2026年10月施行「登記受付帳」の改正で何が変わる?不動産事業者が準備すべき最新の仕入れ・集客システム
投稿日 : 2026年08月18日

2026年(令和8年)10月1日より、「不動産登記規則等の一部を改正する省令」が施行されます。不動産業界で広く活用されてきた「登記受付帳」の運用を一変させる改正といわれています。特に相続物件や売買物件の仕入れ営業を行っている事業者にとって見過ごせない大きな変化となります。
本記事では、今回の改正によって「何がどう変わるのか」を新旧比較表を交えて分かりやすく解説し、改正の背景や不動産実務への影響と今後の対策をご紹介します。

改正の概要とスケジュール
今回の法改正(令和7年法務省令第49号)のポイントは、法務局が作成・備え付けている「登記受付帳」に記録される情報の削減(簡素化)です。
デジタル化に伴う事務処理の効率化と個人情報保護の観点から、受付帳から特定の重要な項目が削除されます。
確定しているスケジュール
- 公布日: 令和7年(2025年)10月10日
- 施行期日: 令和8年(2026年)10月1日
システムの改修や周知期間を経て、令和8年秋から順次切り替わります。
【新旧対照表】受付帳の記載事項はどう変わる?
「登記受付帳」はこれまで法務局に開示請求を行うことで閲覧することができました。改正前と改正後では記録される項目はどのように変わるのでしょうか。
| 項目 | 改正前(2026年9月30日まで) | 改正後(2026年10月1日以降) |
|---|---|---|
| 受付年月日 | 記録される | 記録される(変更なし) |
| 受付番号 | 記録される | 記録される(変更なし) |
| 登記の目的 | 記録される(例: 相続、売買、贈与等) | 削除(記録されない) |
| 不動産所在事項 | 記録される(例: 地番、家屋番号等) | 削除(記録されない) |
変わらないこと・引き続きできること
- 申請の順番(先後関係)の確認
- 「受付年月日」と「受付番号」は引き続き残るため、順番の確認には影響ありません。
- 不動産の詳細情報の確認
- 所有者や権利関係などの詳しい情報は、これまで通り「登記事項証明書」を取得することで確認できます。
関連規則の改訂について
- 不動産登記規則の一部改正
- 受付帳に記録すべき事項から「登記の目的」および「不動産所在事項」(申出の目的および所在事項を含む)が削除されます。
- 企業担保登記規則の一部改正
- 不動産登記規則の変更に伴い、同様の所要改訂が行われます。
なぜ改正されるのか?2つの主な背景

今回の改正に至った背景には、主に以下の2つの理由があります。
① 登記事務デジタル化に伴う「業務効率化」
登記事務のデジタル化・システム化が進んだことで、法務局内部の事務処理において受付帳に「目的」や「所在地」を重複して記録し続ける必要性が低くなったためです。
登記事務のデジタル化・システム化が進んだことで、法務局内部の事務処理において受付帳に「目的」や「所在地」を重複して記録し続ける必要性が低くなったためです。
②プライバシー保護と「過度なDM営業」への配慮
最も大きな社会的要因は個人情報保護の視点です。
これまでは受付帳を開示請求することで「いつ・どこで・どんな登記(相続など)がなされたか」が一目で判別できました。そのため、身内の相続登記を終えた直後の所有者に対し、見知らぬ不動産会社から大量のダイレクトメール(DM)や電話営業が殺到し、国民から強い不快感やプライバシーに関する苦情が相次いでいたことが背景にあります。
最も大きな社会的要因は個人情報保護の視点です。
これまでは受付帳を開示請求することで「いつ・どこで・どんな登記(相続など)がなされたか」が一目で判別できました。そのため、身内の相続登記を終えた直後の所有者に対し、見知らぬ不動産会社から大量のダイレクトメール(DM)や電話営業が殺到し、国民から強い不快感やプライバシーに関する苦情が相次いでいたことが背景にあります。
不動産事業者におこる「3つの影響」
この法改正は、不動産事業者の実務にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
①受付帳を活用した「相続DM営業」の終焉
これまで多くの不動産会社や買取再販業者は、受付帳から「相続登記」のあった物件の地番を特定し、所有者へピンポイントでDMを送る手法を主力仕入れルートとして利用してきました。
しかし改正後は、受付帳を見ても「いつ・何番の申請があったか」というタイムスタンプしか残りません。「どの場所の、どんな登記か」が一切分からなくなるため、受付帳を起点とした営業リスト作成は不可能になります。
しかし改正後は、受付帳を見ても「いつ・何番の申請があったか」というタイムスタンプしか残りません。「どの場所の、どんな登記か」が一切分からなくなるため、受付帳を起点とした営業リスト作成は不可能になります。
②通常の契約業務・権利関係の確認
「地番や家屋番号をあらかじめ指定して登記事項証明書(謄本)を取得する」という従来の物件調査業務や契約実務には何ら影響はありません。あくまで「受付帳という一覧データからの逆引き」ができなくなります。
③ 集客競争の激化と広告コスト(CPA)の高騰
受付帳DMという低コストかつ高効率な手法が封じられることで、多くの業者が「一括査定サイト」「Web広告」「ポスティング」などへ流れていくことが予想されます。その結果、競合が集中し、顧客獲得単価(CPA)が跳ね上がるリスクがあります。
【今後の対策】受付帳に頼らない新たな仕入れアプローチ
受付帳の簡素化に伴い、不動産会社は「登記が完了した後のデータ」を追う営業から脱却しなければなりません。これからは以下のような新たな集客・仕入れルートの確立が不可欠です。

