第6回【イベントレポート】不動産テック協会主催~モビリティ×不動産テック特集~

投稿日 : 2024年10月29日

不動産テック協会主催モビリティ×不動産テック特集の様子です
2024年10月10日に一般社団法人 不動産テック協会主催の登壇イベント
〜 モビリティ×不動産テック特集 〜
が開催されました。日本のモビリティ業界を牽引する3社の代表者が登壇された、 モビリティの現状と各社の取り組みについてのイベントです。

登壇者
増田 知平 氏 株式会社ハッチ・ワーク
髙原 幸一郎 氏 株式会社NearMe
石川 琢磨氏 アディッシュプラス株式会社

 

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不動産テック協会とは

不動産とテクノロジーの融合を促進し、不動産業界の健全な発展と公共福祉の増進に貢献することを目的として、不動産テック業務に関する調査・研究や情報発信、ルールの確立、ビジネス機会を創出するイベントの開催など、さまざまな事業を行っている協会です。
2018年の発足以降、不動産テックカオスマップの公開や様々な情報発信を精力的に行っています。

不動産テックとは?

不動産テック協会では「不動産テック」を次のように定義づけています。

”不動産テック(Prop Tech、ReTech:Real Estate Techとも呼ぶ)とは、不動産×テクノロジーの略であり、テクノロジーの力によって、不動産に関わる業界課題や従来の商習慣を変えようとする価値や仕組みのこと。”

月極駐車場の商習慣にイノベーションを

株式会社ハッチ・ワーク

株式会社ハッチ・ワーク代表取締役社長 増田知平 氏

登壇者
増田 知平 氏
株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役社長

「変化する社会に対応するために未来を描く礎(BASE)を創り出す。」というミッションのもと、月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド」、駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」、月極駐車場のシェアリング サービス「アットパーキングウィークリー」といった月極イノベーション事業と貸会議室サービス・会議室シェアサービスといったビルディングイノベーション事業の2つの事業を展開している株式会社ハッチ・ワーク。今年の3月にグロース市場での上場を果たした同社が起こした、月極駐車場のイノベーションとこれからの展望について代表取締役社長である増田氏がご登壇されました。

アナログからオンラインへ「アットパーキングクラウド」

月極駐車場は歩いて探さないと見つけられない。募集看板があっても実際に空いているかどうかは問い合わせてみないと分からない。契約はすべて紙で行われるので手続きも管理も大変。それが、月極駐車場のこれまでの商習慣でした。ハッチ・ワークは利用者も管理会社もラクにするため、月極駐車場のDX推進に取り組んでいます。

■月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド」
ポータルサイトから集客ができ、申込、契約、決済までを全てオンライン完結、業務削減ができるシステム。「アットパーキングクラウド」に登録をすると自動的に月極駐車場検索サイト「アットパーキング」や大手不動産情報サイト「at home」「LIFULL HOME’S」に無料で同時掲載される仕組みとなっており、契約が決まると自動的に掲載が終了するようになっています。

「アットパーキングクラウド」のリリースにより、社会におきた変化を増田氏は次のように語ります。

月極駐車場って、アナログの世界だったんです。今この瞬間、どこの駐車場が空いているのか。どんな人が車が利用しているのか。不動産事業者さんやオーナーさんは分かっていらっしゃるかもしれないですが、データとして見ることができませんでした。
月極駐車場をオンライン契約にしたことで、デジタルデータがどんどん溜まってきています。どこに駐車場があって、そこは今空いているのか?金額はいくらか?駐車スペースはどのくらいのサイズか?こういったデータが見えてくるようになったので、利用者さんはもちろん、不動産事業者さんも便利になっていくと考えています。

月極がつくる未来のかたち

月極がつくる未来のかたちとして、ハッチ・ワークは3つの取り組みを行っていらっしゃいいます。

■月極駐車場へのEV充電ポートの設置
EV自動車の所有者情報などのデータをもとに需要データと予測に基づき、ニーズのある駐車場へEV 充電器の設置とサービスを提供。

■月極駐車場の短期契約
リアルタイムな満空情報を活用し、月極契約が決まるまでの間の短期間契約の提供。月極の募集と併用で短期募集をかけ、オンライン上で管理するためダブルブッキングすることなく効率的な空間活用を可能としています。

