第11回【イベントレポート】野村不動産ナイト

投稿日 : 2025年05月13日
第11回【イベントレポート】野村不動産ナイト
登壇者
野村不動産ホールディングス 株式会社 岡 遼太氏 / 松代 拓也氏
野村不動産ソリューションズ 株式会社 小野澤 弥生氏
野村不動産パートナーズ 株式会社  須合 宏幸氏
野村不動産ライフ&スポーツ 株式会社  菅原 大輔氏
【野村不動産ナイト】ビジネスマッチング部会が、2025年3月13日に一般社団法人 不動産テック協会主催にて開催されました。
今回はベンチャー企業との協業でオープンイノベーションを実現するべく、野村不動産グループの各社が集まりDXへの取り組みと各社が抱える課題についてお話されました。

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不動産テック協会とは

不動産とテクノロジーの融合を促進し、不動産業界の健全な発展と公共福祉の増進に貢献することを目的として、不動産テック業務に関する調査・研究や情報発信、ルールの確立、ビジネス機会を創出するイベントの開催など、さまざまな事業を行っている協会です。
2018年の発足以降、不動産テックカオスマップの公開や様々な情報発信を精力的に行っています。

不動産テックとは?

不動産とテクノロジーの融合を促進し、不動産業界の健全な発展と公共福祉の増進に貢献することを目的として、不動産テック業務に関する調査・研究や情報発信、ルールの確立、ビジネス機会を創出するイベントの開催など、さまざまな事業を行っている協会です。
2018年の発足以降、不動産テックカオスマップの公開や様々な情報発信を精力的に行っています。

野村不動産ホールディングス 株式会社

野村不動産ホールディングス 株式会社
登壇者
野村不動産ホールディングス 株式会社
岡 遼太氏
松代 拓也氏

野村不動産ホールディングス 株式会社

野村不動産ホールディングス株式会社は、野村不動産グループの持ち株会社として野村不動産株式会社や野村不動産ソリューションズ株式会社などグループ共通のコーポレート機能を担っている会社です。そして2分野6部門に分かれて事業を展開しています。
デベロップメント分野 サービス・マネジメント分野
住宅部門 資産運用部門
都市開発部門 仲介・CRE部門
海外部門 運営管理部門
岡氏
デベロップメント分野で巨額の金額を投じて開発をし、サービス・マネジメント分野で不動産関連のプロフェッショナルサービスの提供をする。グループ内で連携して新しい価値を生み出していくことが、当社がグループとしてまとまって事業展開をしていることの意義だと思っています。

まだ見ぬ、Life & Time Developerへ

野村不動産グループは「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」を2030年ビジョンに掲げています。不動産開発や関連サービスの提供を通じて、人びとの様々な生活 “Life”と一人ひとりの過ごす時間 “Time”の2つを軸として一人ひとりの生活や時間に寄り添い、グローバルに新たな価値の創造を目指しています。
岡氏
これを達成するためのポイントを3つ挙げています。

  1. DXによる価値創造
    • 顧客接点・データ蓄積・サービス品質向上・効率性・利便性といったことに注目しています。
  2. 開発力を起点とした独自の価値創造
    • 個に寄り添う姿勢をベースに開発力を起点とした独自の価値創造をグループの強みとして事業連携や価値連鎖を実現させていきます。
  3. サステナビリティを組み込んだ価値構造
    • 「ダイバーシティー&インクルージョン」「人権」「脱炭素」「生物多様性」「サーキュラーデザイン」を重要課題として事業の中で取り組みを推進していきます。

オープンイノベーションで実現する

岡氏
当社のグループ内の連携の大きな特徴のひとつが「賃貸バリューチェーン」というものです。デベロップメント分野のチームが「物件取得・供給パイプライン」として開発した物件を、マネジメント分野のチームが「マネジメントパイプライン」としてファンドを運用し投資家さまに投資していただくことで開発資金の回収に繋げるというものです。この2つのパイプラインが循環し相互成長していくことでより良い開発ができる環境を構築しています。

