既存住宅状況調査=インスペクションとは?説明義務化で宅建の必須項目に

投稿日 : 2019年09月16日/更新日 : 2023年02月02日

インスペクションの説明義務化とは

「既存住宅(※)状況調査(インスペクション)」とは、既存住宅状況調査技術者の資格を有する建築士による住宅診断のことです。

平成30年の「宅建業法」改正で、宅建業者が「既存住宅状況調査」に関してお客様に説明することが義務化されました。

※中古住宅のこと。

 

「既存住宅状況調査」に関する宅建業者の説明義務

  1. 売主様に調査技術者斡旋の案内をし、媒介契約書に斡旋の有無を記載する。
  2. 売買契約前の重要事項説明で、買主様に既存住宅状況調査の結果概要を説明する。
  3. 売買契約締結時に、売主様・買主様双方で確認した建物状況事項を記載した書面を交わす。
 ⚠️ポイント
 法改正で義務化されたのは、既存住宅状況調査に関する「説明」であり、調査の「実施」ではありません。

 

お客様に調査のメリットを理解してもらう

売主様にとって既存住宅状況調査は、「劣化部分が見つかって価値が下がるのではないか」と思われるため、実施に消極的な売主様もいます。

しかし、状況調査は売主様にとってもメリットがあるものです。そのため、丁寧に説明して、実施をおすすめしましょう。

 

売主様にとってのメリット

①買主様の信頼を得られる

インスペクション済み物件は、買主様にとって安心感があります。そのため、買主様の信頼を得やすく、物件価格にも納得してもらいやすいのです。

②契約後のトラブルを減らせる

インスペクションを実施すれば、契約後に瑕疵が見つかる可能性が減るので、トラブルを回避できます。また、既存住宅売買瑕疵保険に加入すれば、物件引き渡し後に瑕疵が見つかってもトラブルに発展せずに対応できるのです。

 

調査業者を斡旋するときの注意点

①中立的な業者を選ぶ

自社側のお客様や仲介業者に有利な診断をする業者を選ぶと、契約後に相手側から不満が出るなど、トラブルに発展しやすくなります。また、インスペクションの信頼性を低下させてしまいます。できるだけ中立的な業者を斡旋しましょう。

②適正価格を提示する業者を選ぶ

検査価格は、業者によってばらつきがあります。中には、格安でいい加減な検査をする業者もいるのです。価格だけで決めず、きちんと業務をこなせる業者か見極めましょう。

目視のみの診断と一部破壊検査込みの場合でも費用は変わります。目安としては、5~10万円程度が相場です。

 

インスペクション・ガイドライン

既存住宅状況調査で確認する項目は、国土交通省の「インスペクション・ガイドライン」に定められています。

インスペクションの基本確認項目

  1. 構造耐力上主要な部分に劣化はないか
    例:蟻害、腐朽・腐食や傾斜、躯体のひび割れ・欠損等
  2. 雨水の侵入を防止する部分に劣化はないか
    例:雨漏り・水漏れなど
  3. 設備配管に日常生活上支障のある劣化はないか
    例:給排水管の漏れや詰まり等

 

インスペクションで中古住宅流通を活性化

インスペクションを実施すれば、中古住宅の品質への信頼度が高まります。中古住宅でも安心して購入できると、お客様に思ってもらえるため、インスペクションの普及は中古住宅流通の活性化につながるのです。

そのためには、インスペクションの重要性を理解し、売主様に丁寧に説明することが大切です。

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