【2025年10月】住宅ローンの金利比較と10月のポイント

投稿日 : 2025年10月02日

2025年10月の各金融機関の住宅ローン金利を比較して、今月のポイントを解説します。
直近の出来事も踏まえて、今後の住宅ローン金利の動向予想にお役立てください。

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住宅ローン金利比較

メガバンク

■メガバンクの特徴
圧倒的な知名度を誇る大手銀行であるため全国に支店があります。主要都市に多く、地方にいくほど支店数は減少するため、地方においては地方銀行や信用金庫の方がアクセスが良いケースもあります。

また、規模の大きさを活かした商品開発力も最大の特徴です。メガバンクは経済基盤が強く信用力も高いため、他の金融機関に比べて低い金利設定や融資額の上限を高く設定しているケースもあります。投資信託や保険商品といった総合的な金融商品を活用したパッケージ型商品を提供し多様なニーズに対応しています。対面での相談が可能なため、直接専門家と話すことができるのでネットでの手続きに不安をもっている方にとっては安心感に繋がります。

変動金利、固定金利(全期間固定型、固定期間選択型)など多様な金利タイプが提供されており、メガバンクを普段の給与振込口座として利用している場合は、住宅ローンの借入れの際に新たな口座を開設する必要がないため、住宅ローン返済管理の手間も省くことができます。

メガバンクの特徴まとめ

金融機関 変動金利 10年固定 20年固定 HP
三菱UFJ銀行 0.595% 2.04% 2.84% HP
三井住友銀行 0.595% 2.20 2.65% HP
みずほ銀行 0.775% 2.10% 2.90 HP
りそな銀行 0.64% 2.485 3.895 HP

(掲載順不同)
※金利情報は各社HPにて最新情報をご確認ください。
※先月比プラス(赤文字)・先月比マイナス(青文字)。

メガバンク10月金利のポイント
2025年10月のメガバンクの住宅ローン金利は、以下のような傾向が見られます。※前月比
●変動金利
みずほ銀行が6ヶ月ぶりに引き上げを行いました(+0.25)。他3行は据え置きです。
●10年固定
全行引き上げを実施しています。
三菱UFJ銀行(+0.12)、三井住友銀行(+0.1)、みずほ銀行(+0.15)、りそな銀行(+0.13)。
●20年固定
行引き上げを実施しています。
三菱UFJ銀行(+0.12)、三井住友銀行(+0.05)、みずほ銀行(+0.1)、りそな銀行(+0.05)。

ネット銀行

■ネット銀行の特徴
ネット銀行の住宅ローン金利は、地方銀行と比較して低く設定されていることが多いです。オンラインで手続きが完了するため、地域制限がなく全国どこの地域でも申込みをすることが可能です。WEB申込みであるため、窓口の時間を気にせず自分の都合の良いタイミングで手続きができることも特徴のひとつです。

一方で、対面でのサポートが限られるため複雑な相談や手続きが必要な場合には不便さを感じる可能性があります。金利の低さと利便性を重視する方に適していますが、丁寧な説明を求める方には不向きかもしれません。

ネット銀行の特徴まとめ

 

金融機関 変動金利 10年固定 20年固定 HP
住信SBIネット銀行 0.698% 1.859% 2.379% HP
楽天銀行 1.002% 2.413 HP
イオン銀行 0.78% 1.76 HP
ソニー銀行 0.897% 2.478 3.221% HP
auじぶん銀行 0.834% 1.30% 2.53% HP
PayPay銀行 0.63% 1.67% 2.50% HP
SBI新生銀行 0.68% 1.85 2.50% HP
UI銀行 0.595% 1.87 2.72% HP