休眠顧客(過去データ)の再掘り起こし
新規獲得コストが跳ね上がるため、「過去に一度でも接点があった顧客」の資産価値が高まります。
- 過去の一括査定で他社に決まった顧客や、査定のみで終わった顧客へ、法改正や税制改正のタイミングで定期的にお役立ち情報(ハガキやメール)を送る
- 「その後、お困りごとはございませんか?」というシンプルな追客でも一定の掘り起こしが可能
士業ネットワークの構築(一次情報の獲得)
相続が発生した際、最初に相談を受けるのは「法務局(受付帳)」ではなく「士業」です。
- アプローチ対象:司法書士、税理士、行政書士、弁護士
- 具体的な施策:
- 双方にメリットのある紹介制度の構築
- 士業側には「相続登記・確定申告案件」を相互送客するなど
- 共催セミナーの開催
- 「税理士と語る!実家の相続・売却失敗しないための勉強会」など
- 士業向け不動産コンサル機能の提供
- 複雑な権利関係の整理や概算査定を無料で迅速に行うバックアップ体制など
- 双方にメリットのある紹介制度の構築
現地起点のアプローチ(空き家・空き地アプローチ)
受付帳から物件を探すのではなく、「現地の状況」から逆引きで登記事項証明書を取る手法です。
- 現地調査の習慣化:
- 営業エリア内の「空き家」「雑草が生い茂る土地」「古い家屋」をリスト化
- 法務局で個別謄本を取得:
- 地番を特定して「登記事項証明書」を取得(※この方法は改正後も制限されません)
- ピンポイントの手紙アプローチ:
- 一般的なDMではなく、「〇〇(地域名)の件で〇〇様へ」といった個別性の高い手紙を郵送する(開封率が飛躍的に上がります)
相続・売却の「手前」にいる関連業者との提携
不動産の売却を検討する前段階で、顧客と接点を持つ業種とパートナーシップを結びます。
- 介護施設・ケアマネジャー:
- 高齢者施設への入居に伴う「自宅売却・整理」の相談ルート
- 解体業者・遺品整理業者:
- 実家の片付け時に発生する不動産処分の相談ルート
- 地元の葬儀社:
- 相続発生初期の相談窓口としての連携
Web集客の「特化型」シフト
単なる「一括査定サイト」は広告費が高騰するため、自社独自の顧客流入経路を作ります。
- 超ローカルSEO / 専門LP(ランディングページ):
- 「〇〇市 相続不動産 売却」「〇〇区 空き家 処分の方法」など、悩み深いキーワードに特化したWebページを作成
- LINE公式アカウントの活用:
- 無料でできる「不動産相続の簡易診断」などをWebからLINEへ導線を引き、見込み客を中長期的に育成(ナーチャリング)する
AIテクノロジーの活用(空き家検知AI SaaSの導入)
現地調査や手動での謄本取得に頼っていた潜在物件の発掘を、衛星データや画像解析AIで自動化・効率化する最先端のアプローチです。
- 広域からの空き家・空き地AI特定:
- 衛星画像やストリートビュー、各種データ(水道開栓状況等)をAIで解析し、広範囲から「潜在的な空き家・空き地」を自動抽出
- 登記・地権者情報の自動紐付け:
- 検知された空き家の位置情報から登記簿データをシステム上で自動取得・紐付けし、リスト作成の工数を劇的に削減
- 確度に応じたピンポイントアプローチ:/li>
- AIが判定した「放置リスク・売却可能性が高い物件」の所有者に対し、個別最適化した手紙(DM)を送付し反響率を最大化
おすすめの空き家検知・特定AIツール
不動産業界における「空き家・空き地仕入れ」は、現地調査の手間や所有者特定までのハードルが大きな課題です。近年では衛星データ、AI画像解析、水道データ、登記ビッグデータなどを掛け合わせ、広域から効率的に空き家を自動検知・特定できるAIツールが登場しています。
不動産業者が買取再販・用地仕入れ・所有者アプローチに活用できる主なAIツール・サービスをご紹介します。
不動産業者が買取再販・用地仕入れ・所有者アプローチに活用できる主なAIツール・サービスをご紹介します。

