自宅の売却損を損失申告で取り戻す方法|譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは

投稿日 : 2019年11月28日

不動産を売却したときに利益が出た場合には、翌年の確定申告を行い納税します。

もちろん売却価格が購入価格よりも低くて損失が出ているならば、税金を納める必要はありません。そのため自宅を売却した結果が損になれば確定申告の必要もないと考えている人がいます。

しかし、それはもったいない話です。

自宅の売却損を他の利益と相殺することで、節税になる場合があるのです。これを譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例と言います。

今回は住宅を売却したときの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは何か、その手続き方法について解説します。

 

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは

まずはなかなか馴染みのない言葉の意味について理解しましょう。

譲渡損失 不動産などの資産を売却した際に生じた損失のこと
損益通算 譲渡損失を他の所得による利益と相殺すること
繰越控除 損益通算により相殺しきれなかった損失を翌年以降の所得と相殺すること

 

上記の「他の所得」とは以下の収入等を指します。

 


画像引用:国税庁|所得の種類と課税のしくみ

つまり「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは「自宅を売却して損になったときに、他の収入で発生する所得を差し引き、差し引かれなかった分は翌年に繰り越せる制度」のことです。

この制度は、すべての売却損に対して適用されるわけではありません。
平成16年度税制改正大網により、原則として譲渡損失の損益通算及び繰越控除は廃止されています。ただし特例により、要件を満たした場合は制度の適用が可能になります。

 

特例適用の要件

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例が適用できるのは、以下の要件を満たした場合です。

  1. 5年を超えて保有する居住用不動産を譲渡し、次に居住する不動産へ買い換えること
  2. 償還期間10年以上残っている住宅ローンがあること
  3. 買い換える建物の床面積が50㎡以上あること
  4. 売却した年の前年から翌年まで(3年間)に買い換えること

また居住していた建物を取り壊してから売却したときには、以下3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 取り壊された建物がその年の1月1日において所有期間が5年を超えていること
  2. 敷地の譲渡契約が建物を取り壊した日から1年以内に締結されること、かつ居住しなくなった日から3年を経過した年の12月31日まで売却すること
  3. 建物を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用途に使用していないこと

 

特例により損益通算できるもの

損益通算できるのは、以下2つのうち少ない金額の売却損です。

  • 譲渡した居住用財産の譲渡損失額
  • 譲渡した居住用財産の住宅ローン残高から売却価格を差し引いた残額

 

特例を受けるための手続き

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を適用するには、税務署への確定申告により損失申告を行います。

初年度の損益通算だけでなく、繰越控除を行う際にも年ごとの確定申告が必要です。

 

確定申告書に添付する必要書類

確定申告書(損失申告用)には以下書類を添付します。

  1. 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
  2. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5の2用)
  3. 売却した自宅の所有期間が5年を超えることを証明するもの(登記事項証明書や売買契約書の写し等)
  4. 売却した自宅の住宅借入金等の残高証明書(売買契約日の前日のもの)

 

まとめ

今回は、お客様の自宅売却により損失が出たときに使える譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について解説しました。

できることならすべての売主様にプラスの収支でご自宅を売却して頂きたいところですが、事情により損な結果になるケースがあるのはやむを得ません。

損失が出た売主様に対しては、自分が持つ知識を総動員して節税等のアドバイスを行い、少しでも損失を取り戻して笑顔になって頂くのも宅建業者の役割と言えるのではないでしょうか。