この循環にはグループ内の価値連鎖やナレッジの連鎖というものが必要で、まさにここをオープンイノベーションで実現していきたいポイントと捉えています。

賃貸バリューチェーン
松代氏
イノベーション推進課には大きく2つの活動があり、ひとつは「NEXPLORER」というグループ社員に対する研修を行うための学習プログラムと経営課題に沿った注力テーマの調査研究を行う新領域探索プログラムの企画運営をしています。もうひとつが「オープンイノベーション」。ベンチャー企業との協業を生むために出資を行っています。
■ベンチャー企業との協業事例
松代氏
当社は協業を創出するということを目的に現在11社に出資・資本業務提携を実施しています。ベンチャー企業との協業事例をいくつか紹介します。
出資を伴わない協業事例
株式会社 ECOMMIT ホテルに宿泊した旅行者が荷物を軽くするために捨てる下着などの衣類を資源として回収する取り組み。
出資を伴う協業事例
株式会社 THIRD 野村不動産パートナーズと2021年に資本業務提携。不動産管理業務効率化SaaS「管理ロイド」にて画像認識技術によるメーターの自動検針を行い、管理業務の効率化を実現する。
株式会社 やる気スイッチグループホールディングス 野村不動産ライフ&スポーツとの協業で2022年に資本業務提携。児童保育や幼稚園事業を拡大させるために出資した事例。

野村不動産ソリューションズ 株式会社

野村不動産ソリューションズ 株式会社
登壇者
野村不動産ソリューションズ 株式会社
小野澤 弥生氏

「不動産サービスの提供を通じて、広く信頼され、高い評価をいただくことで、選ばれ続けるナンバーワンブランドを目指す」という企業理念で不動産流通事業を中心に、保険代理店事業、不動産情報サイトの運営を行う野村不動産ソリューションズ。野村不動産グループにおける、仲介・CRE部門として多様化するお客さまニーズにワンストップで対応しています。

デジタル戦略デザインラボ

2015年からICT活用ラボという名称で社内のデジタル活用の取り組みを開始してきた野村不動産ソリューションズ。営業メインの会社であるためDX専門部署がないなかで、比較的早い時期から取り組みを実施しています。
小野澤氏
デジタル戦略デザインラボ(以下、ラボ)は70名ほどのメンバーで活動しています。
ラボの大きな特徴を3つご紹介すると、
  1. 若手が中心となり組織を横断するメンバーで取り組みを行う
  2. 社内のニーズを取り入れたDX検討を行っている
  3. 短期的な成果よりもプロセス重視の評価をしている

実業の中で新しいことにチャレンジしようとすると失敗できなかったり「成果はいつ上がるんだ?」と催促があったり、制約のようなものがあると思います。ラボという形で実業から切り分けた取り組みとすることで、スケールの大きな取り組みにチャレンジできるというメリットがあります。

守りのDXと攻めのDX

■ラボの活動で取り組んできたテーマと協業事例
協業事例
リマールエステート 株式会社 不動産売買支援クラウドサービス「Kimar」の試験導入。
株式会社 エスクロー・エージェント・ジャパン マイナンバーカードを活用した不動産取引における手続きのデジタル化・自動化に向けた共同研究。
株式会社 デジタルガレージ 「Musubell for 仲介」の開発協力。
■ラボの活動で取り組んできたテーマと協業事例
協業事例
株式会社 Facilo 仲介会社と顧客のやりとりを整理・可視化するコミュニケーションクラウド「Facilo」の全店導入。
株式会社 スペースリー VRコンテンツを取り入れた探究学習プログラムの共同開発・提供。
株式会社 LIFULL ノムコムAIアドバイザーの共同開発。
GOGEN 株式会社 2022年の8月から不動産売買手続きのデジタル融合を目指す共同プロジェクトを推進中。
小野澤氏
当社にどのような取り組み課題があるかを紹介します。

■守りのDX

  • 顧客管理の改善
    • リテール・ミドル・ホールセールの各営業部門で別のCRMシステムを利用しており、名寄せや顧客情報の整理などに課題があります。
  • データ活用の推進
    • データ活用をしっかり考えて実行できる人材を育てていく必要があると考えています。

