共働き世帯の心を掴む!ペアローン・収入合算であなたの提案力が劇的に変わる
投稿日 : 2025年06月20日

近年、夫婦で家計を支える共働き世帯が増加し、住宅価格の高騰が続く中、多くの方が住宅ローンを夫婦で協力して組むことを検討されています。特に首都圏の新築分譲マンションの平均価格は、2021年度(2021年4月〜2022年3月)に6,360万円(引用元:株式会社 不動産経済研究所)を記録し、これは3年連続の上昇でバブル期を超えて過去最高を記録しました。直近では、2025年4月の平均価格が6,999万円に達していますが、これは前年同月比で8.7%の減少を示しています。
このような状況において、世帯年収を最大限に活用できる「ペアローン」と「収入合算」は、住宅購入を実現するための重要な選択肢です。実際、住宅金融支援機構による2024年4月の調査では、住宅ローン利用者の約4割(ペアローン22.8%、収入合算15.4%)がこれらの方法を利用していることが明らかになっています。(引用元:住宅金融支援機構)
このような状況において、世帯年収を最大限に活用できる「ペアローン」と「収入合算」は、住宅購入を実現するための重要な選択肢です。実際、住宅金融支援機構による2024年4月の調査では、住宅ローン利用者の約4割(ペアローン22.8%、収入合算15.4%)がこれらの方法を利用していることが明らかになっています。(引用元:住宅金融支援機構)
本記事では、住宅販売事業者の皆様がお客様へ最適な提案を行うための基礎知識として、ペアローンと収入合算の仕組み、それぞれのメリット・デメリット、そして主要金融機関の具体的な取り扱いについて徹底解説します。
Table of Contents
増加する共働き世帯における住宅ローン選択の重要性
現代の住宅購入において住宅ローンの利用は一般的であり、特に20代・30代ではペアローンを利用する割合が高い傾向が見られます。
自宅を自身で購入した人のうち、全体で76.3%が住宅ローンを利用しており、特に30歳代では85.4%と高い比率を示しています。さらに、住宅ローンを組んで住宅を購入した世帯において、全年代では49.5%が「頭金ゼロ、もしくは1割程度」で自宅を購入しており、30歳代ではこの割合が61.4%に達しています。(引用元:三井住友信託銀行 三井住友トラスト・資産のミライ研究所以下、ミライ研究所)
自宅を自身で購入した人のうち、全体で76.3%が住宅ローンを利用しており、特に30歳代では85.4%と高い比率を示しています。さらに、住宅ローンを組んで住宅を購入した世帯において、全年代では49.5%が「頭金ゼロ、もしくは1割程度」で自宅を購入しており、30歳代ではこの割合が61.4%に達しています。(引用元:三井住友信託銀行 三井住友トラスト・資産のミライ研究所以下、ミライ研究所)
このような背景から、単独の収入では希望の物件に手が届かない場合でも、夫婦の収入を合算して借入可能額を増やす「ペアローン」や「収入合算」といった借入形態が注目されています。住宅金融支援機構の2024年4月調査によると、住宅ローン利用者の約4割(38.2%)がペアローン(22.8%)または収入合算(15.4%)を利用しています。ミライ研究所の調査によると20歳代ではペアローンの利用が約1.7割(16.5%)を占め、これは全年代のペアローン利用比率10.8%の約1.5倍となっており、若い世代での利用が増加していることが分かります。
また、ペアローンを利用した場合の当初借入額は、単独ローンに比べて高額になる傾向があり、特に20歳代では単独ローン比で150%超の水準となっています。これらのデータは、共働き世帯がより高額な住宅を購入する際に、夫婦の収入を合算する形態が不可欠な選択肢となっている現状を裏付けています。
ペアローンと収入合算の基本と構造

住宅ローンを夫婦で協力して組む方法には、主に「ペアローン」と「収入合算」の2種類があります。それぞれの特徴と仕組みを理解することは、お客様への適切なアドバイスに繋がります。
ペアローンとは?その特徴と仕組み
ペアローンとは、同一の物件に対して夫婦や親子などがそれぞれ住宅ローンを契約し、お互いが相手の債務に対する連帯保証人となる借入形態を指します。
連帯保証人
債務者が返済できなくなった場合、債務者と同じ返済義務を負う人。
この方式では、各々が独立したローン契約を結ぶため、住宅ローン契約は計2本となります。また、購入する住宅の所有権は、それぞれの借入金額に応じて共同名義(持分比率)で保有するのが一般的です。近年では、婚約者、事実婚のパートナー、さらには同性パートナーもペアローンの対象として認められる金融機関が増えています。
