道路づけによって変わる不動産の価値|道路の種類と接道状況を確認する

投稿日 : 2019年11月13日/更新日 : 2023年02月07日

不動産業者が注目する建築基準法第43条「接道義務」

不動産評価を行う上では、道路づけに関しては最大限に注意する必要があります。

これは宅建業者としての評価だけでなく、金融機関の担保評価においても、もっとも重要視されている項目のひとつが「道路づけ」です。

その理由は建築基準法第43条「接道義務」にあります。

接道義務とは「建築物の敷地は、幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接しなければならない」とする法規制です。

その規制に適合する建築物であるか、そうでないかで不動産の評価額は大きく異なってくるのです。

 

接道すべき「道路」とは

では、接道しなければならない「道路」には、どのようなものがあるのでしょうか。

不動産の価値を決める建築基準法上の道路には、以下の6種類があります。

 

42条1項1号(道路法による道路) 幅員4m以上の国道・都道府県道・市区町村道
42条1項2号(2号道路) 幅員4m以上の都市計画事業・土地区画整理事業などによって築造された道路
42条1項3号(既存道路) 幅員4m以上の建築基準法施行以前の既設道路(公道および私道)
42条1項4号(計画道路) 幅員4m以上の都市計画法・土地区画整理法により2年以内に事業が行われる予定の特別行政庁指定道路
42条1項5号(位置指定道路) 幅員4m以上の宅地造成と並行して造られた道路のうち一定基準に適合し特別行政庁から位置指定を受けた道路
42条2項(2項道路) 幅員4m未満で建築基準法施行時に建築物が建ち並んでいた状態として特別行政庁が指定した道路

 

接道義務を満たさない再建築物はセットバックが必要

敷地が接する道路が幅員4m未満の場合、接道義務を満たすために道路中心線から2m後退した線を道路境界線とみなして建築しなければなりません。

この後退をセットバックと呼びます。

道路の向かい側が川や崖地、線路敷などで通常のセットバックができない場合は、向かい側の道路境界線から4mセットバックする必要があります。

 

◎旗竿地の注意点

路地状敷地、いわゆる旗竿地(はたざおち)の場合には注意が必要です。

旗竿地では接道部分と路地状部分のすべての幅員が2m以上必要になるため、接道部分が2m以上であっても路地状部分が2m未満であれば接道義務を満たしていないことになります。

 

◎「建築基準法第43条第1項ただし書きの規定に基づく許可」による救済措置

接道義務を満たしていない土地は原則として建築することができませんが、例外的な救済措置もあります。

「建築基準法第43条第1項ただし書きの規定に基づく許可」に基づき、国土交通省が定める以下の要件を満たせば建物を建築できる可能性があります。

  1. 敷地の周囲に公園や緑地などの広い空き地がある
  2. 敷地が農道や幅員4m以上の公共道に接している
  3. 建築物の用途・規模・位置・構造に応じて、安全のために十分な幅員がある道路に有効に接している

 

まとめ

建物は経年劣化で価値が下がります。

どんな高価な建築材料で建てられた家でも、歳月による老朽化は避けられません。

しかし道路づけは年月が経っても変わることがありません。

ですから不動産を評価する際に、一番の価値の決め手となるのが「道路づけ」なのです。

不動産営業実務マニュアルに興味がある方は下記の記事をご覧ください。

不動産営業実務マニュアル

不動産業務実務の基本に興味がある方は下記の記事をご覧ください。

不動産営業実務の基本

不動産業務実務の基本関連記事