■カーサポートサービス
借りた後の付加価値がない月極駐車場にカーサポートを提供。カーライフのスタート地点となる月極駐車場の利用契約時にガソリンスタンドやコーティングのクーポンを提供するなど、自動車関連サービスの事業者と連携して月極駐車場の付加価値向上に努めています。

増田氏はハッチ・ワークの未来の構想について次のように語ります。

杉村氏
「ファーストワンマイルステーション構想」というものを掲げています。少子高齢化と人口減少、自動車そのものの数が減っていくなか、月極駐車場は「月極駐車場」として終わらない、「月極駐車場」以外の使い方があるだろうと思っています。
今、新しいモビリティが次々と登場しています。新しいモビリティが登場すれば、必ずその発着所、乗り降りをする場所が必要になります。そうしたモビリティの発着所やステーションの場所として「月極駐車場」を提供する未来があってもいいのではないかと思っています。
そのためにも、デジタルデータを集めながらプラットフォーマーとしての役割を担っていきたいと考えています。

移動における「もったいない」を解消する

株式会社NearMe

登壇者
髙原 幸一郎 氏
株式会社NearMe CEO

株式会社NearMe CEO 髙原 幸一郎 氏
人と地域に豊かさを紡ぎ、未来を拓く。地域の「もったいない」をテクノロジーで解決するスタートアップ企業である株式会社NearMe。オーバーツーリズムのために、観光地に来たのに行きたい場所に行けない。免許返納をした後の高齢者の移動、といったような移動における「もったいない」を解消するため、独自AIを活用した移動のシェアサービス「NearMe / ニアミー」を提供している同社。電車、バス、タクシーに次ぐ「第4の公共交通機関」となることを目指しているそうです。

移動における「もったいない」の現状

ドアツードアの移動に関して最も多く利用されているのがタクシーですが、今、需要に対して圧倒的にタクシーが不足しています。

■深刻なタクシー不足
コロナパンデミックにより人々の移動が著しく制限されました。移動需要の減退はタクシー業界に大きな打撃を与え、運転手の離職が相次ぎました。コロナが収束し日常生活や経済活動の回復とともにタクシー需要も回復したものの、運転手不足が供給量に影響を及ぼしています。

■輸送人員の非効率性
タクシーは最大で9人の乗客を乗せることができますが、プライベート利用が多く1人だけを輸送しているケースがほとんどで、輸送としては非効率な現状となっています。

これらの問題を解決する方法が「ライドシェア」だと、髙原氏はおっしゃいます。

「ライドシェア」には大きく2種類があります。欧米のUbeように、スマホアプリを通じてタクシーや個人の車を呼び、目的地まで乗せてもらう「ライドヘイリング」。もう一つが、複数の乗客が一台の車を共有して乗車し、コストを分担する「ライドプーリング」です。急いで数を増やさなければならないという課題の中、解決へのアプローチとしては量(車両やドライバーの数を増やす施策)と質(既存車両の活用/1運行あたりの輸送効率を上げる施策)があります。量としては2024年4月から「日本版ライドシェア」が解禁されていますが、質であるライドプーリングの方がすぐできる施策だと思っています。
移動の需要がいつあるのかというと朝夕の時間帯やイベントがある時などになります。こういったスポット需要に量だけで対応しようとすると、オフピーク時には待機や遊休状態となってしまいます。こうした波がある需要に上手く対応できるのがシェア乗りだと思います。

移動の自由を確保するシェア乗りの「NearMe / ニアミー」

日本は、これから超高齢化社会と人口減少の未来が訪れるだろうといわれています。未来を見据えて各業界が様々な施策を打ち出す中、自動車業界では完全自動走行車の開発が進められています。将来的に「移動」はドアツードアが当たり前となるかもしれません。人口減少、タクシー不足と環境負担を含めて課題がある中で、どのようにしたら「街」や「移動」を維持できるのか。未来を見据えて考えたとき、”シェア乗り”という移動の在り方を今から当たり前のものにしていく必要があるのではないでしょうか。
ライフラインとしてタクシーがあり、タクシーの車両をライドシェアで有効活用する。本当に足りない時間帯には「ライドヘイリング」で一般の運転手にも活躍してもらう。時間帯や季節性で需要と供給のバランスが崩れないように、輸送全体の稼働を滑らかにする方法を検討していく必要があるのではないかと、髙原氏は提唱しています。

