2026年住所変更登記が義務化!5万円の過料を防ぐ顧客案内のポイント
投稿日 : 2026年02月19日

2026年4月1日からスタートする「不動産の住所等変更登記の義務化」への備えは万全でしょうか。これまで任意だった住所変更の手続きが、改正後は「変更から2年以内」の法的義務となり、正当な理由のない放置には5万円以下の過料が科されます。
本記事では、引渡し後のお客様が不利益を被らないための「顧客案内のポイント」を徹底解説します。2025年4月から先行導入される「スマート変更登記(自動更新)」の仕組みや、新旧制度の境界線となる「2025年4月21日」を基準とした実務上の判断基準も整理しました。法改正をネガティブな制限ではなく、顧客との信頼を深めるアフターフォローの武器として活用しましょう。
Table of Contents
住所等変更登記とは?
不動産登記簿の「権利部(甲区)」に記載されている、所有者の「住所」や「氏名」を、最新の情報に書き換える手続きのことです。
【例】
- 住所変更: 引越しによる住所移転、住居表示の実施、市町村合併による地名変更など。
- 氏名変更: 結婚・離婚による改姓、法人の商号変更など。

なぜ変更登記が必要なの?
登記簿は「誰が所有者か」を公示するものですが、住所や氏名が変わってしまうと、「登記簿上の人物」と「現在の売主(本人)」が同一人物であると証明できなくなってしまいます。そのため、不動産住所等変更登記(正式名称:所有権登記名義人住所・氏名変更登記)をする必要があります。
これまで住所変更登記は、売却時やローン設定時の「ついで」に行う任意の手続きでした。
- 売却時: 所有権移転登記の前に、現在の住民票と住所を一致させる必要があるため。
- 融資利用時: 抵当権設定などの際、金融機関から最新住所への変更を求められるため。
しかし、それを放置し続けた結果、社会全体で深刻な問題が発生しています。
- 「所有者不明土地」問題の深刻化
- 登記簿上の住所が古いまま放置された「所有者と連絡がつかない土地」の増加
- 公共事業や災害復興が進まないほか、民間の土地取引や利活用をも妨げる要因に
- 「いつかやる」では解決できない
- 連絡が取れない土地が放置されると、隣接地への悪影響や治安悪化を招く
- 高齢化が進み住所変更がされない相続が増加すると、所有者の特定がさらに困難(絶望的)になる
これまで「売却時」や「融資時」の変更でも実務上問題はありませんでしたが上述のような問題を解決するため、住所等変更登記を「2年以内の法的義務」へと格上げし、登記簿を常に最新の状態に保つ仕組みへと転換することになりました。
「2026年4月」から義務化スタート
これまでは、売却する予定がなければ「引越し後も住所は古いまま」で放置しても罰則はありませんでした。しかし、改正後は以下の通りルールが変わります。
| 項目 | 改正前(現在) | 改正後(2026年4月〜) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 任意(必要になったらやる) | 法的義務 |
| 期限 | 特になし | 変更から2年以内 |
| 罰則 | なし | 5万円以下の過料 |
| 過去の変更 | 不問 | 2028年3月までに申請が必要 |
いつから、何が変わる?
- 開始日:
- 2026年(令和8年)4月1日より施行開始
- 義務の内容:
- 氏名や住所に変更があった日から2年以内に変更登記をしなければならない
- 対象:
- 不動産を所有している個人または法人
- 過去の変更への適用:
- 施行日(2026年4月1日)より前に生じた変更も対象
- この場合、2028年(令和10年)3月31日までが猶予期間
義務違反をした場合の罰則とは?
正当な理由なく住所等変更登記の変更を怠った場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。ただし、期限内に変更登記を行わなかったからといってすぐに過料の対象となるわけではありません。
■催告プロセス
- 登記官が義務違反を把握
- 本人へ「催告(登記してくださいという通知)」する
- 催告に応じず、正当な理由もない場合に過料手続き(裁判所への通知)を行う

