鉄筋コンクリート塀などの構造物「擁壁」とは|取引で計算に入れるべき点

投稿日 : 2019年11月29日

一般の方には耳慣れない言葉「擁壁(ようへき)」ですが、宅建業者ならその取扱い方を理解しておく必要がある不動産用語です。

業務に当たる上で擁壁への注意・確認を計算に入れておかないと、思わぬトラブルに発展する重要項目です。

そこで今回は、擁壁の概要と種類、取り扱う際のポイントをまとめました。

 

塀のような構造物「擁壁(ようへき)」とは

「擁壁」とは、斜面や高低差の崩壊を防ぐ目的で、コンクリートブロックや石などを壁や塀のように積み上げて「土留め」をした構造物のことです。

粉粒体(土や砂など)が崩れ落ちないために必要な最大角(安息角)を超える斜面や高低差に対して設置します。

 

「擁壁」の種類

擁壁には、素材・構造によっていくつかの種類があります。

  • 鉄筋コンクリート造擁壁…
    鉄筋を配筋することで強度のある構造をしている。
  • 無筋(重力式)コンクリート造擁壁…
    ブロックの重みで斜面の圧力を支える構造。
  • 間知ブロック練積み造擁壁…
    コンクリートブロックの間をコンクリートで埋める構造。
  • 間知石練積み造擁壁…
    成形した石の間をコンクリートで埋める構造。
  • 石積み擁壁…
    現在は既存不適格。

 

担当物件に擁壁がある場合の確認ポイント

擁壁は経年劣化しますので、正しい製法・構造で造られていても、少しずつ不具合が出てくるものです。

それを計算に入れずに取引きを進めてしまうと、契約後に重大な欠損が見つかって数百万円~数千万円もの追加工費がかかる可能性もあります。

そのような事態をできるだけ回避するためには、取引前の入念な調査・確認が大切です。

 

◆擁壁の確認ポイント

  1. 素材・製法・構造を確認する。
  2. 亀裂・ひび・はらみ・風化などの不具合がないか確認する。
  3. 水抜穴の設置状況(壁面3㎡につき1ヵ所以上で計算)と
    内径(7.5cm以上)を確認する。
  4. 既存不適格または違法建築ではないか確認する。
  5. 「検査済証」などの自治体資料を参照する。

 

「擁壁」を造成するとき従うべき2法律

「宅地造成等規制法」を適用する場合

「宅地造成工事規制区域(宅地造成に伴い災害の恐れのある地域)」を指定し、造成工事に関する規制を行うのが、「宅地造成等規制法」です。

この区域内で、切土2m・盛土1m(切土盛土併用の場合は合計2mで計算)を超える工事による擁壁を造成する場合、宅地造成等規制法による都道府県知事の許可が必要です。

また、工事完了後に検査をし、「検査済証」の交付を受ける必要があります。

 

「建築基準法」を適用する場合

宅地造成工事規制区域外で2mを超える擁壁を造成する場合、または区域内で増築や建替えを行う場合には、「建築基準法」による許可を取得する必要があります。

また、工事完了後には行政担当者による検査確認を受ける必要があります。

 

付属物こそ慎重な対応が必要

擁壁は目立たない構造物ですが、不動産取引において大変重要です。

「契約が済むまで仲介すればいい」という認識では不十分で、長期的な品質保持や改善も計算に入れなくてはいけないのです。

また、担当案件の擁壁がどの法律の管轄なのかを見極め、対応することが大切です。