高く売るには?投資用不動産・収益物件の売却時の流れや注意点の全知識

投稿日 : 2025年01月20日

一般的なマイホームと、投資用のアパートやワンルームマンションとでは税金の扱いや売却方法、価格の決まり方が違ってきます。

投資用不動産を売却をスムーズに行うためには、投資用不動産特有の売却を知る必要があります。

投資用不動産の売却に関する悩み

・投資用不動産特有の売却方法とは?

・投資用不動産売却後に考えなければいけない税金とは?

今回は、投資用不動産売却の流れから売却価格・売却費用やタイミング、売却にかかる税金や確定申告などの税金の取り扱い方について説明します。

投資用不動産の売却に関するまとめ

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投資用不動産を売却する時の主な流れ

まずは投資用不動産売却をする時の主な流れを見ていきましょう。

投資用不動産に関する売却の流れ

価格査定

一番最初に価格査定を行いおおよその売却予想価格を知っておくこと が必要です。

価格査定=不動産会社で売却予想価格を出してもらうこと

査定価格とはあくまでも売却予想価格ですが、それぞれの不動産会社の経験や実績によって違ってきます。

「高い査定が出せる」=経験や実績がある ということなので、より高く売却できる不動産会社を探すために複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。

経験豊富な不動産会社と巡り合うために、一度の問い合わせで最大6社の不動産会社から無料で査定が取れる「一括査定サイト」を利用することをオススメします。

不動産一括査定サイトの特徴の詳細をより見たければ下記記事も参考にしてみてください。

【2025年】不動産一括査定のおすすめランキング!27サイトを徹底比較

媒介契約の締結

媒介契約=不動産会社に依頼する仲介の契約のこと

媒介契約には「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。

媒介契約について

比較項目 専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
他社との契約 × ×
売主と買主の直接取引 ×
契約有効期限 3ヶ月以内 3ヶ月以内 3ヶ月以内
売却依頼できる会社 1社 1社 制限なし
※レインズ登録 5営業日以内 7営業日以内 任意
業務処理 1週間に1度 2週間に1度 なし
補修サービスの利用 ×
買取保証の利用 × ×

※出典:国土交通省ホームページ

不動産会社をなかなか決められない時は、一般媒介契約をすることで複数の不動産会社に依頼することができ 、筆者のおすすめです。

不動産会社への仲介手数料は成功報酬となります。

例え複数の不動産会社へ依頼したとしても発生する手数料は実際に売買した不動産会社一社に対してのみとなる ため余計なコストがかかる心配はありません。

売却活動の開始

不動産会社との媒介契約を結んだあと早速売却活動の開始です。

買主が決まるまではおよそ3ヵ月程度 見ておくと良いでしょう。

また、投資用不動産のする場合、事前に借主に対して了解を取る必要はありません。

借主に対しては売却が全て終了した後、地位承継通知という手続きによって「オーナーチェンジ」が行われたことを知らせることになります。

オーナーチェンジ=賃貸借契約が継続中の物件の所有権が移転すること

売買契約の交渉と締結

不動産売却において、一般的に売買契約と引き渡しの間に買主がローン審査を通すため、およそ一ヶ月程度 かかります。

また売買契約の際、売主は手付金として代金の10%程度を買主から受領することになります。

引き渡しと残代金受領

売買契約からおよそ一ヶ月後に引き渡し が行われます。

その際、手付金を除いた残金を買主から受領します。

投資用不動産の売却の特徴そして、敷金の精算があります。

借主から預かった敷金の返済義務が買主へ継承されるため、引き渡し時に敷金の生産として、敷金に相当する額を売買代金から減額する必要があります。

確定申告について

投資用不動産の売却で税金税金を払わなければいけない場合、売却した翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告しなければいけません。

税金と確定申告について「投資用不動産売却の税金と確定申告」で詳しく解説いたします。

以上投資用不動産売却の大まかな流れを解説しました。

続いて売却価格や費用、税金について説明します。

投資用不動産の売却価格の決定方法

マイホームと投資用不動産の売却価格の査定方法には以下のような違いがあります。

・マイホームの場合:取引事例比較法=周辺の取引相場の不動産の市場性から価格を決定

・投資用不動産の場合:収益還元法=不動産の投資採算性に着目して価格を決定

収益還元法によって求められる価格を収益価格と呼びます。求め方は以下の通りになります。

収益価格 = 純収益(NOI) ÷ 利回り(NOI利回り)

収入から費用を差し引いたものを純収益と言い、NOI(Net Operating Income:ネットオペレーティングインカム)と呼ばれます。

純収益(NOI) = 年間収入 - 年間費用

NOIを求めるとき、以下のような年間費用が必要となります。

・仲介手数料や広告費用と言った入居者募集費用

・管理委託料などの管理会社への費用(PMフィー)

