心理的瑕疵物件の取り扱いについて|告知・説明義務とお客様への対応方法
心理的瑕疵とは 瑕疵(かし)とはもともと、傷や欠陥を指す言葉です。
売却予定のマンションを現地調査する際には、調査の対象を売却する区画内だけに限ってはいけません。
マンションの現地調査は、外観や共有部分、他住民や管理人の人品もあわせて行う必要があります。マンションの建物に入る前から、現地調査はすでに始まっているのです。
今回はマンションの建物内外から、現地調査で見るべき個所をチェックしていきましょう。
建物に入る前には、マンション全体をぐるりと回って状況を確認します。
外壁にクラックや塗装剝がれ、破損などの劣化が認められる場合は、大規模修繕工事が計画的に実施されていないかもしれません。
マンションの管理会社から、重要事項調査報告書や修繕履歴を取り寄せ、管理組合の運営状況を確認する必要があります。
管理形態には「全部委託」「一部委託」「自主管理」があります。
「全部委託」は、管理の全てを管理会社が委託してますので、マンション全体の維持管理に関する確認事項は、全て管理会社に問合せを行なうことになります。
「一部委託管理」は、管理会社が管理のうちの一部を受託しているという意味ですから、どの部分が管理組合から管理会社に委託されているのかなどを確認したうえで、管理会社が管理している部分は管理会社にヒアリングを行ない、それ以外の部分は管理組合(通常は理事長)にヒアリングを行なうようにしましょう。
管理形態が「自主管理」となっている場合には、管理会社に委託せず、管理組合が自らマンション全体の維持管理を行なっているということになりますので、理事長に問合せをするなどして、適切に維持管理が行われているか確認を行ないます。
管理組合というのは、すなわちそのマンションの所有者ですので、マンションの維持管理について分からないとか、維持管理のための煩雑な業務を行なう時間が確保できないなど、自分たちでは抱えきれないので、マンションの維持管理に関する専門家である管理会社に委託するわけです。
例えば、上述の重要事項調査報告書の発行は管理会社にとってはあたりまえの業務ですが、自主管理のマンションの場合には、その発行を管理組合がおこなうことになりますので、書類がすぐに発行できないとか、記載内容が不十分だということも大いにありえます。自主管理の場合には、より注意深く調査を行なうようにしましょう。
1階玄関では集合ポストをまずチェックします。
集合ポスト付近の清掃が行き届かず、郵便物やチラシが置きっぱなしになっている状態では、管理体制に疑問が残ります。
集合ポストはマンション管理の質を示す指標となるのです。
駐輪場に自転車が雑然と置かれている場合には、管理上の問題もさることながら、他の住民のマナーにも問題が感じられます。
放置自転車らしきものがないか、それぞれの自転車の状態もよく確認しましょう。
駐車場や駐輪場の空き状況は、次項で紹介するエレベーター前の掲示板で確認します。
よく1階のエレベーター前に掲げてある掲示板は、マンションの現状を教えてくれる情報の宝庫です。
掲示板には騒音やペット飼育に関する注意、マンション規約や細則の変更に関する議案書や議事録、予定されている改修工事についてなど、多くの情報が掲示されています。
また子供会のお知らせなどにより、自治会の活動状況も知ることができます。
外壁と同様、共用部分はマンション管理の質を示す重要な指標です。
清掃状況はもちろん、非常階段の鉄サビがそのままになっていないか、廊下の消火器が期限切れになっていないかなど、細かな点までチェックしましょう。
エレベーターは定期メンテナンスや交換工事が適切な時期に行われているか、箱内の点検済シールなどの日付で確認しましょう。
専有区画となる室内では、一戸建の場合と同様に水回り設備や給排水設備を中心に調査します。
マンションでは雨漏りの心配はないと思いがちですが、油断は禁物です。
万が一被害が確認された場合には、マンションの雨漏り被害は一戸建以上に深刻な問題になってしまいます。
クローゼット天井部に木部腐食などないか、念入りにチェックしましょう。
防犯カメラの設置状況は、セキュリティ面で重要なポイントです。
特に大規模マンションでは、駐輪場やごみ集積場などの共有部分に死角が出てきます。適切な位置に必要数の防犯カメラを設置していないと、防犯上の不安が生じます。
目視での調査に加えて、管理人へのヒアリングも必ず行っておきたい調査です。
管理組合と管理会社の取次ぎを管理人が行なうことが多いので、マンション内の住民間トラブルや抱えている問題点などを、よく知っているこも多くあります。
管理会社から提出される重要事項調査報告書には載っていない事情を知るためにも、管理人とのコミュニケーションは密にとっておきましょう。
また、管理会社はあくまで管理組合から管理を委託されている立場ですので、基本的には聞かれたことにしか答えないものだと考えておくようにしましょう。
重要事項調査報告書に記載すべき事項は法で定められており、必要最低限のことしか書かれていないことも多くあります。
管理人へのヒアリング同様、マンション内での事件、事故、トラブルや、雨漏りの有無など、質問をするようにしましょう。めったにない問題だと、問合せを疎かにしていると、思わぬところで問題が発覚し、お客様からのクレームに発展することがあります。
今回はマンションの現地調査で押さえておきたいポイントについて解説しました。
見るべき場所で見るべきポイントをしっかり押さえて、漏れのない現地調査をしましょう。