売主の瑕疵担保責任とは|契約書への定め方と2020年民法改正のポイント

投稿日 : 2019年11月08日

「瑕疵担保責任」とは

「瑕疵担保責任」とは、買主が契約時に認識していなかった瑕疵(傷・欠陥)が契約後に発覚した場合に、売主が負う責任のことです。

不動産売買で買主が不利益を被らないように、また売主の責任の範囲を明確にするために、契約書に定めるものです。

そのため、以下のルールが適用されます。

  1. 売主は、契約時に瑕疵の存在に気づいていなくても、瑕疵担保責任を負う。
  2. 買主が契約時に瑕疵の存在に気づいていた場合は、売主は瑕疵担保責任を負わない。

瑕疵担保責任の定め方

瑕疵担保責任については、民法・宅建業法で規定されています。

ただし、一定の規定があるのは瑕疵担保責任の「期間」のみで、責任の「範囲」については各案件ごとに定めることになります。

買主が瑕疵担保責任を負う期間

①買主が瑕疵の存在を知った時点から1年以内(民法第570条)。

②①は任意規定のため、売主が個人の場合は「3ヶ月以内」などと定めるのが一般的。

③売主が宅地建物取引業者の場合、物件引き渡し日から2年以上とすることもできる。ただし、買主が①より不利になる特約は不可。(宅建業法第40条

売買契約書に定める「瑕疵担保責任の範囲」例

◇建物の瑕疵

  • 雨漏り
  • 蟻害
  • 建物構造上主要な部位の腐食
  • 給排水設備の故障

◇土地の瑕疵

  • 軟弱地盤・地盤沈下・過去の浸水被害
  • 地中埋設物・土壌汚染
  • 境界越境(地中の給排水管も含む)・擁壁不良

新築の瑕疵担保責任について

新築住宅の売買における宅建業者・建設業者の瑕疵担保責任については、住宅瑕疵担保履行法に次のように定められています。

  • 瑕疵担保責任を負う期間は10年間。
  • 保険加入または保証金の供託が必要。(責任を履行できる資力確保のため)

中古物件の瑕疵担保責任について

中古物件の売買は、引き渡し状態の認識に当事者間で食い違いが起きやすく、また瑕疵が発見される頻度も多いため、トラブルになりやすい案件です。

たとえ「現状有姿(現状のまま)」の引き渡しであっても瑕疵担保責任は生じるため、責任範囲をきちんと契約書に定めておくことが大切です。

ただし、物件の性質によっては、売主が瑕疵担保責任を負うのは難しいとして、免責特約を定める場合もあります。

不動産業界では、略して「瑕疵担(かしたん)免責」と呼ばれています。

◇瑕疵担保責任の免責特約を定めるケース

  • 任意売却物件など、売主に瑕疵担保責任を負う資力がない場合。
  • 築年数の経った中古物件で、経年劣化や自然損耗が散見される状態を考慮して、前もって売買価格に反映している場合。

宅建業者が気をつけるポイント

契約前に現状を詳細に把握する

契約後になって瑕疵が発覚する可能性を低くするため、契約前に物件の現状をできるだけ詳しく把握することが大切です。

それには、「既存住宅状況調査(インスペクション)」や「既存住宅売買瑕疵保険の付保」が有効です。売主であるお客様に案内・おすすめしましょう。

引き渡し状態のすり合わせを丁寧にする

両当事者間で引き渡し状態の認識に食い違いが起きないよう、契約前にできるだけ具体的にすり合わせることが大切です。

現状・引き渡しまでに行う工事を含め、買主に丁寧に説明しましょう。

2020年に「瑕疵担保責任」についての民法改正

2020年4月の民法改正で、瑕疵担保責任についての規定が一部改められます。以下に改正のポイントをまとめました。

◇「瑕疵担保責任」法改正のポイント

  • 「隠れた瑕疵」という文言は「契約不適合」という表現に変更されます。
  • 契約不適合が発覚したとき買主が取れる措置に、「追完請求(補修や代替物・不足分の請求)」「代金減額請求権」が加わります。
  • 期間制限について、1年以内に買主から「事実の通知」をすれば責任追及できるようになります。(現行法では、1年以内に瑕疵内容の具体的な特定や、損害賠償請求の根拠提示が必要。)