不動産購入時にかかる不動産取得税|金額の計算方法と軽減対策を解説
不動産の売買など譲渡があった場合、不動産を譲渡する売主には譲渡所得税という税金が課されます。不動産を譲り受ける買主等も不動産取得税という地方税を納めなければなりません。
今回は、そんな不動産取得税の計算方法や減額手段などについて解説します。
不動産取得税とは
不動産を入手すると、原則として固定資産税と不動産取得税の課税義務が生じます。不動産の所有者に対して課されるのが固定資産税で、不動産取得税は土地や家屋といった不動産を取得した者に対して課される税金です。
固定資産税の課税主体が市町村であるのに対して、不動産取得税を課すのは不動産の所在する都道府県です。不動産の取得とは、売買や交換のほか贈与や建築を含む所有権の取得を指し、有償か無償かは関係ありません。
増築の場合はその増築部分につき、改築の場合は改築により家屋の価値が増加した部分について、家屋の取得があったとみなされ、不動産取得税を納める必要があります。
また、所有権の取得には、登記の有無は問われません。登記をしなくても、不動産を取得すれば不動産取得税が課されるのです。ただし、相続や法人の合併による不動産の取得は非課税とされています。
不動産取得税を支払うタイミングは
不動産取得税は、不動産を取得したらすぐに支払わなければならないというわけではなく、納税通知書の送付を待って納めることになります。土地や中古住宅の取得であれば、不動産の引き渡し時期の後、3ヶ月から半年ほど経った頃に納税通知書が送られてきます。
新築住宅の場合は、不動産を取得した翌年の4月以降に納税通知書が交付されるでしょう。なお、不動産取得税の納税通知書が届く前に、不動産を取得した者には「不動産取得税のお知らせ」という葉書が送られてきます。これは、不動産取得税の税額と納期を告知するための葉書で、この葉書を税務署に持参しても不動産取得税を支払うことはできません。
不動産取得税の計算方法と金額の目安は
不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時点での不動産価格です。増築の場合は増築部分の価格、改築の場合は改築によって増した価値が課税標準となります。ここで言う不動産価格とは、当該不動産が固定資産税課税台帳に記載されていれば、その登録価格が該当します。
新築家屋など、固定資産税課税台帳に記載されていない不動産の場合は、都道府県知事が固定資産評価基準によって判断し、課税標準となる価格を決定しなければなりません。固定資産評価基準とは、総務大臣が定める固定資産の評価の実施方法や手続きを指します。都道府県によって、基準に差が出ないよう国が基準を定めているのです。したがって、不動産取得税における価格は、実際の取引価格ではありません。
不動産取得税の計算方法は、住宅・土地の場合と住宅以外の家屋の場合で異なります。住宅・土地の場合の標準税率は100分の3で、住宅以外の家屋の場合は100分の4とされているのです。本来、不動産取得税の標準税率は住宅以外の家屋の場合に適用されている100分の4なのですが、特例として住宅・土地の場合に軽減が認められていると言えるでしょう。なお、宅地については、課税標準を登録価格の半分にするという特例があります。
宅地にある新築の住宅を取得する場合には、不動産取得税の金額の目安として0円になるケースが珍しくないでしょう。また、不動産取得税の課税標準となる価格が、一定の額に満たなければ、不動産取得税が課されません。
土地の取得の場合は10万円、建築により家屋を取得する場合は1戸につき23万円、売買や贈与など建築以外の方法による家屋の取得の場合は1戸につき12万円に課税標準価格が満たなければ、非課税となるのです。
不動産取得税を軽減する条件とは
不動産取得税の控除を受けられる条件や控除内容は、物件が新築か中古かによって異なります。それぞれの場合について見ていきましょう。
新築物件の場合
新築の家屋を取得した場合は、1戸につき課税標準の価格から1200万円が控除されます。その適用要件は、家屋の目的が自己居住用か賃貸用であること、そして面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であることです。ただし、戸建て以外の賃貸住宅(アパートやマンション)の場合は、40平方メートル以上240平方メートル以下が要件となります。
中古物件の場合
中古住宅の取得の場合は、新築された時期に応じて1戸につき100万円から1200万円が控除されます。ただし、中古住宅の取得について控除を受けるためには、その目的が個人の自己居住用でなければなりません。面積要件も新築の場合と同じです。
また、取得日前20年以内(鉄筋コンクリート造りの場合は25年)に新築されたものであることや、昭和57年1月1日以後に新築された家屋であることも、中古住宅取得の不動産取得税控除の要件です。耐震性についても、建築基準法施行令の規定または国土交通大臣が総務大臣と協議して定める地震に対する安全性に関わる基準に適合することが証明されていなければなりません。
不動産取得税の軽減方法を確認して納期までに忘れずに納めよう
不動産取得税は、固定資産税のように定期的に納める税金ではなく、不動産取得後かなり時間が経ってから納税通知書が送られてくるため、うっかり納め忘れることも少なくありません。
自分なりに不動産取得税の軽減方法の適用を検討し、金額を確認して納期までに納めましょう。