敷地調査の重要ポイント5選!不動産事業者が知っておきたい事前調査の大切さ

投稿日 : 2023年09月19日

敷地調査は、建物の建築を具体的に検討する上で大切な調査です。

確認事項や注意点が多いため、頭の中を整理しておきましょう。ここでは、敷地調査の重要性や特にチェックしておきたい5つのポイントについて解説します。

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敷地調査ではどんなことを調べる?

敷地調査は、役所調査・測量・地盤調査の3種類です。まずは、それぞれの調査内容について解説します。

役所調査

役所調査とは、法務局や役所へ出向いて権利関係・法令上の制限などを確認する作業です。

不動産の権利関係や法令上の制限は複雑なため、所有者でさえ認識していない事柄もあります。そのような隠れた情報を把握するための調査です。

確認すべき事柄は多岐にわたり、ケースバイケースです。具体例を以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

法務局
  • 登記簿謄本、公図、地積測量図の取得
  • 施主様以外の所有者や抵当権の有無の確認

 

役所
  • 建築に関する法令上の制限(建ぺい率、容積率、高さ制限など)
  • 前面道路と敷地の関係
  • 上下水道引き込みの有無、本管の口径

測量調査

土地の現況を把握するための測量も重要です。測量といっても複数の種類がありますが、敷地調査に関連する測量には、現況測量と境界確定測量があります。

  • 現況測量:土地の現況を把握するための測量
  • 境界確定測量:隣地所有者立ち会いのもと、境界を確定させた上で行う測量

新築時には現況測量が多く用いられますが、ケースバイケースです。状況に応じて対応しましょう。

例えば、都市部の土地は1㎡あたりの単価が高額なため、僅かな誤差でも売買価格に大きく影響します。境界が確定していないと隣地所有者とのトラブルが生じやすいこともあり、近年では買主が境界確定測量を求めるケースも珍しくありません。

隣地所有者の協力が必要な場合、日程調整に時間がかかります。どのような測量が必要なのかを、早い段階で確認しておくとよいでしょう。

地盤調査

地盤調査の目的は、地盤改良工事の要否を調べることです。建物は基礎に支えられ、基礎は地盤に支えられています。建物の耐震性も重要ですが、地盤そのものが弱いと建物の重さに耐えきれずに地盤沈下が生じるリスクがあります。

建築時に行われる地盤調査は、スクリューウェイト貫入試験(SWS試験)と呼ばれるものです。おもりを用いて沈み具合を確認する方法で、地盤の強度を調査します。

敷地調査が重要な理由

敷地調査は、問題点の早期発見や施主様とのトラブル防止のために重要です。建築時は各種法令や条例を遵守する必要があり、所有者本人ですら認識していない事実が露見するケースもあります。

敷地調査をせずに手続きを進めた場合、以下のような問題が生じかねません。

  • 住宅を新築するために購入した土地なのに、法令上の制限で希望の間取りを実現できない
  • 相続した土地に他の所有者がいたため、新築の同意を得られない
  • 想定外の工事が必要になり、当初の予算よりも費用が高額に

土地の特性を最大限に生かし、施主様の理想を実現できるかどうかを正確に判断するために、敷地調査を行います。

敷地調査で特にチェックすべき重要ポイント5選

敷地調査での確認事項は非常に多く、対象の土地や建築予定の建物によっても注意すべき項目が異なります。

ここでは、敷地調査で特にチェックしておきたい重要ポイントを5つに厳選して解説しましょう。

法令上の規定や制限

建築時にはさまざまな法令を考慮する必要がありますが、大きく関連する法律は都市計画法と建築基準法です。

  • 都市計画法:住みやすい街づくりのための法律
  • 建築基準法:人々の命や健康を守るため、建築物に関する最低基準を定めた法律

両者は異なる法律ですが、建蔽率や容積率、高さ制限など建築時の規制に関して類似の内容が定められています。また、敷地によっては農地法や条例などその他法令等による制限がかかることもあるでしょう。

