住宅ローンの「融資手数料型」とは?「保証料型」とどちらがお得?
住宅ローンで金融機関に支払う手数料は「融資手数料型」と「保証料型」に分かれています。
本記事では住宅ローンの「融資手数料型」「保証料型」の特徴と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
手数料型を扱う金融機関についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
住宅ローンの「融資手数料型」とは
融資手数料は住宅ローン利用時に銀行に対して支払う、融資に伴う事務手続きなどの手数料です。
住宅ローンの「融資手数料型」では住宅ローンの保証料を求められません。その代わり、融資手数料の支払いが必要になります。
住宅金融支援機構のフラット35のほか、インターネット銀行の住宅ローンで採用されるケースが多いです。
「定率型」「定額型」の違い
融資手数料型は大きく以下の2つに分かれており、どちらが採用されるかはローン商品ごとに異なります。
- 借入金額に関係なく手数料が決まった「定額型」
- 手数料が借入金額によって変動する「定率型」
融資手数料型の手数料は「融資金額の2.2%」あたりが相場です。
定額型では手数料を数万円程度の少額に抑えられる反面、金利が年0.2%ほど上乗せされる場合があります。
住宅ローンの「保証料型」とは
保証料はローンを返済できなくなった契約者に代わり、保証会社が借入先に返済するという保証を受けるための費用のことです。
融資金を確実に回収することができるようになるため、金融機関側にとっての保証(保険)として活用されます。
保証料の支払い方法は以下の2つに大別できます。
- 保証料を借入時に一括で支払う「外枠方式」
- 金利に上乗せして保証料を支払う「内枠方式」
外枠方式は融資手数料が不要ですが、保証料を初期費用として一括で負担する必要があります。
内枠方式は融資手数料が不要ですが、保証料と毎年の返済金利に上乗せし、借入期間中負担します。
融資手数料型のメリット
保証料型と比較した融資手数料型のメリットは、「適用される金利の低さ」です。
保証料型より金利が低い設定の場合が多いため、月々の返済額を安く抑えられる特徴があります。
たとえば金利が1.0%と1.2%で35年間のローンを組んだ場合、返済総額は以下のように異なります。
<借入条件>
借入金額4,000万円、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済割合0%
※借入利率が返済期間中に変動しないことが前提
借入金利 | 年率1.0% | 年率1.2% |
月々の返済額 | 11.3万円 | 11.7万円 |
総返済額 | 4,743万円 | 4,901万円 |
※上記の金利差は一例であり、手数料型は保証料型よりも0.2%低金利という意味ではありません。
返済額を抑えたい場合には、金利が低い融資手数料型の住宅ローンのほうが有利です。
また、融資手数料型には、支払方法が2種類あり、先述させていただいた定率型と定額型です。定率型は借入金額に対して一定の割合の手数料を支払います。定額型は借入金額に関係なく、一定額の手数料を支払います。
定率型に比べ、定額型の方が金利は高く設定されています。
借入期間や商品性などによって、有利になる分岐点が違いますので、融資手数料型を選択される場合には、どちらの支払方法が最終的にメリットになるのかも検討されることをお勧め致します。
融資手数料型のデメリット
金利が低いメリットを享受できる「融資手数料型」ですが、以下のようなデメリットがある点に注意が必要です。
- 繰り上げ返済しても戻し保証料がない
繰り上げ返済しても戻し保証料がない
住宅ローンの繰り上げ返済で早期完済した場合、一括払いした保証料のうち「短縮される借入期間」について一部が返金される可能性があります。
保証料型の外枠方式で保証金を支払っている場合には返戻金(戻し保証料)を受け取れることがありますが、融資手数料型では早期完済しても返済金は受け取れません。
なお、保証料型であっても、内枠方式(金利上乗せ型)では一括返済しても戻し保証料が発生しないので注意が必要です。
融資手数料型が向いている方の特徴
「融資手数料型」「保証料型」のコストは借入条件で異なり、どちらが安いとは一概に判断できません。毎月の返済額の希望や返済期間の設定によってどちらが向いているかが変わってきます。
以下の方は、融資手数料型が向いている場合が多いです。
- 月々の返済額を抑えたい方
- 借り入れの期間が長い方
月々の返済額を抑えたい方
「返済期間が長くなっても毎月の返済額を安くして、安心して返済したい」という利用者の方には融資手数料型が向いています。
保証料型よりも金利が安く設定されており、金利から計算される返済額も安くなるためです。
