水害がもたらす不動産への影響|不動産における水害対策のまとめ

投稿日 : 2020年06月10日

日本は降雨量が多く、国土に山や河川が多いため、水害が多い国とされてきました。

そのため、台風や豪雨により近年は特に水害の被害が相次いでいます。水害による不動産への被害は大きいため、水害について理解し対策をとっておくことが大切です。

今回は、水害がもたらす不動産への影響や対策について解説します。

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この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

水害と不動産

水害により住宅が床下浸水した場合、激流でもない限り建物を建て替えたり取り壊したりするまでの被害にはなりません。

しかし、床下浸水により建物が汚染・悪臭を放ったり、構造物が劣化することがあります。その時には、専門的な清掃や消毒が必要です。さらに内壁材、床材、壁紙など交換しなければいけません。

また、台風などによる土砂災害で、建物が全壊もしくは半壊状態となった場合は大規模修繕が必要になります。

 

水害の種類

一言で水害と言っても、種類があり、それぞれ街・建物・人に及ぼす被害が異なります。

ここでは水害の分類と、考えられる被害について解説していきます。

 

台風による災害|土砂災害・河川の氾濫・高潮

台風は、強風・大雨を伴うため風害・水害両方の対策が必要です。台風で特に注意しなければいけない災害は、土砂災害と河川の氾濫です。また、台風発生による海岸沿いの高潮の被害を受けることもあります。海岸沿いの建物は注意しましょう。

ニ次被害として、停電や水道の故障が起きる可能性もあるため注意が必要です。

 

都市型水害

都市型水害とは、下水で処理できなくなった水が、都市の道路などに氾濫する災害のことを言います。東京や大阪など山や土砂のない大都市で起こる水害です。

大規模な停電、道路や電車が使えなくなることによる建物内の孤立などの恐れがあります。

 

水漏れ・雨漏り

水害ではありませんが、水漏れ・雨漏りなどの水トラブルにも注意が必要です。

水漏れは、水道管や水道部品の劣化により生じるトラブルです。ほとんどの水道管は壁や床に隠れて見えないため水漏れがあっても気づきにくいですが、水漏れにより部屋が水浸しになったりカビが生えてきたりすることがあります。

雨漏りは、建物のひび割れなどから降水量が多いと浸水して起きることがあります。カビの原因や建物の構造の劣化に繋がってしまいます。

 

自然災害による二次被害

自然災害によって所有する賃貸物件が損傷した場合、その復旧費用はオーナーの負担となります。また、自然災害が発生するとその土地の地価が下がる傾向にあるため、不動産価格も下落します。

水害により、飲食店や旅館など店舗が浸水被害を受けた場合、営業停止による経済的な被害もあります。

浸水によりカビが生えたり排水の臭いが残ってしまうと、体調を崩すなど身体・衛生的にも影響がでてきます。

 

購入前の水害対策

ここまで水害による不動産への被害を解説してきましたが、今度は水害による被害を避けるために、お客様が不動産を購入する前にできる水害対策についていくつか紹介します。

 

ハザードマップを確認する

ハザードマップとは水害、火事、地震などの災害のリスクや過去そのエリアでどのような災害が起こったかを確認することができる自治体発行の地図です。

不動産購入前にハザードマップと、広域避難場所や消防署などの場所が確認できる防災地図の両方を確認して災害発生のリスクや避難場所を確認すると良いでしょう。

 

出典:国土交通省 ハザードマップポータルサイト

 

河川から遠い・海抜が高いエリアの物件を選ぶ

洪水や浸水から不動産を守るには、購入の段階でできるだけ河川から遠い場所を探すということが大切です。

また、ハザードマップで海抜の高い場所にある物件を選ぶことで洪水・浸水を防ぐことができます。しかし、海抜が高くても、河川が近ければ氾濫の可能性があります。高い場所かつ河川から遠いエリアで物件を選ぶようにしましょう。

 

水害に強い物件を探す

水害に強い物件を選ぶには、水害対策に力を入れている地域を選ぶことが大切です。各自治体や国土交通省が公開しているハザードマップを確認してみましょう。

東京をはじめとする大都市は水害対策のレベルが高い地域です。

東京の場合、荒川、隅田革、多摩川などの周辺は河川近くの地域となりますが、堤防の決壊を防ぐために高規格堤防整備事業や橋梁の架け替え、増水に対する対策がそれぞれ実施されており、レベルの高い水害対策がなされていると言えます。

河川の近くは不動産投資の対象地域として魅力的なことも多いため、一度どの程度の水害対策がとられているか確認して決めると良いでしょう。

また、水害を受けにくい建物の種類を選ぶことが大切です。木造よりも鉄筋・鉄骨コンクリート造、1階よりも2階以上の物件が良いでしょう。1階が駐車場となっている物件も水害のリスクを最小限に抑えることができます。

1階の駐車場部分が主に柱で構成されていることで水が流れていき、建物の中に水が溜まりにくいためです。2階への浸水も防ぐことができます。

 

2階以上のフロアを選ぶ

河川の氾濫や洪水のよる床上浸水にも注意が必要です。

床上浸水になると長期間賃貸ができなくなる可能性があるため、リスクの高い1階よりも2階以上の部屋を選ぶことが大切です。

 

購入後の水害対策

購入前の対策も重要ですが、自然災害は完全に回避することが難しいため、運悪く被災してしまう可能性もあります。

万が一被害を受けた時の担保として保険に加入しておくことが大切です。自然災害による被害が発生した場合の修繕費用は、高額になることが多いため、火災保険に加入しておくと良いでしょう。

 

火災保険で水害対策する際の注意点

火災保険で適用される被害内容を理解しておきましょう。

浸水の場合の補償

床上浸水の被害は、場合によっては火災保険が適用されない場合があります。

ほとんどの火災保険は、地盤または床上から45cm以上浸水している場合に補償されます。浸水が45㎝未満の場合は補償されない可能性があるので注意が必要です。

また、45㎝浸水していても、補償額が保険金額の30%が上限となっていることが多く、全て補償されるわけではありません。保険に入るときは、補償内容も確認するようにしましょう。

 

地震保険

水害で不動産に損害が発生しても、原因が地震であった場合火災保険は適応されません。損害の原因が地震の場合、地震保険でのみ補償されます。地震保険は火災保険に付帯される保険ですので、どちらも加入すると良いでしょう。

 

自然災害が原因での破損

自然災害による建物の破損で入居者とトラブルになることがあります。

例えば、台風で窓ガラスが割れて入居者の所有物が壊れてしまった場合です。

この場合、大家には法律上責任は発生しないため、大家側の保険は使用することができず、入居者が入っている保険で補償することになります。入居者が火災保険に加入していなかった場合トラブルになることがあるため、入居者にも火災保険に加入してもらうようにしましょう。

 

水害により賃貸経営ができないとき

水害などの自然災害で賃貸経営ができなくなると、家賃収入が得られなくなってしまいます。そのような場合のために、大家向けの保険の特約があります。

火災保険に付帯して補償を受けることができ、床下浸水で物件が破損し経営できない、入居者に怪我をさせた、入居者の物が壊れたという場合にも補償されるので安心です。

補償範囲や補償額は保険会社により異なるため、加入の際確認するようにしましょう。

 

まとめ

水害による不動産への影響を中心に、水害の種類や購入前・購入後の水害対策について説明しました。

水害は完全に防ぐことはできませんが、対策をしておけば、可能な範囲で不動産を守ることができます。いざというときに備え、しっかり水害対策を行いましょう。