土壌汚染対策法の指定区域区分を学ぶ|特定有害物質の有無により必要な届出と措置

投稿日 : 2019年10月28日/更新日 : 2023年02月02日

危険物取扱工場やガソリンスタンド跡地の取引は土壌汚染に注意

空き地の現地調査を行う際には、その場所に過去どんな施設や建物が建っていたのかを調べることは誠に重要です。

もし、以前に危険物取扱工場やガソリンスタンド、クリーニング店など土壌汚染の可能性がある建物が建っていたとしたら、土壌汚染対策法指定区域に指定される可能性があります。

環境省では、国民の健康維持を目的とした土壌汚染対策法を制定し、土壌汚染の可能性が高い土地の所有者に対して土壌汚染状況調査を義務付けています。

 

今回は、調査対象地が土壌汚染法指定区域に指定されていることが判明した際に、どのような対応が必要になるかを解説していきます。

 

土壌汚染法指定区域の種類

土壌汚染状況調査では、土壌中に以下26種類の特定有害物質が残存していないかどうかを調べます。

調査方法には、土壌ガス調査・表層土壌調査・絞り込み調査・ボーリング調査・地下水調査などがあり、地歴調査の結果により選択されます。

 

画像引用:日本環境協会|土壌汚染対策法の特定有害物質の用途・環境基準等の情報

 

上記の中でも代表的な特定有害物質は、車の排気ガスに含まれるVOC(浮遊粒子状物質および光化学オキシダント)・ヒ素・ホウ素・フッ素などです。

なお、平成29年4月にクロロエチレンが追加指定されたため、従来の25物質から26物質に変更となりました。

土壌汚染状況調査の結果、土壌中に特定有害物質の存在が認められた場合は、汚染度合いによって以下2種類の区域指定がされます。

  1. 形質変更時要届出区域
  2. 要措置区域

形質変更時要届出区域は、土壌汚染は認められるものの直ちに健康被害につながる危険性は薄いと判断される区域です。

対して、要措置区域に指定された場合は、土壌中の特定有害物質が住民に健康被害をおよぼす危険性があると判断され、汚染除去などが必要となります。

 

土壌汚染が認められた際に必要な対応

土壌汚染法指定区域が形質変更時要届出区域であれば、現状のまま土地を使用しても差し支えありません。

ただし、土壌の掘削や用途の変更など土地の形質変更を行う場合には、形質変更の14日前までに都道府県知事に届け出をする必要があります。

要措置区域の場合には、土地の使用や形質変更は原則として禁止されます。

都道府県知事の指示に従い、汚染の除去などを行わなければなりません。

具体的には以下の措置が必要となります。

 

摂取経路の遮断 → 土壌改良工事による汚染の除去 → 要措置区域の解除および形質変更時要届出区域の指定

 

まとめ

万が一土壌汚染が発覚すると、土壌改良工事などにより何百万円~何千万円もの高額な費用が発生します。

調査対象地だけでなく、周辺に土壌汚染指定区域の場所がないかどうか、役所窓口で届出簿を見たり、売主様へのヒアリングや近隣住民への聞き込み調査、過去の住宅地図や閉鎖事項証明書の取得などで十分な調査を行いましょう。

そして、調査対象地に土壌汚染の可能性がある場合は、売主様に土壌汚染状況調査の必要性とその後の可能性をしっかり説明し、適切な対応の準備をしましょう。

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