建設工事請負契約とは?契約書の内容と注意点を解説!

投稿日 : 2021年04月30日

建設工事請負契約とは?
建設工事を受注するとなった場合、建設工事請負契約を締結します。

その際には、工事内容や金額といった諸事項を記載した建設工事請負契約書とともに、工事請負契約約款や見積書などの書類が必要です。

今回は、建設工事請負契約の概要やその目的などとともに、契約書に添付する各種書類について解説します。

建設工事請負契約とは

建設工事請負契約とは、住宅などの建設やリフォーム工事を行う際に、発注者がハウスメーカーやリフォーム工事施工会社と結ぶ建設工事に関する契約のことです。

住宅建築工事請負契約や住宅リフォーム工事請負契約とも呼ばれています。

建設業法第24条には、報酬を得て建設工事の完成を目的に結ぶ契約は、「委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の請負契約とみなす」という規定があります。

つまり、委託・雇用・委任といったいずれの形態による契約であっても、報酬を得たうえで住宅の建設やリフォーム工事の完成を目的として行う建設工事は、すべて建設工事請負契約になるということです。

また、適正な施行を行わせるといった観点から、建設業法では建設工事請負契約に対して「一括下請負の禁止」「技術者設置義務」といった要件を課しています。

建設工事請負契約を結ぶ際には、発注者と受注者の間で建設工事請負契約書を交わす必要があります。

建設工事請負契約書の主な目的は、受注者は発注者の要求通りに住宅の建設やリフォーム工事を完成させ、発注者は契約時に設定した請負代金を支払うことを約束することです。

建設工事請負契約書の記載項目

建設工事請負契約書には、建設業法によって次の14項目の記載が義務付けられています。

建設工事内容

どういった施工方法でどのような建物をどこで建設工事するのかを記載します。

請負代金の額

建設工事に必要な金額の合計額のことです。

建設工事の着手と完了の時期

建設工事の開始日と竣工予定日を記載しておきます。

支払方法

請負代金の全部または一部の前払金などに対する支払い時期と方法を記載します。

損害の負担と金額の算定方法

何らかの理由で設計変更や建設工事着手の延期または中止などが発生した場合の対応策と、損害の負担の所在と割合や金額の算定方法を記載する必要があります。

延期または中止が発生した際の取り決め

天災や不可抗力による設計変更や、建設工事着手の延期または中止が発生した際の負担割合とその金額の算定方法のことです。

建設・工事内容の変更方法

物価の変動によって建設工事価格が変更になった場合の代金に関する決定方法と工事内容を記載します。

損害に対する負担の取り決め

建設中または工事中に第3者が損害を受けた場合の賠償金負担に関する内容のことです。

資材と機械の貸与に関する取り決め

受注者が資材や機械を貸与する際の内容や方法のことです。

進捗の確認時期と引き渡し時期

受注者が建設工事の進捗具合などを確認する時期と物件の引き渡し時期を記載します。

請負代金の支払時期と方法

建設工事完了後に行われる請負代金の支払時期と方法を記載しておきます。

過失に対する取り決め

建設工事の際に発生した過失による瑕疵に対する保証・保険契約に関する取り決めのことです。

違約金と損害金

契約内容の不履行に対する責任の所在と違約金や損害金に関する取り決め内容を記載します。

契約内容に関する紛争の解決方法

契約内容に関して問題が発生した際の解決方法を記載しておく必要があります。

建設工事請負契約書は、これら必要項目を記入したうえで発注者・受注者双方の署名か記名押印を行なって相互に交付します。

義務ではありませんが、必要項目に加えて建設工事の施工日と紛争が発生した場合の調停人を記載しておくこともできます。

また、発注者・受注者双方の合意があれば、書面に代えてデジタル形式の建設工事請負契約書を交付することも可能です。

この場合は、国土交通省令で定める「契約相手がファイルの記録を出力させた書面を作成できること」と、「改変が行われていないかを確認できること」といった条件を満たしている必要があります。

なお、契約の際には、建設工事請負契約書に「工事請負契約約款」「見積書」「設計図書」といった3種類の書類を添付します。

建設工事請負契約を結ぶタイミング

建設工事請負契約を結ぶタイミング
一般的には、発注者・受注者双方が納得できる金額で折り合えたときに、建設工事請負契約を結びます。

そのためには、まず発注者の要望を聞き取ったうえで設計を行い、その設計図をもとに計算した金額をもとに見積書を作成します。

発注者との面談でこの見積書を提示しながら詳細を説明し、発注者が納得すれば建設工事請負契約を結びます。

納得が得られない場合は、要望を持ち帰って検討し見積書を修正します。

妥協できる点は上司とも相談してなるべく譲歩することが大切ですが、すべての要望を受け入れる必要はありません。

建設工事請負契約締結後の建設工事の流れ

建設工事請負契約を結んだ後の建設工事全体の流れは、概ね次の通りです。

まず、土地の強度を確認するために地盤を調査し、必要であれば地盤改良工事を行います。

なお、建物を建て替える場合は、既存の建物の解体後に地盤調査を行うことになります。

調査を終えた土地をきれいに整地したうえで地鎮祭を執り行い、本格的な建設工事に入ります。

最初に行うのが基礎部分の工事です。

鉄筋を組み立ててコンクリートを流し込み、住宅の基礎を建設していきます。

基礎が完成したら配管工事を行い、続いて柱を組んでいく大工(上棟)工事に移り、床や壁面を建設していきます。

電気や水道の配線・配管工事も並行して行います。

床や壁面の完成後に、キッチン・バス・トイレなどの設置や造形家具などの工事を行い、建具や内装工事が完了すれば竣工です。

建設工事請負契約を結ぶ目的

契約の片務の回避

建設工事では、受注者・発注者間で不平等な契約が結ばれることがあります。

これが、契約の片務です。

たとえば、仕事を依頼する発注者の優位な立場を利用して不当に低い金額を要求したり、代金を支払わなかったりするケースが挙げられます。

建設工事請負契約を結ぶことで、こういった契約の片務を回避することができます。

紛争の回避

建設工事では、天災や不可抗力による建設工事の中断と中止による損害が発生したり、物価の変動によって建設工事価格が変更されたりすることがあります。

こういった場合、発注者・受注者双方の負担割合が明確でないと紛争に発展する可能性が高まります。

トラブルを回避するためにも、建設工事請負契約を結んで契約書の中に双方の負担割合を明記しておくことが大切です。

建設工事請負契約書のほかに必要な書類

建設工事請負契約書のほかに必要な書類

工事請負契約約款

工事請負契約約款とは、建設工事請負契約を補完するために民間連合協定が受注者に作成を義務付けている、発注者・受注者双方の権利や義務の内容を明記した定型的な書面のことです。

見積書

建設業法では、建設工事請負契約による建設工事の受注者に見積書の提示を義務付けています。

見積書に記載するのは、建設工事請負契約書に義務付けられている記載事項のうち、請負代金以外のすべての事項です。

設計図書

設計図書とは、住宅などを建設工事する際に必要な仕様書や図面などのことです。

主な設計図書には、配置図・平面図・付近見取図などがあります。

なお、建設工事段階では設計や工事の変更が発生することがあります。

そのため、多くの建設工事現場では、竣工図という最新の内容が記載された設計図書が用いられることがあります。

建設工事請負契約を結ばないと行政処分の可能性がある

建設工事請負契約は、建設工事のすべての受注者に義務付けられています。

この契約を結ばないで建設工事を受注すると行政処分の対象となるため注意が必要です。

また、建設工事請負契約書は竣工後も必要となることがあるため、紛失しないように保管しておくと良いでしょう。