個人事業主でも住宅ローンを組める!審査に申し込む時のポイント3つ

投稿日 : 2020年04月06日

個人事業主(自営業者やフリーランス等)は、「会社員と比べて住宅ローンを組みにくい」という認識が一般的です。しかし、条件が整えば個人事業主であっても住宅ローンを組むことができます。

「個人事業主が融資を受けるためのポイント」を理解しておけば、商談の際の営業トークに活用できるでしょう。

今回は、個人事業主がローンを組む前に知るべきこと、住宅ローンを組む際のポイントを解説します。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

個人事業主が住宅ローンを組む前に知っておくべきこと

 

住宅ローンを申し込む際、審査でもっとも重要視されるのが「継続的に返済を続けていけるか」という点です。月給として保証されていない個人事業主は、会社員と比べて審査が厳しくなる傾向があります。

まずは、住宅購入を検討している個人事業主の方が知っておくべき情報を解説します。

 

会社員より信用が低い

会社員の場合、月給と言う形で毎月の収入が保証されています。会社が倒産するリスクはあるものの、個人事業主と比較すると「収入が安定している」と判断されます。

一方、個人事業主は会社員と違い、収入が保証されていません。

  • 月によって収入金額に波がある
  • 病気で休んでも有給などの補償がない
  • 賞与や退職金がない

このため、重要視されるのは年収の高さではなく安定して黒字をあげていることです。年収の高さが一過性だと判断されると、融資を断られてしまいます。

個人事業主が安定した収入を証明するには、「3期連続で黒字」が基準になります。

 

借り入れ条件が厳しくなる場合がある

個人事業主は、同じ年収の会社員と比べて「借り入れ条件が厳しくなる」場合があります。

  • 返済期間が短く設定される
  • 金利が高く設定される
  • 提出書類が多くなる

一概に上記のような対応になるわけではありませんが、融資をする代わりに何らかの条件が課される可能性はあります。

例えば、会社員には最長30年で融資するところ、個人事業主相手には25年しか設定できない、といった具合です。

書類に関しても、住民税・個人事業税・国民年金等、あらゆる納税証明の提出を求められる場合があります。

 

個人事業主が住宅ローンを組むためのポイント

個人事業主が住宅ローンで融資を受けるためには、「3期連続の黒字」が1つの条件です。この際、所得を収入とみなして審査されます。そのため、審査に申し込む前に必要な書類は以下のように違いがあります。

  • 会社員=前年度分の源泉徴収票
  • 個人事業主=直近3年分の確定申告書

3期の年収が300万円、400万円、500万円だとしても、平均年収である400万円で審査されるのが一般的です。また、3期の中でもっとも低い年収で審査する場合もあります。

そのほか、少しでも審査の通過率を上げるために、以下の点に気を付ける必要があります。

  • ローンや返済を絶対に滞納しない
  • 収入に対する返済比率を下げる
  • 信用金庫や信用組合の利用を検討する

ローンや税金を絶対に滞納しない

会社員にも共通の項目ですが、「カードローンなどの返済を滞納しない」ことが住宅ローンの融資を受けるためには重要です。

過去に返済の滞納を起こしている場合は、「信用がない」と判断されます。

個人事業主の場合は国民年金・健康保険料、各種税金を自分で納付します。会社員よりも滞納のリスクが高い点に注意が必要です。

年金や保険料の支払いを振込から口座振替に変えるなど、納付を忘れないように工夫しましょう。

収入に対する借金の返済比率を下げる

住宅ローン審査における重要項目の1つに、「返済比率」があります。返済比率とは、年収の中から住宅ローン返済に回す割合のことです。

  • 返済比率=1年間の元利均等返済額÷年収×100

例えば、年収500万円の人が毎年150万円を返すより100万円返す方が年収に対して余裕があるため「安定して返済できる」と判断されるのです。

なお、事業用資金を借りている場合は住宅ローンにプラスして「元利均等返済額」に含まれます。

自己資金の割合を増やして住宅ローンの金額を減らすなど、毎年の返済額を低くする工夫が求められます。

信用金庫や信用組合の利用を検討する

大手都市銀行やネットバンクは公務員や大企業の社員は融資を受けやすい一方、個人事業主に対して審査が厳しくなりがちです。

一方、信用金庫や信用組合は「非営利」の金融機関です。相互扶助の精神が根底にある組織のため、個人事業主であっても比較的融資を受けやすくなっています。

地銀の場合は会社の方針で異なります。事業資金の取引をしているなど関係が強く、事業の内容に理解がある金融機関を選ぶようにしてください。

 