■攻めのDX

  • 各営業領域でデジタル施策に積極的に取り組んでいく予定で、DXツールの積極的な導入検討やデジタルを活用した顧客への新たなアプローチ手法の構築を積極的に行っていこうと思っています。

野村不動産パートナーズ 株式会社

野村不動産パートナーズ 株式会社
登壇者
野村不動産パートナーズ 株式会社
須合 宏幸氏

「私たちは、「現場力」と「提案力」にこだわり、お客様に「安全・安心」と「快適」を提供してまいります。そして、お客様が働き、学び、集い、住まう建物の身近にあって、最良のパートナーであり続けることを目指します。」という企業理念のもと分譲マンション「プラウド」シリーズをはじめ、中規模高機能型ビル「PMO(プレミアムミッドサイズオフィス)」、都市型商業施設「GEMS(ジェムズ)」、大規模高機能型物流施設「Landport(ランドポート)」など野村不動産による開発物件を一手に担う野村不動産パートナーズ。高校・大学などの教育施設やデータセンター、複合型商業施設、公共施設の指定管理など、あらゆる分野の総合管理や管理から派生する建築設備工事、施工管理、プロパティマネジメント事業なども含めた幅広い領域で建物の運営管理を行っています。

これまでのDX取り組み事例

検針点検業務の効率化 検針点検業務の効率化のためのSaaS「管理ロイド(株式会社THIRD)」を導入。
清掃ロボット×エレベーター オフィスビル1棟全体の「掃除ロボット」活用に向けてエレベーター連携に関する実証実験に着手。
須合氏
「管理ロイド(株式会社THIRD)」は初期段階から導入しており、管理会社ならではの要望をお伝えしながらTHIRDさまと一緒に作り上げてきました。今は、「工事ロイド」という工事の見積りをAIで査定するシステムに当社独自の見積り作成のエッセンスのようなものを加えながらシステム開発を進めています。

「清掃ロボットとエレベーター」の連携というのが我々の業界の課題になっています。ロボットがエレベーターに乗り各階を掃除してくれるのが理想ですが、事故が起こる可能性があるためなかなかロボット単独でのエレベーター乗降ができませんでした。
今回、エレベーター会社とロボット会社と当社が共同でロボットが単独でエレベーターに乗り階を移動できるかという検証を行いました。効率化や少人化に向けてビルだけでなくマンションにも広げられるようにしていきたいと思っています。

野村不動産パートナーズが抱える課題

■野村不動産パートナーズが抱える課題
労働人口の減少に伴い、ビルマネジメント、ビルを管理する仕事に就く人口が徐々に減ってきています。同社の事業は労働集約型管理ビジネスであり、これから労働人口が減少していくなかで管理工数の削減が品質の低下を招く可能性といったリスクに対応していく必要があります。
須合氏
ITデジタル技術の革新は喜ばしいことではありますが、人からロボットに移行していくと労働集約型管理ビジネスである当社は必要がなくなってしまうのではないかといったジレンマもあります。「管理工数の削減が招く品質低下の可能性」という課題のほかに、「人とロボットの価格競争や他社との差別化」といったところも当社の課題となっています。

野村不動産パートナーズのDXラボ

須合氏
DXって、どっかで誰かがやってるもの。良く分からない遠くのもの。と捉えがちで、いざ自分の仕事がDX化に直面しやり方が変更するとなった時に、いわゆる抵抗勢力になりやすくなってしまいます。特に管理業界はマニュアルやルールに誠実に正しくこなすことが重視される側面があるので、変化を恐れる傾向にあります。そういったところに風穴を空け、全社的にマインドを変えていくためにラボという取り組みを始めました。

当社ではX-ing(クロッシング)と呼んでいるのですが、DXに興味がある人もない人もひとつの場所で交差、クロスする。「私が変わる」ではなく「私が変えていく」という意識でプラスではなく掛け算で倍々に、スピーディーにといった思いを込めています。

