除外規定の適用要件とは/開発行為と開発許可の関係をわかりやすく解説

投稿日 : 2020年02月10日

みなさんがいつも生活している住宅地は、宅地造成や宅地整備工事を経て形成されています。この法律の根拠となるものが開発行為であり、実際に造成や工事をおこなうために必要となるのが開発許可です。

さらに開発許可には、開発をおこないたい土地の区域や性質によって、許可が不要となるケースがあります。

今回は住宅地を形成するために必要な開発行為の概要と、開発許可が必要及び不要なケース、そして許可申請の流れなどについて解説していきます。

kobayashi この記事の監修者:
小林 紀雄
住宅業界のプロフェッショナル

某大手注文住宅会社に入社。入社後、営業成績No.1を出し退社。その後、住宅ローンを取り扱う会社にて担当部門の成績を3倍に拡大。その後、全国No.1売上の銀座支店長を務める。現在は、iYell株式会社の取締役と住宅ローンの窓口株式会社を設立し代表取締役を務める。

 

開発行為とは

開発行為は、都市計画法第4条12号で以下のように規定されています。

12 この法律において「開発行為」とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。

引用:電子政府の総合窓口e-Gov|都市計画法

 

この条文を言い換えると、開発行為とは建築物または特定工作物を建設するために、土地区画の変更いわゆる土地造成を行うことをいい、実際に行う行為としては下記の3つになります。

  1. 区画の変更
    例:道路や水路の新設・拡張・付け替え・破棄など
  2. 形状の変更
    例:造成や整備工事などで、土地自体の形状の変更を行うこと
  3. 性質の変更
    例:山・山林・農地などを、建築物または特定工作物を建設するための敷地に変更する行為

1つの地域に対して上記の開発行為➀~③全てを行うのではなく、建築物や特定工作物を建てる土地の性質によって、どの行為を実際に行うかはケースバイケースになります。

 

注意点としては、開発行為は土地の造成や宅地整備工事のみにおける行為であり、土地の上に建てる建築物や特定工作物を建築する行為に対しては、別途建築行為が該当します。

 

工作物

 

工作物とは簡単に述べると、建物以外の建築物ということになります。例えば道路・鉄道・橋・トンネル・電柱・門・ゴルフ場などが該当します。

 

さらに工作物はその種類によって下記の2種類に分けられます。

  1. 第一種特定工作物
    周辺の環境に悪化の恐れがある工作物
    例:コンクリート及びアスファルトを扱うプラント・産業廃棄物処理場など
  2. 第二種特定工作物
    大規模な工作物、都市計画法施行令第1条第2項に規定されているもの
    例:ゴルフコース・1h以上のグラウンドや墓苑など

宅地整備工事

宅地整備工事は、開発行為における土地区画形質の変更の一環としておこなわれるもので、その要素としては大きく2つあります。

  1. 区画の変更
    土地同士の区切りを変更すること
  2. 形質の変更
    切土や盛土などによって整地され、土地の形状や形質が以前とは異なること

宅地整備工事とよく似た意味として、土地造成もほぼ同義語といえるでしょう。

 

開発許可

 

開発行為の概要に沿って土地開発をおこなう場合は、原則都道府県知事による許可が必要となり、この許可のことを開発許可といいます。

 

しかし全ての開発行為に関して、開発許可が必要というわけではなく、除外規定もあります。ここからは開発許可が必要なケースとそうでないケースをそれぞれみていくことにします。

 

開発許可が必要なケース

先程も述べましたが開発許可は原則必要です。

必要なケースとしては、都市計画区域及び準都市計画区域内で開発行為を行う場合などが該当します。この場合は一般的な許可基準をクリアしていれば、許可を得ることができます。

 

ただし市街化調整区域に関しては、原則開発が禁止されているため、例外的にしか許可されません。

 

開発許可が不要なケース

開発許可に関しては許可が不要なケース(除外規定)もあり、その内容は都市計画法第29条に定められています。除外規定は開発における規模・用途・社会通念などの観点から設けられているのが特徴といえます。

 

