不動産を含めた財産分与契約書の書き方【雛形も紹介】
夫婦の仲が上手くいかないと「離婚」という選択になってしまう場合があります。
離婚の場合は慰謝料のほか、2人で築き上げた財産も分け合うことになります。
そこで作成するのが「財産分与契約書」です。
今回は離婚協議書に含む財産分与契約書の書き方の流れと、雛形のダウンロードサービスを紹介します。
離婚に伴う不動産の財産分与とは?
離婚の際に発生するお金として、「慰謝料」はイメージしやすいでしょう。
たとえば不倫が原因の離婚の場合、不倫した側が慰謝料を支払うといった具合です。
一方、財産分与については知らない方も多いのではないでしょうか。
離婚では一方が全ての財産を持っていくということはありません。
夫婦2人で築いてきた財産については、離婚時に分与、つまり分け合うことになります。
財産分与は離婚の原因が不倫のように片方に非があるとしても、請求できてしまいます。
財産分与の対象財産
結婚してから2人で築き上げた財産が分与の対象です。
- 土地や建物といた不動産
- 家財道具
このあたりはわかりやすいですが、ほかにも以下のようなものが財産分与の対象です。
- 飼育しているペット
- 投資信託などの有価証券
- 退職金
片方が専業主婦(夫)であったとしても、財産分与を請求できます。
専業主婦(夫)が家事を一手に引き受けてくれたことで、収入を得ることができたと判断されるためです。
財産分与の対象として、夫婦で生活していた持ち家があれば、持ち家も財産分与の対象です。
共有財産で購入した不動産は全て対象で、不動産の名義人は関係ありません。
つまり、夫が妻に内緒で不動産を所有していたとしても、財産分与の対象になってしまいます。
財産分与できる期間
離婚時の財産分与には「時効」がある点に注意が必要です。
離婚して長い年月が経過したあとに、思い出したように分与を求めることはできません。
原則として「離婚してから2年間」というのが時効です。
これを過ぎると請求権がなくなってしまうため、その後一切の請求ができなくなります。
「言った」「言わない」のトラブルにならないためにも、離婚協議書というかたちで財産分与の取り決めをしておく必要があります。
離婚で作成する離婚協議書とは
離婚協議書とは、文字通り夫婦が離婚する場合、離婚の方法や財産分与などの条件を記載した書面のことです。
離婚協議書に記載する諸条件や親権者、養育費、慰謝料などの記載に加えて財産分与の取り決めも記載しておきます。
相手が条件を守らずに訴訟になった場合、離婚協議書が証拠になります。
財産分与契約書(離婚協議書)を作成する目的
離婚協議書(財産分与契約書)を作る目的で、離婚後の不毛な争いを回避するためです。
条件が書かれた単なる紙ではありますが、離婚時に取り決めた内容を明記することで離婚する両者が決まりを遵守する義務が発生します。
財産分与契約書の書き方・作成の進め方
財産分与契約書(離婚協議書)の作成方法の流れをまとめると以下のとおりです。
- 相手方と話し合って離婚時の内容を決める
- 話し合いの内容を離婚協議書にまとめる
- 離婚協議書を公正証書にする
財産分与契約書に書き込む内容
離婚協議書は、以下のような内容を書き込みます。
- 離婚を合意した旨
- 親権者の指定について
- 養育費の支払い
- 慰謝料について
- 財産分与の内容など
なかでも今回のテーマである財産分与契約に関しては、以下のような内容を細かく記載する必要があります。
- 財産分与の対象財産
- 知針をいつまでに行うか
- 不動産はどうやって分けるか
- 支払いの回数(一括支払い・分割支払い)など
分割できない不動産はどうやって分割する?
不動産は現金と違って、綺麗に二等分することはできません。
それでは、どのような方法で不動産の財産分与を行うのでしょうか?
不動産を売却して現金化
もっともシンプルな方法は、不動産を売却することです。
売却して得たお金を2人で分割すれば分かりやすく、のちのちのトラブルにもなりません。
不動産を2つに割ることはできませんが、現金なら柔軟に分割が可能です。
配偶者の持ち分を買い取り
離婚しても、不動産はそのままにしておきたいということもあります。
その場合、家を利用したいと考えている方が出ていく立場の配偶者に財産分与に相当する金額を支払うこともできます。
不動産を売却した場合に相手が受け取れる持ち分を買い取る恰好です。
ただ、不動産を残しつつ高額な金銭を用意する必要があります。
公正証書にすることで効力が高まる
離婚協議書は、できるだけ「公正証書」にしておくことが望ましいでしょう。
公正証書は、公証人が内容を聞き取りして書面を作成する公的な文書のことです。
もし相手が離婚後に支払いを拒んだ場合、裁判所に訴えることなく強制執行手続きに移ることができます。
公正証書にすることで「あとから偽造したものではないか」という疑いをはさむ余地がなくなり、証拠としての価値が高まります。
財産分与契約書を作成する際の注意点
債務者の変更を銀行が承諾しないケースもある
離婚する夫婦は、土地・建物などを所有して住宅ローンを組んでいた場合、債務者の変更が発生することもあります。
たとえば夫が主債務者でも夫が出ていく場合は、夫婦間では妻に主債務者を変更するような取り決めが行われる場合もあります。
ただ、債務者の変更は金融機関の承諾が必要です。
2人の一存では決められません。
金融機関の承諾が得られないと、夫が債務者のままになるケースも考えられます。
主債務の返済ができない場合は連帯保証人に請求が来る
一戸建てやマンション、土地を持っているケースではほとんどの場合で住宅ローンを組んでいます。
妻が連帯債務者や連帯保証人だった場合、夫が返済できなくなったら妻のほうに請求が届きます。
妻も支払うことができない場合、不動産を売却して住宅ローンを弁済する形になります。
財産分与契約書の雛形が見られるおすすめサイト
マイ法務
マイ法務は、顧問弁護士を雇えない中小企業経営者や個人事業主向けに、ビジネスに必要な契約書の情報や経営で知っておくべき法律情報を提供しているサイトです。
法務書式は全て弁護士が監修しているので安心できます。
書式や雛形の数はゆうに400種類にのぼり、離婚における財産分与契約書にも対応しています。
「協議離婚書」の雛形の中に不動産の分与に関する記載がしっかり盛り込まれています。
【リンク】マイ法務|協議離婚書
つげ行政書士事務所
つげ行政書士事務所のホームページには、財産分与契約書のほか抵当権設定契約書、金銭消費貸借契約書など、契約書の雛形が一覧で表示されています。
自分で離婚協議を進める際には、参考として利用できますね。
つげ行政書士事務所に正式に作成を依頼することもできますから、財産分与契約書の作成を検討している方はチェックしておくと良いでしょう。
【リンク】つげ行政書士事務所
まとめ
今回は離婚協議書に含む財産分与契約書の書き方の流れと、雛形のダウンロードサービスを紹介しました。
財産分与は離婚までに夫婦で築いた全ての財産が対象のため土地や一戸建て・マンションも対象です。あとから「言った・言わない」にならないよう、間違いなく協議書に盛り込みましょう。
個人で作成を進める場合、今回紹介した離婚協議書(財産分与契約書)の雛形を活用するのもおすすめです。