借り入れの期間が長い方
借入期間が長いほど、コスト面では融資手数料型が有利です。
目安としては「10年で完済できるかどうか」で考えるとよいでしょう。近いうちに退職金を得られる方など10年程度で完済できる方の場合、保証料型(外枠方式)の方が総返済額を安く抑えられる可能性があります。
それ以上に長い借入では、融資手数料型の方が有利になりやすいでしょう。
融資手数料型を選べる金融機関
融資手数料型を選択できる銀行として「三井住友信託銀行」「関西みらい銀行」「auじぶん銀行」のサービスや金利を紹介します。
三井住友信託銀行
画像出典:三井住友信託銀行
三井住友信託銀行の住宅ローンは「手数料型」「保証料型(外枠方式)」「保証料型(内枠方式)」から好きなものを選択できるというメリットがあります。
「家計応援プラン」として金利引き下げも行っており、「投資信託自動購入プラン」「三井住友信託ダイナースクラブカード」のいずれかを選択すると年0.03%の金利引き下げが行われるという優遇もあります。
融資手数料は借入金額×2.2%(消費税等込)です。
金利は以下のとおりです。
融資手数料型 | 0.445%~ |
保証料型(外枠方式) | 融資手数料型の各コース適用金利+年0.05% |
保証料型(内枠方式) | 融資手数料型の各コース適用金利+年0.25% |
※記載した適用金利は最大金利引き下げの場合であり、借入内容や審査結果によって異なります。(2023年3月時点)
【リンク】住宅ローン(新たに住宅ローンをご検討のお客さま)|三井住友信託銀行
関西みらい銀行
画像出典:関西みらい銀行
関西みらい銀行のカードローンは一部店舗では平日17時までや土日祝日も営業しており、平日9:00~15:00に間に合わない方でも商談に参加できる点でメリットがあります。
インターネットで一部繰上返済にも対応しており、コストをかけずに1万円からの返済が可能です。
融資手数料は借入金額×2.2%(消費税等込)です。
金利は以下のとおりです。
融資手数料型 | 0.495%~ |
保証料型(外枠方式) | 0.525%~ |
保証料型(内枠方式) | 保証料型(外枠方式)+年0.2% |
※記載した適用金利は最大金利引き下げの場合であり、借入内容や審査結果によって異なります。(2023年3月時点)
【リンク】住宅ローン新規|関西みらい銀行
auじぶん銀行
画像出典:auじぶん銀行
ネット銀行で有名なauじぶん銀行では、融資手数料型と、保証料相当額を上乗せした金利で支払う保証料型(内枠方式)があります。
※ただし、こちらはお客様自身でお選びいただけるものではなく、基本的には融資手数料型での進捗となり、審査次第で保証料型になる場合があるという商品性となっております。審査で確定するため、ご希望に応じたご選択はできませんのでご注意ください。
特徴としては、ネット銀行ならではの低金利、申し込みから契約まで自宅で完結する手軽さ、そして「一般団信」もしくは「がん50%保障団信」の保険料、収入印紙代、一部繰上返済手数料、返済口座への資金移動などがすべて無料であることなどが挙げられます。
融資手数料は借入金額×2.2%(消費税等込)です。
金利は以下のとおりです。
融資手数料型 | 0.289%~ |
保証料型(内枠方式) | 0.650%~ |
※記載した適用金利は最大金利引き下げの場合であり、借入内容や審査結果によって異なります。(2023年3月時点)
【リンク】auじぶん銀行
住宅ローン手数料条件の比較
上記で紹介した各銀行の住宅ローン手数料条件を比較してみました。
三井住友信託銀 | 関西みらい銀行 | auじぶん銀行 | |
融資手数料 | 2.2% | 2.2% | 2.2% |
融資手数料型 | 0.445%~ | 0.495%~ | 0.289%~ |
保証料型(外枠方式) | 融資手数料型の各コース適用金利+年0.05% | 0.525%~ | – |
保証料型(内枠方式) | 融資手数料型の各コース適用金利+年0.25% | 保証料型(外枠方式)+年0.2% | 0.650%~ |
※記載した適用金利は最大金利引き下げの場合であり、借入内容や審査結果によって異なります。(2023年3月時点)
銀行によってコースや特典が設定されている場合もあるので、各自の状況に合わせて慎重に選ぶようにしましょう。
まとめ
住宅ローンの「融資手数料型」は保証料を負担する代わりに手数料を支払うタイプのローンで、金利設定が保証料型よりも一般的には低い商品が多くあります。
ただ、繰り上げ返済による返金などのメリットが小さいことなどのデメリットもあり、保証料型とどちらが有利かは一概には判断できません。
返済期間や月々の返済額の試算結果から、お客様の希望に合った商品を案内できるように知識を深めましょう。