・入居者入れ替え時の軽微な修繕費

・損害保険料(火災保険や地震保険)

・固定資産税、都市計画税などの税金

収益還元法は、不動産そのものの収益性を重視して価格を決めるため、NOIが小さくなる管理費や修繕費が高い物件は価格も低くなります。

続いて投資用不動産売却にかかる費用について解説します。

投資用不動産売却にかかる費用

投資用不動産を売却するためには様々な費用が必要です。

そのうち最も大きなものは仲介手数料 です。

必要な費用は売却額の約3.5%となりそのうち仲介手数料は3%ほどです。

次に投資用不動産を売るベストタイミングを解説します。

投資用不動産売却の売り時について

投資用不動産売却は、金利が低いときが最もおすすめのタイミングです。

収益還元法の分母であるNOI利回りが金利と連動しているため、金利が低くなるとマンション価格が上がります。

NOI利回りは、不動産リスクプレミアムと金利の合計により算出されます。

NOI利回り=不動産リスクプレミアム+不金利
不動産リスクプレミアム=立地や築年数等の要素を投資家がリスクとして見積もった概念的な数値のこと

不動産リスクプレミアムを一定とした場合、NOI利回りは金利が低くなるほど小さくなります。

よって、NOI利回りが小さくなれば、収益価格も高くなるため、金利が低い時期が売れ時と言えるでしょう。

次に投資用不動産売却の際の消費税の扱い方について解説します。

投資用不動産売却の消費税の扱い方

投資用不動産はアパートと一戸建ての場合、土地と建物ではそれぞれ税金の扱い方が違います。

・土地価格…誰が売り主でも消費税は発生しない

・建物価格…誰が売り主でも消費税が発生する

このように建物と土地で税金が変わり土地価格には売主が個人、法人にかかわらず消費税が発生することに注意しましょう。

土地と建物の内訳の決定方法は、一般的には固定資産税評価額によって振り分けますが、国税庁は「合理的な方法であれば良い 」としています。

消費税の決定

消費税の免税事業者の中には、内税を選択する人もいますが、消費税の課税事業者の多くは外税を選択 します。

また、たとえ個人であっても不動産賃貸業を行っている人は事業者に該当します。

免税事業者=基準期間に課税売上高が1,000万円を超えていない事業者で、建物売却の消費税が含めて納税の義務はありません。

免税事業者の人は実質的には消費税を意識する必要がないことから、売り出し価格を内税にして売却する人も多くいます。

基準期間は、法人なら原則前々事業年度、個人事業主なら前々年が対象となります。

建物の売却は課税売上となるため、課税事業者の人は通常通り、消費税を納税することが必要 です。

次に投資用不動産売却後の確定申告と発生する税金について説明します。

投資用不動産売却後の確定申告と税金

投資用不動産売却で譲渡所得が発生するとを払わなくてはいけません。

以下の計算式で譲渡所得を算出します。

譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(仲介手数料等)

※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額

譲渡価額は売却価額です。

譲渡所得算出後、プラスになれば税金を支払う義務が発生するので確定申告を行います。

確定申告は売却した翌年の2月16日~3月15日に行います。

ただし、譲渡所得がマイナスの場合税金は発生しないので、確定申告の必要はありません

譲渡所得を算出するポイントは取得費をきちんと求めることです。

取得費とは、購入額のことではなく、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額のこと

投資用不動産を持っている人は、通常、毎年確定申告を行っています。

確定申告では、減価償却費を費用として計上し、建物の年初未償却残高を求めます。

投資用不動産を売却する際は、青色申告決算書または収支内訳書で記載している「建物年初未償却残高 」を用いるので、減価償却計算をする必要はありません。

よって、以下のように譲渡所得を算出します。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 = 譲渡価額 - (土地購入価額+建物年初未償却残高) - 譲渡費用

税金は譲渡所得に税率をかけて求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は、売却する年の1月1日時点で所有期間が5年以下のときは短期譲渡所得、1月1日時点で所有期間が5年超のときは長期譲渡所得と分類されます。