持分比率
不動産を複数人で所有する際の、それぞれの所有権の割合。
収入合算とは?その特徴と仕組み
収入合算とは、申込人(主たる債務者)の収入に、配偶者や親族の収入を合算して、1本の住宅ローンを組む方法です。この方式では、住宅ローン契約は1本となります。収入合算者は通常、連帯保証人となり、債務を負うのは主たる債務者ですが、主たる債務者が返済できない場合には連帯保証人が返済義務を負います。
連帯債務者
複数の人が連名で一つの債務を負う契約形態。連帯保証人とは異なり、最初から全員が返済義務を負う。
住宅の持分については、原則として申込人名義が100%となるケースが多いですが、収入合算者が自己資金を拠出した場合には、その金額に応じて持分を持つこともあります。フラット35の場合、収入合算者は連帯債務者となります。また、婚約者、内縁関係にある方、同性パートナーの方も収入合算の対象に含まれることがあります。
ペアローンと収入合算のメリット・デメリットを徹底比較

ペアローンと収入合算は、それぞれ異なるメリットとデメリットを持ちます。お客様のライフプランに合わせて最適な選択ができるよう、詳細に比較検討することが重要です。
借入可能額と選択肢の広がり
■借入可能額の最大化
ペアローン最大のメリットは、借入可能額を大幅に増やせる点です。夫婦それぞれが独立したローン契約を結ぶため、両者の収入を最大限に評価し、単独で借り入れる場合の約2倍の金額を借りられる可能性があります。これにより、お客様はより希望に近い高額な物件を選んだり、オプションを追加したりする選択肢が広がります。
一方、収入合算の場合も単独より借入可能額は増えますが、金融機関によっては合算できる金額に上限が設けられていることがあります(例えば、申込人の収入の1/2までなど)。三菱UFJ銀行の試算例では、夫婦それぞれの年収が600万円の場合、夫単独の借入可能額が4,810万円であるのに対し、ペアローンでは9,620万円、妻を収入合算者(連帯保証人)とした場合は6,000万円となり、ペアローンが最も高額な借入を可能にしています。(引用元:三菱UFJ銀行)
■金利タイプ・返済方法の柔軟性
ペアローンでは、夫婦それぞれのローンで金利タイプ(変動金利型、固定金利特約型、超長期固定金利型)や返済期間、返済方法(元利均等返済、元金均等返済、ボーナス返済の有無)を個別に設定できる柔軟性があります。例えば、夫は金利上昇リスクに強い固定金利型、妻は低金利の変動金利型を選択するといったリスク分散も可能です。
金利タイプ | |
---|---|
変動金利型 | 市場金利の変動に連動して金利が見直されるタイプ。半年ごとに見直されることが多い。 |
固定金利特約型 | 一定期間(2年・3年・5年・10年など)金利が固定され、期間終了後に再度金利タイプを選択できるタイプ。 |
超長期固定金利型 | 借入期間を通じて金利が変動しないタイプ。 |
返済方法 | |
---|---|
元利均等返済 | 毎月の返済額(元金+利息)が一定となる返済方法。 |
元金均等返済 | 毎月の元金返済額が一定で、利息が徐々に減少するため、返済額の合計が徐々に減っていく返済方法。 |
住宅ローン控除の恩恵
■住宅ローン控除の最大化
住宅ローン控除は、住宅ローンの債務者を対象に金利負担を軽減する制度であり、年末の借入残高の一定割合が所得税・住民税から控除されます。
住宅ローン控除
住宅ローンの利用者が一定の要件を満たす場合に、年末のローン残高の0.7%相当額が所得税・住民税から控除される制度(2022年度以降の改正内容)。
ペアローンでは夫婦それぞれが債務者となるため、二人とも住宅ローン控除の対象となり、単独ローンや収入合算(連帯保証型)と比較して、世帯全体での控除額が大きくなる可能性があります。例えば、新築の認定住宅に2023年(令和5年)に入居した場合、夫婦それぞれ年間最大35万円、合計で年間最大70万円が控除額の上限となります。
しかし、注意すべき点として、ローンの負担割合と登記上の持分比率が異なると贈与税が発生する可能性があります。また、住宅ローン控除の適用には、合計所得が2,000万円以下、住宅の床面積、返済期間が10年以上などの条件があります。さらに、控除期間中に配偶者の妊娠・出産などで収入が大幅に減少した場合、育児休業給付金などが非課税所得となるため、所得税・住民税の控除を受けられなくなる可能性があることも考慮に入れるべきです。
団体信用生命保険(団信)による保障

■団信加入と保障範囲
