「マンション建替え円滑化法」を解説|特徴と事業の流れ・改正のポイント
近年、巨大地震への懸念から、老朽化したマンションや耐震性に問題のあるマンションの建替えが求められています。
「建付地」とは、建物が建っている土地のことです。「建付地」と呼ばれるための要件は、その他にもいくつか存在します。
また、建付地以外にも、土地の状況や権利関係を表す用語はたくさんあります。宅地建物取引業者としては、これらの不動産用語をきちんと理解し、正しく使用する必要があります。
そこで今回は、建付地をはじめ、土地を表す用語についてまとめました。また、状況に応じた評価額の計算方法もご紹介します。
土地を表す用語はたくさんあります。ここでは、それぞれの意味や使い分けをご説明します。
「建付地(たてつけち)」とは、建物が存在する土地で、土地の所有者と建物の所有者が同一である宅地のことです。また、第三者の借地権や地役権など「使用収益を制約する権利」が設定されていないことも「建付地」の条件となります。
◆建付地の要件
「貸家建付地(かしやたてつけち)」とは、建付地のうち、そこに存在する建物を第三者に貸し付けている場合の土地のことです。つまり、賃貸用建物(貸アパート・貸マンション・貸家など)が存在する建付地のことを言います。
「更地」とは、建物や立木がなく、手を加えられていない土地で、「使用収益を制約する権利」が付着していない土地のことです。つまり、法令の範囲内で自由に建物を建てられる土地を「更地」と言います。
建物が建っていなくても、「耕作されていない農地」や「樹木のない山林」などは、自由に建物を建てられないので、「更地」とは言いません。
「敷地」とは、建築基準法によると「1つの建築物または用途上不可分の関係にある2つ以上の建築物のある一団の土地」とされています(電子政府の総合窓口e-Gov|築基準法施行令第1条1項)。
また、道路や鉄道・堤防・公園など、何らかの用途に利用される構造物が存在する土地や整備された一定区域の土地についても「敷地」と言います。
宅地建物取引業法によると、「宅地」とは、建物の敷地に供せられる土地をいい、都市計画法に定められた用途地域の土地のうち、道路・公園・河川・その他政令で定める公共施設用の土地以外のものを指します。(電子政府の総合窓口e-Gov|宅地建物取引業法第2条1項)
「借地」とは、地主様(貸主様)から借りた土地のことを言います。借主様は貸主様に月々の地代(賃料)を支払うことで、土地に建物を建てて使用する権利「借地権」を有します。
「底地」とは、借地権が設定されている土地のことで、「貸地」または「貸宅地」とも言います。借地を貸し出す権利のことを「底地権」と言います。底地権を有していれば、地代の他、更新料や増改築の承諾料などを得ることができます。
不動産の価格は、「不動産鑑定評価基準」をもとに不動産鑑定士によって鑑定されます。「建付地」の価格はどのような評価基準に基づいて鑑定されるのでしょうか。
建付地は、建物や構造物と一体となって利用価値を発揮しています。そのため建付地の鑑定評価は、建物などと一体として継続使用することが合理的である場合に、その敷地について部分鑑定評価します。
建物を取り壊す方が合理的であると考えられる場合には、建付地の鑑定評価は行わず、「自用の建物及びその敷地」として鑑定評価を行い、土地の価格を求めます。
通常、土地の評価額は、更地が最も高くなります。なぜなら、更地は基本的に「最有効使用である」と判断されるからです。
最有効使用とは、「現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法」のことです。
つまり、更地であれば、法令の範囲内でこれからどんな建物でも建てられるため、その土地を有効利用する可能性が最大であるとされるのです。
一方、建付地はすでに建物などが存在するため、最有効使用できているかどうかは物件によります。最有効使用できていないと評価される場合には、その分だけ評価額が減額されます。そのとき差し引かれるのが「建付減価」です。
◆建付減価が発生するケース
【例】10階建て相当の高さ制限または容積率を定めた商業地域の中で、1軒だけ2階建ての木造住宅である。
建付減価は、「建物解体費相当」が上限とされています。なぜなら、土地の評価額は更地が最も高くなるため、建物を解体すれば土地の評価額を最高にできるからです。
建付地の評価額を導く計算式は、以下のとおりです。
建付地評価額=更地価格×(100%‐建付減価率) |
【例①】更地価格が1,000万円、建付減価率が10%の場合
建付地評価額=1,000万円×(1.0‐0.1)=900万円
【例②】更地価格が1,000万円、建付減価率が20%、建物解体費が100万円の場合
建付減価=1,000万円×0.2=200万円
200万円>建物解体費100万円
建付地評価額=1,000万円‐100万円=900万円
「貸家建付地」の評価額は、次の計算式により算出します。
貸家建付地の評価額
=自用地としての評価額-自用地としての評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合 |
「借地権割合」と「借家権割合」は、地域により異なります。国税庁ホームページにて、「路線価図」や「評価倍率表」を確認してください。
【例③】自用地としての評価額が3,000万円、借地権割合が70%、借家権割合が110%、賃貸割合が80%の土地の場合
貸家建付地の評価額=3,000万円-3,000万円×0.7×1.1×0.8=1,152万円
「更地」の評価額は、各地域の「路線価図」を参照して計算します。
路線価の単位は1,000円/㎡ですので、例えば、路線価「90C」であれば、90,000円/㎡となります(末尾のアルファベットは、「借家権割合」を表す記号です)。
【例④】路線価「90C」で200㎡の土地の評価額
9万円×200㎡=1,800万円
2つの道路に面している場合には、路線価が高い方を「正面」、低い方を「側方」とし、「正面路線価」に「側方路線影響加算率5%」を加算するのが一般的です。
【例】路線価「150D」の道路と路線価「100D」の道路に面する土地200㎡の評価額
(15万円+10万円×0.05)×200㎡=3,100万円
固定資産税は、「住宅用地」と「非住宅用地」で税額が異なります。住宅用地は非住宅用地の1/3(200㎡までの部分は1/6)となります。
更地は「非住宅用地」ですので、建付地より3倍以上の固定資産税がかかります。
そのため、空き家を保有していて、管理の手間などを考えて更地にすることを検討する場合には、十分慎重になる必要があります。貸家として第三者に貸せば収益を見込めますので、所有不動産の運用を考えるお客様へ提案するのもいいでしょう。
土地を表す不動産用語はたくさんあり、状況に応じて使い分ける必要があります。そして、一般のお客様にきちんと説明できるくらいに理解しておかなくてはいけません。
また、土地の評価額についても、土地の状況によって異なります。資産運用を考えるお客様に対しては、その点を十分考慮してアドバイスをしたいものです。
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