不動産売買にかかる仲介手数料の根拠は?顧客満足度アップに値引きは必要?
不動産会社にとって大切な利益である仲介手数料。 しかし、仲介手数料について顧客の理解を得られずに困った経験はないでしょうか? 「どうして仲介手数料はこんなに高いんですか?」 「仲介手数料を無料にしてほしいんですけど…」
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「危険負担」とは、売買取引において、自然災害や第三者による事故など、両当事者に法的責任がない理由で目的物が滅失または損傷した場合に発生する負担のことです。
不動産契約では「買主保護」が重んじられます。そのため、危険負担については売主(債務者)が負う「債務者主義」が一般的です。
不動産契約書に危険負担について定める場合は、以下のような内容とするのが一般的です。
◇不動産契約書における「危険負担」の設定例
契約締結後から物件引き渡し日までの間に、売主・買主両当事者に法的責任がない理由で、目的物が滅失または損傷した場合は、次の定めに従う。
①滅失の場合は、売主が受領済みの金員を買主に全額返還し、契約は解除される。
②損傷の場合は、売主は自己負担で修復、現況に回復し、買主に引き渡す。
③②が不可能な場合、買主は契約を解除でき、売主は受領済みの金員を返還する。
不動産取引では、危険負担のリスクは売主が負います。
そのため、売主への丁寧な説明と適切なサポートが必須となります。
当事者の責任を超えた理由で損害が発生した場合には、売主には手付金の返還義務が生じる可能性があります。
しかし、売主によっては、「自分から契約を解除することはあり得ない」と考えて手付金を使ってしまう場合や、買い換え先の手付金に充ててしまう場合があります。
売主が受領した手付金は本来、決済日まで保管しておくべきものです。
決済が完了するまでは、危険負担など手付金を返還しなければならない可能性も残されているからです。
その点を売主であるお客様によく理解していただき、万が一の手付金返還に備えてもらいましょう。
危険負担の発生する事例は、実際には頻繁でないかもしれません。
かといって、「ほとんど起こらない」と高をくくるのも非常に危険です。
日本は地震大国ですから、不動産物件において不測の事態が起こる可能性は、少なくないと考えるのが妥当です。
むしろ、想定外の損失は「いつでも誰にでも起こりうる」と考えるべきでしょう。
売主であるお客様にも、その心構えを持ってもらうことが、後のトラブルを防止するために重要なのです。
現状、危険負担の定義は、民法の規定と不動産取引でまったく異なります。
「民法(第534条)」における危険負担
債権者主義
…万が一のリスクは、債権者である買主が負う。
「不動産取引」における危険負担
債務者主義
…万が一のリスクは、債務者である売主が負う。
不動産取引では「買主保護」が重んじられるため、契約締結後から物件引き渡し日までの危険負担は、売主が負います。
一方、民法の規定では、両当事者に責任なく目的物が滅失・損傷した場合でも、すでに契約が締結していれば、買主は目的物の代金を支払わなくてはいけません。また、売主に修復義務もありません。
しかし2020年4月に、民法でも危険負担は「債務者主義」に改正されることになりました。
これまでの債権者主義では不合理であり、実務上も運用しにくいとして改められるのです。
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