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン返済中に借入者(被保険者)が死亡したり高度障害状態になったりした場合に、生命保険会社が住宅ローンの残債を返済する保険です。
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン返済中に借入者(被保険者)が死亡したり高度障害状態になったりした場合に、生命保険会社が住宅ローンの残債を返済する保険です。
ペアローンでは、夫婦それぞれが団信に加入できるため、万一のリスクに備えやすいというメリットがあります。ただし、一般的なペアローンの団信では、加入者の一方が死亡・高度障害状態になった場合、その方のローン残高のみが保険金で完済され、もう一方のローンは残ります。これに対し、一部の金融機関では「ペア連生団信」と呼ばれる特別な団信を提供しています。例えば、みずほ銀行の「ペアローン団信」、三井住友銀行の「クロスサポート」、りそな銀行の「ペア団信」などがこれに該当します。これらの団信は、どちらか一方に万一のことがあった場合でも、お二人とも住宅ローンの残高が0円になるという特徴があります。この場合、支払事由に該当していない方の免除された債務が一時所得とみなされ、所得税の課税対象となる可能性があるため、税理士や税務署への確認が必要です。(※2025年6月時点の法令等にもとづく)
収入合算(連帯保証型)の場合、団信に加入できるのは主債務者のみであり、収入合算者は団信に加入できないことが多いです。そのため、収入合算者に万一のことがあった場合でも、住宅ローンの残債はそのまま残ることになります。
銀行別比較:多様な住宅ローン商品と選択肢
各金融機関は、ペアローンと収入合算に関して独自の条件や商品を提供しています。お客様のニーズに最も合致する選択肢を見つけるためには、具体的な銀行ごとの取扱いの比較が不可欠です。
主要銀行のペアローン・収入合算の取扱概要
- 収入合算: 申込者の直系親族、配偶者(婚約者、内縁関係、同性パートナーを含む)の収入を合算して申し込むことが可能です。合算者は申込時70歳未満で、原則として申込本人と同居する必要があります(一部例外あり)。収入合算者は連帯債務者となり、合算額は年収の全額まで可能ですが、収入合算者の年収の50%を超える合算は返済期間が短くなる場合があります。
- ペアローン: 2つの【フラット35】をそれぞれが単独で申し込む形式であり、収入を合算することはできません。金利の低い【フラット20】(借入期間15年以上20年以下)の利用や、借入期間の延長による借入可能額の増額など、異なる借入期間の設定も可能です。団信はそれぞれ個別加入となり、一方に万一のことがあった場合、もう一方の債務は残ります。親子での利用も可能ですが、同居が条件で、親子リレー返済は利用できません。
- 親子・ご夫婦の連帯債務型借入が利用可能で、物件の共有と同居が条件です。
- 「クロスサポート(連生団体信用生命保険付住宅ローン)」を提供しており、親子、法律婚、事実婚、同性パートナーのいずれにおいても、お二人のどちらかに万一のことがあった場合でも住宅ローンの残高が0円になります。
- ペアローン: 同一物件に対し、夫婦等がそれぞれローン契約を結び、お互いが連帯保証人となります】。住宅ローン控除および団信はそれぞれが対象です。
- 収入合算: 夫婦で収入を合わせて1本のローン契約をします。連帯債務型と連帯保証型の両方のタイプがあります。
- 「ペアローン団信」を提供しており、どちらか一方に万一のことがあった場合でもお二人とも住宅ローン残高が0円になります。一般団信とがん団信のペアがあり、いずれもローン適用金利に年率0.2%上乗せされます。同性パートナーも対象です。
- ペアローン: 同一物件に対し、夫婦または親子等が各自の収入を基準にそれぞれローンを組みます(兄弟姉妹は不可)。それぞれが住宅ローン控除と団信の対象となります。また、異なる金利タイプや返済期間を選べます。
- 収入合算: 申込人の収入に配偶者や親族の収入を合算してローンを組みます。合算できる金額の上限は、申込人の収入の1/2までとされています。申込人のみが住宅ローン控除と団信の対象です。三菱UFJ銀行では連帯保証型で取り扱われます。
- ペアローン: 同居親族(夫婦、一親等)や同性パートナーがそれぞれ主たる債務者となり、お互いが連帯保証人となる形態です。ローン契約は2つになり、それぞれ事務取扱手数料と団信が必要となります。婚約者の場合は、ローン契約時までに入籍が必要です。