■DXラボで実現したい3つのこと
1.オフィスレイアウト自動生成
入居希望企業のオフィスレイアウト依頼
現状 ヒアリング・レイアウト作成・概算作成に時間と労力をかけても他社で契約してしまうことがある。
実現したいこと WEBブラウザやアプリ上でリアルタイムに希望レイアウトや概算金額、イメージパース等まで即日検討ができるようにしたい。
実現への課題 ビルオフィス系の間取り作成のツールが少ない。
建築基準法や消防法に適合していないため、手直しが必要となる。
須合氏
ベンチャー企業とレイアウト生成AIを共同開発し、お客さまも社員もみんながwin-winになる環境を作っていきたいと思います。
2.オフィスの人流分析
人の流れを可視化して、定量データからお客さま納得のオフィス提案
現状 オフィスレイアウト検討の際、実際には執務室も不足していても「会議室を増やしたい」とお客さまのご要望がある場合、ご要望に沿った提案をせざるを得ない。
実現したいこと 主観的なヒアリングデータだけではなくセンサー等で人流を分析し、定量データでしっかりとオフィス内を把握した最適なオフィス提案をしたい。
実現への課題 位置情報取得サービスや什器メーカー等の参入によりデータを取得することはできるが、どのようにオフィスレイアウトと繋がる分析をしていくかに課題がある。
須合氏
ただ工事を提案するだけではお客さまの悩みを本質的に解消することはできないので、人流分析をしながらレイアウトと働き方を一緒に提案するコンサルティングができるツールを開発していきたいと思っています。
3.空調機の故障予知
空調に関する異変をAIで自動感知
現状 空調故障は修理に時間もコストもかかり、お客さまに迷惑がかかる。
実現したいこと AIセンサーやカメラで常時設備の状態を確認し故障予知。
予期せぬ修理での時間やコストを抑え、現場急行の回数も減らしたい。
実現への課題 ひとつのビルに複数のメーカーの空調機が設置されており、システム開発前の情報収集に難航している。
須合氏
自分たちで情報を取得して分析できるように出来ないかといったところをオープンイノベーションで解決できたらなと考えています。
須合氏
私たちは皆さまの最良のパートナーであり続けることを目指すということで、野村不動産パートナーズという社名で活動をしています。今後も社会の課題に対して真摯に向き合いながらDXを推進していきたいと考えています。

野村不動産ライフ&スポーツ 株式会社

野村不動産ライフ&スポーツ 株式会社
登壇者
野村不動産ライフ&スポーツ 株式会社
菅原 大輔氏

「顧客満足を感動と喜びに変える」を企業理念に掲げ、スポーツクラブ事業を通じて地域に住まう方々に健康であることの「喜び」「大切さ」をお伝えし、「健康」と「生きがい」創造に貢献する野村不動産ライフ&スポーツ。スポーツクラブ「MEGALOS」と女性専用の「ルフレ」というブランドで全国44店舗を展開するほか、アフタースクール等の教育ビジネスも展開し地域の暮らしを支えています。

街を創るメガロス

菅原氏
スポーツクラブ、フィットネス業界は全般的にコロナで大打撃を受けました。緊急事態宣言や人が集まる施設などへの外出自粛要請などを受け、多くの方が退会されました。業界全体として3割くらいの利用者が未だに戻って来ない状況となっています。

そのため、スポーツクラブ、フィットネス以外のところでどう収益を上げていくかが課題となっており、当社はスクール事業の拡大を戦略として打ちだしています。

■メガロスキッズアフタースクール
野村不動産ライフ&スポーツは、人、家族、地域、社会、様々な”つながり”から『未来に生きるチカラをつける』学童事業であるアフタースクールを展開しています。

《アフタースクールの特徴・サービス》

  1. アフタースクール内で習い事が完結
  2. 学校が終わる時間に合わせ、送迎バスのお迎えサービス
  3. 毎日変わる充実したカリキュラム
  4. セキュリティ強化された施設で安全。入退館をメールで通知で安心
  5. 平日夜20:30まで長時間のお預かり
  6. 安心・安全なおやつ、希望者には夕食の提供サービス
  7. 宿題サポートで勉強の習慣化