■「NearMe / ニアミー」
同じ目的地に行きたい人とタクシーをAIでマッチングし、タクシーのシェア乗りを提供するプラットフォームである「NearMe 」。現在は空港へ向かう「エアポートシャトル」、ゴルフ場へ向かう「ゴルフシャトル」などのサービスがあります。
予約状況に応じてAIが自動的にピックアップグループを選別し、最適な運行ルートを提示する仕組みとなっており、お客様は予約時間に集合場所へ向かうだけでライドシェアが可能となります。
地方自治体との連携により、LINEを活用した配車システムの構築など、地域ごとの需要に応じた取り組みも行っているそうです。

髙原氏
シェア乗りがもたらす効果は非常に大きいと思います。移動の自由を確保することもそうですが、ドライバー不足の課題や環境問題においても移動データの蓄積によるマッチングシステムのアップデートを行うことで、少ない車両で多くの人の移動を可能にすることができるのがシェア乗りだと思います。

ライドシェアが作る新しいコミュニケーション

アディッシュプラス株式会社

登壇者
石川 琢磨氏
アディッシュプラス株式会社 代表取締役

アディッシュプラス株式会社 代表取締役 石川 琢磨氏
「Communication Process Outsourcing」全てのビジネスはコミュニケーションから始まり、コミュニケーションに終わるという考え方のもとマーケティング・カスタマーサポート・WEBソリューションの分野においてコミュニケーションを最適化、感動に昇華させていく事でビジネスを成功に導いていくアディッシュプラス株式会社。
子どもたちが健全にインターネットを活用できる環境づくりをサポートする「SchoolGuardian」、MaaSのカスタマーサポートを支援・代行する「MaaS Support」、eスポーツを通じて社会の課題解決に取り組む「e-Sports」と様々なビジネスを展開していらっしゃいます。
今回は地域の交通移動の課題に取り組むマッチング型ライドシェアサービス 「notteco」についてご紹介くださいました。

カープル型のライドシェア

ライドシェアを営利目的か非営利目的かで区別するとTCNサービス型とカープール型の2つに分けられます。

■TCNサービス型
タクシーに近い形態で、ドライバーが利益を得て顧客を輸送するサービスを提供するものです。スマートフォンアプリを通じて一般ドライバーと乗客をマッチングさせるUber(ウーバー)やLyft(リフト)が例としてあげられます。

■カープール型
目的地が同じドライバーと乗客が相乗りし、ガソリン代などの実費のみを分担するもので、ドライバーが利益を得ない仕組みとなっています。ヒッチハイクのようなイメージに近いかもしれません。

日本では2024年4月に配車型のライドシェアが解禁されましたが、タクシー事業者が運行管理を行い、運行エリアなどの条件があるため、アメリカ版Uberのようにだれでも自由にドライバーになれるといったものではありません。
「notteco」は2007年にサービスが開始されていますが、こうした道路運送法などの問題はないのでしょうか?
石川氏はご登壇の中で、次のように説明されていらっしゃいます。

「notteco」は掛った実費を割り勘するサービスとなっています。グレーゾーン解消制度に問い合わせをして、経済産業省から旅客自動車運送事業の対象外、法律上の問題はないと回答をいただき、サービスを提供しています。

地域の交通を地域の人で支える「notteco」

■「notteco」
「安く移動したい人」と「実費(ガソリン代・有料道路使用料等)を節約したいドライバー」をつなげる日本最大の相乗りマッチングサービス。
使い方はとても簡単で、まず、ドライバーも同乗者もユーザー登録をします。ドライバーはドライブの予定を登録。同乗者は、希望する目的地までのドライブを探すだけ。メッセージで待ち合わせをし、当日は一緒に目的地へ向かいます。

移動に掛る実費を割り勘して節約をしたいというニーズは中長距離の移動に多く発生します。音楽イベント、ウィンタースポーツ、スポーツ観戦など同じ目的地、趣味の人と相乗りをすることで、楽しい時間や新しい出会いといったコミュニケーションが創出されます。