個人事業主が住宅ローンを組むなら『フラット35』

「3期連続の黒字ではない」「事業をはじめたばかり」など、銀行の住宅ローンの申込条件を満たしていない方に向けては『フラット35』の利用をおすすめします。

 

フラット35は、民間金融機関の融資した住宅ローンを住宅金融支援機構が譲り受け、そのローンを裏付けとして資金調達を行うという手法を用いた住宅ローン商品(※)です。

※商品名は取扱金融機関によって異なりますが、住宅金融支援機構では「フラット35」という総称でご紹介しています。

引用元:住宅金融支援機構|フラット35のしくみについて

 

住宅金融支援機構が提供している住宅ローンであり、『申し込み時に満70歳未満』かつ『日本国籍又は永住許可を受けている方』であれば申込むことができます。

フラット35のメリット

民間の住宅ローンと比べて、以下のようなメリットがあります。

  • 審査する年収は「直前1期分」
  • 金利が最長で35年間固定
  • 事業用資金を借入金として判断しない

3期分の確定申告書を必要としないため、開業したばかりの個人事業主でも審査に申し込むことが可能です。また、過去に赤字があったとしても直近1期の実績が良ければ申し込むことができます。

また、フラット35は「固定金利」を採用した住宅ローンです。低金利である今のうちにローンを組めば、現在の金利が最長で35年適用されます。

さらに、事業用資金は借入に含みません。借入に含む民間の金融機関に比べて、より多くのお金を融資してもらうことが可能です。

フラット35のデメリット

個人事業主にとってはメリットが大きいフラット35ですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 変動金利より適用金利が高い
  • 団信加入に金利上乗せが必要
  • 繰り上げ返済の最低金額が民間より高い

変動金利は、5年ごとに金利を見直す代わりに、固定金利に比べて毎月の返済額が少なくなります。

 

画像引用:住宅金融支援機構|民間金融機関のローン金利推移

 

2020年における変動金利は店頭表示価格で「年2.475%」です。さらに金利優遇という名のもとに、実際の金利は「0.5~0.6%」まで引き下げられます。

一方、フラット35の固定金利は「9割超の融資を受ける場合」で年利約1.5%です。

金利が高い分、同じ金額を借り入れた場合は毎月の返済額が高くなります。

 

住宅ローンを経費にする場合の注意点

個人事業主は、一部の支出を「経費」として計上することが可能です。

この時、自宅で仕事をしている「在宅ワーク」の場合は、「自宅を事業で使用する割合」を決めます(家事按分)。その割合に応じて経費にすることが可能です。

ただし、住宅ローンを経費にする場合は以下の点に注意が必要です。

  • 元本返済分は経費にできない
  • 住宅ローン控除を受けていると事業使用割合分は控除できない

元本の返済分は経費にできない

住宅ローンの支払いも経費として計上できますが、あくまで「利息部分だけ」である点に注意が必要です。元本を経費として落とすことはできません。

なお、フラット35で団体信用生命保険を支払っている場合も、経費にできません。

住宅ローン控除を受けていると事業使用割合分は控除できない

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けるためには多くの条件がありますが、自宅で仕事をする個人事業主が気を付けるべきは、以下の項目です。

 

新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。

引用元:国税庁|住宅借入金特別控除

 

つまり、家事按分で事業割合を50%以上にすると、住宅ローン控除は適用できなくなります。また50%未満であっても、事業で使用する部分には住宅ローン控除は適用できません。

 

まとめ

今回は、個人事業主が住宅ローンを組む際のポイント・注意点を解説しました。

個人事業主が会社員よりも信用面で劣ると判断されがちなため、融資を受けるには念入りな準備が必要です。

「年収よりも安定して返済できるか」を念頭に、個人事業主の買主様に解説をしてください。