住所の「地番」と「住居表示」の違いとは|用途・目的・互いの調べ方を確認
手紙を郵送するときには宛先に住所を記載します。不動産を所有したことがない買主様の中には、住所と言えば郵便宛先で書くような記載方法だけだと思っている方も多くいます。
住宅を所有していると必ずかかってくる税金と言えば「固定資産税」ですが、一部の人には「都市計画税」も毎年の納税義務が発生します。
全員が納める税金ではないだけに、「誰が払うのか?」「なぜ払うのか?」をご存知ない買主様が多いことも事実です、
不動産購入の前に、都市計画税についても説明できるようにしておきましょう。
今回は、いわゆる「固都税」の中で、「都市計画税」の概要と納税手続きにスポットを当てて紹介していきます。
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この記事の監修者: 小林 紀雄 住宅業界のプロフェッショナル 某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。 |
都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業の費用として徴収される税金のことです。
このように、ある目的のために徴収される税金を目的税と呼びます。
固定資産税と同じく、1月1日時点で市街化区域内に不動産を所有する人に対して課せられます。
あわせて読みたい:固都税とは|毎年課税される2つの税金の概要と減税特例を徹底解説
不動産を持つ全員が課税対象の固定資産税と違い、都市計画税は一定の場所に土地・建物などの不動産を持っている場合に課税されます。
その一定の場所のことを市街化区域といいます。
市街化区域とは、都市計画法で指定された都市計画区域の1つです。以下の2つのどちらかの要件を満たした時に、市街化区域として指定されます。
市街化区域に住んでいる人には、固定資産税と都市計画税が一緒になった金額で納税通知書が送られてきます。
ご自身が持つ土地が市街化区域に指定されているかを知る方法としては、インターネットで調べる方法と市役所の窓口で調べる方法があります。
正確に知りたい場合は、手間でも市役所の窓口で聞くことをおすすめします。
インターネットで「〇〇市 市街化区域」と検索すれば気軽に調べることができる反面、情報が最新でなかったり間違えていたりする場合があるからです。
市街化調整区域とは、市街化区域とは反対に市街化を抑制するべき地域のことです。農業や漁業などの一次産業に従事する人の住宅や、事業に関連する建物を建てることを目的にしています。
市街化調整区域であっても、自治体ごとに決められた条件をクリアすれば住宅を建てることは可能です。市街化区域の外にあるため都市計画税もかかりません。
ただし、市街地・繁華街から離れた里山に住むことになるため都市部へのアクセスは不便になります。インターネットや電波の環境が整っていないことにも注意が必要です。
さらに、今は住宅を建てることができても、将来的に住宅を建ててはいけないルールができる場合があります。
その場合でも出ていく必要はありませんが、家を建替えたり新しく建てることができなくなります。
都市計画税の金額を求める計算式は、固定資産税と同じく固定資産税評価額×税率です。
固定資産税との違いは、税率の部分です。固定資産税の税率は1.4%なのに対し、都市計画税の税率は0.3%という点が違います。
また、固定資産税の税率は【標準税率】です。
これは「自治体が必要と認めた時は、税率を変更できる」という仕組みを指します。つまり、1.4%はあくまで目安であり、実際は自治体がそれぞれの判断で税率を変更することが可能なのです。
一方の都市計画税は【制限税率】です。
自治体が税率を変えることができる点は同じですが、こちらは0.3%が上限になります。自治体としては、0.3%以下に定めることはできても、0.3%を超える税率を定めることはできません。
固定資産税評価額とは、文字通り、固定資産税を決める時の基準となる金額のことです。
不動産の評価方法を定めた固定資産評価基準をベースに、市町村が独自に決定します。そのため全く同じ建築物だとしても、自治体によって固定資産税評価額が違う場合があります。
なお、似たような名前に課税標準額という言葉もあります。
これは、固定資産税評価額に、特例の税率を適用したあとの数値のことです。そのため、課税標準額は固定資産税評価額よりも小さくなります。
固定資産税の調べ方は、以下の3つのパターンで異なります。
まず、すでに建物を持っているなら調べる必要はありません。毎年4~6月に納税通知書に表示されています。
これから新築を建てようとしている場合は、正確な固定資産税評価額を知ることはできません。どのような建物が建つか決まらないと算出できないからです。不動産業者に聞けば目安を教えてもらうことはできますが、実際の金額とは異なる場合があります。
一方、中古であれば新築と違い、既に固定資産税が決まっています。不動産業者に問い合わせれば回答をもらうことができます。
【固定資産税評価額×0.3%(制限税率)】です。
税率は自治体ごとに異なりますが、0.3%を上回ることはありません。
固定資産税と同じく、【1月1日時点での土地・建物の所有者】が対象です。
1月1日時点で建物が完成している時は、土地・建物の両方に対して課税されます。一方で1月1日時点では更地・あるいは建築途中の場合は、土地にのみ都市計画税が課税されます。
毎年4~6月(大体は5月頃)に、「納税通知書」を使って市町村から納付する方式です。
市街化区域に住んでいる場合は、固定資産税と都市計画税、両方の合計金額が記載されています。
画像引用:名古屋市|固定資産税・都市計画税
1年の中で4回に分けて納付するか、一括で納付するかは納税者が選択できます。ただし、国民年金等と違い、一括で支払っても割引きはありません。
都市計画税では、条件に合致した場合の減税措置があります。
それが住宅用地の特例です。
すでに建物が建っている土地(住宅用地)のうち、200㎡までを【小規模住宅用地】、200㎡を超える部分を【一般住宅用地】として減税されます。
なお、固定資産税の場合は小規模住宅用地が「固定資産税評価額×1/6」、一般住宅用地では「固定資産税評価額×1/3」に、それぞれ減額されます。
減税の割合が違う点に注意が必要です。
紹介したような減税の特例は、あくまで土地の上に建物が建っていることが前提です。そのため、建物を撤去して更地にしてしまうと、特例が外れて最大で6倍になってしまいます。
このことは、日本で空き家が増え続けている原因の1つと言われています。
しかし、空き家として持ち続ければずっと特例が適用されるわけではありません。2015年には空き家対策の推進に関する特別措置法が施行されました。
この法律によって、以下のような空き家が「特定空き家」に指定されることになりました。
この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。 |
特定空き家に指定されると、耐震など適切な処置をするように自治体から指導・命令が入ります。命令に違反している場合は最大で50万円の罰金を課せられます。
特定空き家に指定されると、自治体から「助言・指導」が実施されます。これは、「空き家適切な状態に管理しなさい」ということです。
倒壊の危険があれば修繕をする、草木が道路にはみ出しているなら伐採する等、特定空き家の指定を解除する努力をしなければなりません。
「助言・指導」でも改善されない場合は「勧告」という処分に移ります。ここまでくると、住宅用地の特例対象から外れ、固定資産税が最大で6倍になってしまいます。
つまり、空き家を持っていてもすぐに固定資産税が6倍になるわけではありません。「勧告」に至る前に状況を改善し、特定空き家の指定から解除される必要があります。
なお、「勧告」でも改善されない場合は撤去に関する「命令」に移行します。命令にも従わない時は、最大50万円の罰金を課した上で「行政代執行(本人に代わって行政が建物を撤去する)」となります。
今回は、固都税の中でも「都市計画税」に絞って、制度の概要と減税措置について紹介しました。全員が納税する税金ではないため、買主様が納得されるように分かりやすい説明を心がけましょう。