不動産査定の評価法3種|併用が正確な評価額算出のカギ

投稿日 : 2019年09月16日

案件により異なる3つの不動産評価法

不動産査定では基本的に、不動産の種類や用途に応じて3つの評価法を使い分けています。

  • 主に一戸建ての評価→原価法
  • 主にマンションや土地の評価→取引事例比較法
  • 主に収益物件の評価→収益還元法

それぞれの評価法について確認していきましょう。

◎原価法

原価法とは、対象物件と条件が似た建物を建築した場合の価格(A)を計算し、経年劣化による減損を差し引いて(B)現在価格を算定する評価法です。Aを再調達価格、Bを減価修正と呼びます。

建物評価額の計算式は以下のとおりです。

建物評価額=建築単価(円/㎡)×建物面積×(1-経過年数÷耐用年数)
※自己居住用は所得税法施行令第85条に基づき「事業用×1.5」で計算

建築単価と耐用年数は、国税庁サイト「建物の標準的な建築価額表」および「耐用年数表」から確認できます。

国税庁|建物の標準的な建築価額表

国税庁|耐用年数表

土地評価額の計算式は以下のとおりです。

土地評価額=実勢価格(時価)による単価(円/㎡)×土地面積

土地の評価は、はじめに路線価による評価額を算出してから、過去の取引事例を参考にして調整するとスムーズに算出できます。

◎取引事例比較法

取引事例比較法は、対象物件の周辺地域における成約事例地を複数例比較し、売却理由などの個別事情による調整を行う評価法です。
成約事例地を調査する際には、レインズの成約情報が主な情報源になります。しかしレインズでは売却開始から成約に至るまでの日数が確認できません。また、そもそも類似条件の成約情報が少ないケースもありますので、すべての案件で正確な数値が導き出せるわけではありません。
計算式は以下のとおりです。

評価額=事例地の単価(㎡)×面積(㎡)×補正率

補正率の割合は案件ごとに異なりますが、マイナス30%~プラス20%程度は見込んでおきましょう。

◎収益還元法

収益還元法は、対象物件が収益物件の場合、将来的な純利益となり得る金額から現在の不動産価値を算出する評価法です。純利益は賃料などの年間収入から管理費などの年間諸経費を差し引いて計算します。計算式は以下のとおりです。

評価額=1年間の純利益÷還元利回り×補正率

マンションで還元利回りを設定する上では、以下のポイントに注意しましょう。

  1. 入居率や家賃の変動率、空室リスク
  2. 内装や給排水設備等などのリフォームの必要性
  3. 管理費・修繕積立金の改定予定

収益還元法による計算では、物件の個別要素は考慮対象外となります。そのため、ブランド性やリフォーム・リノベーションによって得られた付加価値も、賃料の上昇が期待できなければ、評価額には反映されません。

また、還元利回りを何パーセントで見るかによって、評価額が大きく変動します。レインズで賃貸物件の成約情報を並行して確認し、適切な還元利回りを見極めるようにしましょう。

1つの評価法だけで判断できないケースもある

上記3つの評価法は、一戸建て向き・マンションや土地向き・収益物件向きと、それぞれ違った用途の評価法ではありますが、ひとつの評価法のみで判断してしまうのは危険です。

例えば建築後30年以上を経過した一戸建てでも、リフォームや設備改修により建物の状態が良い場合には、原価法だけでなく取引事例比較法も併用すべきです。

また、収益物件でも土地や建物の状態が良い場合には、収益還元法だけでなく原価法・取引事例比較法も併用することで、正確な還元利回りが算出できるようになります。

正確な査定額算出のためには、それぞれの案件に応じて必要とされる評価法を適時併用できるように、3つの評価法の特性をしっかり理解し依頼者の売却目的を満たす評価額を導き出せるようにしておきましょう。

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