(掲載順不同)
※金利情報は各社HPにて最新情報をご確認ください。
※先月比プラス(赤文字)・先月比マイナス(青文字)。

ネット銀行10月金利のポイント
2025年10月のネット銀行の住宅ローン金利は、以下のような傾向が見られます。※前月比
●変動金利
楽天銀行が(+0.009)の引き上げ、PayPay銀行(▲0.1)の引き下げ。他行は据え置きとなりました
●10年固定
auじぶん銀行が(▲0.5)の引き下げ。他の掲載銀行は全行引き上げをしています。
住信SBIネット銀行(+0.04)、楽天銀行(+0.124)、イオン銀行(+0.1)、ソニー銀行(+0.086)、PayPay銀行(+0.05)、SBI新生銀行(+0.05)、UI銀行(+0.05)。
●20年固定
住信SBIネット銀行(▲0.05)、UI銀行(▲0.05)の引き下げ。他の掲載銀行は全行引き上げです。
ソニー銀行(+0.047)、auじぶん銀行(+0.07)、PayPay銀行(+0.05)、SBI新生銀行(+0.05)。

地方銀行

■地方銀行の特徴
地方銀行は、地域に根ざした銀行であるため地域の特性やニーズに応じた柔軟な対応を可能としています。また、特定エリアでの住宅購入に対して特別な金利優遇や、地元の提携不動産事業者を利用した際の特典など、地域の振興を目的とした住宅ローンの優遇措置やキャンペーンを実施していることもあります。

地方銀行はメガバンクやネット銀行ほどの低金利商品は少ないものの、個別事情に応じた柔軟な審査を可能としていることが多いです。支店が地域に密集し地元の不動産市場にも精通しているため、対面でのきめ細やかなサポートが期待できます。

地方銀行の特徴まとめ

金融機関 変動金利 10年固定 20年固定 HP
横浜銀行 0.75% 2.175% HP
千葉銀行 0.975% 2.21% 3.480% HP
静岡銀行 0.90% 2.30 2.95% HP
筑波銀行 1.00% 1.60% HP
北陸銀行 1.375% 1.35% HP
福岡銀行 1.025% 2.25% HP
南都銀行 0.875% 2.35 3.00% HP
京都銀行 1.175% 2.45 2.60% HP
愛媛銀行 0.90% 1.45% HP
宮崎銀行 0.725% 1.90% HP
沖縄銀行 3.325% 4.375% HP
琉球銀行 3.325% 4.18 HP

(掲載順不同)
※金利情報は各社HPにて最新情報をご確認ください。
※先月比プラス(赤文字)・先月比マイナス(青文字)。

地方銀行10月金利のポイント
2025年10月の地方銀行の住宅ローン金利の傾向は以下の通りです。※前月比
●変動金利
掲載の銀行はおおむね先月からの据え置き、横浜銀行(+0.1)、沖縄銀行(+0.25)となりました。
●10年固定
掲載銀行では横浜銀行のみ(▲0.05)の引き下げを行いました。
据え置きしたのは千葉銀行、北陸銀行、愛媛銀行、宮崎銀行、琉球銀行。
引き上げたのは次の6行です。
静岡銀行(+0.1)、筑波銀行(+0.15)、福岡銀行(+0.1)、南都銀行(+0.1)、京都銀行(+0.1)、沖縄銀行(+0.25)です。

●20年固定
静岡銀行は10年固定と同様(+0.1)引き上げました。
千葉銀行は据え置きとなっています。
南都銀行と京都銀行はともに(▲0.05)の引き下げです。

データを見る男女の画像

10月のまとめ

固定金利は全般的に上昇傾向にあり、メガバンク、ネット銀行、地方銀行の多くで10年固定および20年固定金利の引き上げが見られました。
変動金利は据え置きとする銀行が多いものの、一部で引き上げや引き下げの動きがありました。
フラット35買取型は、融資割合90%で1.89%(※団信加入の場合)。先月同様となっています。

