【2023年最新】宅建の合格点推移や試験内容・出題傾向を解説!
不動産業界への就職・転職を考えている人にとって、宅建(宅地建物取引者)は気になる資格の1つでしょう。
宅建は、司法書士や行政書士と同じ「士業」の仲間です。取得できれば就職・転職に有利なだけでなく、実務を行う上でも勉強した内容が活きてきます。
今回は宅建の初学者に向けて、宅建試験の内容と合格率の推移、2023年の最新動向を解説していきます。
宅建(宅地建物取引士)とは
宅建とは、国家資格である「宅地建物取引士」の略称のことです。不動産の取引をスムーズに、かつ適正に行うために設けられています。
また宅建は、司法書士や社労士、行政書士と同じ「士業」の仲間です。試験に合格したらすぐに仕事ができる訳ではなく、2年以上の実務経験を満たした上で「登録申請」をする必要があります。
下の絵のような「宅地建物取引士証」が交付されて初めて、宅建士としての仕事ができるのです。
画像引用:岩手県宅地建物取引業協会|宅地建物取引士
なお、宅建士には更新期間が定められています。5年に一度、更新手続きを行う必要があります。
宅地建物取引士とは|宅建士の専門業務・倫理規範・資格試験など解説
何のための資格?
不動産取引の中には、宅建の有資格者にしかできない業務(独占業務)があります。
独占業務とは、「重要事項の説明」「重要事項の説明書面への記名・捺印」「契約書への記名・捺印」の3つです。
つまり、不動産取引において重要な仕事が、宅建士がいないとできません。これらの仕事をできる人材を確保するために、不動産業界は宅建士を求めているのです。
苦労して取得するメリットは?
宅建士は、簡単な試験ではありません。しかし、取得することで得られるメリットも大きいです。
まず、「不動産業界への就職・転職の足掛かり」になります。
不動産業界では、宅建士を5人に1人以上置くことが義務付けられているからです。宅建士の資格を持っていれば、独占業務ができる人材として大いに重宝されます。
また、「女性の取得率が高い」ことも見逃せません。
男性の受験者比率が高い士業において、女性の受験者が3人に1人以上いることが宅建の特徴です。実際に不動産業者の窓口では、多くの女性が宅建士として活躍しています。接客・事務の仕事がメインのため、結婚を機に退職した女性が社会復帰しやすいことが人気の理由です。
宅建士資格取得について詳しくは以下の記事をご参照ください。
あわせて読みたい:「宅建とは」宅建士の仕事内容やメリット・なるための方法などを徹底解説
宅建試験の概要
宅建試験は、国土交通大臣が指定した試験機関「一般財団法人不動産適正取引推進機構」によって行う試験です。
ここでは、試験全体の概要を紹介していきます。
試験日程・頻度
宅建士の試験は、「毎年10月の第3日曜日」に実施されます。
日商簿記やファイナンシャルプランナーと違い、年に1回しか受験のチャンスがありません。半年~1年前から、効率的な学習計画を立てることが重要になります。
なお、2023年の受験日は「10月15日(日) 13:00~15:00」です。
受験資格
宅建には、受験資格がありません。不動産業界での実務経験がなくても受験が可能です。
平成26年には、12歳の小学生が試験に合格しました。また、90歳の方が合格した記録もあります。
年齢や学歴に関わらず、誰でも合格のチャンスがあるのが宅建の魅力です。
申し込み方法
試験日 | 2023年10月15日 13:00~15:00 |
試験案内の配布期間 | 2023年7月1日~7月29日 |
受験申込方法 | インターネット及び郵送 |
受験申込受付期間 | インターネット:2023年7月3日9:30~7月19日21:59
郵送:2023年7月3日~7月31日(7月31日の消印まで有効) |
合格発表日(予定) | 2023年11月21日 |
なお、最新の情報は「一般財団法人不動産適正取引推進機構」のHPを確認してください。
宅建試験の内容
宅建試験で問われる内容は、以下の通りです。
1.土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
2.土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
3.土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
4.宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
