クルマ社会をリアルに体感できる準住居地域について詳しく解説

投稿日 : 2020年06月05日

「準住居地域」とはどのようなものなのでしょうか。

用途地域の中でも一番イメージが湧きにくい準住居地域について今回は詳しく掘り下げることにします。

これを機に準住居地域に関する理解を深めましょう。

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この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

準住居地域とは

準住居地域とは、都市計画によって定められた用途地域の1つで住居系の用途地域に該当します。

準住居地域を解説する前に、まずは用途地域と用途地域を設定する根拠となる都市計画について解説します。

 

都市計画・用途地域とは

・都市計画

都市計画とは「街づくり」のことを表し、実際に街づくりを行う区域の事を都市計画区域といいます。

都市計画区域は、市街化区域・非線引き区域・市街化調整区域の3つに分別されます。
都市計画区域の指定に関しては、原則、都道府県が行いますが、複数の県にまたがる場合は国土交通大臣が指定を行います。

 

・用途地域

都市計画の種類の中に地域地区があり、用途地域はその地域地区の1つになります。

用途地域とは、その地域をどのような用途に活用するかを定めたもので、住居・商業・工業系といった13種類に大別されます。

用途地域の指定に関しては、原則、都道府県及び市区町村が行いますが、複数の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣及び市区町村が行います。

用途地域の詳細については以下のページをご参照ください。

あわせて読みたい:制限が多く複雑な用途地域についてわかりやすく解説します

準住居地域を指定する目的

準住居地域を指定する目的は、道路沿いに建設される自動車関連施設(車庫・倉庫)などの各施設と住居の両方が良好に調和できる環境を保つためです。

道路の中でも比較的交通量が多い幹線道路沿いの地域が指定されることが多い傾向があります。

準住居地域における用途と建築の制限

 

準住居地域も他の用途地域と同様に、地域内で許可された建築物とそうでないものがあります。

ここからは、建築制限も含めて準住居地域内で許可及び不許可の建物について解説していきます。

 

建築できる建物

準住居地域において許可されている建物は以下のとおりです。

カテゴリー 建物の種類
住居 ・戸建て住宅

・マンション

・一定規模以下の住宅兼店舗

・一定規模以下の住宅兼事務所

学校・教育施設 ・幼稚園

・小学校

・中学校

・高校

・大学、専門学校

・図書館

医療・福祉施設 ・病院

・診療所

・保育所

・老人ホーム

・老人福祉センター

・児童厚生施設

・福祉ホーム(身体障害者用)

・公衆浴場

公共施設 ・派出所(交番)

・公衆電話ボックス

宗教施設 ・神社

・お寺、寺院

・教会

店舗 ・床面積合計10,000㎡以下の各店舗

・パチンコ店

・雀荘

・カラオケボックス

・ホテル、旅館

・ボウリング、スケート場

・プール

・ガソリンスタンド(危険物等の貯蔵が少ないもの)

・客席部分の床面積合計200㎡未満の劇場、映画館

営業用・自動車倉庫 ・3階以上または床面積合計300㎡を超えるもの
工場 ・床面積合計50㎡以下

(危険物及び周囲への環境悪化の恐れがないもの)

・床面積合計150㎡以下の自動車修理工場

他の用途地域より比較的建物制限が緩和されているのが準住居地域の特徴といえます。

 

建築できない建物

準住居地域において許可されていない建物は以下のとおりです。

カテゴリー 建物の種類
店舗 ・風俗店舗

・キャバレー、ナイトクラブ

・床面積合計10,000㎡を超えるもの

・ガソリンスタンド(危険物の貯蔵等が多いもの)

・客席部分の床面積合計200㎡以上の劇場、映画館

工場 ・床面積合計50㎡を超える工場

・床面積合計150㎡を超える自動車修理工場

商業施設において床面積が10,000㎡を超えるものや風俗店は許可されません。

 

建築における制限

準住居地域における建築制限は以下のとおりです。

制限の種類 数値
建ぺい率 ・50%・60%・80%のいずれか
容積率 ・100%・150%・200%・300%・400%・500%のいずれか
道路斜線制限 ・適用距離:20m・25m・30m・35mのいずれか

・傾斜勾配:1.25倍または1.5倍

隣地斜線制限 ・基準の高さ:20mまたは31m

・傾斜勾配:1.25倍または2.5倍

北側斜線制限 制限なし
絶対高さ制限 制限なし
日影規制 ・高さ:10mを超えるもの

・測定水平面:4mまたは6.5m

・規制値:4-2.5hまたは5-3h

最低敷地面積 200㎡以下

高度地区・(準)防火地域などの制限内容については各自治体ごとで異なります。

 

