きれいな街並みを造るのに欠かせない|住宅街区整備事業を徹底解説

投稿日 : 2020年03月19日

一般的なきれいな街並みとはどのようなものでしょうか。多くの人が住宅地や商業地といった各街区がきちんと区分けされ、整然と並んでいる街並みを連想するかと思います。

今回はきれいな街並みを形成するのに欠かせない制度の1つである「住宅街区整備事業」について解説していくことにします。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

住宅街区整備事業とは

住宅や農地が存在していた区域が、近年になって一帯が全てマンションになったような地区はありませんか。もしかしたらその地区は、住宅街区整備事業によってそのように変貌したのかもしれません。

住宅街区整備事業は「大都市法」という法律によって定めれた事業であり、区画整理事業としての側面を持っています。土地区画整理事業とも似た性質を持った事業でもあります。

 

大都市法

大都市法は「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(大住宅供給法)」を略したもので、1975年(昭和50年)に制定されました。

大都市法は、大都市地域における住宅供給の促進を掲げており、ここでの住宅供給とは共同住宅いわゆるマンションのことを指します。

また大都市地域とは、東京都特別区(23区)・首都圏・近畿圏・中部圏における既成市街地及びその近郊の市町村を指します。

土地区画整理事業との違い

住宅街区整備事業は大都市法によって定められた事業ですが、土地区画整理事業は土地区画法によって定められた事業です。

どちらも区画整理を掲げた事業ですが、土地区画整理事業は宅地と公共施設等の整備及び改善を目的としているのに対して、住宅街区整備事業は左記に加えて、共同住宅いわゆるマンション建設を行うための区画整理も含んでいます。

 

具体的な手順

➀共同住宅(マンション)を整備するために、所有していた土地の代わりに敷地共有持ち分を含めたマンションの一部へ権利変換を行う

②元からあった住宅に対しては、既存住宅区へ移転させ、また農地の場合は集合農地区へ移転させる

 

住宅街区整備事業の特徴としては、マンション建設にあたっての区画整理、いわゆる換地が立体的に行われる点です。

 

実施されている地域

画像引用:箕面市HP

 

・大阪府箕面市

1982年(昭和57年)に小野原特定土地区画整理事業の共同住宅区内で住宅街区整備促進地域を都市計画決定し、組合施行により賃貸共同住宅約350戸が建設されました。

その他にも埼玉県草加市・奈良県三郷町・大阪府河内長野市・兵庫県神戸市などが実施しています。

 

促進地域とは

大阪府箕面市では「住宅街区整備促進地域」という都市計画でした。その中でも「促進地域」という文言は、住宅街区整備事業においても大きく関わってきます。

 

促進地域とは都市計画法第10条の2第1項において定める区域のことをいいます。

第十条の二 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる区域を定めることができる。

一 都市再開発法第七条第一項の規定による市街地再開発促進区域

二 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第五条第一項の規定による土地区画整理促進区域

三 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第二十四条第一項の規定による住宅街区整備促進区域

四 地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律第十九条第一項の規定による拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域

引用:電子政府の総合窓口 e-Gov

言い換えると、民間が主体となって行う土地区画整理事業や市街地再開発事業といった各事業の実行を促す制度となり、住宅街区整備事業もこれに含まれます。

また事前準備の期間が長く、実行まで時間がかかるため、さまざまな制限を課すことができますが、期間自体は2~5年とし、その期間内に事業化されない場合は、民間に代わって市区町村等が事業を行うこととなっています。

促進区域の種類

ここからは都市計画法第10条の2第1項において定められている4つの促進地域についてみていくことにします。

  1. 市街地再開発促進地域
    市街地再開発事業を促進するための区域です。市街地再開発事業とは、市街地において老朽化した建物を再開発及び高度化することを目的とした事業で、権利交換方式といわれる第1種と、用地買収方式ともいわれる第2種に分かれています。
  2. 土地区画整理促進区域
    土地区画整理事業を促進するための区域で、住宅環境整備を促すことを目的とした点は同じですが、土地区画法ではなく、大都市法を法律の根拠としている点が特徴的といえます。
  3. 住宅街区整備促進地域
    後ほど程詳しく解説します。
  4. 拠点業務市街地整備土地区画整理促進地域
    こちらも土地区画整理事業の1つとして、住宅環境整備を促す点は同じですが、大都市地域ではなく、地方における中心都市及び周辺の市町村を対象にしている点と、法律の根拠が地方都市拠点法や地方拠点法による部分が特徴ともいえます。

 

各事業との関連性

各促進地域と各事業との関連に関しては、以下の通りになります。

事業の種類 事業名 区域の種類
市街地開発事業 土地区画整理事業 土地区画整理促進地域
拠点業務市街地整備土地区画整理促進地域
市街地再開発事業 市街地再開発促進地域
住宅街区整備事業 住宅街区整備促進地域

促進地域を構成する各事業は、市街地開発事業にから派生していることが特徴と言えます。

市街地開発事業とは、すでに市街地化している地域や今後市街地化を図る区域内において、計画的な街づくりを具体的に行う事業のことを言います。

 

住宅街区整備促進区域とは

 

住宅街区整備促進区域とは、住宅街区整備事業の一環として、都市計画法第10条の2第1項に定められています。

大都市地域の市街化区域内において、土地の高度利用と整備された住宅街区を形成するために、高度利用地区・中高層住居系地域・住居系地域または大部分が非建築敷地として、一定の要件を備えた0.5ha以上の区域などの各条件を備えた区域に定めることができます。

住宅街区整備促進地域が定められると、区域内の地権者等は、住宅街区整備事業をおこなうよう努めなければならず、決定から2年が経過すると、民間に代わって各市町村が住宅街区整備事業を執り行うことになります。

 

土地区画整理促進区域との違い

この場合も住宅街区整備事業と土地区画整理事業との関係と同じく、土地区画整理促進地域が住宅街区の促進を促しているのに対して、住宅街区整備促進地域はマンションなどのいわゆる高層住宅も対象としているところが違います。

 

まとめ

ここまで住宅街区整備事業が行政において、どのような役割を果たすのかを中心にみてきました。

住宅街区整備事業は、整備された市街地を形作るためには欠かせない制度です。

特に大都市地域(東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏)の営業マンはどのように大都市にマンションが建築されるのか、行政の整備事業についても理解しておくことが不可欠です。