管理業務主任者とは?仕事内容や試験概要、合格率などを解説!
管理業務主任者は、主にマンション管理会社やマンションに携わる不動産会社から重宝される資格です。
とはいえ、「時間と労力をかけてまで受験する価値があるのか」気になる人もいるのではないでしょうか。
ここでは、管理業務主任者の仕事内容や試験概要、将来性まで幅広く解説します。
管理業務主任者に興味がある人はぜひご一読ください。
管理業務主任者とは
管理業務主任者とは、マンションの管理会社が管理組合などから受託した業務を遂行するために必要な資格です。
実際に管理業務主任者として活躍するには、以下のステップを踏みます。
- 管理業務主任者試験に合格
- (実務経験2年未満の場合)登録実務講習を受ける
- 国土交通大臣の登録を受ける
- 管理業務主任者証の申請・交付
管理業務主任者として業務に従事するには、管理業務主任者証が必要です。管理業務主任者証の有効期限は5年となっており、その後も業務を続けるには更新の手続きをしなければなりません。
管理業務主任者にできることや仕事内容
法律上で定められている管理業務主任者の仕事内容は、大きく分けて以下の3種類です。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書や契約書などへの記名
- 管理事務の報告
上記の仕事は、管理業務主任者の独占業務です。
管理会社が管理業務主任者を設置することは、法律で定められています。管理業務主任者の役割は、管理会社が受託したマンション管理を適切に行うことです。
参考元:e-GOV法令検索 マンションの管理の適正化の推進に関する法律
重要事項の説明
重要事項の説明は、管理委託契約を締結する前に、契約の相手方である管理組合などへ契約に関する重要事項を説明することです。委託者(管理組合など)が契約内容を理解した上で契約締結するために、法律上で義務付けられています。
契約前に説明すべき重要事項とは、管理事務の対象となるマンションの部分、契約対象となる管理事務の内容、それに伴う費用、契約期間などです
重要事項説明書や契約書などへの記名
重要事項説明の内容は、書面にして契約の相手方に交付する必要があります。また、契約時の約束事を記録に残すために、別途、契約内容を記載した書面を相手方に交付しなければなりません。
これらの書面への記名も、管理業務主任者にしかできない仕事です。
管理事務の報告
マンション管理会社は、受託したマンションの管理状況について、管理組合などへ定期的に報告しなければなりません。
その際の報告も、管理業務主任者の仕事です。
管理事務の報告の内容は契約によって異なりますが、例えばマンションの収支状況や管理費の滞納者への督促状況などが挙げられます。
管理業務主任者になるメリット
管理業務主任者は、マンション業界で働きたい人だけでなく、将来的に独立を考えている人にとってもメリットのある資格です。ここでは、資格がどのように活きるのか解説します。
就職や転職で有利になる
管理業務主任者には、重要事項の説明や契約書への記名といった独占業務があります。マンションの管理会社には必須の資格であるため、持っていると有利です。
マンション管理会社でなくても、仲介会社や不動産開発会社など、マンションに携わる会社で専門知識を評価される傾向にあります。
資格を活かして独立することも可能
難易度は高めですが、実務経験を積んでから管理会社を立ち上げる人もいます。独立して自由に働きたい人にとって、選択肢の一つです。
ただし、未経験から仕事を取ることは難しいため、まずは会社に勤めて管理業務主任者としての実績を積むことをおすすめします。
同時に積極的に人脈を広げておくと、独立時に役立つでしょう。
管理業務主任者の試験日や試験概要
2023年度における管理業務主任者の試験日程や試験概要をまとめました。受験を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
【試験日程】
9月 | 申し込み |
12月 | 試験 |
翌年1月 | 合格発表 |
【試験概要】
受験料 | 8,900円 |
受験地 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県など |
出題形式 | 50問四肢択一 |
制限時間 | 2時間 |
内容 | 以下に関すること ・管理事務の委託契約 ・管理組合の会計収支 ・建物や附属施設の維持、修繕に関する企画 ・マンション管理の適正化の推進に関する法律 など |
※年度によって日程や内容が異なる可能性があるため、受験時は必ずマンション管理業協会や国土交通省の公式サイトにてご確認ください
管理業務主任者の試験難易度や合格率
管理業務主任者の合格率は15〜20%程度です。合格率としては宅建士と同等となり、マンション管理士と比べると難関資格ではありません。合格者の年齢は10代から80代まで幅広く、平均年齢は40歳前後です。
難関資格ではないものの、試験範囲には会計や建築など専門性の高い分野が含まれます。予備知識があるかどうかで、合格へのハードルが異なるでしょう。
管理業務主任者試験の勉強法