レジャー/イベントなどの利用時に使われることも多いですが、人口10万人以下の地方都市でも需要があるんです。例えば、北海道の天塩町には病院がなく、近くの稚内市まで約70Kmを公共交通で行こうとすると稚内市には1時間しか滞在することができません。ほとんどの方が車移動で向かわれますが、高齢者の方は運転ができず行くことができないといった現状があります。自治体に「notteco」を導入いただき、地域の高齢者の移動を地域でサポートしていただいています。沖縄県の国頭村、東村、大宜味村の3村内ではタクシーなどの移動手段が少ないということもあり、国土交通省観光庁が推進する「第2のふるさとづくりプロジェクト」にて実証実験をさせていただきました。
移動を安く・楽しく!地域の交通を地域の人で支える!これが「notteco」が目指す世界観です。
■Land as a Service
今後、ライドシェアサービスが普及していくと、駅チカ以外の選択肢が増えていくだろうと予想されます。家・施設と移動をパッケージ化した価値提供がされる時代になったとき、Land as a Service=LaaSという言葉が出てくるのかなと思います。コミュニティの価値・地域の価値・土地の価値がLaaSの価値になる。シェアリングエコノミーを当たり前のように使っている人達がいるところ。それが、地域の価値になり、土地の価値になっていく。もしかしたら、そんな世界がくるのではないか?と考え、”今できること”に取り組んでいます。

パネルディスカッション

不動産テック協会主催モビリティ不動産テック特集パネルディスカッションの様子

登壇者(写真左から)
石川 琢磨氏 アディッシュプラス株式会社
髙原 幸一郎 氏 株式会社NearMe
増田 知平 氏 株式会社ハッチ・ワーク
司会:滝沢 潔氏 不動産テック協会 代表理事(株式会社ライナフ 代表取締役社長)

 

「アットパーキング」と「at home」や「LIFULL HOME’S」に掲載されている駐車場の掲載数は同じなのでしょうか?

増田氏:「アットパーキングクラウド」を導入している月極駐車場の情報は、「アットパーキング」や「at home」「LIFULL HOME’S」に自動で掲載されます。「アットパーキング」はオンライン契約ではない物件の情報も掲載していますが、それは両サイトには掲載されないので差が生じています。

滝沢氏「LIFULL HOME’S」「at home」が無料で掲載してくれるとのことですが、彼らのマネタイズポイントはどこになるのでしょうか?

増田氏:不動産事業者様はお金をかけてまで駐車場の情報の掲載をしようとはしないんです。お金をかけるならアパート情報などを掲載したい。駐車場情報の数が圧倒的に少ない中で、「アットパーキングクラウド」の情報”量”を買っていただいています。

最近の若者は車離れが進行しているといいますが、市場としては右肩上がりなのでしょうか?

増田氏:車離れは良く聞きますね。ですが、車の在庫数は平成元年から今にかけて倍くらいの台数になっています。車離れというのは一部の情報で、カーシェアやレンタカーなど新たなニーズが生まれているので、数としては倍になっているのが実態です。

災害時の月極駐車場は自治体が推進する動きはあるのでしょうか?

増田氏:災害の時は学校が避難所になり、学校なら駐車できるスペースもあります。課題としてあるのは、高齢者の方々が車で避難をされてくるといったところです。避難所のスペースを効率的に有効活用したいので、自家用車で避難された方々を近くの空き駐車場に誘導する必要がありますし、ボランティアで来てくれた方々の駐車問題など、行政も考えてくれています。

土地オーナーとしては時間貸しと月極どちらが儲かるのでしょうか?

増田収益性としては時間貸しの方が高いですが、時間貸しが成り立つのは駅前や商業エリアになります。住宅街では時間貸しの需要が少なくなるので、その辺は棲み分けができているのかなと思います。

シェア乗りという形態はタクシー業界が反対するのではないでしょうか?

髙原氏:2017年に全国タクシーハイヤー連合会が今後、相乗りという方法を検討していかなければいけないという内容の発表をしています。公共交通機関利用の中でタクシーというのは利用率が4%程度になっています。その少ないパイがこの20年で半分位になっています。すそ野を広げるという意味でもライドシェアで1人あたりの負担を減らし、利用者を増やしていこうということが業界としてのアジェンダになっています。
業界が反対するのでは?という概念は理解できますが、それ以上に供給量が減ってしまっている現状があります。供給数が減っているのにインバウンドで需要がどんどん増えているので、こうでもしないと乗れないという状況になってきています。

空港までの便だと競合となるのはリムジンバスでしょうか?

