非居住者が不動産を売却したときの税金処理方法|源泉徴収と確定申告を行うのは誰か

投稿日 : 2019年11月28日

日本企業が生産拠点を海外に置いたり市場を世界に広めることにより、外国へ移住するお客様が増加しています。

海外に居住する日本人および外国人のお客様(非居住者)が所有していた不動産を売却したいと希望された際は、税務上どう取り扱われるのでしょうか。

今回は非居住者の不動産売却時における税金について解説します。

 

非居住者のパターン

非居住者とは「日本国内での住所(生活の本拠地)がなく、1年以上にわたって日本に居所(現実に居住している場所)がない人」のことを指します。

これは、その人が日本人か外国人かどうかは関係ありません。日本の国籍があっても、1年以上海外に拠点を置いて生活している人は非居住者とされます。

なお、居住者の中で日本に永住する意思がなく、日本国内の住所や居所がある期間が5年以内の人は非永住者と言って区別されています。

 

非居住者が課せられる税金

非居住者に該当する人は、課税の範囲が国内源泉所得に限られます。

国内源泉所得がある場合、納付すべき税の課税方式は国内源泉所得の種類により申告納税方式と源泉徴収方式に分けられます。

 

非居住者が不動産を売却した場合の税金

非居住者が所有していた日本国内の不動産を売却して利益が出た場合には税金がかかります。ただし税金の納付をするのは買主様側です。

買主様が不動産の購入代金の10.21%を源泉徴収して納税します。売主様は確定申告をすることにより、源泉徴収された税金が精算されます。

 

賃貸に出した場合

売却ではなく、非居住者が不動産を賃貸に出したときも同様の扱いとなります。

非居住者が不動産を賃貸した場合には、その不動産の賃借人が家賃を支払うときに支払金額の20.42%を源泉徴収して納税します。

賃貸した非居住者は確定申告をして源泉徴収された税金を精算します。

 

源泉徴収の流れと納め方

非居住者から不動産を購入した買主様は、支払金額の89.79%を非居住者である売主様に支払い、残りの源泉徴収分10.21%は支払日の翌月10日までに「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて最寄りの金融機関や所轄税務署、またはe-Taxで税金を納めます。

もし不動産の売買契約や代金の支払いを国外でしたとしても、買主様が居住者(日本国内に住所または居所がある)ならば同様に源泉徴収が必要です。

ただし、この場合の納付期限は支払った月の翌月末日です。

 

確定申告の流れと納め方

海外に移住するなどの理由により非居住者となる日本人は、納税義務を果たすために納税管理人を定める必要があります。非居住者の確定申告は納税管理人が行います。

納税管理人は個人でも法人でもなることができます。家族や親せき、友人などに依頼することもできますが、納税者に代わって確定申告書を作成できるのは税理士に限られていますので、顧問税理士に報酬を支払って依頼するケースもあります。

 

源泉徴収が不要なケース

非居住者の不動産売却が、以下2つの両方とも該当する場合には源泉徴収は不要です。

この場合は譲渡所得として所得税が課せられ、確定申告の必要があります。

  1. 売買金額が1億円以下
  2. 購入した個人が自己居住用またはその親族の居住の用に供するためのもの

非居住者が不動産を売却するときの注意点

非居住者が不動産を売却した際の納税は買主様が源泉徴収して行うため、万が一源泉徴収漏れが生じたとしても売主様への罰則はありません。

しかし買主様側で修正申告をしたときに源泉相当額の返金や更正請求をしなければならないので、後々の手続きが面倒です。

また、非居住者が納税管理人を選任しておらず適正な申告手続きを怠っていた場合には、無申告加算税や延滞税などが発生します。

海外に移住して非居住者となるとき、また所有していた不動産を売却するときには、あらかじめ納税管理人を立てた上で源泉徴収の確認をするようにしましょう。

 

まとめ

今回は、日本以外の国に生活拠点をおく非居住者が不動産を売却した際にかかる税金について解説しました。

これからの時代、ますます非居住者との不動産取引が増えることが予想されます。非居住者に関連する税制度をしっかり把握して、非居住者が売主様でも買主様でもきちんと対応できるようにしましょう。