不動産コンサルタントになるには?必要資格や仕事内容、年収を解説

投稿日 : 2023年05月08日/更新日 : 2023年06月04日

不動産コンサルタント

現在工務店や不動産会社で働いている場合には、将来的に不動産コンサルタントになりたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

所有する物件の運用や管理、処分で悩みを抱えている場合に相談できるのが「不動産コンサルタント」です。

しかし、実際に不動産コンサルタントになるにはどうすればよいのでしょうか。

そこで本記事では、不動産コンサルタントの概要や業務内、コンサルティングの種類・流れ、費用相場などについて解説します!

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不動産コンサルタントとは

不動産コンサルタントとは

不動産コンサルタントは、公益財団法人不動産流通推進センターの認定資格である「不動産コンサルティング技能登録証」を所持する有資格者のことです。別名で、公認不動産コンサルティングマスターとも呼ばれます。

国家資格でこそないものの、国土交通大臣の登録を受けて認可される公的資格の1種です。不動産に関する知識のない顧客が不利益を被ることがないように、守ることが目的で創設されました。

不動産コンサルタントを名乗るには、不動産コンサルティング技能試験合格後、登録要件である「実務経験5年以上」をクリアする必要があります。

不動産コンサルティング試験の受験資格は以下のとおりです。

下記いずれかの国家資格登録者の方

  • 宅地建物取引主任者
  • 不動産鑑定士
  • 一級建築士

引用元:公益財団法人 不動産流通推進センター|公認 不動産コンサルティングマスター

上記のような国家資格は、そもそも取得難易度が高い資格です。

比較的取得しやすいとされているのは宅地建物取引主任者ですが、現在は宅地建物取引士と呼ばれ、弁護士や税理士などの「士業」の一種になっています。

これらの国家資格を持たないとそもそも受験資格がなく、さらに試験では宅建試験にはない経済・金融、建築、税制など、幅広い知識が問われることになる難関資格です。

不動産コンサルティングには2種類がある

事業内容

不動産コンサルタントが行うコンサルティング方法は、大きく以下の2つに分けられます。

  • 提案型
  • 問題解決型

提案型

提案型は、適正に利用できていない土地の活用方法、建築工事、土地売却などの方法を提案する手法です。

依頼者の持つ不動産に関する調査を行って包括的把握をしたうえで分析し、検証レポートを作成します。そのうえで有効活用方法が書かれた提案書を作成する流れです。

依頼者は不動産コンサルタントの提案をもとに今後の対応を検討することになります。

実際に有効活用する際は不動産コンサルタントがサポートも行いますが、「何もしないことが最良」と判断した場合はその旨を提案することもあります。

問題解決型

問題解決型は、不動産に関する権利の調整・整理といった諸問題を解決する手法です。

「遺産相続争い」「土地所有権」などについて権利が不健全な状態が発生している場合、不動産コンサルタントに依頼して権利を明確にして紛争の解決を目指します。

例えば、貸宅地と借地権の場合、貸主と借主の関係にあたり利害関係が相反することから、感情的な紛争につながることも考えられます。

取り扱いの難しい底地・借地の問題に不動産コンサルタントが仲介に入ることで問題解決に寄与します。

あるいは相続の際に物納制度を活用した納税対策などを、お客様に提案することもあるでしょう。その際は相続税納財源を検証して不動産を整備、納税のサポートまで一括して行います。

不動産コンサルティング会社のサービス内容

コンサル内容

不動産コンサルティングの種類はコンサルティング会社によって異なりますが、大まかな点では共通する部分も多くみられます。

代表的なコンサルティング業務については、以下のようなものがあります。

不動産の調査・分析 コンサルティングに必要な土地・不動産の調査
売買仲介 不動産の特性からターゲットを把握した仲介を実施
不動産有効活用 お客様のニーズに応じ、安全性・収益性の高い不動産情報を提供
貸宅地の整備・交渉代行 底地・借地の問題を解決させる交渉の代行
相続対策・納税サポート 収益性の低い物件を相続税に充てる等の納税サポート
賃貸仲介・賃貸経営 収益性の目安となる「DCR」を試算して、対象不動産が投資先として優良かどうかを判断。優良資産にするための具体的な施策をコンサルティング

