隅切り(すみきり)とは|角地を選ぶ際に押さえておきたいルールなどをわかりやすく解説
一般的に角地の土地は日当たりも良く条件がいいとされています。 しかし、住宅の購入を検討するときは、「隅切り」があることも忘れてはいけません。
マンションを購入された買主様から、名義変更登記の完了後に「販売広告と面積が違った」とクレームを受けるケースがあります。
これは重要事項説明の際に内法面積についてきちんと説明ができていなかったために発生したクレームであり、媒介契約ではあってはならないミスです。
今回はマンションの内法について解説します。契約トラブルのない円滑な媒介のために、しっかり学習しましょう。
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この記事の監修者: 小林 紀雄 住宅業界のプロフェッショナル 某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。 |
最初に内法の読みかたを学びましょう。
「内法」は「うちのり」と読みます。「ないほう」とは読みません。
内法という名称は、不動産業界だけでなく建築業界でも使用しています。
「内法幅」「内法長押(なげし)」「内法貫」などは、住宅の鴨居やサッシなどの寸法や取り付けかたに関する建築用語です。不動産業界ではほとんど使用しない言葉ですので、混乱しないように注意してください。
では内法面積とは何でしょうか。簡単に説明してしまえば、内法面積は「目で見たまま」の面積です。
建物を仕切る壁には厚みがあります。高級マンションにもなると、防音のために戸境壁の厚みも増してきます。
画像引用:小田急不動産 リーフィアレジデンス町田サイト|STRUCTURE~構造
内法は壁で囲まれた部分の面積であり、実際に居住者が生活できるスペースです。
内法面積がわかることで、配置する家具の寸法や搬入経路などがあらかじめ把握できます。
建物の面積には、内法面積だけでなく壁心面積という測りかたもあります。壁心の読みかたは「へきしん」です。
壁心面積とは、部屋を取り囲む壁の厚みの中心線を起点にした内側の面積です。内法面積との違いは以下の図のようになっています。
画像引用:ライフルホームズ|住まいのお役立ち情報
建物を設計するときには、壁心を基準として設計図面を書きます。建築確認の際にも、建物全体の面積や各階の面積は壁心面積により確認を行います。
また、不動産の販売広告に掲載する面積も、内法面積ではなく壁心面積で掲載するのが一般的です。
上記のように用途が異なる内法面積と壁心面積ですが、建物の登記をするときには内法と壁心のどちらの面積が記載されるのでしょうか。
それは登記する建物が一戸建てなのか、それともマンション等の区画区分建物なのかによって異なります。
・一戸建て
一戸建ての場合には、登記上の面積は壁心面積が採用されます。
・マンション
マンション等の区画区分建物の場合には、登記上の面積は内法面積が採用されます。
つまり、マンションだと販売広告の専有面積よりも、登記上の専有面積の方が狭くなるということです。
それでは、具体的にどのくらいの面積差が生じるのか確認しましょう。
一般的なマンションでは、内壁は以下が平均的な厚みとされています。
マンションの総階数 | 壁の材質 | 壁の厚さ |
15階以下 | 湿式壁(コンクリート) | 180~200mm程度※ |
15階以上 | 乾式壁(石膏ボード・吸音材) | 135~150mm程度※ |
※工法により100mm程度プラスされる場合がある
区画全体の面積差はそれぞれの区画の大きさによって異なりますが、壁芯面積が80㎡くらいのマンションであれば、内法面積は76㎡くらいまで減少します。
専有面積がおおむね5%程度変動すると考えると、ある程度の目安になります。
一部屋の周囲の壁が厚み20㎝の場合、壁の中心線は10㎝です。
壁心寸法がわかっている場合、内法面積は壁心面積に上下左右それぞれ10㎝ずつマイナスして計算します。
内法面積から壁心面積を算出したいときには、プラスとマイナスを逆にして計算すいると導き出せます。
固定資産税をはじめとする不動産関係の税金は、登記上の専有面積を元に計算されています。一戸建てであれば販売広告の面積と登記上の面積で差異はありませんが、マンションの場合には面積が違うため、かかる税金も変わってきます。
特に注意しなければならないのが、内法面積が50㎡程度の2DKや2LDKのマンションの購入時です。
販売広告に掲載される壁芯面積が50㎡以上であっても、内法面積は50㎡未満となる物件では、買主様が受けられる税制優遇がなくなってしまうからです。
専有面積が50㎡以上であることが条件となっている優遇制度は以下のとおりです。
買主様が上記のような税の優遇制度を見越してマンションの購入予算を考えていた場合、専有面積が50㎡未満の物件を選ぶと資金計画が大幅に狂ってしまいます。
冒頭で挙げたようなクレームの原因になり、買主様との契約トラブルにつながる可能性があります。
専有面積に関連した契約トラブルを避けるためには、買主様が物件探しをしている段階でしっかりご説明するのはもちろんですが、売買契約を行う際の重要事項説明時にも十分なご説明をしなければなりません。
マンションを初めて購入される買主様にとっては重要事項説明の説明も右から左に受け流してしまうことが多いですが、税金は売買契約完了後に発生するものが多いので、後々に「こんなはずじゃなかった」というケースにもなりがちです。
買主様が十分にご納得いただけるまで、丁寧にわかりやすくご説明しましょう。
トラブルにならないようにするためには、マンションの販売広告にあらかじめ登記上の内法面積を掲載しておけば良いような気もします。それなのに、どうして不動産広告には内法面積ではなく壁芯面積が掲載されているのでしょうか。
実は、不動産広告における専有面積の表示方法には法律上のルールが存在しません。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第5章第10条
(15) 建物の面積(マンションにあっては、専有面積)は、延べ面積を表示し、これに車庫、地下室等の面積を含むときは、その旨及びその面積を表示すること。ただし、中古マンションにあっては、建物登記簿に記載された面積を表示することができる。 |
上記規則では「登記簿に記載された面積を表示することができる」とあり「表示しなければならない」ではない点に注目してください。これを正しく読み解くと、つまりは内法面積と壁芯面積のどちらを表示しても良いという結論になります。
少しでも面積を大きく見せるため、ほとんどの不動産業者では販売広告作成時には壁芯面積の数値を採用しています。
お客様の購買意欲も高まることが予想されるので、それは販売戦略上では当然の話です。
今回はマンションの取り扱い時に注意しておくべき内法面積について解説しました。
専有面積の大小は不動産の資産価値に直結するため、曖昧な認識のままでいると買主様との深刻な契約トラブルを呼び起こしてしまいます。
マンション・一戸建ての両方ともに正しい面積の計算方法を知り、お客様に適切なご説明できるようにしましょう。