9/19 日銀「金融政策決定会合」金利は据え置き

2025年9月19日に日銀の「金融政策決定会合」が開催されました。今回の発表による大きなトピックスは3つとなります。
TOPIX1:金利の据え置き
日銀が金融政策で一番コントロールしているのは、銀行同士がお金を貸し借りする時の金利(政策金利)です。今回の会合では、前回につづき0.5%程度の据え置きとすると決定しました。政策金利が変わらなかったため、住宅ローン変動金利への大きな影響はありませんでした。
6月・7月の金融政策決定会合では全員一致で0.5%と決定していたのに対し、9月は賛成7人・反対2人と意見が分かれ、日銀内部でも「そろそろ金利をさらに上げるべきだ」という考えが強まっていることが伺えます。
TOPIX2:ETFとJ-REITの売却を決定
これまで日銀は景気を良くするために、ETF(上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)という株や不動産の詰め合わせを大量に買ってきました。今回の決定では、それを少しずつやめ、市場への売却を行うことを決定しました。
ETFやJ-REITを日銀が買うと、どうして景気がよくなるの?
日銀がETF(上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)を買うのは「市場にお金を流して、投資や消費を活発にするため」で、「リスクプレミアム」に働きかける、という金融緩和の手段の一つです。
リスクプレミアム
リスクプレミアムとは、リスクのある資産(例:株式)が、リスクのない資産(例:国債)よりもどれだけ高いリターン(収益)を期待できるかを示す「上乗せ利益」のことです。
もしリスクのある投資とリスクのない投資のリターンが同じなら、誰もリスクは取りません。投資家がリスクを引き受ける対価として求める、その追加的なリターンがリスクプレミアムです。リスクが大きい投資ほど、投資家はより大きなリスクプレミアムを求めます。
■日銀がETFやJ-REITを買うことで景気が良くなる3つの理由

[1] 株価の上昇と「豊かさ」の感覚

  1. 日銀がETFやJ-REITを買う
    • 市場で株が品薄になり、株価が上がる
  2. 株価が上がる
    • 企業や個人の「持っている資産の価値」が増え、「豊かになった」と感じる
  3. 「豊かさ」を感じる
    • 企業は設備投資を増やし、個人は消費を増やす
  4. 景気が良くなる

[2] 投資家がリスクを取りやすくなる

  1. 日銀がETFやJ-REITを買う
    • 「日銀が買うなら安心だ」というムードになり、投資家がリスクのある株・不動産投資に手を出しやすくなる
  2. 「リスクプレミアムの縮小」
    • 安全な投資(国債など)の魅力が下がり、より高いリターンを求めて企業への融資や新しい事業への投資にお金が流れやすくなる
  3. 投資が活発化
    • 企業が資金を調達しやすくなり、経済活動が活発になる
  4. 景気が良くなる

[3] 投資家がリスクを取りやすくなる

  1. 日銀がETFやJ-REITを買う
    • 銀行は、日銀に株などを売った代わりとして現金を受け取る
  2. 現金が増える
    • 銀行は手元に余ったお金を、そのままにせず、企業に貸し出すことに積極的になる
  3. 企業がお金を借りやすくなる
    • 企業は新しい工場を建てたり、社員を雇ったりする
  4. 経済全体が成長し、景気が良くなる
日銀がETFやJ-REITを買うという行為は、間接的に企業の投資意欲と個人の消費意欲を高め景気を良くすることに繋がります。
わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している

引用元:日本銀行(当面の金融政策運営について 2025年9月19日)

日銀は、景気が回復してきたため、これまで景気を支えるために買っていたETFやJ-REITをもう買う必要がないと判断しました。そして、「普通の金融政策」に戻すためこれら保有資産の売却を決めました。
こうした日銀の動きは、住宅ローンの変動金利には直接大きな影響はありません。しかし、日銀が「金融緩和を縮小していく」という強いメッセージを出すことで、国債の買い手が減り、長期金利が上がりやすくなる可能性があります。
その結果、固定金利型の住宅ローン金利には、間接的に少し上昇する圧力がかかると見られます。
TOPIX3:景気が良くなれば、金利はさらに上げる
先にも述べましたが今会合では2人の委員が0.5%の据え置きに反対しています。そして、反対をした委員はそれぞれ以下の意見とともに議案提出をしています。
高田委員:
物価が上がらないノルムが転換し、「物価安定の目標」の実現が概ね達成された
田村委員:
物価上振れリスクが膨らんでいる中、中立金利にもう少し近づけるため
両委員は上述の理由から無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.75%程度で推移するよう促すとする議案を提出しました。今回の会合では反対多数で否決されていますが、明確に現行水準(0.5%程度)より高い水準(0.75%程度)への金利引き上げを主張しています。
ノルム転換
ノルム転換とは、経済における「当たり前」という社会的な習慣や考え方(ノルム)が変わることです。
米国の経済学者オーカンが提唱した概念で、特に物価や賃金の上昇率に関して、長年の経験から「これくらいが普通だ」と皆が思う水準が変化する現象を指します。例えば、日本では長く「値上げは避けるべき」というノルムがありましたが、これが「賃上げや価格転嫁は当然」という考え方に変わるのが「ノルム転換」です。