不動産コンサルティングの相談の流れ

無料相談

不動産コンサルティングの内容によっても進め方は異なりますが、基本的な流れはほとんど変わりません。

お客様から依頼を受けてから、以下のような流れで進行するのが一般的です。

  1. 現状分析と課題提案
  2. 解決策(ソリューション)の提案
  3. お客様の意向を汲んだスキームの実行
  4. アフターフォロー

お客様からの依頼を受けて最初に取り組むことは、保有不動産の調査です。

続いて不動産価値の評価を行い、課題・問題点を浮き彫りにします。物件ごとの課題をお客様と共有して解決策を提案し、解決策がまとまれば土地の有効活用を実施する流れです。

アフターフォローではスキームによって発生した取引に関する税務申告に対応するほか、その他の個別フォローも行います。

不動産コンサルタントの平均年収は?

不動産コンサルタントの平均年収は、600~800万円と言われています。

ただし、大手・中小企業、個人経営かによっても異なりますし、都心か地方かによっても年収は違ってきます。また、経験年数によっても、収入は変わってきますよね。

不動産コンサルタントになるには国家資格が必要となるため、資格手当の対象になったり、成果報酬がもらえることもあるでしょう。

しかし、サラリーマンの平均年収が400万円であることを考えると、高収入といえるのではないでしょうか。

不動産コンサルティングの費用相場

料金

不動産コンサルティングの報酬体系は、大きく以下の4つに分けることができます。

  • 時間制
  • 成果報酬
  • 案件別
  • 顧問契約

それぞれで報酬の発生事由や金額が異なるので、契約前には報酬体系を吟味することも重要です。

時間制の場合

時間制は文字通り、コンサルティングにかかった時間で請求額が決まる方式です。基本的に1時間単位で単価が決まっています。

報酬は不動産コンサルタントの知識・経験・実績によっても変わりますが、1時間あたり5,000円程度が1つの相場です。

時間で料金が積み上がるので費用をイメージしやすいメリットがある一方、成果報酬に関係なくコストになってしまう点が依頼者にとってはデメリットに感じさせてしまう点には注意が必要です。

また時間制とは別に、後述する「案件別」を採用して報酬を設定する不動産コンサルタントもあります。

成果報酬型の場合

不動産コンサルタントの報酬体系は成果報酬型が採用されることが一般的です。コンサルティングの最後に、それまでの成果に応じた報酬が請求されます。

成果が発生して依頼者に利益がもたらされた場合のみ報酬が発生するため、依頼者にとってメリットが大きい方式です。

不動産売買の場合は売買価格×〇%という報酬体系ですが、〇%に当たる部分はコンサルタントごとに異なります。一般的には5~15%あたりが相場です。

ただし、コンサルティングの成果が明確な形で現れるわけではありません。何をもって「成果」になるかを契約前にきちんと説明し、依頼者に理解いただくことが重要です。

案件別の場合

依頼案件によって料金が決まっている方式です。

複数の案件を依頼すると費用がかさむことになるので、依頼件数が少ない依頼人にメリットが大きい方法といえます。

1件あたり約50,000円が1つの相場とされています。

顧問契約の場合

顧問契約を締結したうえで不動産コンサルタントが定期的に不動産に関する相談を受け、それに対してアドバイスを行います。

「長期的に継続したアドバイスが欲しい」というケースで利用されることが多く、報酬は年間10万円程度が相場です。

まとめ

まとめ
本記事では、不動産コンサルタントの概要やコンサルティングの種類・流れ、費用相場などについて解説しました。

不動産コンサルタントの業務は主に「提案」「問題解決」に大別でき、依頼されたお客様の希望に沿うソリューションを提供できるように物件の調査・解決策の提案・スキームの実行・アフターフォローまでの業務を行います。

不動産コンサルタントを目指すのであれば、まずは上記でお伝えしたような国家資格を取得し、実務経験を積む必要があります。すぐになれるものではありませんが、ご自身のキャリアを考えた際に有利になることも多いのが不動産コンサルタントです。

宅地建物取引士に関しては、こちらのコンテンツも参考にしてみてください。

この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。
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