理想の住宅へさらに1歩近づくには|建ぺい率の緩和要件のまとめました

投稿日 : 2020年04月13日

住宅やビルなどの建物を設計・建築するときに、建ぺい率における制限は避けて通ることができません。しかし、土地の条件などによっては建ぺい率の制限を緩和できる要件があります。

今回は、建築制限と共に建ぺい率の緩和要件について取り上げます。緩和要件を理解して、少しでも買主様の理想の住宅へ近づけていきましょう。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

建ぺい率とは

建ぺい率とは、建物自体の面積(建築面積)と建物を建築する土地の面積(敷地面積)との割合をパーセンテージで表したもので、その土地に対してどれだけの規模の建物が建築できるかを示す基準です。

わかりやすく言い換えると、建ぺい率とは建物の面積と土地の面積の割合を表し、建ぺい率の制限とは「この土地に建築できる建物はこの大きさまで」という意味です。

 

建ぺい率を数式で表すと以下のようになります。

「建ぺい率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100」

 

建ぺい率について詳しい内容は、以下を参考にしてください。

あわせて読みたい:イメージが湧きにくい建ぺい率を具体例も含めてわかりやすく解説

 

また、建ぺい率とは別に建物を建築するための基準としては容積率というものがあります。

容積率については、以下を参考にしてください。

あわせて読みたい:自分好みの家を建てるには|容積率の緩和要件・特例のまとめ

 

建ぺい率の制限

 

建ぺい率は、用途地域によって制限を受け、土地が1つの用途地域に属する場合と複数の用途地域にまたがっている場合とでは制限の内容が異なってきます。

 

➀用途地域による制限

建ぺい率は、それぞれの用途地域で数値が定められ各地域ごとに数値の上限が異なります。そしてその数値を上限の範囲内に収める必要があります。

 

用途地域とは、その用途の目的のために定められた地域のことを指し、全部で13種類の用途地域があります。例えば、工業地域には住宅を建築してはいけないといった建物自体の制限の他に建ぺい率や容積率の上限も制限されます。

 

用途地域について詳しいことは、こちらを参考にしてください。

あわせて読みたい:制限が多く複雑な用途地域についてわかりやすく解説します

 

各用途地域における建ぺい率の制限は、以下のとおりです。

用途地域 建築できる建物の内容 建ぺい率(%)
第一種低層住居専用地域 低層住宅と住居を兼ねた50㎡までの店舗や事務所など 30・40・50・60
第二種低層住居専用地域 低層住宅と150㎡までの店舗など
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅と500㎡までの店舗など
第二種中高層住居専用地域 中高層住宅と1500㎡までの店舗や事務所など
第一種住居地域 住居と3000㎡までの店舗・ホテル・事務所など 60
第二種住居地域 住居と10000㎡までの店舗・ホテル・事務所・パチンコ店・カラオケボックスなど
田園住居地域 農業利用が中心 30・40・50・60
準住居地域 道路上の自動車関連施設など 60
工業専用地域 工場のみ(住居が建てられない唯一の用途地域) 30・40・50・60
工業地域 工場と住居や店舗(学校・病院・ホテルなどは不可) 60
準工業地域 軽工業の工場と住居や小規模な店舗 60
近隣商業地域 商業施設と住居や小さな工場 80
商業地域 ほとんどの商業施設と住居や小さな工場・高層ビル 80

 

②複数または異なる用途地域にまたがる制限

土地が複数または異なる用途地域にまたがる場合は、用途地域の面積が大きいほうの制限が採用されるのではなく、それぞれの用途地域の敷地面積における加重平均によって計算を行います。

 

例:第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域の場合

第二種低層住居専用地域 :敷地面積30㎡ × 建ぺい率30% = 9㎡(建築面積)

第一種中高層住居専用地域:敷地面積50㎡ × 建ぺい率40% = 20㎡(建築面積)

9㎡+20㎡=29㎡ 29㎡÷100㎡=29%

この場合の建ぺい率は29%になります。

建ぺい率の緩和要件

 

建ぺい率の緩和要件には、大きく2つのケースがあり、用途地域や防火地域における耐火建築物が深く関係してきます。

 

➀制限を受けないケース

制限を受けないケースは、建ぺい率独自のもので容積率には存在しません。

具体的な内容としては、定められた建ぺい率が80%の用途地域かつ防火地域内における耐火建造物に対しては、建ぺい率が100%となり制限を一切受けなくなります

 

ちなみに、建ぺい率80%の用途地域とは「第一種及び第二種住居地域・準住居地域・準工業地域・近隣商業地域・商業地域」になります。

 

このケースのみ、隣地境界線に接したまま建物を建築することができます。

 

②割増を受けることができるケース

以下の2つのうちいずれかの条件を満たせば、建ぺい率に10%が割増され、さらに両方の条件を満たすと20%が割増されます。

  1. 建ぺい率が80%以外の用途地域で防火地域内にある建物が耐火建築物の場合
  2. 角地にある建物(ただし特定行政庁指定のもの)

 

上記以外にも特定行政庁の許可が必要になりますが、該当地域が特定街区や地区計画における壁面線の指定があるケースでも建ぺい率による割増を受けることができます。

 

また、敷地が防火地域にまたがった場合でも建物が耐火建築物であれば、敷地全体が防火地域内とみなされ建ぺい率が緩和されます。

 

もし、建ぺい率の緩和要件をオーバーすると

 

もし、建ぺい率の緩和要件をオーバーすると、以下のペナルティが課せられることになります。また、容積率の場合でも同様に扱われます。

 

➀違反建築物

建ぺい率の基準をオーバーすると、まずその建物自体が違反建築物として取り扱われます。

 

②住宅ローンや銀行の担保が組めない

違反建築物となった建物に対しては、住宅ローンを組んだり銀行からの融資の担保にすることができません。

 

建ぺい率の基準をオーバーするだけで、これだけのペナルティが生じます。

買主様がこれから建築または購入する建物が、買主様がこれから建築または購入する建物が基準内に納まっていることを必ず確認しましょう。

 

建ぺい率の基準をオーバーしたときについては、こちらを参考にしてください。

あわせて読みたい:イメージが湧きにくい建ぺい率を具体例も含めてわかりやすく解説

 

建ぺい率以外にもいろいろな制限がある

今回は、建ぺい率における制限と緩和について解説しましたが、建物を建築する際には建ぺい率以外にもさまざまな制限があります。

 

建ぺい率以外の制限については、こちらを参考にしてください。

あわせて読みたい:さまざまな建築制限とその解除についてまとめてみた

 

まとめ

買主様の理想を実現するためにも、建ぺい率を始めとする各種制限、緩和要件、用途地域についての理解は必須です。

特に、建ぺい率の緩和要件を理解していると柔軟な提案も可能になります。

買主様に喜んでいただけるよう、理解を深めておきましょう。お客様の理想の物件を実現するためにも知識を深めておきましょう。