自民党総裁選は住宅ローン金利に影響するか

10月4日に投開票が行われる自民党総裁選。
自民党総裁選の各候補者が掲げる経済政策の方針は、直接的に住宅ローン金利の上げ下げを決めるわけではありませんが、日本銀行(日銀)の金融政策や長期金利の動向に影響を与える「期待」や「環境」を作り出すという点で、金利に間接的な影響を及ぼす可能性があります。
2025年自民党総裁選の主要候補者の方針の中から、日本の住宅ローン金利に影響し得る経済・金融・財政政策のスタンスを比較表にまとめました(参照:総裁選2025
2025年自民党総裁選 候補者の経済・金融政策比較
候補者名 金融政策スタンス 経済政策の特徴 財政政策 住宅ローン金利への影響(推測)
高市早苗氏
(前経済安保相)
当面の利上げは不適切
「今、利上げはあほ」発言
政府が方向性を決定すべきと強調
成長重視
アベノミクス継承
責任ある積極財政
赤字国債増発容認
上昇圧力
小泉進次郎氏
(農相)
日銀の独立性尊重
「日銀の専権事項」
政府との歩調合わせ重視
所得税控除拡大
次世代成長戦略
構造改革
所得税減税による減収と財政規律のバランス 間接影響
茂木敏充氏
(前幹事長)
バランス型金融政策
異次元緩和から漸進正常化
方法は日銀判断
国際競争力強化
経済安保重視
実務型アプローチ
成長と財政健全化の両立
効率的予算配分
漸進正常化
林芳正氏
(官房長官)
日銀独立性の尊重
安定的金融環境維持
持続可能な成長戦略
地方経済活性化
包括的政策パッケージ
財政健全化に配慮 現状維持
小林鷹之氏
(元経済安保相)
慎重な金融政策運営
(明言少)
経済情勢を見極める姿勢
経済安全保障強化
イノベーション推進
持続可能な財政運営
効果的政策実施
不透明感
免責事項
※本記事に掲載された各候補者の政策に関する内容は、公表情報や報道を基に一般的に整理したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。記載された見解や推測は執筆時点の情報に基づくものであり、今後の発言や政策決定により変更される可能性があります。
※また、将来の金利動向を保証するものでもありません。投資や住宅ローンの判断は、必ずご自身の責任で行ってください。
2025年自民党総裁選の結果、選ばれた候補が総理大臣となり今後の政策を牽引していくこととなります。候補者が掲げた経済・金融・財政政策は、日本の住宅ローン金利に少なからず影響を与えることでしょう。
総裁選の結果が金利に影響するとすれば、新総裁就任後の2025年10月下旬から11月上旬、あるいはその後の新政権の具体的な政策発表時期からとなります。新総裁が日銀との連携をどう進め、物価上昇と財政健全化のバランスをどう取るのかが、今後の住宅ローン金利の行方を左右します。
総裁選の結果と、新政権の具体的な政策動向に注目です。
※本コンテンツは、住宅ローンを選択する際の参考情報を提供することを目的としております。特定の金融機関・商品を推奨するものではございません。金融機関に関する情報は各金融機関のHPより最新情報をご確認ください。(本コンテンツ記載の情報は2025年9月1日時点の情報となります)
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