工業地域のメリット・デメリット・について詳しく解説「住宅は建てられる?」
「工業地域」と聞くと工場しか建てられない地域というイメージがありますが、実際は住宅や商業施設の建設が可能です。
ここ数年大型台風や長雨またはゲリラ豪雨などで、全国各地で洪水・浸水及び冠水といった水害が多発しています。
このような自然災害に備えるためには、日頃からの準備も大事ですが、自分の住んでいるところがどのような地域なのか、また避難先やその他連絡先といった情報を前もって知っておくことも重要です。
そして国も川の氾濫や堤防の決壊などによって、住居などが浸水する恐れのある区域ついては「浸水想定区域」として指定し、同時に当該地域への対策を行っています。
今回はその浸水想定区域についての内容や類似法との違い、また不動産価値おける影響などについて解説していきます。
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この記事の監修者: 小林 紀雄 住宅業界のプロフェッショナル某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。 |
浸水想定区域は、水防法第十四条によって以下のように定められています。
第十四条 国土交通大臣は、第十条第二項又は第十三条第一項の規定により指定した河川について、都道府県知事は、第十一条第一項又は第十三条第二項の規定により指定した河川について、洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保し、又は浸水を防止することにより、水災による被害の軽減を図るため、国土交通省令で定めるところにより、想定最大規模降雨(想定し得る最大規模の降雨であつて国土交通大臣が定める基準に該当するものをいう。以下同じ。)により当該河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を洪水浸水想定区域として指定するものとする。
引用:e-Govウェブサイト
水防法は1949年(昭和24年)に制定された法律で、洪水や高潮といった水災に対し公共の安全守ることを目的とした法律で、近年では2017年(平成29年)に改正がおこなわれています。
言い換えると浸水想定区域は、国土交通省及び各都道府県が指定した河川について、想定する最大規模の降雨があった場合、氾濫によって浸水が予想される区域のことをいいます。
尚指定した河川のことを、洪水予報河川及び水位周知河川といいます。
浸水想定区域を指定する目的としては、条文中に以下の2つの理由が述べられています。
① 洪水時の円滑かつ迅速な避難の確保
② 浸水の防止による水災被害の軽減
また浸水想定区域が実際に指定された際は「洪水浸水想定区域図」として公表されます。
洪水浸水想定区域図は、浸水想定区域が指定された際に、作成されるものです。
画像引用:国土交通省 洪水浸水想定区域図マニュアル(一部抜粋)
内容としては、浸水した際に想定される水深や浸水が続く時間などを記載します。
また洪水予報河川や水位周知河川も記載されますが、別途氾濫によって周りが浸水する恐れのある河川も記載されまます。
また洪水浸水想定区域図では、浸水の深さを浸水深として、8段階に分けて浸水の深さを区分けしています。
画像引用:国土交通省 洪水浸水想定区域図マニュアル(一部抜粋)
この洪水浸水想定区域図を基に、さらにビジュアル化した感じのものが洪水ハザードマップになります。
洪水ハザードマップはその名の通り、洪水浸水想定区域図を地図化したものです。
具体的には、国土交通省または各都道府県から提供された洪水浸水想定区域図を基にして、浸水または洪水予報の伝達方法や避難を確保するための情報が記載されています。
また洪水ハザードマップは、津波やその他災害におけるハザードマップと共に、国や県及び市町村から配布されており、各ホームページで公表もされています。
画像引用:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ
このように地図が表示され、被害がでる恐れのある場所の色が変わるという仕組みになっています。
浸水想定区域と類似した区域として、都市洪水想定区域と都市浸水想定区域が別途存在しますが、それぞれには微妙な違いがあります。
まず都市洪水想定区域ですが、堤防の決壊や川の氾濫といったいわゆる外水被害に重きをおいている点に関しては、浸水想定区域と同じ趣旨であるといえます。
そして洪水予報河川や水位周知河川が指定される点も同じです。
さらに洪水が予想される河川の名称として、上記2つの他に特定都市河川という指定があり、これは市街化率が約5割の都市部を流れ、洪水または浸水が発生及び予想される河川で、防水等の設備が市街地の発展などの理由で困難な河川を指します。
この特定都市河川が洪水予報河川に指定された場合は浸水想定区域となりますが、指定されなかった場合は都市洪水想定区域となります。
続いて都市浸水想定区域は、浸水想定区域や都市洪水想定区域に対して、大雨などで排水が追いつかないときなどに発生するマンホールや側溝などの氾濫や、高潮など水面の上昇によって引き起こされる浸水被害いわゆる内水被害に重きをおいた想定区域になります。
都市洪水及び都市浸水想定区域以外にも、浸水想定区域に関連する用語を簡単ではありますが、ここでまとめておきたいと思います。
➀洪水予報河川
流域面積が大きく、洪水または浸水等によって重大な被害が生じる可能性がある河川で、国または各都道府県が指定した河川をいいます。洪水時においては、水位や流量といった洪水に関する情報を洪水予報として発表します。
②水位周知河川
洪水予報河川以外の河川で、洪水または浸水等によって重大な被害が生じる可能性がある河川で、国または各都道府県が指定した河川をいいます。前もって洪水特別警戒水位を定め、この水位に達した際は、流量も含めて発表することになっています。
浸水想定区域がハザードマップによって公表され閲覧できることは、先程簡単に述べましたが、ここではもう少し詳しく閲覧及び確認する方法をみていくことにします。
実際に役所等に足を運んで配布されているものを受け取る方法がありますが、ハザードマップはその都度改定がおこなわれており、常に最新のものを手に入れるにはその度足を運ぶ必要があり、この方法では少々労力がかかってしまいます。
またハザードマップは、国や各都道府県及び市町村等によってインターネットで公開されており、誰でもその内容を閲覧することができます。
また更新もおこなわれるので、常に最新のハザードマップを確認することができて大変便利です。
最後に1件ホームページを紹介しておきますので、ぜひ参考にしてみてください。
浸水被害以外にも津波や土砂災害など、多くの災害についてのハザードマップが閲覧できる大変便利なサイトです。
ここまでは浸水想定区域の内容や、実際の調べ方などを中心にみてきましたが、浸水想定区域における土地や建物といった不動産価値は一体どうなっているのでしょうか。
結論から申し上げますと、浸水想定区域内における不動産価値は、従来の不動産価値と比べて下がる可能性が高いといえます。
しかし浸水想定区域であっても、居住誘導区域内の不動産に関しては、価値が下落しない可能性が高いです。
ただ原則浸水想定区域内に居住誘導区域が設定されているとは限らないので、その点においてはきちんと調べておく必要があります。
居住誘導区域とは、立地のいい場所に集まって住むことを目的とした政策の1つであり、また地域区分の1つでもあります。
いかがでしたでしょうか。
ここまで浸水想定区域の内容や調べ方、そして区域内における不動産価値などについて述べてきました。
近年の異常気象の影響により、大型台風や大雨などによって水害が起こる可能性が格段に上がってきました。
また同時に浸水や洪水を含める防災に関するニュースも、以前と比べて頻繁に報道されるようになり、防災に関する意識も格段に高まっています。
お客様も必ず意識される項目ですので、事前に調べておき、きちんとした説明ができると不動産営業マンとしてさらに信頼されるでしょう。
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