第二種低層住居専用地域について不動産営業マンが知っておくべきこと|第二種低層住居専用地域についてのまとめ
第二種低層住居専用地域は、第一種低層住居専用地域に比べ利便性が高いと言われています。
ライフラインの中でも下水道の処理がどうなっているかは、買主様の生活の利便性や衛生面だけでなく、災害時の浸水被害にも関係してくる重要な項目です。
不動産売買契約時の重要事項説明時にきちんと説明し、買主様に不安を与えないようにしましょう。
今回はライフラインのひとつである公共下水道に焦点を当てて解説していきます。
公共下水道とは、住宅等の排水管から流れる生活排水および雨水を集めた終末処理場もしくは流域下水道に送るために市区町村が配管した下水道を指します。
市街化調整区域や市街化区域、または農振地域などの区域により公共下水道の種類は分かれます。なお、住宅ではなく特定の事業者の事業活動に利用されるものは特定公共下水道と呼ばれています。
画像引用:国土交通省|下水道の種類の概念図
下水の排除方式は合流式と分流式に分かれます。それぞれ以下のような特徴があります。
汚水と雨水を同一の排水管で流す方式です。
分流式に比べて施工が容易だという理由もあり、特に都市部における公共下水道は、昔は合流式が一般的でした。しかし公共用水域の水質保全の観点から方式が見直され、1970年の下水道法改正後は分流式が採用されています。
汚水と雨水を別々の排水管で流す方式です。
雨天時に汚水を公共用水域に放流することがないので、水質汚濁による環境汚染を防止できます。
不動産の売買契約時に行う重要事項説明では、公共下水道の整備状況として「合流式か分流式か」「前面道路内の排水管の口径」などの説明を行います。
市区町村役場の下水道課で取得できる埋設管図面を提示してご説明するのも良いですが、下水道課に行った際に過去の浸水被害の記録を調べておくと、より買主様に有益な重要事項説明ができるようになります。
特に浸水被害対策区域に指定されている区域の場合には、浸水被害の防止を図るために雨水貯留施設の管理について住民と管理協定を締結する場合があります。
協定の内容についてしっかりご説明できるように、役所の担当窓口で十分な確認を取っておきましょう。
住宅の排水管から直接公共下水道に排水する場合には問題ありませんが、住宅が私道に面していると、下水道が私設であり、土地購入時に下水道維持管理費の支払いを要求される可能性があります。
現地調査の際に下水道用マンホールを見て、蓋に市区町村のマークがないときには下水道の敷設状況を確認しましょう。
また、過去に下水道使用履歴がない宅地で新たに下水道を使用するときには、自治体より下水道負担金を請求されることがあります。用途変更により住宅を新築する際には確認が必要です。
平成30年度末の時点では、日本全国の下水道普及率は79.3%となっています。(東日本大震災の影響により福島県の一部は調査対象外)
これは公共下水道がまだ整備されていない地域があることも理由のひとつですが、公共下水道の整備がなされていても浄化槽や汲み取り式のままになっている可能性があるので注意が必要です。
下水道法では、公共下水道が整備された地域では速やかに住宅の排水管から接続することが義務付けられています。汲み取り式便所の場合、下水の処理を開始すべき日から3年以内に改造することなどの規定があります。
整備済地域で浄化槽や汲み取り式を利用している建物を売買する際には、公共下水道への接続に加えて浄化槽撤去の費用が発生する旨を買主様に説明しなければなりません。
今回はライフラインのひとつである公共下水道について解説しました。
買主様の生活に密接な関係がある下水道設備は、契約時の重要事項説明だけでなく不動産査定などでも大きな影響を及ぼします。
下水道について理解を深め、適切なご提案やご説明ができるようにしましょう。