- 収入合算: 申込人の収入に親族(配偶者、父母、義父母、子、子の配偶者)の収入を合算します。収入合算者は連帯保証人(1名まで)となり、申込人のみが団信に加入します。
- ペアローン: 夫婦等2人がそれぞれ住宅ローンを契約し、双方が連帯保証人となります。物件は共有名義となり、団信と住宅ローン控除はそれぞれが対象です。
- 「ペア団信」を提供しており、片方に万一のことがあった場合でも、本人だけでなく相手の住宅ローン残高も0円になります。
- 収入合算: 申込本人の収入に夫婦や家族の収入を合算して1本のローンを組みます。住宅ローン控除、事務手数料、団信の加入は申込本人分のみとなります。
ペアローン | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フラット35 | SMBC | みずほ銀行 | イオン銀行 | auじぶん銀行 | 三菱UFJ銀行 | SBI新生銀行 | りそな銀行 | |
契約者数 | 2人 (各々単独債務者) |
2人 | 2人 | 2人 | 2人 | 2人 | 2人 | 2人 |
相互連帯保証 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
対象関係 | 配偶者 婚約者 内縁 同性パートナー含む |
配偶者 法律婚 事実婚 同性パートナー |
夫婦 同性パートナー含む |
夫婦 婚約者 事実婚 同性パートナー |
配偶者 婚約者 事実婚 同性パートナー |
夫婦 ご夫婦 婚約者 同性パートナー含む |
夫婦等 | 配偶者 |
対象関係:直系親族 | 〇 | 〇 | 記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇(一親等) | 〇 |
住宅ローン控除:各々適用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
団信:各々加入 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
団信:片方死亡で両方の債務ゼロ | ✖ (各々返済継続) | 〇 (クロスサポート) | 〇 (ペアローン団信) | 記載なし | 記載なし | ✖ (残された債務は残る) | ✖ (残された債務は残る) | 〇 (ペア団信) |
金利タイプ/返済期間:各々選択可能 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 記載なし | 〇 | 記載なし | 〇 |
諸費用:2契約分発生 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 (事務取扱手数料) | 〇 |
収入合算 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フラット35 | SMBC | みずほ銀行 | イオン銀行 | auじぶん銀行 | 三菱UFJ銀行 | SBI新生銀行 | りそな銀行 | |
契約者数 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | |
収入合算タイプ | 連帯債務者 | 連帯債務型 | 連帯債務型/連帯保証型 | 連帯保証人 | 連帯保証人 | 連帯保証人 (連帯保証型) | 連帯保証人 | 連帯保証人 |
対象関係 | 配偶者 婚約者 内縁 同性パートナー含む |
夫婦 | 夫婦 同性パートナー含む |
夫婦 婚約者 事実婚 同性パートナー |
配偶者 婚約者 事実婚 同性パートナー |
配偶者 | 配偶者 婚約者 同性パートナー含む |
夫婦やご家族 |
対象関係:直系親族 | 〇 | 〇 | 記載なし | 〇 | 〇 | 〇 (親子) | 〇 (父母、義父母、子、子の配偶者) | 〇 |
住宅ローン控除:申込者のみ適用 | 〇 | 〇 | ✖ (※) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
団信:申込者のみ加入 | 〇 | 〇 (※) | 〇 (※) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
合算可能額:上限あり | 〇 (50%超で期間短縮の可能性あり) | 記載なし (収入合算者の年収全額まで可能) | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 〇 (申込人収入の1/2) | 〇 (満額合算されない場合あり) | 記載なし |
