「借地権」とは|借地権付き建物の調査方法とメリット・デメリットを解説
不動産業界では、「借地権付き建物」の取引を担当することがあります。
不動産を売却したときに利益が出た場合には、翌年の確定申告を行い納税します。
もちろん売却価格が購入価格よりも低くて損失が出ているならば、税金を納める必要はありません。そのため自宅を売却した結果が損になれば確定申告の必要もないと考えている人がいます。
しかし、それはもったいない話です。
自宅の売却損を他の利益と相殺することで、節税になる場合があるのです。これを譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例と言います。
今回は住宅を売却したときの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは何か、その手続き方法について解説します。
まずはなかなか馴染みのない言葉の意味について理解しましょう。
譲渡損失 | 不動産などの資産を売却した際に生じた損失のこと |
損益通算 | 譲渡損失を他の所得による利益と相殺すること |
繰越控除 | 損益通算により相殺しきれなかった損失を翌年以降の所得と相殺すること |
上記の「他の所得」とは以下の収入等を指します。
画像引用:国税庁|所得の種類と課税のしくみ
つまり「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは「自宅を売却して損になったときに、他の収入で発生する所得を差し引き、差し引かれなかった分は翌年に繰り越せる制度」のことです。
この制度は、すべての売却損に対して適用されるわけではありません。
平成16年度税制改正大網により、原則として譲渡損失の損益通算及び繰越控除は廃止されています。ただし特例により、要件を満たした場合は制度の適用が可能になります。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例が適用できるのは、以下の要件を満たした場合です。
また居住していた建物を取り壊してから売却したときには、以下3つの要件をすべて満たす必要があります。
損益通算できるのは、以下2つのうち少ない金額の売却損です。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を適用するには、税務署への確定申告により損失申告を行います。
初年度の損益通算だけでなく、繰越控除を行う際にも年ごとの確定申告が必要です。
確定申告書(損失申告用)には以下書類を添付します。
今回は、お客様の自宅売却により損失が出たときに使える譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について解説しました。
できることならすべての売主様にプラスの収支でご自宅を売却して頂きたいところですが、事情により損な結果になるケースがあるのはやむを得ません。
損失が出た売主様に対しては、自分が持つ知識を総動員して節税等のアドバイスを行い、少しでも損失を取り戻して笑顔になって頂くのも宅建業者の役割と言えるのではないでしょうか。