5.宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
6.宅地及び建物の価格の評定に関すること。
7.宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
実際の試験では、4つの科目を通じて上記項目の知識が問われることになります。
出題範囲は4科目
宅建の試験範囲は、以下のように分かれています。
「宅建業法」「法令上の制限」「税その他」「権利関係」の4つです。それぞれの科目の概要と注意点を解説していきます。
宅建業法 20問
重要事項の説明や、37条書面(契約書など)に関わる実務的な問題です。
4科目で最大のボリューム(20問)であり、比較的得点しやすいと言われています。ここでの得点が、宅建の試験結果を大きく左右します。
法令上の制限 8問
国土利用計画法、都市計画法、農地法などの「不動産取引の制限」に関する項目が出題されます。
暗記が多い科目であり、長い期間をかけて少しずつ進めることが大切です。
税その他 8問
宅地や建物に関する税金や景品表示法、不当景品類及び不当表示防止法など出題範囲が広い科目です。
難易度の差が激しいため、簡単な問題を確実に得点することが重要になります。
権利関係 14問
法律の女王とも言われる「民法」から多くの出題がある科目です。法令そのものだけでなく、過去の判例(裁判所の判)が出題されることもあり、範囲が大変広くなります。
法律の初学者にとって勉強が難しい鬼門です。
一定の条件を満たすと免除される科目
宅建試験は全部で50問ですが、一定の条件を満たすと5問の免除があります。免除の条件とは、「宅地建物取引業に従事しており、登録講習を受講すること」です。
登録講習の修了試験に合格してから、3年以内に受ける試験について5問が免除されます。具体的には、46~50問目が正解扱いとして加点されます。
なお、派遣社員やアルバイトであっても、宅建業界で働いていれば登録講習に参加可能です。
過去の試験結果
ここでは、過去試験の合格点・合格者数・合格率を表にまとめました。
合格点・合格者数・合格率の推移
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 |
令和4年 | 226,048 | 38,525 | 17% | 36点 |
令和3年 | 209,749 | 37,579 | 17.9% | 34点 |
令和2年 | 168,989 | 29,728 | 17.6% | 36点 |
令和元年 | 220,797 | 37,481 | 17.0% | 35点 |
平成30年 | 213,993 | 33,360 | 15.6% | 37点 |
見ての通り、受験者数は毎年増加傾向です。
また、合格点は年によって変わるものの、最近の合格率は「約17%」で安定しています。
2023年の最新動向
最後に、2023年の宅建試験の動向を紹介します。注目すべきやはり「民法改正」です。
民法改正による影響大!
2017年に成立した民法改正案が、2023年4月1日にスタートしました。これによって、2023年に受験する宅建は改正された民法の内容から出題される可能性が高いです。
これは、過去問と同じ問題が出たとしても、答えが変わってくる場合があるということを意味します。よって、過去問の答えを修正しながら勉強する必要がでてくるということです。
テキストを購入する時は、改正民法が丁寧に解説されたものを選ぶようにしましょう。
また、民法だけではなく、「宅建業法」「借地借家法」「建築基準法」などの法改正による変更がありました。そういった変更点は試験で出題される可能性が高いため、勉強しておくと安心です。
まとめ
今回は、宅建試験の概要と合格率、2023年の動向について紹介しました。
宅建の試験は合格率を見ての通り、簡単ではありません。しかしながら、勉強を続けることで合格できる難易度の試験でもあります。市販のテキストが充実しており、自分のペースで勉強を進めやすい点もメリットです。
2023年に受験を予定している人は、民法改正をしっかりと理解するようにしましょう。改正の内容によっては、過去問の解答が役に立たない場合があるからです。
常にテキストは最新のものを購入し、1つ1つ丁寧に勉強していくことが合格に近づきます。
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