髙原氏:輸送量として多いのは電車・バス・タクシーとなります。「NearMe」はバスとタクシーの間くらいになります。最近は早朝深夜などの時間帯でリムジンバスの減便が増えてきています。そういったところを補うところに「NearMe」の価値が出てくると思います。厳密に見れば競合となるかもしれませんが、全体を俯瞰して見れば補完関係になるものだと思っています。

「アットパーキング」のターゲット層は管理台数どのくらいの会社なのでしょうか?

増田氏:多い会社は何万台ですが、10台20台の会社もあります。台数が少ないところには無料プランもあります。

「notteco」はどこでマネタイズするのでしょうか?

石川氏:単独ではマネタイズ出来てません!一応、法律上はマッチング手数料としてプラットフォーマーが収益を得ることは出来ますが、今のところ大きなトラブルや事故といったものはないですが、まだ日本にはシェア乗りの文化が定着していないので、いずれマッチング手数料としてマネタイズしていければ。いつか新法ができれば、ドライバーにもインセンティブが与えられるので、そこでマネタイズができるようになるかなと思っています。

ライドシェアは安全性に対する懸念が話題になりそうですが、どのような対策をしていますか?

石川氏:今はマッチングサイトという立ち位置なので、事故に対しての責任は負わないとなっています。とはいえ、心配はあると思うので、ドライバーも乗客も本人確認は必ず実施しています。また、レーティング機能も取り入れ、評価する仕組みにしているので評価が低くなれば必然的に利用されなくなるので自浄作用が働く仕組みにはなっていると思います。

Uber型のライドシェアは日本で流行るべきだと思いますか?日本には日本に合ったライドシェアが発展していくべきだと考えますか?

石川氏:前提として海外でUber が流行ったのは海外のタクシーのレベルが低いというのがあると思います。日本ではタクシーが減ってきていて需要と供給のバランスが崩れてきている現状を考えたときに、そこを補完する色々なサービスが存在していいと思っています。なので選択肢としてUber型のライドシェアがあっていいと思います。

髙原氏:私はアメリカに住んでいたこともあるので、アメリカの事情なども理解していると思っています。アメリカでUber が流行った理由のなかで、そもそもタクシーが捕まらないという問題がありました。なかなか捕まらない状況の中で呼べば来るというUber 型のライドシェアがイノベーションだったのだと思います。日本でも地方ではなかなか捕まらないという共通の問題があります。ですが、東京の夕方の時間帯などは余っていて待たずに乗れます。そこに倍のライドシェアドライバーがいては供給過多になってしまう。要らない時間帯や季節がり、足りないタイミングがある。ここをどうバランス良く供給できる環境を作るか。担い手不足をどう解決するかという課題があります。ただUber型のライドシェアを導入すれば、これらの課題がすべて解決するとは思えないですが、一部の解消には繋がると思っています。

電気自動車はこれから増えると思いますか?

増田氏:私はEVに乗っているのですが、給電の問題が厳しいなと感じています。土地がある人は自分で電源を引き込めますが、賃貸の人はそれができないので選択肢になりにくい。まずは、バスやタクシーなどの商業利用から普及して、EVが身近になり給電できる環境が整ってくれば普及もしていくかと思いますが、まだもう少し時間がかかるのではないかなと思っています。

まとめ

2065年には日本の総人口が8,808万人程度まで減少し、高齢者人口が約4割を占めるといわれています。労働力人口の減少により、経済規模が縮小すれば、若年層が都市部へ流出し地域の活力が低下する可能性があります。日本の未来を持続可能なものにするためには、高齢者の孤立や地域コミュニティの弱体化、インフラの効率的な運用が必要不可欠となるでしょう。
モビリティが発展すれば、”街づくり”を根本的に変える可能性があり、その先の未来では土地や住環境に見出す価値も今とは違うものとなると思います。表面的には不動産と関わりが薄そうなモビリティ産業ではありますが、切っても切れない関係にあることは間違いありません。”街づくり”の担い手であるモビリティ産業のこれからに注目したいところです。

関連情報

│一般社団法人 不動産テック協会
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/

│株式会社ハッチ・ワーク
https://hatchwork.co.jp/

│株式会社NearMe
https://nearme.jp/

│アディッシュプラス株式会社
https://adishplus.co.jp/

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