売買契約書の重要事項「手付金と手付解除」の定め方|契約当事者を守ろう
「手付金」とは 不動産売買契約を締結すると、買主様が売主様に「手付金」を支払います。
不動産を担保として、住宅ローンや事業資金を借り入れることがあります。
債務者がローンを返済してくれているうちは良いのですが、現実には、ローンの返済が滞ることがあります。
このような場合、債権者は担保に取った不動産を換金して債務の返済を求めます。不動産を換金する方法として、「競売」と「任意売却」の2パターンがあります。
例えば、銀行が買主に対して住宅ローン貸すときには、その買主が取得する不動産に「抵当権」を設定します。
簡単に言えば、担保に取るということです。
この場合、銀行は債権者、買主は債務者という関係になります。
債権者には抵当権があるので、もし債務者が住宅ローンの返済を怠った場合には、催告等所定の手続きを経たうえで、債務者が所有する不動産(=債権者が抵当権を設定した不動産)を差し押さえ、強制的に売却する「競売」を行なうことができます。
しかし競売は、売却価格が通常の市場で取引するときよりも安くなることが一般的で、その分、債権者が回収できる額が少なくなってしまうことも少なくありません。
また、債務者にとっても負担が大きく、双方にとってメリットの少ない選択です。
そのため、競売を避ける選択肢として、「任意売却」が選ばれることが多いのです。
「任意売却」とは、債務者(売主)が住宅ローン等の返済ができなくなった場合、所有する不動産を各債権者の同意を得て売却処分することです。
売却代金から負債全額を弁済できる場合もありますが、全額の弁済ができない場合には、債務者から債権者に対して、「全額弁済はできませんが、売却金の一部を受け取ることで抵当権を抹消してください」とお願いする形をとり、債務の一部を免除してもらえるよう、予め調整しておく必要があります。
◇任意売却の要件
任意売却には、競売と比較してどんなメリットがあるのでしょうか。
◇任意売却のメリット
宅建業者は以下のような流れで、任意売却を進めます。
①不動産の調査・査定。
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②依頼者や各債権者に査定書を提示。査定額やその根拠を説明する。
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③依頼者や各債権者に任意売却の計画書・弁済金の配分案を提示。販売許可を得る。
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④買受希望者が現れたら、買受希望額から配分案を作成。依頼者と各債権者に売却許可を得る。
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⑤停止条件付き売買契約を締結する。(債権者の抵当権抹消への同意が停止条件となる。)
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⑥全債権者から最終的な同意を得る(停止条件の成就)
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⑦決済準備。
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⑧決済。
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⑨確定配分表に基づいて、各債権者や関係者へ支払いを行う。
債務者は経済的に困窮していることがほとんどで、処分を急いでいることが多くあります。
また、債権者が競売申し立てを進めていることも多く、債権者との交渉が難航すると、任意売却の同意が得られず、競売となってしまいます。
タイムリミットは依頼を受けてから約3ヶ月と考え、確実に売却できる価格を試算しましょう。
各債権者への弁済金には、売却金から諸費用を差し引いた残額が充てられます。
弁済金の配分額は、登記簿謄本(乙区)に記載された権利者順位に応じて決められます。
計画書・配分案は、各債権者から抵当権抹消の同意が得られるような、実現性の高い内容にすることが大切です。
多くの場合、任意売却する不動産は債務超過(任意売却しても債務が残る)の状態にあります。
1位の債権者に配分したら後順位者にはほとんどお金が残らず、後順位者の同意を得にくくなります。
そんな場合には、後順位者に協力費(ハンコ代)として、数万円~数十万円を配分する方法が有効です。
また、税金や保険などによる差押登記がある場合、法定納期限により権利者順位を決定することもあるので、注意が必要です。
◇任意売却の費用として認められるもの
債務者がこれからの生活を前向きに送れるよう、債務者の意思(任意)によって売却を決定することが大切です。
また、破産して免責を受けないかぎり、債務者には残債務は残ります。債務者に寄り添った返済計画を立ててもらえるよう債権者の理解を得るのも、宅建業者の重要な役割です。