児童の預かりと運動を主とした本格的な習い事がワンストップで完了するところが最大の特徴です。

協業事例
株式会社 やる気スイッチグループホールディングス バイリンガル幼児園「アイキッズスター(i Kids Star(R))」を開園。
両社が保有する知見・ノウハウ・顧客基盤を活用することで、未来を担う子どもたちの「学び」への貢献をしていく。
菅原氏
課題としては、やる気スイッチグループホールディングスのセキュリティネットワークと、当社のネットワークが別のシステムであるためデータの連携が難しいというところです。また、データ連携と集計、分析に手間取っているところがあります。

オリジナルブランド「PROTEIN COFFEE」

■メガロスの物販事業

UCCコーヒー鑑定士監修のたんぱく質入りインスタントコーヒーは、持ち運びに便利なスティック型のコーヒー。

メガロスプロテインコーヒー たんぱく質 7.5g×30包 スティックタイプ ¥3,980(税抜)

菅原氏
物販事業では当社オリジナルブランドの「PROTEIN COFFEE」がNATURAL LAWSONさまにて取扱いがスタートしました。こちらは順調に売れている状況ではありますが、購買記録をうまく取れてないという課題があります。
菅原氏
当社のシステムは核となる基幹システムを中心に追加導入したシステムの連携を繰り返している状況となっています。会員情報をCRMで一元管理をしていきたいと思っていますが、その前にデータをどう取得していくかといったところの整備をしていく必要があるので、まずは足元を固めるところから取り組んでいきたいと思っています。
  • 基幹システムを改良し一元管理化するか現状のままシステムを分散利用をしていくか
  • 差別化の不要な領域で共同開発を行うことでコストを低減させることはできないか

