宅建試験の「5点免除」とは|免除対象と講習のスケジュールを解説

投稿日 : 2022年12月13日/更新日 : 2023年06月04日

宅建業務につく会社員

不動産業界で働く方にとって必須資格ともいえる「宅地建物取引士(以下、宅建)」。取得を狙う方も多いでしょうが、決して簡単な資格ではありません。

そこで、合格を目指すなら「5点免除」を狙うことがおすすめです。

本記事では宅建の5点免除の制度内容や申し込みの手順などを紹介します。

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宅建の「5点免除」とは

宅建士 免除

宅建試験の「5点免除」とは、一定の条件を満たした受験者であれば本試験のうち5問が免除される制度のことです。

例年「46~50問目」に出題される問題が免除されます。

免除を利用できない一般の受験者と比べて問題数が5問少なくなるため、本試験で出題される問題数は全45問です。

加えて合格ラインは問題数が減少したことで5点引き下げられ、試験時間も10分短縮されます。

問題を解くことなく「5問分」の特典が確定するのは受講者にとって有利です。

5点免除の対象者

5点免除の対象になるのは、以下の2つの条件を満たした受験者です。

  • 宅建業従業者証明書を持つこと
  • 事前講習の修了試験に合格すること

宅建業従業者証明書を持つこと

後述する「登録講習」を受ける前提条件として、宅建業に従事していることが必要です。

登録講習の受講は「宅建業従業者証明書」が必要であり、勤務先の事業者が発行することになっています。

勤務の長さも勤務形態(正社員かパートかなど)も問われませんが、宅建事業者に従事していないと登録講習を受講することはできません。

事前講習の修了試験に合格すること

5点免除を利用するためには、事前に登録講習を受講し、講習のなかで行われる修了試験に合格することが条件です。

該当する科目

免除される範囲は46~50問目で、「税・その他」の中でも「その他」に該当する部分が対象です。

「その他」では、宅地建物取引業法施行規則の内容から5問出題されます。

  • 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること
  • 宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること

費用相場

5点免除に関する登録講習の費用は講習を実施している資格学校などの機関によって異なるため、一概には言えません。

おおむね「15,000~20,000円」程度が相場とされていますが、気になる方は複数の機関を比較検討してみると良いでしょう。

機関によっては「インターネット割引」「早期申込割引」等を実施しているので、割安に受講したいなら、できるだけ早いうちから申込の検討に入ることが重要です。

登録講習から5点免除までの流れ

ステップ

実際に登録講習を受ける際の流れは以下のとおりです。

  1. 登録講習へ申し込む
  2. 通信講座を受講する
  3. 2日間のスクーリングを受ける
  4. 修了試験に合格する
  5. 登録講習修了者証明書が交付される

まずは、登録講習を行う機関にWeb又は郵送で申し込みを行いましょう。どの機関を利用してもカリキュラムの内容に大差はないので、費用の安さで選んでも良いでしょう。

申し込んだ後は自宅に届く教材で通信講座(おおむね1~2ヶ月ほど)を受講します。

受講後は「スクーリング」といって実際に講師と対面で行われる講義に参加することが必須です。

1日6~8時間程度、計約10時間の学習が必要になります。

参考:日本宅建学院|宅建登録講習の内容

ただ、本来は対面方式の講義ですが、新型コロナウイルス感染症対策としてオンラインで実施される場合もあります。スクーリング2日間の受講後に修了試験が行われるので、それに向けて学習を進めましょう。

合格すれば有効期間が3年間の「登録講習修了者証明書」が発行されます。

証明書を受け取った後は本試験に申し込む際に5点免除を申請しましょう。

なお、登録講習は毎年1~5月頃に募集をかけます。これは毎年10月の第3日曜日に実施される本試験に間に合わせるためです。

学校によって受け入れ数に差があり、夏に入る前には締め切られることが多いので注意してください。

5点免除の締め切り

宅建試験の直前に、いきなり思い立って登録講習を受けることはできません。

スクールごとに登録講習の締め切りが決められているので、年はじめに「今年は宅建資格を取ろう」と思ったらすぐに行動を起こすことが重要です。

一例として資格スクール大手の「資格の学校TAC」の登録講習のスケジュールを見てみましょう。

2022年の登録講習はA日程からF日程までの全6回が実施されました。

A日程の申し込み締め切りが「2月16日(水)」で、最後のF日程でも締め切りは「5月2日(月)」です。遅くとも4月中には登録講習について受けるかどうかを決めて準備を進めておかないといけないということです。

宅建の本試験でスムーズに申し込みするなら、3月中の日程までに申し込んでおきましょう。

登録実務講習との違い

宅建にまつわる講習で登録講習と似た名前に「登録実務講習」があります。

宅建の登録実務講習は宅建業界の経験が2年未満の方に必須の講習です。

両者の違いは以下のとおりです。

  • 登録講習:宅建試験前に実施される講習で、5点免除に必須
  • 登録実務講習:宅建試験合格後に実務経験が2年未満の方向けに行われる講座

登録講習を受けない場合の免除科目の学習法

学習登録講習を受講する資格を満たしていない場合、全50問の試験で合格するしかありません。

ここでは5点免除対象の分野を自習する際の分野とポイントについて紹介します。

住宅金融支援機構

住宅金融支援機構の業務内容について出題される分野です。

民間金融機関との業務内容の違いだけでなく、共通する業務内容があります。繰り返し過去問を練習して適宜テキストで把握することで、違いをはっきり覚えることができるでしょう。

景品表示法

不動産業者に制限がかけられている「広告」「景品の提供」のなかでも、出題されるのはほとんど「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」からです。

賃貸の売買や物件の広告を出す取引の明示義務などの内容を把握しておきましょう。

土地/建物(2問)

「土地」「建物」で各1問ずつ出題される分野です。毎年のように新しい問題が出てくる部分ですが、選択肢には過去問に掲載された内容が出ることもあります。

わからない問題でも、消去法で選択肢を排除していくことで正解率を上げましょう。

統計

「地価公示」や「住宅着工統計」「法人企業統計」などの各種統計データと、これに関する省庁のコメントから主に出題されます。

重要なのは試験が行われる時点での最新のデータを集めることです。

早めに学習を始めるに越したことはありませんが、各種統計データに関しては最近のものかどうかを確認しておきましょう。

5点免除になる登録講習は受けるべきか

悩む

登録講習を受けられる方なら、ぜひとも受講して5点免除を受けておきたいものです。

実際、免除された方とそうでない方で合格率に差が出ています。

免除制度を利用した受験者の合格率は、令和3年度(2021年度)の10月実施分は21.3%でした。

一般受験者の合格率が17.9%だったことを考えると、メリットを感じられる高い数値となっています。時間と費用に余裕があれば積極的に講習を利用していきたいところです。

参考:住宅新報web

まとめ

今回は宅建の5点免除について解説しました。

免除を受けるには「宅建業従業者証明書を持つこと」「事前講習の修了試験に合格すること」という条件に該当する必要があるものの、免除された際の合格率は一般の方より3%以上も高い結果になっています。

登録講習のスケジュールを確認し、可能であれば講習を修了した状態で本試験に臨むといいでしょう。

「いえーる住宅研究所」では宅建士を目指す方のための記事も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。
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