マンション管理規約とは?違反時の対応と作成時の注意点、2021年改定について解説

投稿日 : 2023年12月11日

マンションは集合住宅であり、複数の家庭が快適に過ごすためにはルールが必要です。そのために作られるのが「マンション管理規約」になります。

具体的にどう決められるのか、内容や違反についても確認していきましょう。

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マンション管理規約とは

管理規約とは、それぞれのマンションが持つ管理や使用に関するルールを定めたものです。

マンションの構造や立地、規模は様々なので、管理規約の内容もマンションごとに異なります。

しかし、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」に従うことが前提になっているため、自由に内容が決められる訳ではありません。

標準管理規約の種類

「マンション標準管理規約」は、マンションの管理規約を決める際のひな形として国土交通省が作成したものです。これを元に、それぞれのマンションの状況に合わせて管理規約が作られることになります。

標準管理規約にはマンションのタイプに合わせて3つの種類があります。「単棟型」「団地型」「複合型」です。

「単頭型」は最も一般的な、一つの敷地の中に住宅専用マンションが一棟建っているタイプを想定しています。

単棟型は建物が一棟だけなので共有部の使い方なども設定しやすく、標準管理規約の基本とされています。

「団地型」は一つの敷地の中に建物が複数存在しているタイプです。

複数の建物を一括して管理するための規定が設けられています。ただ団地型はそれぞれの棟によって事情や環境が異なるため、管理規定の運用がし辛かったり、住民の意見が分かれやすいケースがよくあります。

「複合型」は、建物全体が居住専用ではなく、一階部分に店舗や事務所など住居目的以外の入居がある場合に用いられます。

住居と店舗では設備の耐久性や改修時期が変わってくるため、管理規約で明確な基準を設定しておく必要があり、別のタイプとして分けられているのです。

マンション管理規約に記載されている主な内容

マンション管理規約に定められていることが多いのは、以下の4つです。

専有部分と共有部分の区別に関する事項

区分所有者が独占的に使用できる「専有部分」と、それ以外の「共有部分」がどのように区別されているか定められています。
天井・床・壁や玄関扉、窓など、専有部分と共有部分の境目となる箇所については、特に細かく規定されています。

これらの区別は補修費の負担を誰が行うかといった問題に関係してくるため、明確な区別が必要なのです。

住人の費用負担に関する事項

マンションの住民は、マンションの管理費や修繕積立金などの費用を負担しなければなりません。

定期的なメンテナンスはもちろん、長期計画に基づいた大規模修繕なども必要になってきます。

マンション管理規約では各費用の負担に関する大まかなルールのみ定められているのが一般的です。

管理組合に関する事項

管理組合は、マンションの維持管理やコミュニティに関する活動を行っています。

「組合員の資格」「業務範囲」「役員の役職、人数、選任方法」「総会の招集、議事、議決」「理事会の招集、議事、議決」「会計」といった関連事項が管理規約で定められています。

禁止事項

「専有部分の耐久壁を撤去」「共有部分の不当占拠」など、区分所有法では建物を害する行為や共有の利益に反する行為を禁止しています。

マンション管理規約では、この区分所有法に加えて禁止行為を定めることができます。ペット飼育の禁止や事務所としての使用禁止などが代表例です。

管理規約と使用細則の違い

マンションで生活する上でのルールを定めているのはマンション管理規約だけではありません。

マンション管理規約と並んでマンション生活のルールブックとしての役割を果たしているのが「使用細則」です。両者の違いは、しばしば憲法と民法に例えられます。

マンション管理や使用に関する基本的な決まりについて定められている管理規約は、憲法のような役割を果たしています。

一方で使用細則は憲法を土台として定められる民法のような働きを持っており、管理規約よりもより詳細で具体的なルールが記されているのです。

具体的には管理規約では「ペット飼育の可否について」について決められており、使用細則では「飼育可能なペットの種類や手続き方法、違反罰則」などが定められている、といったイメージになります。

管理規約を作成する際の注意点

管理規約は管理組合で作成することもできますが、知識がないまま作ってしまうと肝心なときに役に立たない可能性が高くなります。

作成する際は、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

区分所有法や民法に反した内容になっていないか

管理規約はマンション内でのみ適用されるルールですが、その内容は区分所有法や民法の枠内に収まっていなければなりません。

住民が住みやすいルールを定めるのは大丈夫ですが、それが法律に反する内容になっていないか注意は必要です。

一部の個人にのみ有利になるような規約や、不当に共有部分を占拠するような規約は作成できないのです。

万が一トラブルが起きて裁判になった場合、こうしたルールは無効と判断されます。

「規約共有部分」の登記の記載はあるか

「規約共有部分」とは、集会室や管理員室など、建物の構造上個別住居部分のように独立しているけれど、住人が共同で使うための共有スペースとして使っている箇所のことを指します。

駐車場も規約共有部分に当て嵌まります。規約共有部分は住人全員で使用する場所なので、個人が独占する形になってはいけません。

トラブルを防ぐために「このスペースは規約共有部分である」ということを管理規約で設定し、その上で登記を行う必要があるのです。管理規約には「登記済である」ということまで記載しなければなりません。

マンション管理規約に違反したらどうなる?

マンション管理規約は法律ではないものの、法律に基づいて作られているためかなり強制力を持ったルールです。

違反すると罰則となることもあります。管理規約の違反で多いのは「管理費や修繕積立金の滞納」「喫煙や物置の設置など、バルコニーの使用に関するもの」「ペット飼育に関するもの」です。

ただ、違反したからといっていきなり法律に基づいた厳しい処分を与えるのは現実的ではありません。

最初の対応としては、違反行為をやめるよう注意を促すことになります。直接あるいは文面で、管理規約に違反している旨を伝えて改善するよう促します。
うっかりしていただけ、ということもよくあるので、ここで解決することもよくあります。

期日までに違反行為が改善されない、いつまで待っても回答がないという場合は、管理規約に従って理事長からの勧告を行います。

是正期日を設け、それまでに対応しない場合法的措置に移行することを伝えます。

ここまできて改善されない場合、法的措置を講じることになります。

理事会や総会で決議を行い、弁護士に依頼する流れになります。個々のマンション管理規約で罰則を定めることもできますが、運営していくのはかなり難しいのが現実です。

罰金はよく議論に上がりますが、費用滞納をしている人に罰金を請求しても応じてくれる可能性は低く、バルコニーの使い方やペットの飼い方については誰がどうやって違反と判断するのかが難しいからです。

2021年にマンション管理規約の一部が改正

2021年6月に、国土交通省は改訂版「マンション標準管理規約」を公表しました。

まず、感染症対策としてインターネットを介したオンライン総会が実施可能になりました。この他にも、共有部分を利用して「置き配」を利用するときのルールを、使用細則で定めるときの方法。

そして共有部分と専有部分の配管を一体的に工事する場合の費用について、規約に規定することが追記されました。

まとめ

マンション管理規約は、マンションを管理していくために非常に重要なものです。

内容は個々のマンションによって異なりますが、区分所有法や国土交通省によって公表されている標準管理規約を元に作られており、非常に効力の強い強制力を持っているのです。