「正当な理由」と認められるケース
これらに該当する場合、2年間の期限を過ぎても「正当な理由」があるとして、直ちに過料が科されることはありません。
- 本人があらかじめ「検索用情報(生年月日など)」を届け出ている、あるいは法人が「会社法人等番号」を登記している場合
- 合併や政令指定都市への移行、住居表示の実施など、自治体側の都合で住所が変わった場合
- 登記の義務を負う本人に、重い病気や怪我などのやむを得ない事情がある場合
- DV(ドメスティック・バイオレンス)やストーカー被害などで、加害者に居場所を知られないよう住民票を移さずに避難している、あるいは登記をあえて控えている場合
- 登記費用(登録免許税や司法書士への報酬など)を支払う余裕がないほど経済的に困窮している場合
知っておくべき「2つの登記ルート」
1.申請による登記(従来のルート)
所有者が自ら、あるいは司法書士を通じて法務局へ申請する方法です。
- タイミング:住所や氏名が変わった後、2年以内に適宜行う。
- メリット:自分のタイミングで確実に登記を最新にできる。
- デメリット:登録免許税や司法書士への報酬、住民票の取得などの手間とコストがかかる。
2.職権による登記(スマート変更登記)
令和7年4月21日より、不動産の所有権(保存・移転等)を登記する際、申請書に所有者の「検索用情報(生年月日など)」を記載して提出することが義務化されます。これにより、法務局が住基ネットや商業登記などの行政システムとスムーズに連携できるようになります。
この連携によって実現するのが、登記官が自ら情報を更新する「職権による登記(スマート変更登記)」です。あらかじめ登録された検索用情報を活用することで、引っ越し等で住所が変わった際も、法務局側がその変更を把握し、登記内容を自動的(職権)に書き換えることが可能になります。なお、同日時点で既に不動産を所有している方も、任意で検索用情報を申し出ることができ、この新しい仕組みの対象となることが可能です。
【個人の場合】
「検索用情報の申出」をすれば、スマート変更登記が利用できます。
「検索用情報の申出」をすれば、スマート変更登記が利用できます。
- 検索用情報の申出(事前準備):
- あらかじめ法務局に「私の氏名・住所・生年月日」を紐付けて登録する
- 法務局による把握:
- 本人が引っ越して住民票を移すと、法務局に通知が届く
- 意思確認(事後の同意):
- 法務局から本人へ「登記を書き換えても良いか」通知(はがき等)が届く
- 書き換え:
- 本人が「はい(同意)」と回答すると、登記官が職権で登記を更新する
【法人の場合】
「会社法人等番号の登記」をすれば、スマート変更登記が利用できます。
「会社法人等番号の登記」をすれば、スマート変更登記が利用できます。
- 自動更新:
- 「会社法人等番号」が登記されていれば、本店移転などの商業登記の内容が本人の同意不要
- 登録免許税もかからずに自動で不動産登記へ反映される
住宅販売後のお客様が直面する「住所変更登記」
売買手続の過程にて発生する変更登記は、これまで通りの案内で支障はありません。ですが、売買・引越し完了、お客様の状況によってはご自身で変更登記を行わなければならないケースも発生します。
売買取引後のお客様へ案内すべき実務シチュエーションを整理しました。
2025年4月21日「以降」に購入・登記したお客様
- 状況
- 職権登記(スマート登記)用情報の提供制度の開始後に登記を行っており、申請書に生年月日等の「検索用情報」を記載済み
- 変更登記
- 完全自動(何もしなくてよい)
- 理由
- すでに住基ネットと登記情報が紐付いているため、引越し(転入届)をすれば法務局が自動で登記を書き換えられる
- 登記申請
- お客様が忘れずに、変更登記の意思確認メールに「合意」する旨を返信する
2025年4月20日「以前」に購入・登記したお客様
- 状況
- 職権登記(スマート登記)用情報の提供制度が始まる前の所有物件で、その後「検索用情報の申し出(任意登録)」を行っていない
- 半年以内に「旧居を売却」する場合
- 変更登記
- 売却決済当日まで待機
- 理由
- 今から任意で検索用情報を登録して自動更新を待つより、決済時に司法書士が移転登記とセットで処理する方が確実
- お客様の手間もかからない
- 登記申請
- 売却決済時に司法書士へ一括依頼
- 変更登記
- 当面「売却の予定がない」場合(転勤・賃貸・空き家など)
- 変更登記
- 今すぐ(義務化への対応)
- 理由
- 変更登記義務化(変更後2年以内の申請)に抵触し、過料(罰金)のリスクがある
- 住所変更と同時に「検索用情報の申し出」を一度済ませれば、次回の引越しからは自動更新の対象になれる
- 登記申請
- スマート変更登記を活用してお客様が申請
- 同時に「検索用情報の申し出」を行う
- 変更登記
名義変更や抵当権抹消が伴う場合
- 状況
- 離婚による分与やローン完済後の抹消が必要なケース
- 変更登記
- その登記の申請時
- 理由
- 住所変更をしないと、名義変更や抹消登記が受理されない
- 登記申請
- 司法書士へ一括依頼
- 今後の自動更新のために「検索用情報の登録」もあわせて依頼する
お客様への日付ベースの確認表
| 不動産の取得日 | 検索用情報の登録状況 | 引越し後の対応 |
|---|---|---|
| 2025年4月21日 以降 | 原則として登録済み | 自動で書き換わります |
| 2025年4月20日 以前 | 原則として未登録 | 売却時まで待つか、手動で登録 |
まとめ
2026年4月から開始される住所等変更登記の義務化は、不動産実務に携わる事業者にとって、コンプライアンス遵守と顧客満足度向上の両面で極めて重要な転換点となります。これまで任意だった手続きが「変更から2年以内」の法的義務となり、正当な理由のない放置には5万円以下の過料が科されるため、プロとしての正確な案内が欠かせません。
特に「スマート変更登記」などの新制度を正しく理解し、媒介契約時やアフターフォローの際に適切なアドバイスを行うことは、書類不備によるトラブルを未然に防ぐだけでなく、顧客との長期的な信頼関係を築く絶好の機会となります。所有者不明土地問題という社会課題の解決に寄与しつつ、この法改正を新たなコンサルティングの武器として、日々の実務に活かしていきましょう。
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