリットや注意点を解説!
賃貸住宅修繕共済は、賃貸物件の大規模修繕や災害による損害に備えるための重要な制度です。
オーナーが共済金を受け取ることができるこの制度には、多くのメリットがありますが、その一方で共済の対象範囲や加入要件には注意が必要です。
本記事では、賃貸住宅修繕共済のメリットや注意点を詳しく解説し、計画的な修繕と安定的な運営を目指すための方法についてお伝えします。
賃貸住宅修繕共済とは
賃貸住宅修繕共済とは、賃貸物件の大規模修繕や災害による損害などの際に、オーナーが共済金を受け取ることができる制度のことです。
賃貸住宅修繕の対象範囲
賃貸住宅修繕共済の対象範囲には、建物の構造や設備に関連する大規模修繕が含まれます。
また賃貸住宅修繕共済は、修繕共済と火災修繕共済が合わさってできた精度となるため、内容によって共済の対象となる範囲や分野が異なります。
修繕共済の範囲としては、以下の3つの修理や修繕が対象です。
- 屋根
- 軒裏
- 外壁
階段・廊下の修繕、エアコンや給湯器の交換、給排水管の洗浄や取替は対象外となる点に注意しましょう。
火災修繕の範囲としては、以下の場合に1回につき30万円を上限として共済金が支払われます。
- 火災
- 落雷
- 破裂または爆発など
地震・噴火・津波・土砂災害は補償の対象外となります。
共済金を受け取るための要件
共済金を受け取るためには、以下の1~4すべての要件を満たす必要があります。
- 【劣化事象】修繕としたい箇所に、1年前の定期検査では、劣化事象が発生していなかったこと
- 【修繕履歴】劣化事象が発生してから、当該箇所に対して初めて行われる修繕であること
- 【修繕対象】修繕の対象は、劣化事象を修繕するために、組合が合理的と認めた範囲であること
- 【修繕時期】修繕が定期検査日から2年以内に実施されるものであること
共済期間は?
賃貸住宅修繕共済の共済期間は10年以上50年以内となっています。
その範囲内であれば1年刻みで加入する期間を選択することが可能です。
共済の対象となる建物と築年数
共済の対象となる建物と築年数の条件は以下の通りです。
- 賃貸に供している住宅
※ 賃貸に供している店舗等併用住宅の場合は、店舗等部分の床面積が50%以下であること - 建物が木造(軽量鉄骨造)の場合は築30年以内であること、それ以外の場合は築40年以内までが可
共催掛金はいくらかかる?
賃貸住宅修繕共済に加入するためには、共済事業者に一定の掛金を支払う必要がありますが、具体的にいくらくらいの掛金が必要なのでしょうか。
具体的な掛金額は物件の規模や建物の種類によって異なりますが、一般的に共済掛金は以下の方程式で算出することが可能です。
(補償希望金額)円÷(契約期間)年÷支払い回数=一回あたりの共済掛金 |
契約期間は、大規模修繕を何年後に予定しているのかによって異なります。
また、支払い回数は年払いなのか月払いかによって設定することが可能です。
10年後に1,500万円の大規模修繕を予定しており、1,200万円の補償を月払いで掛金したい場合は、
1,200万円÷10年÷12回=10万円/月、となります。
年払いの場合は、
1,200万円÷10年÷1回=120万円/年、です。
賃貸住宅修繕共済に加入しない場合は?
