住宅ローン市場の勝ちパターンを活かす!販売現場で使える最新データ活用術
投稿日 : 2025年06月09日

住宅ローン市場は今、かつてない競争時代に突入しています。2024年度10-12月期の新規貸出額は5兆2,555億円と、前年同期比でわずか0.3%減にとどまりましたが、業態別に見ると各金融機関のシェアや成長率には大きな差が生じています。住宅販売事業者にとって、こうした最新データを正しく読み解き、顧客提案や金融機関選びに活かすことが、売上アップや他社との差別化のカギとなります。本記事では、最新の公的データをもとに、現場で即使える「勝ちパターン」と実践的な活用術を徹底解説します。
Table of Contents
住宅ローン市場の今がわかる!最新データ解説
2024年度新規貸出額の動向
2024年度10-12月期の個人向け住宅ローン新規貸出額は、5兆2,555億円(前年同期比0.3%減)となりました。前年同期比で微減にとどまったものの、2024年度(4-12月)の累計額は15兆9,662億円(前年同期比5.4%増)と、堅調な伸びを見せています。
業態別シェアの変化と注目点
業態別に見ると、各金融機関で明暗が分かれました。
- 国内銀行
- 10-12月期の新規貸出額は4兆1,230億円(前年同期比1.2%増)、4-12月累計は12兆6,749億円(前年同期比8.8%増)。特に全国規模のメガバンクや地方銀行が堅調です。
- 信用金庫
- 10-12月期は3,638億円(前年同期比8.5%減)、累計1兆1,121億円(前年同期比6.0%減)と減少傾向。
- 労働金庫
- 10-12月期は4,291億円(前年同期比9.8%増)、累計1兆1,599億円(前年同期比7.6%増)と好調。
- 住宅金融支援機構(買取債権)
- 10-12月期は1,962億円(前年同期比13.3%減)、累計5,721億円(前年同期比21.7%減)と大幅減少。
このように、国内銀行と労働金庫がシェアを拡大し、信用金庫や住宅金融支援機構(買取債権)はシェアを縮小しています。

住宅ローン新規貸出額
新たに契約された住宅ローンの総額。市場の規模や金融機関の勢力を示す指標。
買取債権
住宅金融支援機構が民間金融機関から住宅ローン債権を買い取る仕組み。
売れる金融機関の特徴と理由を探る
成長している金融機関の強み
2024年度のデータから、成長している金融機関には以下の特徴が見られます。
- 国内銀行は、低金利競争だけでなく、ネット申込や事前審査の迅速化、団体信用生命保険(団信)の付帯サービス拡充など、商品・サービスの多様化が進んでいます。
- 労働金庫は、組合員向けの優遇金利や、住宅購入層の若年化に合わせた柔軟な審査基準が評価されています。
団体信用生命保険(団信)
住宅ローン契約者が死亡・高度障害となった場合、ローン残高が保険で返済される仕組み。
顧客が選ぶ住宅ローンの傾向
最新の市場データや現場の声から、顧客が重視するポイントは次の通りです。
- 金利の低さ
- 依然として最重要項目。特に変動金利型の人気が高い。
- 審査スピード・ネット完結
- 申込みから承認までの迅速さ、ネットで手続きが完結する利便性が評価されている。
- 付帯サービス
- 疾病保障付き団信や、繰上げ返済手数料無料など、付加価値のあるサービスが選ばれやすい。
販売現場で差がつく!金融機関の情報活用術
顧客提案に活かせる最新トレンド
住宅販売事業者が顧客に住宅ローンを提案する際、最新データを活用することで信頼性の高いアドバイスが可能になります。
- 「今、どの金融機関が伸びているか」を具体的な数字で説明することで、顧客の安心感と納得感が高まります。
例えば、「国内銀行は2024年度4-12月期で8.8%増、労働金庫は7.6%増と好調です」と伝えることで、説得力のある提案ができます。
住宅金融支援機構「業態別の住宅ローン新規貸出額の概要(2025年3月14日)」をもとに作成
連携金融機関選びのポイント
住宅販売事業者が連携する金融機関を選ぶ際は、以下の観点が重要です。
- 審査基準の柔軟性
- 顧客属性に合わせて柔軟な審査を行う金融機関は成約率が高い。
- 商品ラインナップの多様性
- 固定金利、変動金利、フラット35など、顧客の多様なニーズに応えられるか。
- 事前審査・本審査のスピード
- 購入希望者の不安を早期に解消できる体制があるか。
住宅販売事業者が今やるべきアクション
顧客満足度を高める提案のコツ
- 新データを根拠にした提案
- 「今、どの金融機関が伸びているか」「なぜその商品が選ばれているのか」を数字とともに示すことで、説得力が増します。
- 複数金融機関の比較提案
- 顧客の属性や希望に合わせて、2~3社のローン商品を比較し、メリット・デメリットを明確に伝えることが重要です。
他社と差別化する住宅ローン情報の活用法
- 独自の情報提供ツール作成
- 業態別の貸出額推移や金利動向をまとめた「オリジナル資料」を作成し、商談時やWEBサイトで活用。
- 定期的な最新情報のアップデート
- 住宅ローン市場は変化が速いため、四半期ごとに最新データをチェックし、提案内容をアップデートしましょう。
まとめ
2024年度の住宅ローン市場は、全体として堅調な伸びを維持しつつも、業態ごとに明暗が分かれる結果となりました。国内銀行と労働金庫がシェアを拡大し、信用金庫や住宅金融支援機構(買取債権)は減少傾向です。住宅販売事業者にとっては、こうした最新データを活用し、顧客に「なぜこの金融機関・商品を選ぶべきか」を具体的に説明することが、信頼獲得と成約率向上のカギになります。さらに、連携金融機関の選定や情報提供の工夫によって、他社との差別化も実現できます。今後は、定期的なデータチェックと情報アップデートを欠かさず、変化する市場に柔軟に対応していくことが重要です。最新の公的データを活かした提案力で、住宅販売現場の競争を勝ち抜きましょう。