墨出しとは?種類・必要な道具・やり方を初心者向けに解説!

投稿日 : 2022年10月21日/更新日 : 2023年10月16日

墨出しとは?種類・必要な道具・やり方を初心者向けに解説!

不動産の営業担当としてお客様をご案内する際、建築の知識が役に立つことがあります。

お客様からの質問にすぐにお答えできるように、基礎知識を身につけておくと良いでしょう。

建築工事の中でも、重要な作業の一つが「墨出し(すみだし)」です。

ここでは、墨出しとは何か、墨出しの種類、必要な道具、やり方について初心者向けに解説します。

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墨出しとは

墨出し(すみだし)とは、設計図の内容を現場に書き起こす作業です。

墨をくぐらせた糸を用いて印をつけることから、「墨」という言葉が使われています。

墨で印をつける行為を「墨打ち」「墨を打つ」とも言います。

更地に建物を建てる際、基準を作らずに作業すると設計図通りに完成しません。

墨出しは建物を設計図通りに仕上げるための基礎となり、非常に重要な作業です。

また、墨出しには、墨だけでなく、レーザーやチョークを用いたものなど複数のやり方があります。

墨出しの種類

墨出し作業の中でも重要なものは「基本墨出し(親墨:おやずみ)」と呼ばれるものです。

基本墨出しは建物の完成度に大きく影響する作業のため、一般的に元請け業者の立ち会いのもとで行われます。

基本墨出しの種類を表にまとめましたので、参考にしてください。

基本墨出しの種類 意味
芯墨・心墨
(しんずみ)
柱や梁(はり)などの中心を示す基準線です。
逃げ墨(にげずみ) 通り芯(※)から一定の距離を空けて出した線です。返り墨(かえりずみ)とも呼ばれます。
陸墨(ろくずみ) 天井や床などの高さを測る際の基準線です。
地墨
(じすみ・じずみ)
床面に打った墨です。
小墨(こずみ) 柱の位置・大きさ・次の壁の位置・厚みなどをコンクリート床面に墨打ちした線を指します。

(※)通り芯:柱や壁の中心となる仮想線のことです。建築工事が進むと、柱や壁によって墨が見えなくなります。それを防ぐために逃げ墨を打ちます。

墨出しに必要な道具

墨出し作業には、線を引くための「墨つぼ」をはじめ、作業に付随するさまざまな道具が必要です。

墨出しに必要な道具を以下の表にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

道具 用途
セオドライト 水平角と高度角を測定する機械です。トランシットと呼ばれることもあります。
トータルステーション 光波を用いて距離を測る機能と、セオドライトの機能を組み合わせたものです。距離と角度を同時に観測できます。
オートレベル 視準線(※1)を水平に保つように自動補正する機能が備わっているレベル(※2)です。
レーザーレベル 本体から光線を発し、受光器(※3)と併せて測量する機械です。
墨つぼ 木材やコンクリートなどに線を引くための道具。墨を含んだ綿に糸をくぐらせ、墨がついた糸をはじいて線を引きます。
レーザー墨出し器 レーザーを用いて、壁などに水平・垂直な線を出す機械です。
チョークライン チョーク粉で線を引くための道具です。
墨差し 短い直線を引く際に使う道具。一般的に、片方にヘラ、片方にペンがついています。
下げ振り器 糸の先端に重りがついた工具。柱が垂直に建っているかなどを確認する際に使います。
水平器 地面に対する角度や傾斜を確認する際に使用する道具です。
差金(さしがね) 長さや直角を確認するための道具です。L字型で両方の辺に目盛りがついています。

(※1)視準線:レベルを覗いた時に中に見える十字線と、標尺が重なる位置を視準線と呼びます。
(※2)レベル:地面の高低差の測定や、水準測量をする際に用いる機械のことです。
(※3)受光器:レーザーを感知する道具のことです。

墨出しのやり方(作業の内容)

墨出しは、基本的に2人で行う作業です。墨つぼで引いた線は簡単に消すことができないため、経験が浅い人が墨つぼを持ち、経験者が先端を持って線を引くケースが一般的となっています。

墨出しの大まかなやり方は、以下4つのステップとなっています。

  1. 設計図面をもとにポイントに印をつける
  2. 柱や壁などの基準線を引く
  3. 基準線等を下の階から上の階へ移動する
  4. 小墨出しを行う

墨出しの基本は、下の階で引いた線を上の階へそのまま移動させることです。

墨出しをする際は、下の階の基準と上の階の基準がずれないように慎重に行います。

1人で墨出しする場合

墨出しの際にどうしても一緒に作業できる相手がいない場合、自分の足で片方を固定し、墨打ちします。

足の届かない距離の場合は、重いものや釘で片方を固定して墨打ちします。

レーザー墨出し器を用いる場合は1人での作業も可能です。

墨出しのまとめ

今回は墨出しと墨出しのやり方について詳しく解説しました。

墨出しは、建築工事をする際の基準となる非常に重要な作業です。

建物の完成度に大きく影響するため、墨出し作業には専門知識を要します。

建築工事の重要な作業であることを改めて認識しておきましょう。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。