賃貸住宅修繕共済に加入しない場合、当然ですが賃貸住宅の修繕費用はオーナーが全額負担することになります。
修繕費用は物件の規模や状態、必要な修繕内容によって異なりますが、一般的には以下のような費用がかかることが考えられます。
大規模修繕費用
建物の耐久性を保つために行われる屋根や外壁の修理、給排水設備の改修、塗装工事などの大規模な修繕には、数百万円から数千万円以上の費用がかかることもあります。
その点、賃貸住宅修繕共済に加入しておくと、大規模修繕では外せない屋根・外壁・軒裏での補償が受けられるのは助かりますね。
小規模修繕費用
日常的な修繕や定期的なメンテナンスには、数万円から数十万円程度の費用がかかることがあります。例えば、水漏れの修理、網戸の交換、電球の交換などが挙げられます。
災害による損害
火災や自然災害などによる損害が発生した場合、修復や復旧にかかる費用も加算されます。これは災害の規模や被害状況によって大きく変動するため、具体的な金額は難しいですが、非常に高額な場合もあります。
修繕費用は予測しづらく、トラブルや災害が発生した場合には急遽資金を用意する必要が出てくることもあります。そのため、賃貸住宅修繕共済に加入することで、費用の予測と計画的な対応ができる利点があるといえますね。
賃貸住宅修繕共済のメリット
賃貸住宅修繕共済には、オーナーにとって以下のようなメリットがあります。
共済掛金を「経費」として計上できる
賃貸住宅修繕共済に支払う共済掛金は、オーナーの経費として計上できる点が大きなメリットです。
共済掛金は賃貸経営にかかる費用の一部として扱われるため、確定申告時の税務上の負担を軽減することが可能です。これにより、オーナーの税金負担が軽くなり、経済的なメリットを享受することができます。
例えば、年間で支払う共済掛金が100万円だった場合、これを経費として計上することで、オーナーの所得から100万円分が差し引かれて、税金の計算対象となる所得が減少します。その結果、所得税や住民税などの納税額を減らすことが可能なのです。
大規模修繕の計画が立てやすい
賃貸住宅修繕共済に加入することで、修繕に必要な費用を事前に把握できるため、大規模修繕の計画立案がしやすくなるのも大きなメリットです。
共済事業者との契約内容によっては、修繕計画の詳細な検討や費用見積もりの提出が必要な場合があります。この過程で、修繕の必要性や時期、必要な費用を詳細に把握することができます。
大規模修繕は予期せぬ出費が発生しやすく、資金計画が重要ですが、共済に加入することで修繕の予定をあらかじめ立てることで、オーナーは修繕にかかる費用をより効率的に管理し、物件の価値を維持することができるのです。
火災や落雷などによる損害にも共済の対象となる
賃貸住宅修繕共済は、大規模修繕だけでなく、火災や落雷などの災害による損害にも適用されるため、修繕以外のトラブルにも備えることができるのもメリットです。
例えば、火災によって一部の部屋が被害を受け、内装の修繕が必要な場合や、落雷によって建物の電気設備が損傷を受け、修繕が必要な場合など、これらの損害も共済の対象になります。
共済に加入することで、修繕費用に加えて災害による損害にも備えることができ、安心して賃貸経営を行うことができますね。
賃貸住宅修繕共済の注意点
賃貸住宅修繕共済には以下のような注意点があります。
修繕対象となる箇所が限られている
共済の対象範囲は限られており、すべての箇所が修繕対象となるわけではありません。
修繕は屋根、外壁、軒裏のみが対象である点に注意しましょう。
加入する際に長期修繕計画書の提出が必要
共済に加入する際には、長期修繕計画書の提出が必要となります。計画書の内容が審査に合格しない場合は加入が認められない点に注意しましょう。
途中解約や満期を迎えても掛金は払い戻しされない
賃貸住宅修繕共済は掛け捨て商品であるため、積立を目的とするものではありません。そのため、途中解約や共済の満期を迎えた場合でも、掛金の払い戻しは行われません。
修繕をしない場合にも掛金が戻ってくることはないので、加入に当たってはしっかりと計画的を立てる必要があるでしょう。
賃貸住宅修繕共済に加入するには?
賃貸住宅修繕共済に加入するには、地域の共済事業者に加入申込を行う必要があります。加入の際には、物件の詳細な情報や長期修繕計画書を提出することを忘れずに行いましょう。
また、加入時には組合加入として出資金1,000円以上が必要となります。
まとめ
賃貸住宅修繕共済は、オーナーが大規模修繕や災害に備えるための重要な制度です。
共済の対象範囲や加入要件、メリットと注意点を把握して、賢く活用しましょう。計画的な修繕やトラブルへの備えを行うことで、賃貸物件の価値を守り、安定的な運営ができるでしょう。