ここでは、法令上の規定・制限の重要ポイントを以下にまとめました。あくまでも一例ですが、敷地調査の参考にしていただければと思います。

地域・区域区分などに関する規定
  • 都市計画区域の区域区分:市街化調整区域か否か
  • 用途地域:建築予定の建物にふさわしい地域かどうか
    例:用途地域は全13種類に分類され、そのうち住宅の建築が可能な地域は12種類です。ただし、商業地域や近隣商業地域など閑静な住宅街に住みたい方にとって不向きな地域も含まれます。
  • 地目:宅地か否か(農地の場合は、転用の許可申請が必要)
  • 高度地区:建物の高さ制限

 

建築に関する規定・制限
  • 高さ制限:斜線制限、日影規制の有無
  • 前面道路との関係:セットバックの要否
  • 建蔽率:敷地面積に対する建築面積の割合
  • 容積率:敷地面積に対する建築物の延べ床面積の割合

道路との高低差

敷地によっては、隣接している道路と敷地の間に高低差が生じているケースがあります。高低差がある場合、斜面の崩落を防ぐための擁壁工事が必要です。事前に現地を確認しておきましょう。

建築基準法(第19条・第4項)では、以下のように定められています。

“建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。”

そして、各自治体では「がけ条例」と呼ばれる条例を定めています。具体的には、高低差が2mを超える崖の崖下や崖上に建築する場合、崖から一定期間離して建築すること、または擁壁をたてることといった内容です。

がけ条例による制限は自治体によって異なるため、各地域の自治体へご確認ください。

すでに擁壁工事が行われている場合でも注意が必要です。一般的に、擁壁はコンクリートでたてられ、地中にたまった雨水を抜くための水抜きが設けられています。

水抜きが機能していない場合、中にたまった水の水圧で擁壁が壊れることがあります。安全性が確保できない場合は、擁壁工事が必要です。

参考:e-GOV法令検索_建築基準法

敷地の広さや形状

建物を建築する際は、敷地の広さや形状を正確に把握しなければなりません。公図や施主様が所有している図面でも、広さや形状の確認は可能です。

ただし、測量当時から年数が経っている場合、現在の測量技術よりも正確性に欠けるため、現況の面積と誤差が生じる恐れがあります。

また、測量時は敷地の面積だけでなく、以下3つのポイントも併せて確認しましょう。

  • 境界線の有無
  • 越境の確認
  • 敷地内の高低差

建設工事には、トラックやクレーンなど大掛かりな重機が必要です。重機の搬入が可能かどうか、間口や前面道路の広さも確認しておきましょう。搬入が困難な場合、人の手で作業する範囲が増えるため、工事費用が増額する恐れがあります。

敷地周辺の環境

住宅を建築する場合、快適性やプライバシーの保護、安全性など多角的な視点での調査も必要です。

  • 上下水道、ガス、電気、電話線の状況
  • 隣家の窓の位置
  • 風向き
  • 日当たり
  • 道路からの騒音や振動
  • 近隣の店舗や施設
  • 前面道路の広さ(車の出し入れのし易さ)

例えば、敷地内の上下水道の引き込み有無だけでなく、本管の口径を確認することも重要です。本管があっても口径が細く、引き込みができないケースがあります。

建物のリフォームはできても、立地は後から変更できません。細かい項目が多いため、施主様と一つ一つ確認しておきましょう。

地盤強度

地盤強度は施主様の健康や命に関わる事柄です。地盤調査によって地盤改良工事の要否を確認するだけでなく、土地の特性や履歴を確認することもポイントです。

例えば、以下の地域は地盤沈下・液状化リスクの高い地域と言われています。

  • 後背湿地や旧河道
  • 小さな池や沼、田畑を埋め立てた地域
  • 切土や盛土が混在している土地

地盤調査だけでなく現況や履歴を確認し、将来的なリスクを把握することも大切です。

まとめ

敷地調査は、建築後のトラブル防止のために重要なステップです。役所での調査と現地確認は、いずれも確認事項が多岐にわたります。

敷地や建築予定の建物、施主様の希望に応じて、チェックポイントを整理しておきましょう。