空き家検知・特定AIツール 3選
AI空き家・空き地検索サービス「アキヤー」
「アキヤー」は、AI技術を活用して全国の空き家候補や空き地を自動で抽出・提供する物件データ検索サービスです。従来の物件探しの手間や時間を大幅に削減し、効率的な物件探しをサポートしています。
■主な特徴
- AIによる高精度な自動検出
- 衛星画像やAI解析技術を活用し、活用可能な空き地・空き家を自動で検出・ピックアップ
- AI×専門スタッフの検索代行
- 特定のエリアや詳細な条件を指定した個別検索にも対応。AIと専門スタッフが連携し、ご希望に沿った最適な候補を探してくれる
- 効率的な物件探しの実現
- 膨大なデータから自動抽出するため、従来の手作業に比べ時間と労力を大幅に短縮
■検知・特定の手法
- 衛星画像とAI解析技術を用いて空き家・空き地候補を自動検出し、確度(確率)を算出
■仕入れでの強み
- まだ市場に出回っていない独自の物件候補を効率よく発掘
■こんな事業者におすすめ
- 不動産投資家や、駐車場経営・太陽光発電など空き家・空き地の活用を検討している事業者
AI×不動産データの判断支援DXサービス「AKIYA Revolution(アキヤレボリューション)
「AKIYA Revolution(アキヤレボリューション)」は物件情報を入力するだけで、AIが公的統計や人流データなどを掛け合わせ、最適な活用方法や法令適合性、収支シミュレーションを即座に可視化するDXサービスです。
経験や勘に頼らない客観的なデータ根拠を提示できるため、迅速な事業判断と所有者や自治体など関係者間のスムーズな合意形成を実現します。
経験や勘に頼らない客観的なデータ根拠を提示できるため、迅速な事業判断と所有者や自治体など関係者間のスムーズな合意形成を実現します。
■主な特徴
- 判断プロセスの標準化と可視化
- 担当者の経験や勘に依存せず、立地・法令・収支などの判断材料を一元的に可視化
- 選択肢を横断比較できるAIレコメンド
- 売却・賃貸・事業活用(民泊など)の複数シナリオを横断的に比較し、現実的な活用方法を提示
- データとロジックによる合意形成支援
- 公的データや人流データに基づいた客観的な根拠を提示し、関係者間(所有者や自治体など)のスムーズな合意形成をサポート
■検知・特定の手法
- 空き家自体の発見ツールではなく、入力した物件情報と公的統計・人流データ等をAIが統合分析し、最適な用途や収益性を特定・判定
■仕入れでの強み
- 初期費用や用途別収支、法令適合性を瞬時に自動算定できるため、客観的なデータに基づいた迅速かつ精度の高い仕入れ(買取)判断が可能
■こんな事業者におすすめ
- 人的な経験に頼らず客観的な空き家活用提案や買取判断を行いたい不動産事業者や、地域の合意形成を進めたい自治体におすすめ
将来人口動態予測AI「MiraiE.ai」
「MiraiE.ai」は、住民基本台帳や水道使用量などのデータをAI分析し、住戸単位で将来の空き家発生や再入居を高精度に予測するシステムです。
自治体やインフラ企業の管理コスト削減から、不動産事業者による市場流通前物件の早期特定・仕入れまで幅広く活用されています。
自治体やインフラ企業の管理コスト削減から、不動産事業者による市場流通前物件の早期特定・仕入れまで幅広く活用されています。
■主な特徴
- データ活用
- 水道使用量や住民基本台帳などの保有データを活用し、住戸単位での将来の「空き家発生」および「再入居」を高精度(5年後の予測精度92%など)にAI予測
- 空き家の把握を自動化・効率化
- 現地調査などのマンパワーに頼っていた空き家の把握を自動化・効率化し、事後対応から事前対策への転換と大幅なコスト削減を実現
- 幅広い施策活用
- 将来的な空き家の分布予測を基に、インフラ老朽化対策(インフラ更新計画の策定)や水道凍結事故の防止など、幅広い施策に活用
■検知・特定の手法
- 水道使用量の変化パターンや住民基本台帳などのビッグデータをAIに学習させ、居住者のライフスタイルの変化を検知して空き家化を未然に特定・予測
■仕入れでの強み
- 将来空き家になる可能性の高い「予備軍」をデータから早期に予測できるため、市場に出回る前に所有者へアプローチして競合を避けた優位な物件仕入れが可能
■こんな事業者におすすめ
- 空き家対策や老朽インフラの維持管理を効率化したい地方自治体・インフラ企業やマンション管理事業者など
まとめ
今回の「不動産登記規則等の一部改正」は、従来の不動産営業のあり方を根本から問う大きな改訂です。
令和8年(2026年)10月1日の施行まで、残された期間はあとわずかです。
従来の受付帳に依存していると施行直前で慌てることになってしまいます。今のうちから受付帳に頼らない新たな仕入れアプローチを検討し、「次世代の仕入れ・集客システム」の構築を推進していくことが強く求められています。
従来の受付帳に依存していると施行直前で慌てることになってしまいます。今のうちから受付帳に頼らない新たな仕入れアプローチを検討し、「次世代の仕入れ・集客システム」の構築を推進していくことが強く求められています。
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