除外規定の内容は大別すると以下の4種類になります。

  1. 面積
    都市計画法第29条1項1号により、一定面積未満のものに関しては許可は不要
    ・市街化区域:1000㎡未満(首都・近畿・中京圏の一部は500㎡未満)ただし条例によって300㎡まで引き下げ可能
    ・非線引き都市計画区域及び準都市計画区域:3000㎡未満、この場合も300㎡まで引き下げ可
    ・都市計画区域外(準都市計画区域除く):10000㎡未満
  2. 建築予定建物
    ・都市計画法第29条1項2号:農林漁業用の建物及び従事者の住宅(市街化調整区域・非線引き都市計画区域・準都市計画区域にのみ適用)
    ・都市計画法29条1項3号:公共性が認められる場合(例:鉄道施設・駅など)ただし一般的に公共施設といえる社会福祉及び医療施設、学校、庁舎は2008年以降許可が必要
  3. 開発事業
    ・都市計画法第29条1項4号~8号:土地計画事業及び土地区画整理事業によるもの
    ・都市計画法第429条9号:公有水面(国が保有する河・湖・海など)の埋め立て
  4. 社会通念に基づくもの
    ・都市計画法29条1項10号: 災害における応急措置
    ・都市計画法29条1項11号:通常の管理行為または軽易(簡単な)もの
    ・その他:仮設建築物の建築・車庫や物置・10㎡以内の増改築など

これら➀~④の除外規定に当てはまらなくても、特例要件に該当した場合は、例外的に除外規定が適用されることがあります。

 

市街化調整区域の場合

市街化調整区域は、原則として開発行為が禁止されているため、開発許可を得ることができません。しかし例外的に許可を得ることができるケースがあります。

 

例外的に許可されるケースは以下の2つになります。

  1. 都市計画法第29条に定める除外規定
    これは1項2号の農林漁業用の建物及び従事者の住宅がこのケースにあたります。
  2. 特例要件に該当する場合
    都市計画法第34条に定められている内容がこのケースに該当します。

 

開発許可申請の流れ

画像引用:埼玉建築士会オンラインショップ

 

開発許可を得て工事をおこなうためには、当然許可を得るための手続きが必要となってきます。

ここからは開発許可を申請する流れを大まかにみていくことにします。

  1. 事前協議
    周辺地域の環境に悪影響を与える恐れがあるため、事前に役所と打ち合わせを行う
    開発行為完了後の予定建築物についても、この時点で開発許可申請に記載を行う
  2. 開発行為許可標識の設置
    開発行為をおこなう現場に設置する
  3. 開発行為の実施(宅地造成・宅地整備工事など)
  4. 完了検査
    工事が完了するときに受ける検査
  5. 検査済証を交付
    開発許可の内容と同じであれば交付される
  6. 工事完了公告
    検査済証手交付後におこなう公告

工事完了公告をおこなうことで初めて許可申請時に記載していた予定建築物を建築することができます。

 

また原則予定建築物以外の建物を建てることはできませんが、別途特別に都道府県知事が許可をおこなった場合や用途地域に該当している場合はその限りではありません。

 

開発指導要綱

画像引用:白川町都市開発指導要綱

 

開発指導要綱とは、開発行為に基づく開発許可をおこなうときに際して、その指針となる都市計画法に加えて、市町村独自の適合基準を定めたものになります。

 

宅地造成等における乱開発や当該地域の環境の悪化、急激な人口増加を抑制し、従来の公共施設や設備を損なわないことを目的としています。

 

開発登録簿

 

画像引用:不動産実務TIPS

 

開発登録簿は簡単に述べると、開発行為を明示及び図面化した書類です。開発登録簿自体は開発許可が下りた時点で作成されます。また開発行為に該当する役所で閲覧や取得も可能です。

 

不動産業を営む人にとっては、中古不動産を調査する際に、対象となる不動産が開発許可を受けたかどうかを調べるためのツールにもなります。

 

注目する項目

開発登録簿には許可年月日などさまざまな記載と図面がありますが、一番注意しておく項目は工事完了公告日になります。

 

工事完了公告日に記載があることは、その工事が完了していることを意味し、現地と図面は必ず照合します。また現場に赴いて同じかどうかを調べることもできます。

 

また工事完了公告日が未記載の場合は、記入漏れかまだ工事が完了していないことが考えられます。原則完了公告が未記載の場合は建物を建築することができないため、もし実際に建物があれば、違反建築かどうかを確認する必要がでてきます。

 

まとめ

今回開発行為を執筆するに当たって感じたことは、法律におけるバランス感覚でした。

 

法律による縛りがない状態で開発をおこなうと、非整然とした街となり、日常において不便な生活を強いられることになります。また法律によって開発を縛り過ぎると、今度は誰も開発をおこなえないため、この場合でも不便な生活を強いることになります。

 

縛り過ぎずまた緩めすぎない法律を制定することによって、現在の整然とした日本の国土を支えているのかもしれません。