復興特別所得税の税率は、所得税の2.1%です。

確定申告が必要となった場合、以下の書類を用意しましょう。

  • 売却物件の売買契約書の写し
  • 売却物件の購入時の売買契約書の写し
  • 仲介手数料や印紙代などの金額が分かる書類
  • 譲渡所得計算証明書

ポイントは「売却物件の購入時の売買契約書の写し 」を保管しておくことです。

確定申告に必要な書類なので間違って処分しないよう注意しましょう。

続いて物件の種類ごとの注意点とポイントについて説明します。

物件の種類別の注意点・ポイント

以下の物件について注意点・ポイントを解説します。

物件ごとの注意点
  • アパート
  • 一棟マンション
  • 区分所有マンション
  • 店舗
  • オフィス

アパート売却時の注意点

サブリース契約は必ず解約

アパート売却のポイントは、家賃保証のサブリースしている物件は「サブリースを解約してから売る」こと です。

収益性が低くなるサブリース契約は売却価格が低くなってしまいます。

高く売るためには通常の管理委託方式に切り替え、満室の状態にすることが必要です。

管理委託方式の管理料の相場は、家賃収入の5%程度 です。

また、古いアパートで1~2戸しか入居していない場合は、空き家にした方が高く売れるため入居者を立ち退かせる方法もあります。

一棟マンション売却時の注意点

修繕履歴を明確にしておく

一棟マンションを売却する場合、きちんと「修繕履歴」を作ることで、いつ、何を修繕したかを明確にすることが高く売るポイントです。

以下のように、簡単に記録しておくとだけでもいいでしょう。

  • 「2018年 外壁塗装実施」
  • 「2022年 屋上防水実施」

区分所有マンション売却時の注意点

入居者が入っている状態で売却する

区分所有マンションの場合、入居中の状態で売却するのがポイントです。

空室の状態でマンションを売りに出すと、投資家が賃料を低めに概算してしまい、値引き交渉のうえ大きく値下がりする可能性があります。

賃貸に出しても埋まらないときは、フリーレント(入居当初数ヶ月の賃料を無料とするサービス)を使って空室を埋めてから売りに出しましょう。

店舗売却時の注意点

敷金・保証金の充当履歴の確認

店舗の売却のポイントは、「敷金・保証金の充当履歴を確認」です。

補償金が多額で契約期間が長い店舗は、売却時に敷金や保証金がテナントの家賃不払い等の一部の債務不履行に充当される可能性があります。

そのため収益物件の売却では、敷金や保証金の額の一部を既に充当している場合、充当後の残額が買主へ引き継がれることになります。

契約期間が長いの店舗は、売却前に保証金、敷金の充当履歴を再度確認するようにしましょう。

オフィス売却時の注意点

不可使用料の精算法を明確にする

オフィスの売却では、「付加使用料」と言われる専用部分の水道光熱費などの精算方法を明確にしましょう

オーナがビル全体で支払うオフィスの水道光熱費などは、売買において精算の対象になります。

その際の注意点は以下のようになります。

  • 水道光熱費の清算方法は任意のため、買主と協議して精算方法を決定する
  • 水道光熱費の請求は翌月となるため、売却後買主との間で清算額を調整する

※引渡日にテナントの当月水道光熱費を確定しておきましょう

投資用不動産を売却するならまずは「査定依頼」しましょう

投資目的の収益物件売却は、不動産会社に査定してもらうところから始まります。

主な買主である投資家は、収益物件をメインで扱っている不動産会社で物件を探すことが多いため多くの投資家を抱えている不動産会社に頼むのが効率的と言えるでしょう。

査定額はあくまで、不動産会社がいくらで売れそうなのかを算出した価格です。

収益物件は、収益性や賃料収入など様々な要素を加味するため、不動産会社ごとの実績や算出方法により、査定額が違ってきます。

よって、大切なのは査定は複数の不動産会社に依頼して、比較検討することです。

しかし、複数の不動産会社を自分で調べて、1社ずつ何度も査定依頼を進めるのはとても大変です。

そこで筆者がおすすめしているのが「不動産一括査定サービス(サイト)」です。

一括査定サイトの流れ

あなたの不動産に強い不動産会社を知ることができるので、高く・早く売ることができる可能性がグッと上がります。

最適な不動産会社が見つかる仕組み

そんな不動産一括査定サイトですが、提携している不動産会社がそれぞれ異なり、エリアごとにおすすめが異なります。

不動産一括査定サイトの選び方

・都市部、政令都市や地方都市:「すまいValue」と「HOME4U」か「スーモ」との併用
・田舎・地方:「HOME4U」と「イエウール」の併用

それぞれのサイトの詳細を知りたければ、下記記事で詳しく説明していますので参考にしてみてください。

【2025年】不動産一括査定のおすすめランキング!27サイトを徹底比較

まとめ

いかがでしたか。

この記事では投資用の不動産売却について紹介してきました。

この記事をまとめますと、、、

投資用不動産の売却に関するまとめ

この記事によってあなたの疑問や不安が少しでも解消されると幸いです。

この記事の監修者
石川 貴裕
愛知県で企業勤めをしながら、親族の不動産会社にて不動産売買を経験。自らマンションを7棟、太陽光発電を1基を所有しており、不動産売買も実体験している。現在は、合同会社ラビッツにて不動産や中古車の情報メディアを運営、企画をしている。また、数々の不動産や中古車メディアの執筆・監修を行っている。
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