備考:
- 「記載なし」 とは、該当する記述が見当たらなかったことを意味します。その金融機関がそのサービスを提供していない、またはその情報源に記載されていないだけである可能性があります。
- みずほ銀行 住宅ローン控除(収入合算): 連帯債務型の場合、「従たる債務者」も住宅ローン控除の対象となることがあります。表の「✖」は連帯保証型を主に指します。
- SMBC 団信(収入合算): SMBCの収入合算は連帯債務型であるため、ペアローンと同様に「クロスサポート」連生団信を利用することで、片方が死亡した場合に両方の債務がゼロになる保障が適用される可能性があります。
- みずほ銀行 団信(収入合算): 収入合算(連帯保証型)の場合、団信は申込者のみ加入が一般的ですが、連帯債務型では追加金利を支払うことで従たる債務者も保障の対象となる団体信用生命保険がある場合があります。
※この表は、各銀行のホームページを基にいえーる 住宅研究所が作成したものです。最新の情報や個別の契約条件については、各金融機関に直接お問い合わせください。
※本記事の情報は、2025/6/20時点のものとなります。
※本記事の情報は、2025/6/20時点のものとなります。
ライフイベントとリスク管理
住宅ローンは長期にわたる契約であるため、その期間中に起こりうるライフイベントとそれに伴うリスクを事前に考慮し、適切なリスク管理を行うことが非常に重要です。
■離婚時のリスク
ペアローンは離婚時に返済リスクやトラブルの原因になる可能性があります。住宅を売却してローンを完済する方法や、どちらかが住み続けるためにローンを一本化する方法などがありますが、物件の売却額がローン残高を下回る「オーバーローン」の場合、差額を自己資金で返済する必要があります。また、ローンの一本化は、残された一人の返済負担が大きくなる可能性があり、金融機関の審査を通過する必要があります。この際、一方の持分を他方に譲渡する場合、贈与税が発生する可能性も考慮が必要です。
■収入減少のリスク
ペアローンは夫婦二人の収入を前提としているため、片方の収入が大幅に減少したり、仕事を辞めたりした場合、残された一方が二人のローン返済を負担しなければなりません。例えば、出産や育児による休業期間中に受け取る出産一時金や育児休業給付金は「非課税所得」であり、所得税や住民税が発生しないため、住宅ローン控除の恩恵が減る可能性があります。これにより、当初計画していた返済計画が大きく崩れることも考えられます。
ペアローンは夫婦二人の収入を前提としているため、片方の収入が大幅に減少したり、仕事を辞めたりした場合、残された一方が二人のローン返済を負担しなければなりません。例えば、出産や育児による休業期間中に受け取る出産一時金や育児休業給付金は「非課税所得」であり、所得税や住民税が発生しないため、住宅ローン控除の恩恵が減る可能性があります。これにより、当初計画していた返済計画が大きく崩れることも考えられます。
まとめ
共働き世帯における住宅購入において、「ペアローン」と「収入合算」は借入可能額を増やし、お客様の理想の住まいを実現するための強力な選択肢です。2024年4月調査では住宅ローン利用者の約4割がこれらの形態を選んでおり、ミライ研究所の調査によると20歳代ではペアローンの利用が約1.7割とその重要性が高まっています。
お客様への提案においては、両者の基本構造(ローン契約数、連帯保証人の有無、持分比率)に加え、具体的なメリット・デメリット(借入可能額の拡大、住宅ローン控除の恩恵、団体信用生命保険の保障範囲)を明確に説明することが不可欠です。特に、ペアローンでは夫婦それぞれが住宅ローン控除の対象となることで、単独ローンよりも大きな税制優遇を受けられる可能性がある一方、契約ごとの諸費用が発生すること、また万一の際には片方の債務が残る可能性があること(ペア連生団信を除く)を伝える必要があります。
収入合算は契約が1本で諸費用を抑えられますが、収入合算者は住宅ローン控除や団信の対象外となることが多い点を理解していただく必要があります。
お客様のライフプラン(将来の収入変動、出産・育児、キャリアプラン、離婚の可能性など)を深くヒアリングし、各金融機関が提供する多様な商品(例えば、ペア連生団信のような手厚い保障)を比較検討することで、予期せぬ事態にも対応できる、安心で無理のない返済計画の構築をサポートしてください。住宅販売事業者の皆様が、これらの専門知識を武器に、お客様一人ひとりの「みらい」に寄り添った最適な住宅ローン戦略を提案することが、お客様の理想のマイホーム実現への第一歩となります。