心理的瑕疵物件の取り扱いについて|告知・説明義務とお客様への対応方法

投稿日 : 2019年11月25日

心理的瑕疵とは

瑕疵(かし)とはもともと、傷や欠陥を指す言葉です。

「心理的瑕疵」とは、物件自体に物理的な瑕疵がなくても、買主様・借主様が強い心理的抵抗を感じ、契約の判断に重大な影響を及ぼすと考えられる事項のことを言います。

◇心理的瑕疵物件の例

  • 事件・事故の現場
    :自殺、他殺、変死、転落死、孤独死、そのほか死亡事故、火災など
  • 嫌悪施設の近所
    :暴力団事務所、墓地・火葬場、下水処理場、新興宗教団体施設、ゴミ屋敷など

 

心理的瑕疵には告知・説明義務がある

買主様の消費者としての権利を守るため、売主様には心理的瑕疵の告知義務があります。

また、売買・貸借を仲介する宅建業者にも、買主様への説明義務があります。

この告知義務・説明義務を怠ると、当事者間でトラブルになることがよくあるので、注意が必要です。

また、意図的に入居歴を作るなど故意に心理的瑕疵を隠す悪質なケースも見受けられます。

こういった対応は職業倫理に反するだけでなく、場合によっては紛争にまで発展することがあります。誠意ある対応を心がけましょう。

 

告知・説明義務があるかどうかはケースバイケース

また、宅建業者や弁護士が心理的瑕疵の判断をする際、心理的瑕疵に関する過去の裁判例を参考にすることがあります。

しかし、ある事項が心理的瑕疵と認められるかどうかは判例ごとに異なります。

また、心理的瑕疵と捉える基準には個人差があり、案件ごとのあらゆる要素を総合的に鑑みる必要があります。

◇心理的瑕疵となるかどうかのポイント

  • 経緯・背景
  • 経過年数
  • その後の利用状況・入居歴
  • 地域性・近隣住民の関心度 など

 

入居歴があっても、短期間で所有者・入居者が入れ替わっていたり、意図的に入居歴を作っている場合には心理的瑕疵物件となりえます。

また、嫌悪施設から距離があっても、通勤通学路・生活圏内にある場合には、安心・安全に不安を感じる方もいるので、やはり告知・説明義務が発生する可能性があります。

 

当事者双方の立場に配慮する

心理的瑕疵物件において、買主様・借主様は「できるだけ詳細な物件情報がほしい」と考えますし、一方、売主様・貸主様は「早く買い手・借り手が決まってほしい。物件の資産価値を下げたくない=心理的瑕疵を問題視されたくない」と考えています。

担当者は、当事者双方の立場に充分配慮する必要があるのです。

 

買主様・借主様への配慮

ビジネスにおいて消費者を守ることは、最も重要な責務のひとつです。

そのため、まずは買主様・借主様の立場に立って対応する必要があります。

その心理的懸案事項を受け入れられるかどうか判断する以前に、「隠さず説明してほしい」と感じるのが消費者心理です。

後々のトラブルを避けるためにも、購入・入居を検討しはじめたお客様には、誠意を持って実情を説明しましょう。

 

売主様・貸主様への配慮

心理的瑕疵物件の取り扱いについては、買主様・借主様の立場を尊重しつつ、同時に売主様・貸主様の立場への配慮も必要となります。

心理的瑕疵物件は、買い手・借り手を見つけるのに時間を要する場合が多く、さらに不動産価値が30~50%も下落することもあるほど、売主様・貸主様の利益に多大な影響を及ぼします。

そのため、むやみに告知・説明を早まりすぎるのは不適切でしょう。

例えば、ネットや情報誌の物件広告に「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」と記載したり、入居・購入を検討しはじめる前の内覧者にまで詳しく説明したりするのは、過度な対応と言えます。

 

誠意を持って考え続けることが大切

以上のように、宅建業者は当事者の間で難しい対応を迫られます。

しかし、心理的瑕疵物件の取り扱いには、明確なセオリーはありません。

宅建業者は誠意を持って、案件ごとに適切なバランスを探り続けることが求められます。