CRMを活用したデータの集約、可視化、分析を上手く回して売上の向上に繋げるため、DXの促進を進めていきたいと思っています。

パネルディスカッション

パネルディスカッション
芝浦に全てのグループが集まるのでしょうか?
野村不動産ホールディングス:
できるだけ集まりたいですが、店舗を持っている事業もありますので集まれるかぎりとなります。グループ全体で7〜8,000人くらいいるうち、3,000人ぐらいが集まる予定です。
本社機能はグループ全てが集まります。
協業で出資をする場合としない場合の違いはどこになるのですか?
野村不動産ホールディングス:
悩んでいるところでもあります。出資をしなくても良い協業関係が築けることもありますし、出資をして協業をすることで当社のために開発をしてもらえることもあります。出資の基準をどう設けるかというところは議論中といったところです。
様々な不動産テックのSaaSサービスを導入されていますが、システムが分かれてしまい使いこなすのが大変ではないですか?
野村不動産ソリューションズ:
利用するセクションの活用推進が出来るようにそのセクションのシステム担当者をラボのメンバーにアサインしているので、活用推進もスムーズに出来ていると思っています。ただ、現場の営業の人達はシステムが変わることに抵抗があるので、このシステムを使うことで業務にこれだけメリットがあるんだといった内容を明確にし根気強く伝えていくという取り組みをしています。
ラボの取り組みで上手くいかなかった事例などはあるでしょうか?
野村不動産ソリューションズ:
例えばメタバーズについては費用がかかる割に効果が見えなかったので一度取り組みを停止した事例となります。一方で、XR技術の可能性などを知ることが出来たという点での成果を得ることはできました。
司会:メタバーズの事例だとまだ時代が追いついてきていない、時代が違ったといった感じでしょうか?
野村不動産ソリューションズ:
そうですね。社内であまりニーズがなかったです。失敗というよりは、現場のニーズとマッチしなかったのだと思っています。
ノムコムAIアドバイザーは実際どれくらい利用されているのでしょうか?
野村不動産ソリューションズ:
具体的な数字を把握できていないのですが、ヘビーユーザーとなる方がいて普通に検索をするよりノムコムAIアドバイザーで検索した方が便利ということで何度も来訪してくださっています。
資本提携されていらっしゃいますが他社のサービスでより良いサービスがあった場合は切り替えも検討していかれるのですか?
野村不動産パートナーズ:
そうですね。先に始めた人達の強みと後に始めた人達の強みがある中で、いまのところは協業が上手くいっています。
我々は、システムに業務を合わせるのではなく業務をシステムに合わせるという考え方をアップデートする方法で取り組みを進めているので、良いご提案があれば検討していきたいとは思っています。
マンションの管理人不足について何か取り組まれていることはありますか?
野村不動産パートナーズ:
この部分についてもシステムに置き換えていけるような取り組みを進めています。
なぜ野村不動産はスポーツクラブを運営しようと思ったのでしょうか?本業とのシナジーはあるのでしょうか?
野村不動産ライフ&スポーツ:
2030ビジョンでも「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」と掲げている通り、人々の生活や過ごす時間を軸に価値創造をしていきたいと思っています。健康第一と考えると運動は生活の中で必要不可欠ですから、人々の生活と関わるという点でシナジーがあるのかなと思っています。
「PROTEIN COFFEE」をビルのテナントやマンションの入居者に販売するといった施策はありますか?
野村不動産ライフ&スポーツ:
販路をできるだけ拡大していきたいという方針で動いています。
グループ間の連携において、こうして欲しいといった要望は届くのでしょうか?
野村不動産パートナーズ:
発信はしていますが、必ずしもリクエストが全て叶うという状況ではないかなと思います。
野村不動産ソリューションズ:
例えばリテール部門から要望があった場合には、営業企画で情報交換をする中で要望をあげています。
野村不動産ホールディングス:
連携はやっていかなければいけないことだと思っています。不動産のバリューチェーンとして連携が進み上流から下流までみんな仕事がやりやすくなるという環境を構築することが課題だと思っています。
スタートアップ様と連携についてはどのように情報収集されていますか?ベンチャーキャピタルやLP出資などにもされているのでしょうか?
野村不動産ホールディングス:
情報収集に関してはこういったイベントに参加したりホームページから問合せをしたりなど地道な活動で情報収集をしています。また、ベンチャーキャピタルにも何社か出資をさせていただいて情報収集しています。最近ですと、各事業部門からこういった企業と連携したいのだけど出資はできないかといったように事業部門から連携される事例なども出て来ています。
グループ全体でテック企業と連携したことでどのような思いがけない効果はありましたか?
野村不動産パートナーズ:
最初は後ろ向きだった人達も割とみんな嬉々としてスマホを持って現場に行き写真を撮りデータを集めて来てくれるなど、積極的に取り組んでくれています。
野村不動産ホールディングス:
テック企業ではないですがペット事業を行っている企業と資本提携をしたことで思いがけない新しい商品が作れるかもしれない!?といった話が出てきています。テック企業さまとも何か新しい物を作れたらと思っています。
今後、遊休資産(土地や駐車場)の活用に関するDXについてはお考えですか?
野村不動産パートナーズ:
当社が管理しているマンションのオーナーさまの遊休資産については把握しているので、開発部門に紹介してDXに繋げていくというのは今後あり得るのかなと思っています。
不動産販売に関してVRモデルもいくつか利用されていると思いますが、導入前後での効果や成功失敗事例を教えてください。

野村不動産ホールディングス:
VRモデルルームはご紹介しましたSTYLE PORTさまと住宅部門が連携をさせていただき、コロナ禍でお客さまが来場いただけないなかで、営業を途切れさせないというところでかなり効果がありました。次のステップとしては反響獲得や来場獲得に繋げるためのシステム連携や情報提供など全体を上手くまとめていくといったところに取り組んでいます。

まとめ

日本を代表する企業である野村不動産グループの各社が集まり、各社の取り組みと抱える課題についてお話されました。
環境変化のスピードが早い昨今においてどのような戦略を打ちだしていくか。共通していたのは”DX化を促進させる”ことでした。会場には多くのテック企業が集まり、名刺交換が行われました。野村不動産グループ × テック企業の協業で新たなサービスが登場する日が楽しみです!

関連情報

┃一般社団法人 不動産テック協会
https://retechjapan.org/
┃野村不動産ホールディングス 株式会社
https://www.nomura-re-hd.co.jp/
┃野村不動産ソリューションズ 株式会社
https://www.nomura-solutions.co.jp/
┃野村不動産パートナーズ 株式会社
https://www.nomura-pt.co.jp/

┃野村不動産ライフ&スポーツ 株式会社
https://megalos.co.jp/corporate/

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