管理業務主任者試験では、民法や建築、管理規約、会計など幅広い分野から出題されます。法律に関する問題は読解力が十分であれば、独学でも問題ないでしょう。
とはいえ、実務的な問題も出題されます。例えば、会計収支では、具体的な取引において正しい仕訳を選択する問題などがあり、簿記の予備知識が全くない状態だと苦労するかもしれません。
管理業務主任者試験を実施している「マンション管理業協会」の公式サイトでは、過去問題を公開しています。受験を検討している人は、内容を確認してみてはいかがでしょうか。独学の場合はテキストや過去問題での勉強、独学が難しそうな場合は通信講座などを利用してみてください。
管理業務主任者の年収
管理業務主任者の年収はキャリアによって異なりますが、目安は約350〜500万円です。
管理業務主任者に関する求人には、フロント業務、コンサルタント、アドバイザーなどがあります。いずれも委託者である管理組合をサポートする仕事です。
営業のように営業成績が給与に反映される歩合給ではなく、固定給であるケースが一般的です。未経験の場合、初めから高収入を狙うことは難しいかもしれません。
会社によっては、資格手当が付いているケースがあります。年収アップを検討している人は、手当について確認してみてください。
【業界別】管理業務主任者の将来性や需要度
管理業務主任者が最も必要とされるのは、マンション業界です。
しかし、マンション業界だけでなく不動産業界全体で考えても、将来性を期待できるでしょう。
ここでは、業界別の将来性や需要、管理業務主任者としてのキャリア形成について解説します。
マンション業界
マンション業界の会社にとって、管理業務主任者は必要不可欠な存在です。マンション管理業に必要な業務には、管理業務主任者にしかできない仕事があるためです。管理業務主任者の需要は、今後も高まるでしょう。
また、マンションの供給戸数は増加傾向です。国土交通省の調査によると、平成30年末時点のマンションストック数は約654.7万戸となっており、平成元年と比べて3倍以上に増えています。
都市部を中心に進んでいる再開発に合わせて大規模なマンションも多く建設されているため、将来性も期待できるでしょう。
不動産業界
不動産業界全体で考えた場合でも、管理業務主任者の需要は高いといえます。
管理業務主任者は、マンションの管理会社だけでなく、仲介会社、リフォーム会社、不動産開発会社など、マンションに携わる会社で重宝されます。不動産といっても対象はさまざまですが、マンションにはマンション特有の規約や権利関係、トラブルが存在します。
マンションの専門知識があること自体が、キャリア形成に役立つでしょう。
管理業務主任者の将来性やキャリア形成
管理業務主任者として活躍する方法には、「不動産業界の会社に勤める」または「独立する」という選択肢があります。
未経験での独立はハードルが高いため、まずは会社に勤めて実績を積みましょう。管理業務主任者の資格を活かせる職種の具体例として、マンション管理会社のフロント業務があります。
フロント業務とは、管理会社が受託したマンションの管理担当者です。管理組合の運営サポートや建物の管理、経理事務、定期巡回、トラブル対応などを行います。マンション管理をハード面・ソフト面の双方からサポートする仕事です。
管理事務の範囲にとどまらず、コンサルティングとして管理組合や区分所有者の抱える悩みを解決するという選択肢もあります。その場合、マンション管理士の資格取得も検討してみてはいかがでしょうか。
会社員としてキャリアを積む場合、将来的に勤め先の自社物件の資産活用・運用など、事業規模の拡大に直接貢献できる仕事も視野に入ります。マンション管理のスペシャリストとしてのやりがいがあるでしょう。
マンション管理士として多くの実績を積み、独立を検討するのも手です。
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宅建士やマンション管理士などとのダブル受験がおすすめ!
管理業務主任者は、宅建士やマンション管理士など他の資格とのダブル受験がおすすめです。
マンション管理の専門知識と掛け合わせて、専門領域を広げてみてはいかがでしょうか。
「国家資格のダブル受験は難しいのでは?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、宅建士やマンション管理士の出題範囲は、管理業務主任者の出題範囲と重なる点があります。簡単に合格できる訳ではありませんが、キャリア形成のために挑戦してみるのも手です。
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まとめ
マンション管理会社や不動産業界で働きたい人には、管理業務主任者の資格取得が有効的な手段の一つです。
管理業務主任者として実績を積めば、将来的に会社の事業に直接関わる立場に就く、独立するといったキャリア形成が視野に入ります。少子高齢化の日本においても需要が落ちにくいマンション管理は、将来性も期待できます。
興味がある人は、管理業務主任者の受験を検討してみてはいかがでしょうか。