準住居地域が持つメリットとデメリット

準住居地域は他の住居系地域にはない多くのメリットがありますが、その反面デメリットも存在します。

ここからは準住居地域が持つメリットとデメリットについて解説します。

メリット

準住居地域が持つメリットとしては次のような事柄が挙げられます。

 

➀高さ制限が他地域ほど厳しくない

準住居地域は住居のみに配慮した地域ではないため、北側斜線制限や絶対高さ制限の適用を受けません。

そのため、他の用途地域よりも比較的制限を気にせずに住宅やビルなどの設計等を行うことができます。

 

②住居系用途地域の中でも多種多様な店舗を建てられる

住居系用途地域は他の地域と比べても、店舗を設置することに関して厳しい規制がなされます。

しかし、準住居地域はパチンコ店などのアミューズメント施設も含めたさまざまな店舗を建てることができ、また床面積の合計が10,000㎡以下までの店舗(一部を除く)を建てることが可能なため一定規模の商業施設の建築が期待できます。

 

デメリット

準住居地域が持つデメリットとしては以下のような事柄が挙げられます。

 

➀住居のみに配慮した地域ではない

準住居地域は、幹線道路沿線の商業施設と住居の調和を図る目的の地域であるため、他の住居系地域よりも住居に配慮がなされた地域ではありません。

多くの大規模な商業施設が建築できる点や北側斜線制限・絶対高さ制限が適用されないことによって、どの位住居の環境に影響を与えているかをきちんと調べておく必要があるでしょう。

 

②クルマがないと生活しにくい

準住居地域は、主に幹線道路沿いに指定される傾向があります。また幹線道路自体は駅からは離れた所や郊外に多くあるため、生活するためにはどうしても自家用車などの乗り物が必要になります。

最寄りの駅まで路線バスが整備されている地域もありますが、本数が少なかったり、渋滞等で時間通りにバスが来ないといった問題もあります。

 

他の住居系用途地域と比べて準住居地域は交通の面で気を使う必要があります。

 

類似する他地域との相違点

他の「住居」と名の付く用途地域と準住居地域との違いは以下のとおりです。

 

第一種住居地域

第一種住居地域は、住居における良好な環境を守ることを目的とした地域です。

準住居地域と比べると地域内に建築できる店舗の種類の制限が厳しく、パチンコ店などのアミューズメント施設を建てることはできません。

また、床面積の合計においても、3,000㎡を超えるものを造ることはできないといった制限があります。

第一種住居地域については以下のページをご参照ください。

あわせて読みたい:第一種住居地域とは|不動産の営業に生かせる知識のまとめ

 

第二種住居地域

第二種住居地域も第一種と同じく住居における良好な環境を守ることを目的としていますが、規制自体は第一種住居地域ほど全体的に厳しくはありません。

アミューズメント施設も建てることができるなど、一見、準住居地域に似ていますが、幹線道路ではなく商業地域の周辺に指定される傾向があるといった点に違いがあります。

第二種住居地域については以下のページをご参照ください。

あわせて読みたい:第二種住居地域とは|不動産営業マンが知っておきたい知識のまとめ

 

田園住居地域

田園住居地域は、道路ではなく農地や農業施設などと住居の調和を図ることを目的とした地域です。

準住居地域と同じく住居との調和を図った地域ですが、対象が農地となることで準住居地域とは制限の内容がかなり異なります。

建物においてはかなり厳しい規制がなされ、店舗の種類だけでなく床面積の合計も基本150㎡以下に制限されます。

また、建築制限においても、北側斜線制限や絶対高さ制限が適用されるなどこちらも規制が厳しくなっています。

田園住居地域については以下のページをご参照ください。

あわせて読みたい:2022年問題の切り札か|注目の田園住居地域について詳しく解説

 

 

営業に活かしていくには

 

➀近くに大規模かついろいろな店舗が多いため生活がしやすい

駅前の商業地まで行かなくても自家用車を使用することで、短時間かつ大量に生活用品を一度に購入できることは大きな魅力です。

その反面、自家用車を所有していないと公共交通が整っていないため、この地域での生活は却って不便になることも伝える必要があります。

 

②風俗店が建てられないため子供の環境や治安もいい

住宅の近所に風俗店があると、子供に悪影響を与えるだけでなく、治安が悪くなる可能性もありますが、準住居地域においてそれらの店を建てることは禁止されています。

ただし、パチンコ店などのアミューズメント施設が建設できることに関しては、光害や騒音の件も含めて説明する必要があるでしょう。

 

 

まとめ

準住居地域に非常に性質が似ている用途地域として近隣商業地域があります。そして実際に準住居地域が指定されそうな地域にはよく近隣商業地域が指定されています。

これは準住居地域よりも建築できる建物や隣地斜線制限が緩和されている事が理由の1つと言えます。

準住居地域は、住居及び商業系用途地域の良いところをバランスよく持っている地域ですが、お客様のライフスタイルに合わせて提案していきましょう。